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2017年04月23日
映画「劇場霊」の感想…全てがラストのぱるるの表情のためのもの
今日は映画「劇場霊」の感想です。
ここ最近、映画の感想が続いているのはレンタルDVDで6本借りたからである。
1日1本の感想を書こうと頑張っていきたいなと。
昨日は映画「コープスパーティー Book of Shadows」の感想でしたが、
なかなか良作ホラーだったと思います。
果たして同じホラー映画「劇場霊」はどんなものでしょうか?
という事で、今回はレンタルDVDでの鑑賞。
映画「劇場霊」は2015年公開の中田秀夫監督作品。
中田秀夫監督と言ったらホラー映画、ホラー映画と言ったら中田秀夫監督。
個人的にはなんと言っても映画「リング」ですよ。
しばしば映画「リング」の話は記事にも書くのですが、
当時高校生だった自分は、映画館で映画「リング」「らせん」の同時上映を観た結果、
本当に1週間後に死んだらどうしようって恐怖を覚えました。
映画館で映画「クロユリ団地」観てきましたって記事も以前書きましたが、中田秀夫監督作品は結構観ていると思います。
個人的な印象としてはとても「信頼できる監督の1人」だと思っています。
映画「劇場霊」は中田秀夫監督作品の映画「女優霊」から20年という感じで売り出されているのですが、
勉強不足で申し訳ない…実は映画「女優霊」はまだ観ていないのです。
中田秀夫監督作品は結構観てるといったばかりなのに…。
もしかしたら映画「女優霊」を観ていたらもっと多く感じる部分があったかもしれません。
映画「劇場霊」の簡単な導入部ですが、
主人公の沙羅は芸能事務所に所属している5年も経つがなかなか芽が出ない。
そこで新たに始まる舞台「鮮血の呼び声」のオーディションを受けてみないかと誘われる。
そして、主役ではないものの見事にオーディションに合格したのであった。
しかし、スタッフの謎の死というトラブルが発生。
ざわつく関係者だが舞台監督によって稽古は強引に進められた。
ある稽古中、主演を務める葵が「人形が…」と声を出し演技を止めてしまう。
葵は舞台の小道具である人形の顔が動くのを見たのであった…みたいな感じかな。
キャストは主演の水樹沙羅役のぱるること島崎遥香。
演技とかどうなんだろうなって思っていましたが、この「ぱるるの顔」が映画の大事な要素だと思った。
彼女の顔芸と言ったら怒られるかもですが、あの表情無しにはこの映画は成り立たない。
沙羅と同じ事務所の売れっ子女優の篠原葵を演じるのは高田里穂。
「仮面ライダーオーズ」では泉比奈役の彼女ですが綺麗ですよね。
ちょっとぱるると並んだ時はぱるるが可愛そうかなって思ってしまったぐらいです。
オーディションの時に仲良くなった野村香織を演じるのは足立梨花。
マルチな活躍をする彼女ですが、さすがは「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のグランプリ受賞者。
存在感がありますよね、今回も複雑な役を頑張っていたと思います。
ただ、主演のぱるるとの見た感じの不釣合いがあるのは確か。
同じ舞台の「主演女優のタイプ」がそんなに変わる事はないとは思うけどね。
その他、小市慢太郎や中村育二などベテランも脇を固めます。
さて、映画「劇場霊」の感想ですが「良い映画」だと思います。
ただホラー映画として「ある特定の期待」をしていると、ちょっと肩透かしな部分も確かにあります。
先ほど映画「コープスパーティー Book of Shadows」と「同じホラー映画」…と、あえて書いてみたのですが、
もちろん、ホラー映画には色んな種類があります。
それこそ映画「コープスパーティー」みたいに物理的にグロいものもあれば、
もっと精神的に追い詰められるっていう恐いホラー映画もある。
様々なホラー映画がある中で、今回の映画「劇場霊」は色々な要素の中間にあるんじゃないかなと。
人形が襲ってくるという物理的な恐さと、その人形はあくまで器であって、
その中に入る人間の嫉妬などの負の感情という精神的恐さと。
どっちの恐さもあるが故に、「中途半端」になった…、
つまり、突き抜けて「恐い」っていう感じにはならなかったかなあと。
個人的にはそんなふうに思いました。
ただ、人形の不気味さ…この人形は今にも動きそうって思わせる事が出来ていて、
まず1つ、人間の感じる「恐さ」を刺激できているのは成功していると思います。
視覚的にやっぱ人形って恐い。
人形なんだから動く訳がないって思っていても、動いたらどうしようって気持ちは大人になってもある。
この映画では、まず人形が不気味って思わせれるのが大切な要素。
視覚的って意味で、つっこみどころとしては、
間接照明だけじゃなくて部屋の電気をつけなよってのはあるのだけど…。
また、先にもふれた「ぱるるの困った顔」。
あれは一体なんでしょうね…本当に困った顔だから説得力がハンパない。
視覚的な成功は「ぱるるの顔」も大きな要素…ちなみに絶賛したいのはラストの表情ですよね。
これはまた後ほどふれることにします。
さっきまで凄い天気良さそうだったのに、急に雨になる演出は観ていてノイズ。
「びしょびしょに濡れたぱるるが舞台を止めに入る」という画は確かに欲しいけど、
だったら人形作家の家に行く時にもうちょっと曇り空とかの天候悪い画にすれば良かったのに。
まあそんな大きなノイズではありませんが、ちょっと気になってしまいます。
この映画の性質上「ネタバレ」というものはないかな、と思うのでズバリ書いてしまいますが、
今回の映画で襲ってくるのは「人形」であって、その人形は「器」なんだと。
作った人や所有者、関わる人などの色んな人の感情が器に入ることで、人形に感情が芽生える。
その人形が「嫉妬」などの感情で満たされたため、襲ってくる…わけなのだけど、
せっかく人形を「器」としたなら、香織が吸い取られる時にごめんねと「沙羅に対しての後悔」していたのだから、
それを吸い取った人形はぱるるを追い詰めた時に、
その香織の感情が少し作用するとかあっても良かったんじゃないかなと。
まあそんな1人の感情では影響しないぐらい多くの負の感情で満たされていたのだろう。
そもそも、人形作家の長女が求めているものが「若さ」とかなのだろうか?
親父もあれは娘じゃないって言ってたから違うんだろうけどね。
あれは親父や妹達が「もっと生きて欲しい」って思った感情を受け取って、
人形が「生きたい」という感情に染まったのかな?
だったら別に妹達を襲わなくても良いとは思うけど。
ちなみにちゃんと女性からしか生気を吸い取ってなくて、男性は血を出して死んでいるという演出がある。
せっかくなんだから、あの人形作家の長女を「面倒見の良い姉」にするんじゃなくて、
すっごく「美貌に執着していた意地汚い女性」ってことにした方が、
物語としてはスッキリしそうなんだけどなあ。
最後にぱるるがその人形をやっつけるという展開になります、
それがなんと物理攻撃!!
物理攻撃で倒せるなら今までなんとかならんかったのかって思わせてしまう。
ただ、この物理攻撃のシーンは凄く良いシーンで、
「ちょうだい、ちょうだいって…あげないんだから!」っていうセリフから、
「あのぱるるが成長した!」っていう姿が見れる。
あの一言は確かに説明っぽく、時としてダサく聞こえてしまうのですが、
あのシーンがあるかないかでは、全然その後の映像の捕らえ方が変わってしまう。
結局、人形は人間の「嫉妬」のメタファーなんでしょうね。
事件後に全く違う撮影をしている「乗り越えたぱるる」を密かに見ている人形。
これは色んな人がぱるるに嫉妬しているという事であり、
その視線をぱるるも感じながら、「それでも私は前に進む」という力強いラストシーン。
あの時のぱるるの顔、良い。
あんな苦しい決意みたいなものがセリフなしで表現できるって凄いですよね。
…と、こんな感じで、ホラーとして「恐がるために観るとちょっと中途半端」かなって気がしますが、
物語としては考えさせる内容となっています。
結局悲劇の原因は「人の念」なんだなあと思うと、
「本当に恐いのは人間」っていう王道ホラーなのかも知れません。
でも本当に、ラストのぱるるの顔が観れただけでも価値がある作品だと思います。
それとフィルムの質感はやっぱいいなって思いました。
今となってはフィルムで撮影ができるってだけで大きいバジェットなんだろうけど、
この質感はデジタルが圧倒的に多い世の中だけど大事にしてほしい。
あ、あんま「劇場霊」ってほど劇場は関係無かった。
確かに劇場には嫉妬などの感情は渦巻いているんだろうけど、
別に劇場に限定しなくてもよかったんじゃないだろうか。
ここ最近、映画の感想が続いているのはレンタルDVDで6本借りたからである。
1日1本の感想を書こうと頑張っていきたいなと。
昨日は映画「コープスパーティー Book of Shadows」の感想でしたが、
なかなか良作ホラーだったと思います。
果たして同じホラー映画「劇場霊」はどんなものでしょうか?
という事で、今回はレンタルDVDでの鑑賞。
映画「劇場霊」は2015年公開の中田秀夫監督作品。
中田秀夫監督と言ったらホラー映画、ホラー映画と言ったら中田秀夫監督。
個人的にはなんと言っても映画「リング」ですよ。
しばしば映画「リング」の話は記事にも書くのですが、
当時高校生だった自分は、映画館で映画「リング」「らせん」の同時上映を観た結果、
本当に1週間後に死んだらどうしようって恐怖を覚えました。
映画館で映画「クロユリ団地」観てきましたって記事も以前書きましたが、中田秀夫監督作品は結構観ていると思います。
個人的な印象としてはとても「信頼できる監督の1人」だと思っています。
映画「劇場霊」は中田秀夫監督作品の映画「女優霊」から20年という感じで売り出されているのですが、
勉強不足で申し訳ない…実は映画「女優霊」はまだ観ていないのです。
中田秀夫監督作品は結構観てるといったばかりなのに…。
もしかしたら映画「女優霊」を観ていたらもっと多く感じる部分があったかもしれません。
映画「劇場霊」の簡単な導入部ですが、
主人公の沙羅は芸能事務所に所属している5年も経つがなかなか芽が出ない。
そこで新たに始まる舞台「鮮血の呼び声」のオーディションを受けてみないかと誘われる。
そして、主役ではないものの見事にオーディションに合格したのであった。
しかし、スタッフの謎の死というトラブルが発生。
ざわつく関係者だが舞台監督によって稽古は強引に進められた。
ある稽古中、主演を務める葵が「人形が…」と声を出し演技を止めてしまう。
葵は舞台の小道具である人形の顔が動くのを見たのであった…みたいな感じかな。
キャストは主演の水樹沙羅役のぱるること島崎遥香。
演技とかどうなんだろうなって思っていましたが、この「ぱるるの顔」が映画の大事な要素だと思った。
彼女の顔芸と言ったら怒られるかもですが、あの表情無しにはこの映画は成り立たない。
沙羅と同じ事務所の売れっ子女優の篠原葵を演じるのは高田里穂。
「仮面ライダーオーズ」では泉比奈役の彼女ですが綺麗ですよね。
ちょっとぱるると並んだ時はぱるるが可愛そうかなって思ってしまったぐらいです。
オーディションの時に仲良くなった野村香織を演じるのは足立梨花。
マルチな活躍をする彼女ですが、さすがは「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のグランプリ受賞者。
存在感がありますよね、今回も複雑な役を頑張っていたと思います。
ただ、主演のぱるるとの見た感じの不釣合いがあるのは確か。
同じ舞台の「主演女優のタイプ」がそんなに変わる事はないとは思うけどね。
その他、小市慢太郎や中村育二などベテランも脇を固めます。
さて、映画「劇場霊」の感想ですが「良い映画」だと思います。
ただホラー映画として「ある特定の期待」をしていると、ちょっと肩透かしな部分も確かにあります。
先ほど映画「コープスパーティー Book of Shadows」と「同じホラー映画」…と、あえて書いてみたのですが、
もちろん、ホラー映画には色んな種類があります。
それこそ映画「コープスパーティー」みたいに物理的にグロいものもあれば、
もっと精神的に追い詰められるっていう恐いホラー映画もある。
様々なホラー映画がある中で、今回の映画「劇場霊」は色々な要素の中間にあるんじゃないかなと。
人形が襲ってくるという物理的な恐さと、その人形はあくまで器であって、
その中に入る人間の嫉妬などの負の感情という精神的恐さと。
どっちの恐さもあるが故に、「中途半端」になった…、
つまり、突き抜けて「恐い」っていう感じにはならなかったかなあと。
個人的にはそんなふうに思いました。
ただ、人形の不気味さ…この人形は今にも動きそうって思わせる事が出来ていて、
まず1つ、人間の感じる「恐さ」を刺激できているのは成功していると思います。
視覚的にやっぱ人形って恐い。
人形なんだから動く訳がないって思っていても、動いたらどうしようって気持ちは大人になってもある。
この映画では、まず人形が不気味って思わせれるのが大切な要素。
視覚的って意味で、つっこみどころとしては、
間接照明だけじゃなくて部屋の電気をつけなよってのはあるのだけど…。
また、先にもふれた「ぱるるの困った顔」。
あれは一体なんでしょうね…本当に困った顔だから説得力がハンパない。
視覚的な成功は「ぱるるの顔」も大きな要素…ちなみに絶賛したいのはラストの表情ですよね。
これはまた後ほどふれることにします。
さっきまで凄い天気良さそうだったのに、急に雨になる演出は観ていてノイズ。
「びしょびしょに濡れたぱるるが舞台を止めに入る」という画は確かに欲しいけど、
だったら人形作家の家に行く時にもうちょっと曇り空とかの天候悪い画にすれば良かったのに。
まあそんな大きなノイズではありませんが、ちょっと気になってしまいます。
この映画の性質上「ネタバレ」というものはないかな、と思うのでズバリ書いてしまいますが、
今回の映画で襲ってくるのは「人形」であって、その人形は「器」なんだと。
作った人や所有者、関わる人などの色んな人の感情が器に入ることで、人形に感情が芽生える。
その人形が「嫉妬」などの感情で満たされたため、襲ってくる…わけなのだけど、
せっかく人形を「器」としたなら、香織が吸い取られる時にごめんねと「沙羅に対しての後悔」していたのだから、
それを吸い取った人形はぱるるを追い詰めた時に、
その香織の感情が少し作用するとかあっても良かったんじゃないかなと。
まあそんな1人の感情では影響しないぐらい多くの負の感情で満たされていたのだろう。
そもそも、人形作家の長女が求めているものが「若さ」とかなのだろうか?
親父もあれは娘じゃないって言ってたから違うんだろうけどね。
あれは親父や妹達が「もっと生きて欲しい」って思った感情を受け取って、
人形が「生きたい」という感情に染まったのかな?
だったら別に妹達を襲わなくても良いとは思うけど。
ちなみにちゃんと女性からしか生気を吸い取ってなくて、男性は血を出して死んでいるという演出がある。
せっかくなんだから、あの人形作家の長女を「面倒見の良い姉」にするんじゃなくて、
すっごく「美貌に執着していた意地汚い女性」ってことにした方が、
物語としてはスッキリしそうなんだけどなあ。
最後にぱるるがその人形をやっつけるという展開になります、
それがなんと物理攻撃!!
物理攻撃で倒せるなら今までなんとかならんかったのかって思わせてしまう。
ただ、この物理攻撃のシーンは凄く良いシーンで、
「ちょうだい、ちょうだいって…あげないんだから!」っていうセリフから、
「あのぱるるが成長した!」っていう姿が見れる。
あの一言は確かに説明っぽく、時としてダサく聞こえてしまうのですが、
あのシーンがあるかないかでは、全然その後の映像の捕らえ方が変わってしまう。
結局、人形は人間の「嫉妬」のメタファーなんでしょうね。
事件後に全く違う撮影をしている「乗り越えたぱるる」を密かに見ている人形。
これは色んな人がぱるるに嫉妬しているという事であり、
その視線をぱるるも感じながら、「それでも私は前に進む」という力強いラストシーン。
あの時のぱるるの顔、良い。
あんな苦しい決意みたいなものがセリフなしで表現できるって凄いですよね。
…と、こんな感じで、ホラーとして「恐がるために観るとちょっと中途半端」かなって気がしますが、
物語としては考えさせる内容となっています。
結局悲劇の原因は「人の念」なんだなあと思うと、
「本当に恐いのは人間」っていう王道ホラーなのかも知れません。
でも本当に、ラストのぱるるの顔が観れただけでも価値がある作品だと思います。
それとフィルムの質感はやっぱいいなって思いました。
今となってはフィルムで撮影ができるってだけで大きいバジェットなんだろうけど、
この質感はデジタルが圧倒的に多い世の中だけど大事にしてほしい。
あ、あんま「劇場霊」ってほど劇場は関係無かった。
確かに劇場には嫉妬などの感情は渦巻いているんだろうけど、
別に劇場に限定しなくてもよかったんじゃないだろうか。