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2016年04月04日

アガサ・クリスティから(28) (茶色の服を来た男#その7)


(茶色の服を来た男#その7)

いよいよと言うか、アンの勘が当たったと言うべきか、地下鉄の事件時に拾った紙片通りに また大きく事件が動いたのだ。

アンは包丁で刺された男をまず除いた後、怪しそうな人物として3人を考えた。

包丁で刺された男は、ふてぶてしいながらも犯人側に刺されたのであった。また、アンは気づかぬうちに何故か、彼に少し惹かれたのも事実だった。

怪しそうな3人。
目を離す訳にいかない。

1人は、殺人があったミル・ハウス所有者であるサー・ユーステス・ペドラー。

もう1人は、そのサー・ユーステス・ペドラーの秘書。
その不吉な顔と、他に良い部屋があるのに17号室の部屋を譲ろうとしなかったこと。
彼なら、サー・ユーステス・ペドラーをこの船に乗るよう、何らかの方法で上手く操ることも可能かも?知れない。
サー・ユーステス・ペドラーがカンヌに避寒していた時、このパジェットが本当は何処にいたのか?確かめる必要があった。

最後にエドワード・チチェスター牧師。
やはり17号室にこだわっていたこと。
どうもアンが知る牧師とは違い、胡散臭さ。
偽牧師にも思えてくるのだった。

一方で、レイス大佐は諜報機関の者ではないか?と噂されていた。

南アフリカまで、あと一週間という時に レイス大佐から意外な話を聞く。

戦争の直前に 南アフリカで起きたダイヤモンド盗難事件であった。

ジョン・アーズリーと友人のハリー・ルーカスが、南米でかなり大きなダイヤモンドの原石を見つけた。

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鑑定の為、キンバリーを訪れた所、ちょうど、その頃、ダイヤモンドの盗難事件があった。

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その嫌疑を掛けられたジョンは、逮捕される。
彼は実は、鉱山王サー・ローレンス・アーズリーの息子であった。
鉱山王サー・ローレンス・アーズリーは、息子ジョンの為にダイヤモンドと同等額を支払った。

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結局、盗まれたダイヤモンドの行方も分からぬまま、ジョンは釈放された。

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その後、ジョンは軍隊に志願し、戦場で戦死し、帰って来ることはなかった。

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そして失意の鉱山王サー・ローレンス・アーズリーは遺言も残さないまま、3度目の卒中で亡くなってしまった。

最も近しい血縁者にあたるレイス大佐がその莫大な遺産を引き継いだという。

その話の際、入口に立っていた顔に傷のある男が幽霊でも見たかのように真っ青になった。

アンはすかさず、サー・ユーステス・ペドラーに問いただした。

サー・ユーステス・ペドラーから 彼は、乗船する直前に新しく雇った秘書ハリー・レイバンである。と聞いた。

(アガサ・クリスティ29に続く)

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