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2016年04月10日
アガサ・クリスティから(31) (茶色の服を着た男#その10)
(茶色の服を着た男#その10)
アンとスーザンは相談して、社交界の花形スーザンの政治力を最大限に生かす計画を立てた。
まず怪しいと思われる人達を手分けして、目を離さないようにするのだ。
そこでスーザンの社交界での政治力を生かし、ローデシアに行くサー・ユーステス・ペドラー一行に便乗させて貰い、サー・ユーステス・ペドラー及び、かなり怪しい秘書のパジェットを見張る計画であった。
そしてアンが、怪しんでいる1人でもあるレイス大佐もローデシアに行くらしい。
なんとかサー・ユーステス・ペドラーとパジェットとレイス大佐から目を離さないようスーザンに頼んだ。
またアンはダーバン行きのチチェスターの方を付けて行くつもりだった。
またスーザンからキールモーデンキャスル号から降りたら、スーザンが宿泊するホテルに泊まるように言われた。
支払いもスーザンがするという。
同情ではなく、事件解明という冒険?の為にと。
アンが付けていく予定のチチェスターはダーバン行きだが、船の出航まで日にちがあった。
結局、スーザンの優しさに甘えることになった。
明日の早朝にいよいよキールモーデン・キャスル号は テーブル湾(ケープタウンの北岸)に入るのだ。
今夜が航行最後の夜だと思うと、アンは興奮して、すぐにベッドに入る気がしなかった。
甲板に出て、気持ちよく風に吹かれていた時のことである。
突然、黒い影に襲いかかられ、アンは必死で抵抗した。
のどを掴まれていたので窒息しそうになったアンは、女らしく引っ掻いたり、噛み付いたり抵抗していた。
しかし限界に近かった。
襲撃者もまた最後の力を振り絞ろうとした・・・。
その時、もう一つの影が近づいて来て、そして たったの一撃で アンの敵を甲板に叩きのめしてしまった。
ほっとしたアンは、急に気分が悪くなってきて ぶるぶる震えながら、手すりにしがみついていた。
アンを助けてくれた男は、きびきびした動作で アンの方に来た。
「怪我はないか?」
襲撃者に対する威圧もあったのだろう、彼の声はやや乱暴であった。
彼が口を聞く前から、アンは彼が何者であるか知っていた。
それはアンの思う・・・顔に傷跡のあるあの人だったのである。
しかし敵は、一瞬の隙に立ち上がり、甲板を走って逃げて行った。
レイバンは何かののしりながら、あとを追う。
アンも取り残されるのが、嫌で後を追った。
甲板を右舷まで走っていくと、食堂入り口の所に男はへたばっていた。
レイバンがマッチを擦り、男の顔を確かめた。
アン達は驚きの声を上げた。
男はチチェスターではなく、秘書のガイ・パジェットだったのだ。
レイバンは全くあきれた顔つきであった。
「驚いたなぁ、パジェットだったとは?!」
アンは驚いていなかった。
「どうして今度のことに関わり合いになったんだい?どの程度、知っているのかね?」レイバンは尋ねた。
アンはレイバンに「うんと知っているわ、あの・・・ルーカスさん!」
「その名前、どこで聞いたんだ?」
「だって、あなたの名前でしょ?」
と、アンは言った。
「それとも茶色の服を着た男と呼ばれたいの?」
レイバンはその言葉にぎょっとしていた。
アンは、レイバンに「あなたを前に助けてあげた。もっと助けてあげたい。」と味方を強調したが、レイバンは女と組む気はないと言った。
アンとレイバンの話の中で、マーロウの殺人の話も出た。
「俺だってあの女なら殺っていたかも知れない。いまでもときどき、俺はあいつを殺そうと思っていたんだと思う。」
アンは突然、その女にひどく嫉妬した。
・・・何故って、彼はその女をかつて愛していたからだ・・・そうに違いない・・・きっとそうだ・・・そうだったに違いない。
(アガサ・クリスティから32に続く)
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2016年04月08日
アガサ・クリスティから(30) (茶色の服を着た男#その9)
(茶色の服を着た男#その9)
アンは、がっかりした。
地下鉄の事件後に拾った紙片。
【1 7・1 22 Kilmorden Castel】
スーザンが解いた1時、71号室、22日
キールモーデン号。
ロシアの有名な美人ダンサーが偽名で取った部屋。
来ないまま、スーザンが部屋を替えて貰い、フィルムが夜中に通風孔から落とされる。
あきらかに通常よりも重いそのフィルムケース。
ドキドキしながら、その封を切ったものの、フィルムケースからは、曇ったガラス玉のような小石が、ざらざらとこぼれ出たのだ。
アンは、がっかりして叫んだ。
「小石だわ!」
スーザンは、この曇ったガラス玉のような小石が、実はダイヤモンドの原石なのだとアンに告げた。
どうも このダイヤモンドの原石は、先日、レイス大佐が言っていた行方不明になっているダイヤモンドの一部ではないか?と思い至る。
レイス大佐は、たまたま話の流れで、そのダイヤモンドの話をしたのではないのだ、きっと。
その場にいた誰かの様子を見る為だったのかも?知れないと思い当たる。
一方、スーザンの方でも彼女独自の推理が出来上がっていた。
(レイバンが茶色の服を着た男で、カートンがナディーナに渡そうとしたダイヤモンドを追っている時、地下鉄でカートンに顔を見られる。
その顔を見たカートンはレイバンに追われてることを知り、ショックで後ずさりし、落下、感電死する。
とっさに医師に化けて、カートンの暗号の書いた紙片を抜き取り、立ち去った。
すぐにナディーナを付け、カートンとの約束の場所マーロウのミル・ハウスに着く。
カートンとナディーナは偶然出逢ったよう見せかける為、貸し家ミル・ハウス見学にしたのだ。
マーロウのミル・ハウスまで、つけて行った茶色の服を着た男は、ナディーナを殺す。
そしてサー・ユーステス・ペドラーを騙して、秘書に売り込み、イギリスを脱出。
暗号にある南アフリカ行きの船に乗り、アン同様、紙の傷を点と読み間違え、17号室、1時、22日と思い込む。
そして茶色の服を着た男が、22日、1時に17号室に進入しようとした時、チチェスターに刺される。)
以上が、スーザンの推理だった。
新聞社のナスビー卿に”茶色の服を着た男を発見︎”と電報を打つように勧められたが、アンは、この推理には反対だった。
茶色の服を着た男の特徴を聞かれたアンは、考古学者の娘らしく、頭の形が〈長頭型〉と答えるが、スーザンに見破られる。
実は逆の〈短頭型〉なのだ。
アンは茶色の服を着た男が、レイバンであるに違いない。とは認めるが、ミル・ハウスのナディーナ殺しは無実であると主張。
スーザンに本当のことを話して欲しいと言われるが、何もないとアンは答えた。
しかし、やはりスーザンに打ち明けることになる。
アンは、あの粗野で、恩知らずで、憎らしい男=危険な匂いがするハリー・レイバン=茶色の服を着た男に 突然、情熱的な恋に落ちてしまったことを告白した。
翌朝、レイス大佐を捕まえたアンは ダイヤモンドの話を蒸し返す。
レイス大佐は、女性はダイヤの話が好きだ。と言いながらも、捕まえられた鉱山王サー・ローレンス・アーズリーの息子の友人ハリー・ルーカスの行方を教える。
やはり鉱山王の息子同様に戦場に赴き、行方不明であるという。
しかしレイス大佐は、行方不明だが、多分、死んでいるだろうと予測していた。
アンはまたチップを大目に使い、夜勤の給仕から、フィルムケースのことを聞き出すのにも成功していた。
話はこうだった・・・前の航海で、この船がケープタウンからイギリスに戻る途中、ある乗客からフィルムのケースを渡された。
次の航海、船が出たら 22日の1時にこのフィルムケースを71号室の通風孔から落として欲しいという依頼だったという。
部屋には婦人が1人いるはずで、品物は賭けた物ということだった。
給仕は、かなり鼻薬を効かされたものとアンには思えた程だった。
給仕には婦人の名前は教えられなかった。
ブレア夫人=スーザンは、乗船すると事務長に会って、別の部屋から、すぐに空いていた71号室の部屋と交換して入ってしまったので、違う婦人であるとは分からなかったと思われた。
また、カートンと男は名乗っていたらしい。
その人相は、地下鉄で死んだ男とぴったり合っていた。
これまでの経緯を考えると、事件の鍵は、ダイヤモンドのようだった。
またアンは、サー・ユーステス・ペドラーの不吉な顔をした秘書パジェットが、ペドラーがカンヌにいる時、休暇中でフィレンチェにいたことを怪しんでいた。
彼女の勘では、マーロウのミル・ハウス、ナディーナ殺しに関与しているように思えた。
アンは、早速、パジェットを捕まえ、話にカマを掛けて試してみた。
やはり、パジェットはあの日、フィレンツェには行かなかった。
マーロウのミル・ハウスにいたに違いない。と、アンは確信に至った。
(アガサ・クリスティから31に続く)
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2016年04月06日
アガサ・クリスティから(29) (茶色の服を着た男#その8)
(茶色の服を着た男#その8)
頬に傷がある男は、サー・ユーステス・ペドラーの新しい秘書だったとは・・・。
船酔いがひどいという言い分で、今まで自室から出たことがなかったので、その存在が分からなかったのだ。
アンは22日夜中に酔っ払いを探して、部屋を訪ねて来た女給仕の件を聞いてみた。
そんな夜間に働いている女給仕はいないことが判明した。
つまり、女給仕に扮装していた敵側だったのだ・・・。
仮面舞踏会が終わった後、誰かに打ち明けなければならない時が来た。と、心細くなったアンは考えた。
レイス大佐。
頼りになりそうであったが、何故か?レイス大佐には知らせてはならない。と感じた。
アンは思い切って 親しくなった社交界で花形のブレア夫人を訪ねた。
綺麗な衣装を身にまとった夫人に、アンは今までのことを包み隠さず、打ち明けた。
ブレア夫人は、アンの後先を考えずに飛び込む勇気、冒険心溢れる実行力に びっくりしながらも、おもしろい個性だと受け止めてくれた。
これがきっかけで、ブレア夫人から、スーザンと呼ぶように言われ、アンは彼女をファーストネームで呼ぶようになった。
【1 7・1 22 Kilmorden Castel】
地下鉄の事件の後に拾った紙片も初めて人に見せた。
スーザン(ブレア夫人)は紙片を眺めていた。
スーザンが言った。「これは、点なんかじゃなくて、紙の傷。つまり、17号1時22日ではなくて、1、71、22で、きっと1時、71号、22日よ」
アンも紙の傷は確かめたが、そうなると22日、1時に71号室で何が起こったのか?とふと疑問を抱いた。
71号室は、スーザン=ブレア夫人の部屋であった。
特に変わったことは?
スーザンはなかったと言った。
スーザンの部屋は彼女が元々の自分の部屋から、替えて貰ったはずだった。
では、この部屋は元々は、誰が使うはずだったのだろう?
この問いに スーザンはすらすら答えることが出来た。
71号船室は、ミセズ・グレイの名前で予約されていた。
彼女が乗船せず、船室がキャンセルになったことを 事務長が大変、残念がっていたらしい。
というのは、ミセズ・グレイは変名で
本来はロシアの有名な美人ダンサー、マダム・ナディーナが宿泊する予定だったのだ。
事務長が残念がる所以である。
アンは何故、彼女が乗船しなかったのかが、分かった。
乗船出来なかったのだ。
何故なら、マーロウのミル・ハウスで殺された若い、外国風の美しい女性がマダム・ナディーナだったのだ。
アンの推測ではあったが、多分間違いないと確信があった。
スーザンは、レイス大佐から聞いたマダム・ナディーナの話を教えてくれた。
マダム・ナディーナ。
ロシアの有名な美人ダンサー。
しかし、それは表向きの顔であり、実は巨大な力を持つ国際犯罪組織の一員であったらしい。
そして、そのことをスーザンに伝えたレイス大佐。
一体、そのレイス大佐が何者なのか?もアンはスーザンに尋ねた。
レイス大佐とスーザンは、見かけ程、親しい訳でもなく、ほとんど乗船してから仲良くなった程度らしい。
またスーザンは夫を大切にしているとのこと。
@レイス大佐は、大物撃ちのハンターであること。
A諜報機関に勤めているとの噂があること。
B鉱山王のサー・ローレンス・アーズリーの莫大な遺産を引き継いだもの。
この位しか、スーザンには分からなかった。
しかし、もしスーザンの言う通り、紙片が示すのが、1時、71号室、22日だとしたら・・・?!
アンは、はたと思い当たった。
スーザンが火山を撮る時に落としたフィルム。
ある夜更けに通風孔から部屋にフィルムを落として、給仕が返してきた。と以前、話していたのを思い出した。
22日の夜中だったのではないか?
そして、またマーロウのミル・ハウスで拾ったのもフィルムケースだった。
慌てて現像に掛けたが、残念なことに何もフィルムには写っていなかった。
フィルムケースだ・・・。
慌てて、スーザンに戻って来たフィルムを出して貰った。
その辺に置いてあったフィルムを手に取ると、確かにフィルムケースにしては重かった。
アンは、ドキドキした。
アンは震えの止まらない指で、密封してある絆創膏の封を切った。
そして蓋をはがすと、くもったガラス玉のような小石が、ベッドの上にざらざらっとこぼれ落ちた。
「小石だわ」とアンが、がっかりして言った。
「小石?」とスーザンは叫んだ。
彼女のその声の調子で、アンも興奮した。
「小石だって?違うわよ、アン、小石じゃないわよ!ダイヤよ、これは!」
(アガサ・クリスティから30に続く)
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2016年04月04日
アガサ・クリスティから(28) (茶色の服を来た男#その7)
(茶色の服を来た男#その7)
いよいよと言うか、アンの勘が当たったと言うべきか、地下鉄の事件時に拾った紙片通りに また大きく事件が動いたのだ。
アンは包丁で刺された男をまず除いた後、怪しそうな人物として3人を考えた。
包丁で刺された男は、ふてぶてしいながらも犯人側に刺されたのであった。また、アンは気づかぬうちに何故か、彼に少し惹かれたのも事実だった。
怪しそうな3人。
目を離す訳にいかない。
1人は、殺人があったミル・ハウス所有者であるサー・ユーステス・ペドラー。
もう1人は、そのサー・ユーステス・ペドラーの秘書。
その不吉な顔と、他に良い部屋があるのに17号室の部屋を譲ろうとしなかったこと。
彼なら、サー・ユーステス・ペドラーをこの船に乗るよう、何らかの方法で上手く操ることも可能かも?知れない。
サー・ユーステス・ペドラーがカンヌに避寒していた時、このパジェットが本当は何処にいたのか?確かめる必要があった。
最後にエドワード・チチェスター牧師。
やはり17号室にこだわっていたこと。
どうもアンが知る牧師とは違い、胡散臭さ。
偽牧師にも思えてくるのだった。
一方で、レイス大佐は諜報機関の者ではないか?と噂されていた。
南アフリカまで、あと一週間という時に レイス大佐から意外な話を聞く。
戦争の直前に 南アフリカで起きたダイヤモンド盗難事件であった。
ジョン・アーズリーと友人のハリー・ルーカスが、南米でかなり大きなダイヤモンドの原石を見つけた。
鑑定の為、キンバリーを訪れた所、ちょうど、その頃、ダイヤモンドの盗難事件があった。
その嫌疑を掛けられたジョンは、逮捕される。
彼は実は、鉱山王サー・ローレンス・アーズリーの息子であった。
鉱山王サー・ローレンス・アーズリーは、息子ジョンの為にダイヤモンドと同等額を支払った。
結局、盗まれたダイヤモンドの行方も分からぬまま、ジョンは釈放された。
その後、ジョンは軍隊に志願し、戦場で戦死し、帰って来ることはなかった。
そして失意の鉱山王サー・ローレンス・アーズリーは遺言も残さないまま、3度目の卒中で亡くなってしまった。
最も近しい血縁者にあたるレイス大佐がその莫大な遺産を引き継いだという。
その話の際、入口に立っていた顔に傷のある男が幽霊でも見たかのように真っ青になった。
アンはすかさず、サー・ユーステス・ペドラーに問いただした。
サー・ユーステス・ペドラーから 彼は、乗船する直前に新しく雇った秘書ハリー・レイバンである。と聞いた。
(アガサ・クリスティ29に続く)
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アガサ・クリスティ(27) (茶色の服を来た男#その6)
(茶色の服を来た男#その6)
アンは、ひどく興奮していた。
ひどく不吉な顔の秘書と、どこか 胡散臭いような牧師と、3人で17号室を取り合い、なんとか17号室を確保。
しかし、部屋は悪臭のする薬品”あぎ”をばら撒かれていた。
何故?そこまで、この部屋に執着するのだろう?
何故?追い出そうとしているのだろう?
この部屋を出てはいけないのだ。
【17・1 22 Kilmorden Castle】
地下鉄の事件に遭遇した後、拾った紙片をアンはもう一度、よく見た。
キールモーデン号出航日と思い込んでいたが、17号室、1時、22日ではないのか?と気がついた。
明日22日、1時。
アンは、風邪をひいて鼻が効かないから大丈夫と、女給仕に告げて 部屋にこもった。
その夜は、どう過ごしたか覚えていないが、何があっても対応出来るようにガウンをしっかり着た上、スリッパも履いていた。
夜も更けていき、部屋の外の甲板では、そろそろ皆、自分の部屋に帰る声や足音が聞こえていた。
ふと、1時になっても何も起こらなければ、全財産はたいて何をしにきたのだろうと、胸が初めてドキドキした。
そろそろ夜中の1時だった。
22日の1時。
ベルがなり、1時に間違いなかった。
しかし何も起こらない。
バタバタした音が遠くから聞こえたような気がしていたら、いきなり1人の男が「助けて下さい。」と飛び込んで来た。
アンのとっさの機転で、男はベッドの下に隠れ、アンはトランクを開けて 今にも首筋を洗いそうな格好をした。
すると、追っ手がこの部屋を目指して来る足音が聞こえた。
アンは、ピストルを持った秘書か?
サンドバッグなどの凶器を持った偽牧師か?と想像していた。
しかし彼らではなく、ドアを開けたのは女給仕だった。
「酔っ払いがご迷惑をお掛けしませんでしたか?」
もちろん、アンはうまく乗りきった。
アンは女給士が去った後、酔っ払いに出て行って欲しいと言った。
しかし血が床にあり、本人が気絶しているのが分かった。
やはり匿った男は酔っ払いなどでは無かった。
血の跡があり、肩を刺されていた。
日に焼けた頬に傷のあるグレーの鋭い目をした男だった。
介抱を振り切り、男は立ち去ろうとしたが、血の跡が甲板中につくと押しとどめ、包帯などで処置をした。
肩を刺された。に至るまでの訳を話して欲しいと、アンがうながした。
彼はオンナは喋るに決まっているから言えないと言う。
まるで敵かのように睨みつけて「礼は言わない。借りは覚えておく。この埋め合わせはいつかきっとする。」と立ち去って行った。
アンの胸は、水車を回す水のように音を立てていた・・・。
(アガサ・クリスティから28に続く)
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2016年04月02日
アガサ・クリスティ(26) (茶色の服を着た男#その5)
(茶色の服を着た男#5)
久しぶりにアンは自分でも驚くほど、食べた。
食事を終えて食堂を出た時、階段でペドラーが秘書との会話、部屋が仕事をするには狭すぎるとのことをたまたま耳に挟んだ。
アンは自分の部屋の確認に行くと、ボーイが忙しそうに働いていた。
良い部屋だと勧められたのは、D甲板、13号だった。
確かにいい部屋であった。
しかしアンが、げんをかつぐうちの1つ〈13〉であった。
アンは涙を流さんばかりに 違う部屋をボーイに頼んだ。
そうすると、ボーイは17号室を思い出し、事務長に確認を取って来てくれた。
17号室は13号室を小さくした形だった。ボーイが荷物を移動しに行っている間に あの不吉な顔(アンはパドラーの秘書にあだ名をつけていた。)が、入り口にあらわれた。
「この部屋は、サー・ユーステス・ペドラーの予約ずみなんですが」
ボーイが、ここよりも大きな部屋である13号を説明したが、秘書は、最初に決めた17号でないと納得しないようであった。
「ここは私の部屋だ。」
別の声に目を向けるとエドワード・チチェスター牧師であった。
ボーイがチチェスター牧師には、左舷の良い部屋28号を用意してあると説得した。
「失礼ですけど、言わせて頂きます。17号は最初から私に約束されていたのだから、譲る訳にいかない。」
柔和な人程、頑固であった。
アンも13号でなければ、良かったのだが、この秘書も牧師も気に入らず、すっかり頭に来て譲る気はなくなっていた。
その間もボーイは、秘書と牧師に17号のこの部屋より 13号と28号の部屋の方が広くて良い部屋だと説得を続けていた。
すっかり こじれてしまい、3人とも1インチも譲らなかった。
ボーイの目くばせで、アンは一旦、席を離れ、事務長を連れ帰って来た。
レディーファーストな事務長は、テキパキと交通整理を行い、無事、17号はアンの部屋になった。
気を良くしたアンは、甲板に出て いろいろなスポーツを楽しんだ。
夕食に着替えに戻ったアンは、困った顔で部屋で待っていた女給士に会った。
部屋は吐き気がするほど、嫌な匂いがしていた。
女給仕に今晩だけでもC甲板のデッキキャビンに行くようにと勧められたが、アンは着替えをしながら考えると言った。
ネズミの死骸以上に強烈な匂い、またネズミでもない悪臭。
すごい悪臭で、でもどこかで嗅いだことのある匂い・・・。
アンは戦争中、しばらく病院の薬局で勤めたことがあり、悪臭を放つ薬品も知っていた。
それは、”あぎ”だった。主に鎮静剤や駆虫剤に使っていた”あぎ”。
すごい悪臭であった。
しかし、どうして”あぎ”が・・・。
アンは、ふと気がついた。
誰かが、わざとアンの部屋に”あぎ”をひとつまみしておいたのだ。
なんのために?部屋を出て行くと思って?
何故、彼らはアンをこの部屋から追い出そうとするのだろうか?
アンは、さっきの騒ぎを別の角度から考えてみた。
何故あの人達が、あんなに懸命にこの部屋を欲しがり、あんなに しつこく17号室だと頑張ったのだろうか?
他の2つの部屋の方が、ずっと良かったのに。
17・・・。
ふと思いついて、荷物のストッキングの中に隠していた地下鉄で拾った例の紙片を取り出した。
【17 ・1 22 Kilmorden Castel】
アンは、これをキールモーデンキャッスル号の出航日付けと思っていたが、
17が部屋番号だとしたら?
次の1は、1時?
だとしたら?22は?
アンは自分の小さなカレンダーを見た。
明日は、22日だった・・・。
つまり、今晩を越えたら、すぐに22日の1時になるのだった。
(アガサ・クリスティから27に続く)
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2016年04月01日
アガサ・クリスティから(25) (茶色の服を着た男#その4)
(茶色の服を着た男#no.4)
アンは大胆かつ活発な女性だった。
考古学者の父が財産もあまり残さないまま亡くなった時、村の牧師も心配して職業を見つけてくれたり、村の医師から突然のプロポーズを受けたりもしたが、全て断った。
まだまだ保身のみで生きる気など、全くなかったのだ。
今まで本の中だけで、憧れていた冒険がしたかったのだ。
ただ冒険といっても漠然とした憧れだけで、具体的なものは何もなかった。
アンが みよりも財産もないのを知ったフレミング弁護士は、仕事が見つかるまでの条件で ロンドン自宅に引き取ってくれることになった。
村から出たかったアンは、ロンドンに出ることが楽しみだった。
フレミング夫婦は、アンに事務員などの適切な仕事が見つかることを望んでいた。
アンもまた未来を望んでいたが、彼女の思う適切な仕事は、フレミング夫婦の思う適切な仕事とは大きな隔たりがあるような気がしていた。
ついに あの日を迎える。
地下鉄でアンの背後にいた誰かにおびえた男が、地下鉄に落ち感電死したのだ。
アンは、近くにいた医師を名乗る茶色の服を着た男が落としたナフタリンの匂いが付いた紙片を拾った。
【17・1 22 Kilmorden Castle】と記されていた。
検死裁判。
警察に独自の推理相談も相手されず、怒りに任せて、デイリー・バジェット紙の社主に面談。
偶然、街中のウィンドウのポスターから、拾った紙片に記されていたキールモーデン・キャッスル=南アフリカ行きの船を遂に見つける。
父が遺した全財産でキールモーデン・キャッスル号の切符を買い、単身乗り込んだ。
##########################
(以下、茶色の服を着た男#no.3の続きである)
父が遺してくれた なけなしの財産を迷いもなく 全部投げ出して 単身乗り込んだキールモーデン・キャッスル号。
本書は、ここからは下院議員であるサー・ユーステス・パドラーの日記になっている。
下院議員で忙しい男であった。
どこかユーモラスな性質があるサー・ユーステス・パドラーが、真面目過ぎる秘書に困っていたり、彼の日常が書かれている日記である。
ある朝、持ち家で貸しに出そうとしているマーロウのミル・ハウスで外国人らしい若い女性が殺されたと、休暇明けの秘書に報告を受ける。
サー・ユーステス・パドラー本人は困っていた。
選挙区での話であり、有権者に誤解され兼ねない。
またミル・ハウスの腕の良い料理人が、このことで逃げ出さないか心配でお給料を倍にして引き止めたり、大変であった。と日記に記している。
また日記の続きには、その1日後には政府関係者から重要な秘密書類を南アフリカに運んで欲しい。と頼まれた。ともある。
翌日には、ある男の面会があり、大変な状況下にあるので、秘書として同行するという。
サー・ユーステス・ペドラーは、秘書として連れて行った方が何かと都合が良いだろうと思ったが、せっかく海外で自由になると思った矢先で、何か自分が深みにはまったような気がしていた。
男は、ハリー・レイバンと名乗った。
ここまでをサー・ユーステス・ペドラーの日記は綴っていた。
(ふたたびアンの話)
女丈夫であるはずのヒロインが、船酔いに悩むなんていうのは、まことに意気地のないことだ。
小説のヒロインなら、皆が船酔いしていても自分だけは甲板に出て嵐に立ち向かい、嵐を楽しんでいた。
しかしアンは、キールモーデンが最初に揺れた時点で真っ青になった。
それから3日間は船室でうなっていた。
捜査のことも忘れ、もはやミステリーを解こうなどという興味もなくなってしまっていた。
4日目になり女給仕に勧められて、よちよちした足取りで看板に上がった。
事務長が来て、どんな人も二、三日経つと具合が良くなる。と慰めたが、信じられずデッキチェアでぐったりしていた。
その時、甲板で 船全体が彼女のもののような魅力を振りまく1人の女性が、アンの目に留まった。
中背。
綺麗なブロンド。
えくぼのある丸顔。
くっきりしたブルーの目。
シンプルだが、パリ仕立てらしい衣装。
30歳くらいの何をしても美しく魅力的な女性。
アンは、もし元気になれたら話してみたいと思った。
聞くところによると、有名な社交界の花形、クレアレンス・ブレイア夫人らしい。
幾人かの人がお近づきになろうとしていた中、強くて黙っている男が騎士のように彼女の横にいた。
翌朝、意外なことに彼女から声を掛けてくれたのである。
一緒にいたのはレイス大佐だった。
「今朝はご気分およろしいの?」
あまりの具合の悪さが、目を引いたらしかった。
彼女いわく、マディラで大勢のお客が下船し、どっさり部屋が空くから 上の方の良い部屋に替えて貰うべきだということだった。
彼女も最初の部屋が、気に入らず美しい船室に替えて貰ったらしい。
テフリナ火山が見えて来た。
船が揺れた時、ブレイア夫人は美しい火山を撮る為の新しいフィルムを落とした。
アンは、事務長と食事するテーブルが同じだったので、ブレイア夫人のいう通り、上の船室と替えて貰った。
アンのテーブルには、事務長と牧師と年配の夫人が2人。
見渡すと、ブレイア夫人の横には船長、レイス大佐、そして初めて見た人達。
長身。髪が黒い。
妙に不吉な感じのする容貌。
血色悪く、いかにも陰険そうな、重そうな瞼をした目、妙に平べったい格好の頭。
サー・ユーステス・ペドラーの秘書であったと判明した。
サー・ユーステス・ペドラー、威張り腐ったじじいだ。と事務長は表現した。
あの殺人があったミル・ハウスの家主。
あのサー・ユーステス・ペドラーが、これは偶然の一致なのだろうか?
このキールモーデン・キャッスル号に乗っていたのだ。
(アガサ・クリスティ26に続く)
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アガサ・クリスティから(24) (茶色の服を着た男#その3)
(茶色の服を着た男#その3)
アンは現場にいたということで、検死裁判に出る。
地下鉄で亡くなった男は、L・B・カートンと判明しただけだった。
地下鉄で奇妙な事件に巻き込まれたアンは、検死裁判の翌朝の新聞で やっと事件について少し知ることが出来た。
1.亡くなった男のポケットから、マロウのミル・ハウスの紹介状が出てきたこと、その家の持ち主は下院議員サー・ユースタス・ペドラーであること。この家は家具付きで貸し出すことになっていた。
持ち主のサー・ユーステス・ペドラーは、目下リヴィエラに避寒中で留守である。
2.その家の2階のある部屋で、外国人らしき若く美貌の女性が絞殺死体で発見されたこと。
3.茶色の服を着た男もまたその家を見に来ていたこと。
以上を知った。
アンは、家を探すふりをして ミル・ハウスをあたってみたりもした。
そして独自の見解を伝えようと、ロンドン警視庁にも赴くが、ちゃんと話を聞いてさえ貰えなかった。
アンは怒りに任せて、他紙やデイリー・パジェット紙の社主であるナスビー卿に逢おうと考えた。
大物であるデイリー・バジェット紙の社主ナスビー卿の日程は新聞に出ていた。
ちょうど良い頃合いをはかり、フレミング弁護士の玄関にあった有名貴族の名刺に細工をし、面会を取り付けた。
そして、この事件について何か記事になるようなことがあるならば、取り上げて貰うよう約束を取り付けた。
偶然、街中のウィンドウで見かけたポスターにあった船の名前から、アンが拾った紙片にある【Kilmorden Castle】が、南アフリカのケープタウンにある客船であると知る。
亡き父は世界的な考古学者であったが、経済にはうとかった。
父が遺してくれた全財産とキールモーデンキャッスル号の一等客席の切符代が奇遇にも同じだった。
ここからが、アンの真骨頂なのだが、亡き父が遺してくれた全財産(=87ポンド17シリング4ペンス=約9万円あまり)を南アフリカ行きの船の切符に全てつぎ込み、行く当てもお金も無いまま、船に乗り込むことにした。
アンの扱いに困っていた実直で真面目なフレミング弁護士の夫人は、心配しながらも 少しほっとしていた。
こうして、大胆なアンはフレミング夫人から5ポンド札5枚の餞別を頂き、この25ポンドを全所持金として 単身、南アフリカ行きの船に飛び乗った。
(アガサ・クリスティから25に続く)
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2016年03月31日
アガサ・クリスティから(23) (茶色の服を着た男#その2)
(茶色の服を着た男)
登場人物
●アン・ベディングフェルド
世界的な考古学者の娘
●マダム・ナディナ
ロシアの踊り子
●L・B・カートン
地下鉄で死んだ男
●サー・ユースタス・ペドラー
ミル・ハウスの持ち主
下院議員
●ガイ・パジェット
ユースタスの秘書
●ハリー・レイバン
ユースタスの秘書
●ミス・ペティグルー
ユースタスの秘書
●ナズビー卿
[デイリー・パジェット]の社主
●クラレンス・ブレア夫人(スーザン)
社交界の花形
●ジョニー・レイス
ポアロの友人。大佐。陸軍情報部部長
●エドワード・チチェスター
宣教師
●サー・ローレンス・アーズリー
南アフリカの鉱山王
●ジョン・アーズリー
ローレンスの息子
●ハリー・ルーカス
ジョンの親友
●大佐
? 謎の人物。
●茶色の服を着た男
? 謎の人物。
地下鉄で死体の近くにいた人物。
アンは、世界的な考古学者の娘であった。田舎暮らしだったが、父が亡くなり、ロンドンに出ることになった。
仕事が見つかるまでの条件で、弁護士のフレミング夫妻のお世話になっていた。
仕事を探しに出たある日、地下鉄で偶然、事件に遭遇する。
地下鉄のホームの端にいた男が、アンの背後にいた人物に恐怖と驚きにかられて後ずさりしたように見えた。
そしてホームから転落し、感電死してしまったのだ。
男のオーバーコートからは、ナフタリンの匂いが漂っていた。
そして男の死体を確認した医者を名乗る男=茶色の服を着た男が、立ち去る際に落とした紙片をアンが拾う。
紙片はやはりナフタリン臭く、
「17 ・1 22 Kilmorden Castle」
と、暗号のように記してあった。
実はこれがきっかけで、アンは世界的な陰謀の渦に巻き込まれるとも知らずに・・・いた。
(茶色の服を着た男#その3に続く)
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2016年03月30日
アガサ・クリスティから(22) (茶色の服を着た男#その1=プロローグ)
(茶色服を着た男)
#プロローグ#
今回は、”茶色の服を着た男”を 速度を落として、ゆっくりと取り上げようと思う。
アンは世界的な考古学者である父を亡くし、大都会ロンドンに出て来ていた。
ある日のこと、ロンドンの地下鉄で偶然、事件を目撃する。
死体の近くにいた医者らしき茶色の服を着た男から謎の紙片を拾う。
彼女の嫌いなナフタリンの匂いがした。
そのことがきっかけで、アンは世界的な陰謀の渦に巻き込まれて行くことなる・・・。
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今までは、駆け足でアガサ・クリスティの代表作品をピックアップして来た。
特にアガサ・クリスティの推理小説の中でも推理小説として輝いている作品ばかりをピックアップ。
”ABC殺人事件”
”アクロイド殺害事件”
”オリエント急行殺人事件”
”そして誰もいなくなった”
”予告殺人事件”
”ナイル殺人事件”
”ゼロ時間へ”
アガサ・クリスティらしい代表作品=華やかな話題作ばかりを綴って来た。
今回は、少し本道の推理小説から、異色のスパイスリラーに行ってみようと思う。
(本道の推理ものには、また戻る予定ではあるが、)
ギャングのボス、諜報局員の大佐、社交界の花形も暗躍する冒険活劇風スパイ小説を楽しみたいと思う。
余談だが、諜報局大佐として 秘密裡の任命を受け動いているのは、”ナイル殺人事件”でもお馴染みのレイス大佐である。
エルキュール・ポアロの友人であり、イギリス諜報特務機関員である彼は”ひらいたトランプ” ”ナイル殺人事件”などにも登場する。
アガサ・クリスティは意外にも初期の頃、スパイ小説も沢山書いているのだ。
物語は、亡きイギリスの世界的考古学者を父に持つ冒険好きアンの手記と年配者である下院議員サー・ユースタス・ペドラーの日記で、構成されている。
実は最後に犯人が捕まらない、死なない。ということで有名な作品でもある。
アガサ・クリスティの作品中、最後まで犯人が逃げてしまったのは、”なぜエバァンスに頼まなかったか?”とこの作品である。
また他にもいくつか犯人を逃すものもあるが、主体的に逃げのびたのが上記作品である。
探偵が故意に配慮して逃がした→”オリエント急行殺人事件”
自殺→”そして誰もいなくなった”
”ナイル殺人事件” ”アクロイド殺人事件”
事故死→”魔術の殺人”
時効→”5匹の子豚”
過去に亡くなっている→”象は忘れない”
なども犯人が捕まらなかった作品である。
本題の”茶色の服を着た男”を私自身は若い頃に読んだのだが、少々、荒唐無稽であったとしても、胸躍る冒険活劇ロマンが色濃いスパイ小説スリラーであった。
私自身も何度も読んだ作品なのだが、ある読書感想文を読むと、やはり同じように感じ、同じように数回読み返された方もおられたので、本道の推理小説とはまた別の面白味、楽しみがある作品に間違いない。
また若い頃、荒唐無稽に感じたままフィクションとして楽しんでいたスパイ小説が、年齢を重ねて世界情勢を知るにつけ、荒唐無稽でもなんでもなく、ノンフィクション=あり得るのだと痛感することが多い。
(むしろ、現在はもっと内容も進化して凄いんだろうなぁ⁈と思えてくるから不思議である。
スパイ衛星から割り出せる時代。
ともかく事実は小説より奇なり。きっと現実は小説よりもより進んでいる。と私自身は感じている。)
”茶色の服を着た男”に登場する謎の大佐とは?!
世界各地の紛争地にいる者たちに影から武器を供給し、扇動し、自分達の利益の為、紛争を操っている。
因みに武器供給の為の隠語はじゃがいも等の野菜になっている。
若い頃は荒唐無稽な冒険活劇風に読んでいた。フィクションを楽しんだものだが、今となれば、ほとんどノンフィクションに近いのだと感じるのである。
プロローグはこれ位にして、次回は人物紹介から入ろうと思う。
(アガサ・クリスティから23に続く)
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