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2016年04月01日

アガサ・クリスティから(25) (茶色の服を着た男#その4)


(茶色の服を着た男#no.4)

アンは大胆かつ活発な女性だった。

考古学者の父が財産もあまり残さないまま亡くなった時、村の牧師も心配して職業を見つけてくれたり、村の医師から突然のプロポーズを受けたりもしたが、全て断った。

まだまだ保身のみで生きる気など、全くなかったのだ。

今まで本の中だけで、憧れていた冒険がしたかったのだ。
ただ冒険といっても漠然とした憧れだけで、具体的なものは何もなかった。

アンが みよりも財産もないのを知ったフレミング弁護士は、仕事が見つかるまでの条件で ロンドン自宅に引き取ってくれることになった。
村から出たかったアンは、ロンドンに出ることが楽しみだった。

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フレミング夫婦は、アンに事務員などの適切な仕事が見つかることを望んでいた。

アンもまた未来を望んでいたが、彼女の思う適切な仕事は、フレミング夫婦の思う適切な仕事とは大きな隔たりがあるような気がしていた。

ついに あの日を迎える。

地下鉄でアンの背後にいた誰かにおびえた男が、地下鉄に落ち感電死したのだ。

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アンは、近くにいた医師を名乗る茶色の服を着た男が落としたナフタリンの匂いが付いた紙片を拾った。
【17・1 22 Kilmorden Castle】と記されていた。

検死裁判。
警察に独自の推理相談も相手されず、怒りに任せて、デイリー・バジェット紙の社主に面談。

偶然、街中のウィンドウのポスターから、拾った紙片に記されていたキールモーデン・キャッスル=南アフリカ行きの船を遂に見つける。

父が遺した全財産でキールモーデン・キャッスル号の切符を買い、単身乗り込んだ。

##########################

(以下、茶色の服を着た男#no.3の続きである)

父が遺してくれた なけなしの財産を迷いもなく 全部投げ出して 単身乗り込んだキールモーデン・キャッスル号。

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本書は、ここからは下院議員であるサー・ユーステス・パドラーの日記になっている。

下院議員で忙しい男であった。
どこかユーモラスな性質があるサー・ユーステス・パドラーが、真面目過ぎる秘書に困っていたり、彼の日常が書かれている日記である。

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ある朝、持ち家で貸しに出そうとしているマーロウのミル・ハウスで外国人らしい若い女性が殺されたと、休暇明けの秘書に報告を受ける。

サー・ユーステス・パドラー本人は困っていた。

選挙区での話であり、有権者に誤解され兼ねない。

またミル・ハウスの腕の良い料理人が、このことで逃げ出さないか心配でお給料を倍にして引き止めたり、大変であった。と日記に記している。

また日記の続きには、その1日後には政府関係者から重要な秘密書類を南アフリカに運んで欲しい。と頼まれた。ともある。

翌日には、ある男の面会があり、大変な状況下にあるので、秘書として同行するという。
サー・ユーステス・ペドラーは、秘書として連れて行った方が何かと都合が良いだろうと思ったが、せっかく海外で自由になると思った矢先で、何か自分が深みにはまったような気がしていた。

男は、ハリー・レイバンと名乗った。

ここまでをサー・ユーステス・ペドラーの日記は綴っていた。




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(ふたたびアンの話)
女丈夫であるはずのヒロインが、船酔いに悩むなんていうのは、まことに意気地のないことだ。

小説のヒロインなら、皆が船酔いしていても自分だけは甲板に出て嵐に立ち向かい、嵐を楽しんでいた。

しかしアンは、キールモーデンが最初に揺れた時点で真っ青になった。

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それから3日間は船室でうなっていた。
捜査のことも忘れ、もはやミステリーを解こうなどという興味もなくなってしまっていた。

4日目になり女給仕に勧められて、よちよちした足取りで看板に上がった。

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事務長が来て、どんな人も二、三日経つと具合が良くなる。と慰めたが、信じられずデッキチェアでぐったりしていた。

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その時、甲板で 船全体が彼女のもののような魅力を振りまく1人の女性が、アンの目に留まった。

中背。
綺麗なブロンド。
えくぼのある丸顔。
くっきりしたブルーの目。
シンプルだが、パリ仕立てらしい衣装。
30歳くらいの何をしても美しく魅力的な女性。

アンは、もし元気になれたら話してみたいと思った。

聞くところによると、有名な社交界の花形、クレアレンス・ブレイア夫人らしい。

幾人かの人がお近づきになろうとしていた中、強くて黙っている男が騎士のように彼女の横にいた。

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翌朝、意外なことに彼女から声を掛けてくれたのである。
一緒にいたのはレイス大佐だった。
「今朝はご気分およろしいの?」

あまりの具合の悪さが、目を引いたらしかった。

彼女いわく、マディラで大勢のお客が下船し、どっさり部屋が空くから 上の方の良い部屋に替えて貰うべきだということだった。
彼女も最初の部屋が、気に入らず美しい船室に替えて貰ったらしい。

テフリナ火山が見えて来た。

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船が揺れた時、ブレイア夫人は美しい火山を撮る為の新しいフィルムを落とした。

アンは、事務長と食事するテーブルが同じだったので、ブレイア夫人のいう通り、上の船室と替えて貰った。

アンのテーブルには、事務長と牧師と年配の夫人が2人。

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見渡すと、ブレイア夫人の横には船長、レイス大佐、そして初めて見た人達。

長身。髪が黒い。
妙に不吉な感じのする容貌。
血色悪く、いかにも陰険そうな、重そうな瞼をした目、妙に平べったい格好の頭。
サー・ユーステス・ペドラーの秘書であったと判明した。

サー・ユーステス・ペドラー、威張り腐ったじじいだ。と事務長は表現した。

あの殺人があったミル・ハウスの家主。
あのサー・ユーステス・ペドラーが、これは偶然の一致なのだろうか?
このキールモーデン・キャッスル号に乗っていたのだ。

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(アガサ・クリスティ26に続く)



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