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2016年04月01日

アガサ・クリスティから(24) (茶色の服を着た男#その3)


(茶色の服を着た男#その3)

アンは現場にいたということで、検死裁判に出る。
地下鉄で亡くなった男は、L・B・カートンと判明しただけだった。

地下鉄で奇妙な事件に巻き込まれたアンは、検死裁判の翌朝の新聞で やっと事件について少し知ることが出来た。

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1.亡くなった男のポケットから、マロウのミル・ハウスの紹介状が出てきたこと、その家の持ち主は下院議員サー・ユースタス・ペドラーであること。この家は家具付きで貸し出すことになっていた。
持ち主のサー・ユーステス・ペドラーは、目下リヴィエラに避寒中で留守である。

2.その家の2階のある部屋で、外国人らしき若く美貌の女性が絞殺死体で発見されたこと。

3.茶色の服を着た男もまたその家を見に来ていたこと。

以上を知った。




アンは、家を探すふりをして ミル・ハウスをあたってみたりもした。

そして独自の見解を伝えようと、ロンドン警視庁にも赴くが、ちゃんと話を聞いてさえ貰えなかった。
アンは怒りに任せて、他紙やデイリー・パジェット紙の社主であるナスビー卿に逢おうと考えた。

大物であるデイリー・バジェット紙の社主ナスビー卿の日程は新聞に出ていた。

ちょうど良い頃合いをはかり、フレミング弁護士の玄関にあった有名貴族の名刺に細工をし、面会を取り付けた。
そして、この事件について何か記事になるようなことがあるならば、取り上げて貰うよう約束を取り付けた。




偶然、街中のウィンドウで見かけたポスターにあった船の名前から、アンが拾った紙片にある【Kilmorden Castle】が、南アフリカのケープタウンにある客船であると知る。

image.jpeg

亡き父は世界的な考古学者であったが、経済にはうとかった。
父が遺してくれた全財産とキールモーデンキャッスル号の一等客席の切符代が奇遇にも同じだった。

ここからが、アンの真骨頂なのだが、亡き父が遺してくれた全財産(=87ポンド17シリング4ペンス=約9万円あまり)を南アフリカ行きの船の切符に全てつぎ込み、行く当てもお金も無いまま、船に乗り込むことにした。

image.gif

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アンの扱いに困っていた実直で真面目なフレミング弁護士の夫人は、心配しながらも 少しほっとしていた。

こうして、大胆なアンはフレミング夫人から5ポンド札5枚の餞別を頂き、この25ポンドを全所持金として 単身、南アフリカ行きの船に飛び乗った。

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(アガサ・クリスティから25に続く)



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