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2023年08月17日

令和5年択一予想問題

第3問 遺言に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
   
ア 被相続人が、生前、その所有する不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その旨の登記が未了の間に、他の推定相続人に当該不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始があった場合、当該贈与と遺贈による物権変動の優劣は、登記の具備の有無によって決まる。
イ 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることもできる。
ウ 受遺者は、遺言者の死亡前であっても、遺贈の放棄をすることができる。
エ 秘密証書による遺言について、その方式に欠けるものがある場合には、当該遺言は、自筆証書による遺言の方式を具備しているときであっても、自筆証書による遺言として有効とはならない。
オ 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が特別の方式によってした遺言は、法定の期間内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
   
   1 アエ  2 アオ  3 イウ  4 イエ  5 ウオ

第3問 正解 2
ア 正しい。被相続人から同じ不動産について生前贈与を受けた者と、特定遺贈(財産を指定して行う遺贈をいう。)を受けた者は、登記未了の間に相続が開始したときは、物権変動の優劣は登記の具備によって決まる(最判昭和46.11.16)。
イ 誤り。遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない(共同遺言の禁止、民法975条、)。
ウ 誤り。受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる(遺贈の放棄、民法986条1項)。死亡前には、遺贈の放棄はできない。
エ 誤り。秘密証書による遺言は、民法970条(秘密証書遺言)に定める方式に欠けるものがあっても、第968条(自筆証書遺言)に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する(民法971条)。
オ 正しい。疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人3人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる(民法976条1項前段)。この遺言は、遺言の日から20日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない(同4項)。

 以上により、アオが正しく、2が正解。
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