死後、故人が遺した電子データを指す「デジタル遺品」という言葉をご存じですか?。
新しい概念ではあるのですが、この言葉、なんとなく心をざわざわさせるものがあるのでは。
PC、スマホを使うものなら誰しも、ハードディスクに入っている個人情報など私的なデータ、日記的なつれづれ、また心に浮かぶよしなしごとを書き付けたSNSアカウント等々について「もし自分が死んだら」と、そこはかとない不安をもつものがあると思います(このブログはどうなるだろう?)。
じつは遺された家族らも一苦労。故人のネット上でどのような行動をしていたかは把握できず、何が残っているかわからない。
放置して問題のないものならよいが、本人や家族の名誉におおいに問題のある情報がネットの海に永くたゆたい、消去することができなくなることも考えられるのです。
そして、金銭的価値のあるものは文字通りの「遺産」。
最近は、紙の通帳のないネット銀行のアカウントも増え、ネット証券やFXのアカウント内の資産、ビットコインをはじめとした仮装通貨もあります
これらは法的には当然相続されることになりますが、制度的にも技術的にも、デジタル遺産をどう見つけ、遺族が引き継ぐのか、整備されていない現状があります
そこで紹介したい一冊が
『デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた―身内が亡くなったときのスマホ・パソコン・SNS・ネット証券・暗号資産等への対応や、デジタル終活がわかる本』(技術評論社)
本書はそのデジタル遺品対策の実用書。
著者は、葬儀業界の経験もあるフリーの雑誌記者古田雄介氏。相続、終活などに強い弁護士(日本デジタル終活協会代表理事)、伊勢田 篤史氏との共著です
本書ではデジタル遺品の対象物ごとに「探しかた」「しまいかた(処理のしかた)」「残し方」を解説。関連する法律を弁護士が補足していく構成
デバイス内に格納されたデータ、クラウド上のデータ、そして故人が登録した各種WEBサービスのアカウント等、デジタル遺品となりうるものをできるかぎり挙げて、相続対策を考えていきます。
SNSについても、フェイスブックの「追悼アカウント」をはじめ、Twitter、インスタグラムなど死者のアカウントに関する各社の扱いを解説。クラウドソーシング、アフィリエイトサイトの報酬の扱いにも言及する。
巻末にはチェックリストも掲載してあり便利です。
本書を読んで思うことは、当人がなくなってから遺族が行うことには限界もあり、最も大切なのは生前対策であること。
デジタル遺産のリスト作り、フォルダのアクセス権の設定等、死後に遺すもの、託すもの、放置するもの、隠すものなどに整理するための方法には目からうろこの連続です。
デジタル機器を持つ高齢者は今後確実に増えていくでしょう。デジタル遺品は量的にこれから爆発に増えるのは確実であり、また新しい技術が次々生まれる分野だけに、
各界の専門家による議論が煮詰まり、さらにどんどん知識を更新していく必要はありそう。
ということで私が死んだらこのデータは、というざわざわは、本書を読んでも、そう簡単に止むことないのですが、問題の所在を教えてくれ、対策の道筋を見極めるのに有益な一冊となっています
ぜひご一読を
アマゾンで購入
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image