経営者のための商工会・商工会議所150%トコトン活用術 (DOBOOKS)(Amazon)
商工会議所・商工会ーー。誰しも名前を聞いたことはあるが、何をしているか知らない人が多いのではないでしょうか。
経営者の親睦団体みたいなもの?
入会すると何かいいことがあるの?
日商簿記の資格試験は関係ある?
そもそも、商工会議所と商工会は違うの?
加えて、とくに若い起業家であれば、こういった「おじさん」のにおいがする集団とのつながりは避けたがる人が多いのかもしれません。なんか役所っぽいし、めんどくさそうだし。
しかし、会社経営者、あるいは個人事業主・フリーランスでも、商工会議所・商工会の存在は知っておいたほうが良いかもしれません。これが意外と(?)使えそう。そのことを知るためにおすすめするのが、商工会議所、および商工会で利用できるサービスを網羅的に解説する『経営者のための商工会・商工会議所150%トコトン活用術』(大田 一喜 著、同文舘出版)。
本書で紹介される商工会議所・商工会のサービスは多岐にわたる。中心となるのは、広範な経営相談。創業、資金繰り・融資、会計税務、労務、法務、許認可、助成金など、経営上の諸問題に相談員が対応、専門家の派遣もしてくれます。また、経営者の退職金のための共済、PL法や情報漏洩に関する保険も運営している。そして親睦団体としての会員同士の交流(いわゆる「人脈」づくり)、ビジネスマッチングもおおきなメリットといえます。
なんとなくつきまとう「役所っぽさ」の要因は、法的に定められ、経済産業省所轄の団体であることだと思われますが、それはまたメリットでもあります。役所に近いので産業政策や税制の変化をキャッチでき、助成金や政府系金融機関の融資などの窓口として、制度上組み込まれている場合もあります。年会費も1万円台から。活用すれば費用対効果は高そうです。
それにしても、商工会議所・商工会についての情報を客観的に、ここまで網羅的に取り上げた実用書は少ない。しいて類書として挙げられるのは「小さな会社のつくり方」みたいな、創業ノウハウ本ではないでしょうか。というのも、商工会・商工会議所の事業は、創業準備から、会社運営、M&Aや事業承継、廃業まで、経営一般で起こる問題をまんべんなくカヴァーしているので、同会の業務を挙げていくだけで、そのまま中小企業を営んでいくためのいろはが学べてしまいます。
本書は、商工会議所・商工会に興味がある人だけではなく、起業を検討する方、新規事業を検討する会社、徒手空拳の経営に限界を感じている経営者等々が、中小事業の経営のポイント・課題をチェックリストのように総ざらいし、見つめなおすためにもつかえそうです。そのうえで、諸課題を解決するために、両会の入会にメリットがあるのか検討してみてはいかがでしょうか。
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