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2017年12月18日

ミス・マープルと十三の謎*聖ペテロの指の跡【6】

ミス・マープルと十三の謎*聖ペテロの指の跡【6】





夫が不審死する前に大喧嘩をし、毒薬の砒素を手に入れていたメイベル・・・。




街中の不穏な噂は致し方ない状況だった。





「お医者さんはどなたなの?」
ミス・マープルは聞いた。



**********




「ローリンソン先生ですわ。」




ミス・マープルはそのお医者さんを知っていた。前にメイベルが街中で指さして、医者の名を教えてくれたからだった。
とても印象的で・・・つまり、よぼよぼのおじいさんだった。



そして彼女は経験から、医者も人の子で時にはその診断を間違うこともあるのだと思った。



すぐにミス・マープルは帽子をかぶって、ローリンソン医師を訪ねた。



ローリンソン医師はミス・マープルが考えていた通りの人だった・・・いいおじいさんで、親切でぼんやりした、かわいそうなほど近眼で、耳が遠く、ちょっとのことで気を悪くするような人だった。




ミス・マープルはメイベルの亡くなった夫の様子を医師に聞いた。
彼は毒キノコや食用キノコや、ともかくきのこについて長々ともったいぶって、話し始めた。
料理女にも訪ねたらしい。その夜の料理に使ったきのこに一つ二つ(ちょっとおかしい)のがあったらしい。しかし店から届けられたものだから大丈夫と思い、料理したらしい。
それから料理女はあのきのこはおかしいきのこに思われてくるとの事だった。





ミス・マープルは言った。

「そう思うでしょうね、人間の記憶はマッシュルームそっくりだったと言っておきながら、状況に応じて、後になって紫色のオレンジの斑点があったなんて言い出しかねない、その気になれば根も葉もないことを思い出したりするのですわ。」




ともかく、ミス・マープルからすれば、医師もその場に居たお手伝いも料理女も不確定な要素ばかりにしか思えなかったのである。




確かに人間の記憶は誰であっても完璧はなく、不確実なところも多々あった。





(次号に続く)






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