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2024年10月25日

1395番:鶴の恩返し(1)

鶴の恩返し

鶴の恩返し(1)
Der Kranich vergilt die Wohltat

  【1】
Es war einmal ein junger Mann. Er lebte ganz
allein und einsam in einem kleinen Haus am Berg,
denn seine Eltern waren längst tot. Jeden Tag ging er
den Berg hinauf, sammelte Holz, um sich damit sein
tägliches Brot zu verdienen.


   −−訳−−
昔、若者がいました.若者は山の麓にある小さな家に
たった一人で寂しく暮らしていました.なぜなら若者
の両親はずっと前に死んでいたからです.毎日若者は
山に上がって薪を集めて、日々の食費を稼いでいまし
た.

《語句》
  * 主に使った辞書:三修社「アクセス独和辞典」
          :小学館「独和大辞典」 
der Kranich [クラーニヒ]{s/e} 鶴
einsam (形) 孤独な、寂しい
 【副詞的に】Er lebt einsam.
彼は寂しく暮らしている.
am Berg 山の麓に
   山は話題未出語ですが、慣例で定冠詞をつけます.
   an は接近、接触を示す語です.山に接近・接触
   するところは、山のふもとなので
   am Berg は「山の麓に」
tot (形) 死んでいる 
Jeden Tag 毎日
hinauf/gehen (自) (向こうの)上へ上がっていく
 * gehen は自動詞でも、こういう分離動詞では、
  4格目的語を持つことができます.
  Wir gehen die Treppe hinauf. / 私たちは階段を上がっていく.
  なぜ自動詞が4格目的語を持てるのか、私にはわかりま
  せんがhinauf が前方支配の後置詞として働いているから
  かもしれません.  
hinauf (副)(下から向こうの)上へ
sammelte <sammeln (他) 収集する、採集する、集める
das Holz {es/¨er} 木、材木、薪
verdienen (他) (4格を) 稼ぐ、もうける


     【解説】
後半部分がわからない方もたくさんいらっしゃることでしょう.
Jeden Tag ging er den Berg hinauf, sammelte Holz,
um sich damit sein tägliches Brot zu verdienen.

「um ...zu + 不定詞」は「桃太郎」のときに出てきましたが、
今回初めて、このページに来られた方のために、もう一度解説
します.「um ...zu + 不定詞」で「〜するために」と訳します.
um のあとは、不定詞の目的語が来ます.
Um die Briefmarken zu kaufen, ging er zum Postamt.
その切手を買うために彼は郵便局へ行った.

Jeden Tag は熟語ですので、このまま「毎日」と訳します.
jeden は何格何変化?考える必要はありません.無視して
ください.たいていjeden Tag、4格形と決まっています.
絶対とは言いません. jedes Tages みたいになってしまうこ
とも無きにしあらず.「アンパン」が常に丸いとは限らない
ように.椅子の上のアンパンを知らずに座って、ぺっしゃ
んこのアンパンも時にはあります.何?私はもったいない
からいただきます.
話が脱線しました. tägliches Brot は「毎日のパン」ですが
意味は「生計」、「暮らし」.
これは熟語になっています.
(sich3) sein Brot verdienen で「暮らしを立てる」 

コロナで暮らしがぺっしゃんこ?お互いさま.何とか
しのぎましょうね.

「毎日彼は山に行って、それでもって生計を立てるため
薪を集めていました.」

2024年10月22日

1394番:雄鶏が鳴いたのよ(37)(最終回)


雄鶏が鳴いたのよ(37)(最終回)
Un Coq Chanta


−−−−−−−−【37】−−−−−−−−−−−−−−

Sentant contre lui un corps de femme,
se trouvant en un lit qu'il ne reconnais-
sait pas, surpris et ne se souvenant plus
de rien, il balbutia, dans l'effarement du
réveil:
≪ −Quoi ? Où suis-je ? Qu'y a-t-il ? ≫
Alors elle, qui n'avait point dormi, re-
gardant cet homme dépeigné, aux yeux
rouges, à la lèvre épaisse, répondit, du
ton hautain dont elle parlait à son
mari:
≪ −Ce n'est rien. C'est un coq qui
chante. Rendormez-vous, monsieur, cela
ne vous regarde pas. ≫


..−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−

男爵は自分に寄り添う女の体を感じながら、見
知らぬベッドの中にいることに気づき、驚いて
いたが何も覚えておらず、目覚めの狼狽の中、
口ごもりながら言った. 
 「何だ? ここはどこだ? 何がどうなって
いる?」
 そこで一睡もせず夜を明かした彼女が、この
髪が乱れ、目が充血し、くちびるが腫れあがっ
た男を眺めながら、夫に話しかけるような口調
で答えた.
 「−−何でもありませんわよ.雄鶏が鳴いた
だけですわ.さあ、もう一度お休みなさいな.
雄鶏が鳴こうが鳴くまいがそんなこと、あなた
には関係ありませんわよ.」

   
−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−

sentant:(p.pré) < sentir
contre lui:彼のそばに、彼にぴったり触れて
un corps de femme:女の体
se trouvant:(pré) < se trouver (pr)
se trouver:(pr) 気がつくとたまたま〜にいる
en un lit:ベッドの中に
qu'il ne reconnaissait pas:知らない〜
surpris, e:(形, p.passé) 驚いた < surprendre
surprendre:(他) (意表をついて)驚かせる
ne se souvenant plus:(分詞節) もはや覚えておらず
de rien:何も;de はse souvenir de のde.
しいて訳せば「〜のことを」
   一般にde の正体は動詞のコローケーション
   をたどれば判明する. 
balbutia:(直単過/3単) < balbutier [バルビュスィエ]
balbutier:(自) 口ごもる、もぐもぐ言う.
effarement:(m) 驚愕、おびえ、狼狽
réveil:(m) 目覚め、
du réveil:目覚めから、
dans effarement du réveil:目が覚めて驚く中で
Quoi ?:何だ?
Où suis-je ?:ここはどこだ?(私はどこにいるか?)
Qu'y a-t-il ?:どうなっている?(何がある?)
dépeigné:(p.passé) 乱れ髪で < dépeigner (他)
dépeigner:(他) (〜の)髪を乱す
épais, se:[エペ, エペス](形) ❶厚い、ぶ厚い、
   ❷ずんぐりした、❸濃い
   mur épais / 厚い壁
   avoir des doigts épais / 太くて短い指をしている
lèvre:(f) 唇、くちびる;
   Il a des lèvres épaisses / 彼は唇が厚い. 
à la lèvre épaisse:これは単数形なので上唇か下唇
   かのどちらかになります.おそらく下唇が
   腫れあがっていたのでしょう.  
répondit:(直単過/3単) < répondre
répondre:(自) [à に] 答える
ton:(m) 口調、語調、調子
†hautain, e:[オタン, オテーヌ](形) 傲慢な、尊大な、
   偉ぶった
parlait:(直半過/3単) < parler (動) 話す、
parler:[本文では(自)] parler à ~ / 〜に話しかける  
mari:(m) 夫、亭主
Ce n'est rien:何でもありませんわ.
C'est un coq qui chante:雄鶏が鳴いているのよ.
Rendormez-vous:もう一度お休みなさいな.
monsieur:あなた、お宅さん
regarder:(他)[物主語] 関係する、関わる、
   Cela ne vous regarde pas. /
それはあなたには関係のないことです.


−−−−−−−≪ひとこと≫−−−−−−−−−−−−−−

コローケーションと説明しましたが、私は英語畑
の人間なので、フランス語の文法ではどう言って
いるのかはわかりません.ちなみにこの言葉はフ
ランス語では、共同借家なので、別の用語がある
はずです.こちらの知識不足で申し訳ありません.


−−−−−−−−【最後に】−−−−−−−−−−−−−−

「雄鶏が鳴いたのよ」はこれで終わりです.おつき
あいいただきありがとうございました.駈け足学習
だったこともあり、調べ方不足などもあり、誤訳が
かなりあったかも知れません.翻訳書とのチェック
で、食い違っていた箇所は、訳本の訳も出しておき
ました.もちろんこちらのほうの解釈ミスだと思い
ますが、人の真似しても仕方がないので、強情を張
りました.昔から私は親から「強情なやつめ」と叱
られたものです.3つ子のたましい100までとか.
未だになおっておりません.すみません.

2024年10月21日

1393番:雄鶏が鳴いたのよ(36)


雄鶏が鳴いたのよ(36)
Un Coq Chanta



−−−−−−−−【36】−−−−−−−−−−−−−−

Il dormit du lourd sommeil, de l'invin-
cible sommeil des chasseurs exténués. Il
dormit jusqu'à l'aurore.

Tous à coup, la fenêtre étant restée
entr'ouverte, un coq, perché dans un arbre
voisin, chanta. Alors brusquement, surpris
par ce cri sonore, le baron ouvrit les
yeux.


..−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

 男爵は眠気が重く押し寄せた.疲れ果てた猟
師たちの眠気は重く、耐えきれず寝入ってしま
いました.そして夜明けまで眠り続けました.

 突然、窓が少し開いていたため隣の木の枝に
止まっていた雄鶏が鳴いた.それでこのよく響
く鳴き声に驚いて不意に男爵は目を覚ましまし
た.
    
   
−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−

lourd, e:[ルール, ルルド](形) 重い、重くのしかかる、
   yeux lourds de sommeil /
   (眠気で)重くなったまぶた.
   sommeil lourd / 深い眠り、熟睡
invincible:[アンヴァンスィブル](形) ❶無敵の、不敗の、
   不屈の:❷克服できない、乗り越えられない
chasseur, se:(n) 猟師
exténués:(p.passé/pl) < exténuer
exténuer:(他) くたびれさせる 
entr'ouvert, e:(形) 少し開いた;
   porte entrouverte / 少し開いたドア
brusquement:(副) 不意に、急に
sonore:[ソノール](形) よく響く


1392番:雄鶏が鳴いたのよ(35)


雄鶏が鳴いたのよ(35)
Un Coq Chanta



−−−−−−−−【35】−−−−−−−−−−−−−−

Elle ne revenait point, pourtant; s'amu-
sant sans doute à le faire languir. Il
fermait les yeux dans un bien-être
exquis; et il rêvait doucement dans
l'attente délicieuse de la chose tant
désirée. Mais peu à peu ses membres
s'engourdirent, sa pensée s'assoupit, devint
incertaine, flottante. La puissante fatigue
enfin le terrassa; il s'endormit.


..−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−


夫人はさっぱり戻ってきませんでした.けれど
もおそらく男爵をじらして楽しんでいたのでし
ょう.男爵はえも言えぬ幸福感に浸り目を閉じ
ていました.彼は望んでいたことをうれしく待
つ間、しずかに夢想に耽っていました.しかし
少しずつ、手足に感覚がなくなり、意識は、う
つらうつらとぎれて、おぼつかなく、漂い始め
ました.ついに猛烈な疲労に打ち負かされて、
男爵は眠り込んでしまいました.    

   
−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−

revenait:(直半過/3単) < revenir (自)
revenir:(自) 戻る、帰って来る
ne ...point:さっぱり〜ない
pourtant:けれども
s'amusant:(p.pré) < s'amuser (pr) 楽しむ、遊ぶ
sans doute:おそらく
languir:(自) 待ちあぐむ、じれる
faire languir:(人を)じらす、じりじりさせる
s'amuser à + 不定詞:〜して楽しむ
à le faire languir: 男爵をじらして
fermait:(直半過/3単) < fermer (他) 〜を閉じる
les yeux:両目;片目は œil [ウイユ] (m)
bien-être:(m)⦅不変⦆ 満足感、幸福感、
exquis, e;[エクスキ, キーズ](形) 快い、すばらしい、
     絶妙な、美味な、甘美な、心地よい、
     うっとりするような
rêvait:(直半過/3単) < rêver [レヴェ]
rêver:(自) ❶夢を見る;❷夢想する、夢見る
doucement:(副) そっと、静かに、穏やかに
attente:(f) 待つこと、待機
délicieux, se:(形) おいしい、非常に気持ちのいい、
   えも言われぬ、魅力的な
la chose tant désirée:あれほど望んでいたこと
peu à peu:少しずつ
membre:(m) 手足、四肢
s'engourdirent:(直単過/3複) < s'engourdir
s'engourdir:(pr) ❶麻痺する、しびれる、❷まどろむ
pensée:(f) 考え、思い、思考
s'assoupit:(直単過/3単) < s'assoupir (pr) まどろむ、
     うとうとする
devint:(直単過/3単) < devenir (自) 〜になる
incertain, e:[アンセルタン, アンセルティーヌ](形) 不確かな、
   はっきりしない、おぼつかない
flottant, e:(形) 浮かんでいる、漂う
puissant, e:(形) 強い、強力な、強烈な
fatigue:(f) 疲れ、疲労
enfin:(副) ついに、とうとう、やっと
terrassa:(直単過/3単) < terrasser (他)
terrasser:(他) ❶(地面に)投げ倒す、打ち負かす、
    ❷打ちのめす、茫然とさせる
s'endormit:(直単過/3単) < s'endormir (pr)
s'endormir:(pr) 眠る、寝つく


−−−−−−≪質問コーナー≫−−−−−−−−−−−−−−

質問者:先生、質問があります.
春の介:だから、ぼくは先生じゃないってば.
質問者:では兄弟、質問じゃ.
春の介:言ってみて!
質問者:à le faire languir の箇所ですが
    à le は du になるから du faire languir
としなければいけないんじゃないの?
春の介:すごいこと質問するね.
    まず、faire languir は名詞ではないので
    その前のle は定冠詞ではありません.
    この le は人称代名詞で、ここでは男爵
    のことです.du にしてしまっては男爵
    の姿がなくなってしまいます.  
質問者:待て! faire を辞書で引くと名詞形が
    あったぞ.< faire (m)行為> だってさ.
    du faire languir 憔悴行為、ってのはどうだ?
春の介:もう帰ってもいいですか?


1391番:ピエールとジャン(11)


ピエールとジャン(11)
PIERRE ET JEAN



−−−−−−−−−【11】−−−−−−−−−−−−

 Son fils aîné, Pierre, un homme de
trente ans à favoris noirs coupés comme
ceux des magistrats, moustaches et menton
rasés, répondit:
≪ Oh ! pas grand-chose, trois ou quatre. ≫
Le père se tourna vers le cadet:
≪ Et toi, Jean ? ≫


.−−−−−−−−−⦅訳⦆−−−−−−−−−−−−

 兄のピエールは当年30歳の男盛り、司法官の
ように、顔は剃ったあごと口髭、刈られた黒いも
みあげがある.そのピエールが答えた:
 「何、たいしたことはないですよ.ほんの3, 4
匹です.」
 父は弟のほうに向きを変えた:
 「ジャン、お前はどうだ?」
   
 
−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−

aîné, e:(形) 年長の、最年長の、
fils aîné:長男
à favoris:もみあげをはやした
favori:(m) (王侯の)寵臣、
【複数 favoris で】もみあげ
à favoris noirs coupés:短く刈られた黒いもみあげ
comme ceux des magistrats:
   司法官が生やしているようなもみあげ
magistrat, e:(n) 司法官
moustache:(f) 口ひげ
menton:[マントン](m) あご
rasés:(p.passé) <raser (他) 剃る
répondit:(直単過/3単) < répondre (自)
répondre:(自) [à に]答える
pas grand-chose:たいしたことはない
trois ou quatre:3, 4匹ってとこですよ
se tourna vers ~:〜のほうに向きを変えた
    (直単過/3単) < se tourner (pr)
se tourner vers ~:(pr) 〜のほうを向く
cadet, te:[カデ, カデット](n) 弟、妹

1390番:雄鶏が鳴いたのよ(34)


雄鶏が鳴いたのよ(34)
Un Coq Chanta


−−−−−−−−【34】−−−−−−−−−−−−−−

Alors, à tâtons, éperdu, les mains trem-
blantes, il se dévêtit bien vite et s'enfon-
ça dans les draps frais. Il s'étendit déli-
cieusement, oubliant presque son amie, tant
il avait plaisir à cette caresse du linge
sur son corps las de mouvement.  


..−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

 そこで男爵は手探りで、取り乱しながらベッド
に向かった.震える手で素早く服を脱ぎ、きれい
な布団の中にもぐり込んだ.男爵は気持ちよさそ
うに、もう女友達のことをほとんど忘れて横にな
りました.1日中狩りで動き回った身体には、そ
れほどこの布団の肌触りによろこびを感じたので
した.
    
   
−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−

alors:(副)[接続詞的に] それで、
à tâtons:手探りで
éperdu:(形) [de で]取り乱した、
se dévêtit:(直単過/3単) < se dévêtir (pr)
se dévêtir: (pr) 服を脱ぐ
dévêtir:(他) 服を脱がす
s'enfonça:(直単過/3単) < s'enfoncer (pr)
s'enfoncer:(pr) はまり込む、奥に入り込む
drap:[ドラ](m) シーツ、
   une paire de draps / 1組のシーツ
   (掛け布団、敷布)
frais:(形) 新しい
s'étendit:(直単過/3単) < s'étendre (pr)
s'étendre:(pr) 広がる、伸びる
étendre:(他) ❶広げる、伸ばす、❷塗る、
   ❸寝かせる
délicieusement:(副) 気持ちよく、楽しく、
   魅惑的に
oubliant:(p.pré) < oublier [ウーブリエ](他) 忘れる
las, se:[ラ, ラース](形) 疲れた
corps:[コール](m) 体、身体
corps las:疲れた体
corps las de mouvement:動き回って疲れた体
   ここでは狩りで1日動き回って疲れたこと.
caresse:(f) 愛撫、そっとなでること、
linge:[ラーンジュ](m) シーツ
tant:(副) 非常に、それほど、そんなに  
avoir plaisir à ~:〜によろこびをおぼえる

2024年10月20日

1389番:ピエールとジャン(10)


ピエールとジャン(10)
PIERRE ET JEAN



−−−−−−−−−【10】−−−−−−−−−−−−

 Le vieux pêcheur la huma vivement,
comme on sent des roses, et déclara:
≪ Cristi ! ils sont frais, ceux-là ! ≫
Puis il continua:
≪ Combien en as-tu pris, toi, docteur ? ≫


.−−−−−−−−−⦅訳⦆−−−−−−−−−−−−

 老漁師はバラの香りを嗅ぐように、そのにお
いを嗅いだ.
 「うわあ、こいつは新鮮だ!」
 それから言葉を続けた.
 「おい、博士号、お前は何匹釣ったのだ?」
   
 
−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−

pêcheur, se:(n) 釣り人、漁師
†huma:(直単過/3単) < humer (他)
humer:(他) 吸い込む、(匂いを)かぐ
  humer l'air frais / 新鮮な空気を吸い込む
vivement:(副) 活発に、勢いよく、強く
la:(人称代名詞) odeur (f) 「におい」を指す
déclara:(直単過/3単) < déclarer (他) 表明する、
  言明する、はっきり知らせる、言い渡す
  déclarer que + 直説法:〜だと断言する
  déclarer + 不定詞 :〜だと断言する
cristi:(間)[話] おや、まあ(驚きを表す)
frais, fraiche: (形) 新鮮な、みずみずしい
continua:(直単過/3単) < continuer (他) 続ける.
   (言葉を) 続ける
Combien en as-tu pris ? :君は何匹釣ったのかい?
docteur:長男のピエールを父は茶化してこう呼んだ.
   まだ読み進んでいないが、先に言うと、彼は
   30歳.博士号が授与されたばかりであった.



1388番:ピエールとジャン(9)


ピエールとジャン(9)
PIERRE ET JEAN


−−−−−−−−−【9】−−−−−−−−−−−−

 Le père Roland saisit la manne entre
ses genoux, la pencha, fit couler jusqu'au
bord le flot d'argent des bêtes pour voir
celles du fond, et leur palpitation d'agonie
s'accentua, et l'odeur forte de leur corps,
une saine puanteur de marée, monta du
ventre plein de la corbeille.


−−−−−−−−−⦅訳⦆−−−−−−−−−−−−

 父のロランは魚籠を両ひざに挟んで、それを
傾け、ふちのところまで銀色の魚の群れを寄せ
ました.そして底の魚たちを見ました.そこで
は魚たちが断末魔の苦しみを痙攣で強調してい
ました.魚たちの強い死臭もありました.健康
な潮の悪臭がぎっしり詰まったかごの膨らみ部分
から立ちこめてきました.
  
 
−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−

le père Roland:ロラン親爺、ロランの親っさん、
   父のロラン
saisit:(直単過/3単)
   < saisir (他) つかむ、捕らえる
manne:(f) ❶豊かな食べ物、糧;
    ❷把手の付いた柳の大籠;
    ❸本文では「魚籠(びく)」
genou:[ジュヌー](pl-x)(m) 膝
pencha:(直単過/3単) < pencher (自) 傾く、かしぐ
fit:(直単過/3単) < faire
couler:(自) ❶流れる、流れ出る;❷漏れる、
   ❸(船が)沈む.
bord:(m) 縁(ふち)、へり、端
flot:(m) 流れ、
argent:(m) 銀 
bête:(f) ❶けだもの;❷虫;
   ここでは「魚」
   bête et gens / 動物も人間も
fond:[フォン](m) 底
palpitation:(f) 動悸、痙攣.
agonie:(f) 臨終、最期、断末魔、断末魔の苦悶;
   être à l'agonie / 死に瀕している.
s'accentua:(直単過/3単) < s'accentuer (pr)
s'accentuer:(pr)❶強調される、❷際立つ、増大する.
accentuer:(他) 目立たせる、際立たせる.
odeur:(f) におい、臭気
fort, e:(形) 強い、強烈な
corps:[コール](m) ❶からだ、身体、肉体、胴体;
   ❷死体、遺体
sain, e:(形) 健康な、 
puanteur:(f) 悪臭、腐臭
marée:(f) ❶潮汐、潮;❷潮の満ち干;❸生鮮魚介
monta:(直単過/3単) < monter (自) 上がる
ventre:(m) ❶腹、腹部;❷ふくらみ、ふくらみ部分
plein de:❶(前句) 〜で一杯の;
  ❷(形句) たくさんの、ぎっしり詰まった
  plein de corbeille / ぎっしり詰まったかご
corbeille:(f) かご(取っ手のないもの)、紙屑かご:
   パソコン画面のゴミ箱


−−−−−−−≪質問コーナー≫−−−−−−−−−−−−−−−
 
plein de corbeille / ぎっしり詰まったかご

質問者:かごが一杯の、と訳せますか?
回答者:その場合はplein de corbeilles と複数にします.
    でも船はかごで一杯だったのですか?


1387番:ピエールとジャン(8)


ピエールとジャン(8)
PIERRE ET JEAN



−−−−−−−−−【8】−−−−−−−−−−−−

 Mais son mari remuait la tête pour
dire non, tout en jetant un coup d'œil
bienveillant sur le panier où le poisson
capturé par les trois hommes palpitait
vaguement encore, avec un bruit doux
d'écailles gluantes et de nageoires soule-
vées, d'efforts impuissants et mous, et de
bâillements dans l'air mortel.


−−−−−−−−−⦅訳⦆−−−−−−−−−−−−

 しかし旦那のほうは、魚籃を一瞥して、だめだ
と言って、首を振ってみせたが、結果に好意的だ
った.死すべき環境の魚籃の中では、3人に釣ら
れた魚がまだ、かすかに、べとつく鱗と持ち上が
ったひれで音を立てていたが口をポカンと開けて、
力のない努力で立てた音だった.
 
 
−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−

remuait:(直半過/3単) < remuer (他) ❶移動する
   運ぶ、❷(体の一部を)動かす、❸かき回す
   かき混ぜる;❹心を動かす、
   Le chien remue joyeusement la queue. /
犬はうれしそうに尻尾を振っている.
jetant:(p.pré) < jeter (他) 投げる
un coup d'œil:一瞥、jeter un coup d'œil / 〜を一瞥する
   〜をちらっと見る 
bienveillant:(形) 親切な、好意的な、
panier:魚籠(びく)、魚籃、
poisson:(m) 魚
capturé:(p.passé) < capturer (他) (生物を)捕らえる
palpitait:(直半過/3単) < palpiter (自)
    ❶(心臓が)鼓動する、動悸を打つ;
    ❷(まぶたなどが)ぴくぴく動く、痙攣する
vaguement:(副) 漠然と、ぼんやりと、おぼろげに
bruit:(m) (不必要な)音
doux, douce:(形) ❶甘い、❷手ざわりのよい、
    すべすべした、
écaille:(f) うろこ、鱗片
gluant, e:[グリュヤン, ト](形) ねばねばした、粘着性の.
nageoire:(f) ひれ
soulevées:(p.passé/f/pl) < soulever (他) 持ち上げる
effort:(m) 努力、骨折り
impuissant, e:(形) 無力な、無能な
mou:[男性第2形:mol](形) 力のない、柔弱な
bâillement:[バユマン](m) ❶あくび、❷裂け目、割れ目
air;❶雰囲気、環境、空気、❷様子、外観、態度
mortel, le:(形) 死すべき



−−−−−−−−−≪解釈≫−−−−−−−−−−−

「べとつく鱗」ということは魚籠には水がなかった
ということですね.ひれがあがっているというのも、
水がなければ、ひれも用事がないので上がったりと
いうことでしょうか.


1386番:イヴェット(10)


『イヴェット』(10)
Yvette



−−−−−−【10】−−−−−−−−−−−−−−−−

Il était connu par ses noces autant que
par son esprit, par sa fortune, par ses
relations, par cette sociabilité, cette ama-
bilité, cette galanterie mondaine, spéciales
à certains hommes.

    
−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−
 
 彼、ジャン・ド・セルヴァニーは放蕩者で知
られていたが、同様にその才気、財産、豊富な
人間関係、社交性、愛想のよさ、社交家として
のマナ−、ある人々に対する特別な配慮ができ
る人としても知られていた.

 
..−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

noce:(f) ❶結婚式、【多くは複数】 結婚;
   ❷どんちゃんさわぎ;❸放蕩生活、放蕩者
autant que:〜と同じくらい
esprit:(m) エスプリ、機知、才気
fortune:(f) 財産、富、大金
relation:(f) 交際、つき合い、人間関係、知人(の多さ)
sociabilité:(f) 社交性、人づきあいのよさ
amabilité:(f) 愛想のよさ、親切さ、
galanterie:(f) (女性に対する)慇懃さ、親切、丁重、
    [複数で] (女性に言う)お世辞、甘い言葉
mondain, e:(形) 社交界の、上流社会の、
    (n) 社交界の人、社交家
spécial, e:(形) 特別の


−−−−−−≪感想≫−−−−−−−−−−−−−−−

本日の学習は修飾関係があいまいで、よくわかりません
でした.誤訳の可能性が高いので、翻訳書の訳を書いて
おきます.
「彼は遊び人としても有名だったが、また、その
機知(エスプリ)や、財産や、親類関係や、それか
らまた、ある人に特有な社交性、愛嬌のよさ、婦
人に対する世慣れた慇懃な態度によっても知られ
ていた.」(モーパッサン全集9より)


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はじめまして.ゴタぴょんと申します.通訳ガイド(英語)をしております.というかしていました.コロナの影響で現在仕事はありません.毎日ヒマなので、語学学習をしております.学習したノートを公開しますので、どうぞ、ご一緒に!
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