周囲から付き合っていると思われるほどまでに。
彼からすれば、一心同体。
半身にも等しい存在であるホタルは、数日後に大きな手術が必要な程の入院を目前に控えていた。
弱音を吐くホタル。
セナツは、そんな彼女に問いかける。
「どうすれば不安を取り除けるかな」
ホタルは
「夏に雪が降るくらいの奇跡を見たら、元気、出るかも」
と冗談めかして答えた。
これは、そんな彼らと、亡霊の少女ヒジリの物語。
「Movie_club」「写真部の幽霊部員」作者の新作ですかね
立ち絵素材がコミPo!になり、ゲームから受ける雰囲気がかなり変わった
漫画的表現やコメディタッチが強調されている
前作までは圧倒的な素材不足だったので、「夏の亡霊、刹那の雪と透羽の空」は画面がよく動く事が好印象
キャラクターの絵を3人違う構図で表示させたり、「ショーシャンクの空に」のパロディもできる
この素材は「紙芝居」に動きを与える事が効果的なのに、ノベルゲームでは意外と見ないな。
継続的に使ってるのは、「それでも、うちのこかわいい」「定期預金」のサークルくらいか
ストーリーは「写真部の幽霊部員」と同じく、「心霊、ちょっといい話」
夏を舞台に、主人公セナツと病弱な幼馴染ホタルの、友達とも恋人ともいえない、不思議な絆が描かれる
そこにSF(すこしふしぎ)要素として、幽霊少女ヒジリが加わる
ヒジリはセナツにしか見えない幽霊で、神社から出られない、地縛霊のような存在(ある方法で神社から離れる事になる)
それはなぜか?というのがキーになってるんだけど……
このあたりはまあベタかな。予想の範囲内で、王道
でも面白かったのは、セナツとホタルの真の関係だね。つまり、ふたりはなぜ一緒にいるのか?という疑問の答え
想像とはいい意味で違った。こんな幼馴染の関係もいいんじゃないの
ただの共依存よりも黒い何かを感じた
ヒジリについては、もっと幽霊という設定を活かせた気がするね。
子供を助けようとして亡くなった姉のトワと関係あると思えば、まさかバックグラウンドと一切関係ないキャラクターだとは…
死んだ理由や、神社から出られない訳もメインストーリーとは余り関係無かった
意味深な台詞が多々あったが、クリア後にただの雑談なのだと分かった。
ヒジリは狂言回しでこそあれ、ヒロインはあくまでホタルなのだな
タイトルにもなっている「夏」を強調したシーンが多く、きっちり夏物語として成立させていた。
しかも「爽やかな夏」ではなく、「暑苦しい夏」の描写だ
セナツが汗だくでぜーぜー言ってるシーンが多いが、やってるこっちまで暑くなった
音楽まで夏だ。「雲わすれの夏」が流れるシーンはこのゲームで一番の見所だろう
エピローグではセナツとホタルの、何も変わらない、それでいて何かが違う新しい絆が描かれる。
お互いを思いやるふたりのラストシーン……見届けて欲しいな
評価C
60点
今回も安定感がありました。
ちなみにヒロインは断然ホタル派です。
ヒジリはいくら何でもおっぱいが無さすぎる
命だけじゃなく乳も死んどるやんけ!
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