このほど、今年の秋サケの漁獲量のデータが出そろい、全国で記録的な不漁であることがわかりました。
最大の産地である北海道では、前年比3割減
そして、青森や岩手、宮城など東北は実に8〜9割減となっています。
価格高騰はもちろん、以降の放流のための人工孵化用の卵を確保できない事態も考えられ深刻です。
近年、北海道ではサケの漁獲高が下がっています
この要因については諸説ありますが、有力な説がは海水温の上昇です
サケ学の世界的権威。北海道大学の帰山雅秀・北海道大学特任教授らの研究では、2010年以降、知床北部沖で夏の海水温が上昇していることが最も大きな影響とのこと
北海道の河川で生まれたシロザケは、降海し、オホーツク海沖に移動。オホーツク海を北上するのは、7月頃です。
サケは、海に出ることで大きく成長します。つまりオホーツク海が、鮭の成長において極めて重要な場所。そして太平洋北西部などを回り、3、4年ほどで河川にもどり産卵に入ります
研究によると、幼サケが生きるために適した水温は8〜12度だそうですが、その温度にある水域が、2010年代に入ると、知床半島から、270キロほど北にシフトしているとのことです
つまり、鮭は海に出た瞬間に行き場を失い、沿岸部で足止めを食い、満足に成長できないまま生を終えてしまうことが多くなってしまいます。
むろん、成長できなければ川にも帰っては来ないでしょう
それが、いわゆる「秋サケ」の漁獲にも影響している、というわけです
東北など北海道以外の河川で生まれるシロザケは、オホーツク海沖合に移動して育つものが多いことから、同じような現象が起こっていると考えられます
環境変化によりオホーツク海の水温が上がったことが不漁の要因であれば、現在日本全体で叫ばれる鮭の不漁は、なかなか解決するのが難しいのでしょうか
それは何ともわかりませんが、日本の鮭文化が、絶妙のバランスの上に成り立っていたことに驚き、畏敬の念を禁じえません
それとともに、今後も日本の大切な鮭文化が未来永劫続いてくれることを願うばかりです
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