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2016年10月23日

アガサ・クリスティから (71) (ミス・マープルと十三の謎*序章)








(ミス・マープルと十三の謎*序章)






ミス・マープルの家に集まった人達。





甥の作家、女流画家、元ロンドン警視庁の警視総監、教区の牧師、弁護士。





ひょんな話の流れから、自分だけが結末を知っている怪事件の話をして、皆それぞれの解決を推理しあおうではないかということになった。





◎作家レイモンドは、物書きは創造力豊かで、人間性を洞察する力があると・・・普通の人が見逃してしまうような動機もつかめそうだと言う。


◎画家ジョイスは、自身が女性で画家でもあり、本当に様々な種類、様々な境遇の人々のあいだを放浪して来た中で、磨き上げた直観があると言う。(村から出たことがない老婦人ミス・マープルには思いもつかないような人生を知っているとも。)


◎元ロンドン警視庁の警視総監クリザリング卿は、自身の畑の話はしないことにしている。と控えめに言った。
捜査係の想像力が豊かな方が良いという意見については、素人考えであると言う。


◎牧師のペンダー博士は、本の表紙だけ見ていたら中身は分からないが、そんな風に表面だけでは、決してわからない人間の性格の一面を(いろいろきかされる牧師だけに)知っているのだと言う。


◎弁護士ペザリックは、想像することは危険であって、証拠物件をふるいにかけようとするには、事実を集め、そしてその事実を、事実としてながめる能力・・・真相をつかもうとするには、これが唯一の論理的方法だと言う。






画家ジョイスが、言った。

「そうすると、わたしたちはちょっとした各方面の代表者の集まりのようですわね。
どうでしょう、クラブをつくったら?
今日は何曜だったかしら?
火曜、ね、火曜クラブとすればいいわ。
毎週集まって、順番にひとりずつ問題を出してゆくの。
自分だけが知っている、もちろん、その結末も知っているある事件をね。
えーと、私たち何人かしら?
ひとり、ふたり、三人、四人、五人。
本当は六人いなくっちゃねえ。」






「わたしをお忘れになっていますよ、あなた。」
ミス・マープルは明るく笑った。





画家のジョイスは面食らったが、すぐに歓迎の意を表した。





「ほんとうに面白そうだと思いましたの。」と、ミス・マープル。
「とくにこんなに頭の切れる紳士がたがいらっしゃるんですものね。
私自身は少しも利口じゃありませんけど、何年もこのセント・メリー・ミード村に住んでいますと人間というものがよくわかるようになるものですよ。」





「あなたのご協力は貴重なものになりますよ、きっと。」ヘンリー卿は丁重に言った。





この時点では、この白髪で桜色の頬をした、色白の優しそうで品の良い老婦人ミス・マープルが、事件をどんどん読み解いていくとは、誰も思わなかったのである。

広く世の中を見て来たわけでもなく、ただ小さな村にずっといて、年老いて、口元に穏やかな微笑みを浮かべて、ひざの上に置いた毛糸を編んでいるだけの善良な老婦人・・・。


「とても人のいい、でも、てんで時代遅れの方」のはずのミス・マープルが、たまたま、その場に居たことで、この火曜クラブに参加することになった。



メンバー一同は、紳士的かつ寛容に受け入れたのだが、最初は、彼女の存在は、各方面で活躍している人たちの集まりであるこの【推理クラブ】からすれば、論外だったのである。
小さな村からほとんど出たことがない、ただ人が良い老婦人なだけで。




(次号に続く)



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2016年10月02日

アガサ・クリスティから (70) (作者アガサ・クリスティ自身のミステリー*失跡事件その14)







(作者アガサ・クリスティ自身のミステリー*失跡事件その14)





・・・・・不思議な失踪事件は、大きな関心を集めたまま、11日後、あっけなく事件は幕切れになる。
謎を残したまま・・・アガサ・クリスティは生涯、この件について言及することはなかった・・・。





アガサ・クリスティ名義の推理ミステリー小説長編は計66作品ある。
(他作品:アガサ・クリスティ名義の短編、戯曲、詩集、エッセイ、他の作家とのリレー小説など。時にアガサ・クリスティ―・マローワン名義の「ベツレヘムの星」やエッセイ、メアリ・ウェストマコット名義の愛の小説シリーズなど、有り。)





失踪事件の後から、生涯を通じて、アガサ・クリスティはこの事件について口を閉ざしてしまった。




その膨大な作品群の中(長編)に、もしかしたら・・・ではあるが、このアガサ・クリスティの謎の失踪事件の影が一部ににじみ出ているとしたら?・・・という仮定のもとに、いくつか取り上げてみたいと思う。





〜〜〜〜〜





◎ひとつは、前述したように【予告殺人】に何らかの痕跡めいたものを感じたのである。





実際の事件にあった新聞広告・・・当時、夫の愛人姓を偽名で使用し、失踪していたアガサ。
アガサ若しくはそれに近い人しか知り得ない(テレサ・ニール)という名の女性を探すような新聞広告。
この短い時期に、アガサ・クリスティが愛人姓を偽名で使用、かつ失踪したまま、まだ手掛かりがない状況下で出された新聞広告。



【最近、アフリカから戻ったテレサ・ニールの所在を知っている方はご一報を。EC4タイムズ社私書箱R702】という奇妙な広告がタイムズ紙に掲載されていた。



誰も知り得ようないアガサの偽名、しかもアガサ失踪時の短い時期に出された広告・・・。



誰が、テレサ・ニールという架空の名前を知り、何のために広告を出したのか?



彼女が自ら出てくるのではなく、彼女を探させようとしたのだろうか?



何のために?



記憶喪失ならば、随分とまた謎が増えたとしか言いようがない。




一方、フィクションである【予告殺人】では、やはり新聞広告が出され、この新聞広告を目くらましに使っているのだ。
また作中でも名前のすり替え=誰かと誰かが入れ替わっていたり、偽名を使い遺産相続現場に潜伏していることもあった。


【予告殺人】作中の新聞広告・・・・・・・・アガサ失踪当時の新聞広告。
【予告殺人】作中の偽名や入れ替わったり・・・アガサ失踪当時、夫の愛人姓を偽名で使用した件。


うがった見方かも知れないが、少し現実の失踪事件の一部、影がにじみ出たかのような・・・気がしないでもない。





〜〜〜〜〜





●今回、取り上げようと思うのは、やはりアガサの長編の中からいくつ抜粋してなのだが、アリバイ工作やトリックに関してではない。



アガサ・クリスティが描く推理ミステリー小説の中にある人間ドラマ・・・特に男女関係・・・その中でも特に三角関係について取り上げてみたいと思う。




******




現実のアガサ・クリスティ・・・・・失踪当時のアガサ・クリスティはある深刻な家庭問題を抱えていた。



夫アーチボルト・クリスティは、いつしかゴルフクラブで知り合ったナンシー・ニールという若い女性と愛人関係に陥ってしまっていた。
それだけでも屈辱的だったに違いないが、なお悪いことに、ついに夫はアガサ・クリスティと別れ、彼女と一緒になると言い出したという。



アガサ・クリスティの苦悩は計り知れない。
その年は、仕事では【アクロイド殺害事件】でフェアか?アンフェアか?の大論争があり、最愛の母も亡くしていた。
そして支えてくれべき夫は、他の女性と浮気どころか、結婚するとまで言い出したのである。



大きな夫婦喧嘩はもちろんのこと、今後についての話し合い・・・子供=娘がなんとか夫婦をつなぎとめてはいたが、限界に近かった。



そんなアガサはストレスで眠れない深刻な神経衰弱状態だったと言われている。



失踪事件はそれが、引き金になったのだと・・・。



現実のアガサ・クリスティは、夫、夫の愛人ナンシー・ニールとのはざまで、もがき苦しんだのである。
(結果は失踪事件後、しばらくしてアガサは夫と離婚、そして夫はナンシー・ニールと再婚する。またアガサは後年、考古学者と再婚するのだが。)



******



アガサ・クリスティの作品を読んでいると、初期の【茶色の服を着た男】にあった男性像は、その後はなかったように思う。
いわゆる格好の良い、心身とも魅力的な男性。
主人公アンは、怖いもの知らずで冒険をし、無邪気な恋愛も出来たのだ。
そしてハッピーエンド。
ある意味、ハラハラ・ドキドキはするが、冒険活劇風爽快ロマンであった。



1926年にアガサ・クリスティの失踪事件はあったのだが、【茶色の服を着た男】はその2年前1924年の出版である。
作品には、まだ、事件の影は感じられない。




今回取り上げる作品は、既にこのブログでも取り上げたものや、まだのものがあるのだが、いずれもその三角関係に着目してみたいと思う。




***



◎【ナイルに死す】1937年刊行


若く美しい大富豪:リネット・リッジウェイ
リネットの友人で落ちぶれ貴族の娘:ジャクリーン・ド・ベルフォール
ジャクリーンの婚約者:サイモン・ドイル


友人ジャクリーンの婚約者サイモン・ドイルを奪い、結婚してしまうリネット。
二人の新婚旅行にあきらめきれないジャクリーンはつきまう。

若さ・美貌・賢さ・莫大な財産・愛するサイモンとの結婚など、全てを持っているリネットの周りは、実は敵だらけでもあった。
愛の勝者も含め、人生のすべての面においての条件は勝者であったリネット。
しかし、リネットは一度もジャクリーンに勝つことが出来ないものがあったのだ。・・・・・ジャクリーンのサイモン・ドイルに対する愛の深さとでも言うべきか・・・・・。

結末は、愛について勝者も敗者もないのだと・・・・・思いの深さ・・・・・。善悪を別として・・・。



***



◎【5匹の子豚】1943年刊行


有名な画家:アミアス・クレイル
アミアスの夫人:カロリン
アミアスの絵画のモデルで若く美しい愛人:エルサー・グリヤー


夫殺しで獄中死したカロリンの無実を訴える手紙を読んだ娘が、自身の結婚前に真実を知りたいとポアロを訪ねてくる。



上記の三角関係は、当時、3人に接した人や周辺の人たちから見ると、完全に若く美しいエルサーの愛の勝利だったのである。
どこにも疑う余地なく、二人は愛し合っていて、だからこそカロリンが殺害したのだと思われた。
それは当事者3人の間でも周知の事実であったはずだった・・・・・。




マザー・グース童謡をモチーフにポアロは探しようのないように思われる過去を、依頼した娘の為に解きほぐしていく。



真相とは・・・・・ここではネタバレではない、3人の間柄とは・・・・・画家アミアスが、若く美しいエルサーに強く惹かれ、愛し合ったのは本当だった。
しかしアミアスは画家としての仕事を終えると急速に彼女への興味を失ってしまったのである。
妻カロリンは、芸術家肌のアミアスのいつもの癖を知っていた。
彼女は恋敵であるエルサ―を逆に気の毒に思い、夫アミアスを攻めてもいる。
しかし彼女は、夫アミアスが、妻である彼女の元に帰ってくることは知っていたのである。
夫アミアスも妻カロリンも、このことを愛人エルサーは知らないはずだと思っていた。
偶然にも夫婦の会話を漏れ聞いたエルサーの衝撃。
彼女は若く美しく、絶対的な自信に満ち溢れ、これまで挫折を知らなかった。
愛していたアミアスを亡くした後、エルサーは若くして、心が死んでしまったように生きていた・・・。



***



◎【ゼロ時間へ】1944年刊行


テニスを始めスポーツ万能の魅力的な男性:ネヴィル・ストレンジ
若く美しいネヴィルの2番目の妻:ケイ
不思議な感じを持つ最初の妻:オードリイ



この一堂に会しては気まずい3人が、ネヴィルの後見人であり、お金持ちのカミラ・トレリシアン夫人のところで休暇を一緒に過ごすことになる。
そして事件に巻き込まれていくのだが・・・。



ネタばれは避けたいので、この三角関係しか書けないが、若くて美しいケイの目を曇らせるもの・・・最初の妻である大人しい、決して美人とは言えないが、不思議な魅力あるオードリィだった。
しかしケイは現在、人気を誇るオールマイティかつ富豪でもあるネヴィルの妻であり、自身も若く美しい勝者であるにも関わらずである。
実際、ネヴィルの本当の意識はオードリィにあるとどこかで感じていたのであろう・・・・・そんな結末であった。



***



(上記にあげた3作品は、ほんの一例で、また他作品については後述予定。)




この3作品は、ストーリーもアリバイ工作もトリックも全く異なるアガサ・クリスティの長編推理小説なのだが、事件の核になる三角関係にある共通点があるように思う。



●元々は夫と妻、婚約者同士のごく幸せなカップルである。

●そこに若く・美しく輝く女性が現れ、パートナーの男性を奪われるのである。
婚約者・妻とは別れて、美しい若い女性と一緒に。
結婚あるいは、そうなるであろう途中である。
周りも、若く美しい自信に満ち溢れている女性が、愛を勝ち得たものだと信じてもいる。
(道徳的にではなく、事実として、男性が、目の前にいるさえない婚約者や妻よりも、若く美しい魅力あふれる女性を選んでしまったのだと思っているのだ。)

●アガサ・クリスティは作中、またはラストに男女の仲がそんなに単純に出来ていないことを描いている。
彼女の描いた3作品は、若く美しく輝く女性が本当の勝者ではなく、ぱっとさえない、愛人に寝取られてしまった、周りが新しい人と比べて敗者に思う元妻や元婚約者の方に愛の軍配を挙げているのだった。



実際・・・・・どうなのであろう?


現実は、ケースバイケースだろうとは思いながらも。


アガサが思う愛の深淵の表現なのか、はたまたアガサ・クリスティの元の妻や婚約者が愛に勝つという深い願望的な結末なのか・・・。


彼女が別名義で書いた愛のシリーズ小説にも、愛についての苦悩が描かれているという・・・。


アガサ自身は、生涯語ることがなかった失踪事件だったが、彼女に深い影響を与えたには違いなかった。


彼女の作品には、再婚相手の考古学者にも影響を受けた作品が沢山ある。(後述予定)
上記の【ナイルに死す】もエジプトの遺跡が描かれている。
風光明媚なエジプトが背景にある。



少なくともアガサ・クリスティにとって、2人の夫から、有形無形問わず、色々な影響を受けていたのは違いない。



愛の三角形・・・・・アガサの失踪事件も上記3作品も男性の二股が原因なので、その男性が腹ただしいだけなのだが・・・・・この悩ましいトライアングルの男性は、実の主役ではない。
彼らは、脇役に過ぎないのだ。
本当には愛の勝者も敗者もないのだが、愛の主役は間違いなく、女性側にあるような気がしたのだった・・・・・。
アガサ・クリスティの失踪事件や彼女の作品を通してみると、確かにそんな気がしたのだった。


アガサ・クリスティ読書はまだまだ続きます。



(次号に続く)



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