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2024年02月15日

1031番:アルルの女(20)

アルルの女(20)
L'ARLÉSIENNE


−−−−−−−−−【20】−−−−−−−−−−−−−−−−
          
Quelquefois il passer des journées entiéres seul
dans un coin; sans bouger: D'autres jours, il
se mettait à la terre* avec rage et abattait à
lui seul le travail de dix journaliers ... Le
soir venu, il prenait la route d' Arles* et mar-
chait devant* lui jusqu' à ce qu' il vît monter
dans le couchant les clochers grêles de la ville:    


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

あるときは、ジャンは数日間たったひとりで、部屋の片
隅で、身動きもせず過ごすこともあり、また別の数日間
は、気も狂わんばかりに畑仕事にとりかかり、ジャンひ
とりで10人分もの畑仕事をこなしたりした...夜にな
ると、一人だけで、アルルへ向かう道を取り、西の空に、
町の教会の細長い鐘楼がそびえるのが見えるところまで
歩いて行きました.


−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

* la terre ここでは「畑仕事」 
se mettre à ~ 〜にとりかかる 
il se mettait à la terre 
彼は畑仕事にとりかかるのを常とした。
   ここでの半過去は「習慣」を表す. 
rage (f) 激怒  avec rage 怒り狂ったように 
「avec + 抽象名詞」は副詞的な意味になる。
この場合名詞は無冠詞となるが、形容詞が
つくと不定冠詞がつく。
abattre (他)「打ち倒す」が基本的な意味。
    ここでは熟語で、abattre du travail
もしくは abattre de la besogne で
    「どんどん仕事を片付ける」
    「せっせと仕事をする」などの意味になる。
* il prenait la route d'Arles
    この d' = de は、
    qui conduit à を意味する(第三書房版対訳書)
彼はアルルへ向かう道をとった。
(道を歩いて行った)
(乗り物が書かれていないので、
徒歩と考えるのが普通)
marcher 〜に向かう、歩く  /
marcher devant soi  まっすぐ歩く
jusqu'à ce que 〜 するまで、
     ここでは場所の到達点。「〜するところまで」
尚、ce は関係代名詞 qui の先行詞。
     このce に場所が示唆される。
  そして jusqu'à ce que のあとは接続法になります。
     jusqu'à ce qu'il voie les clochers. /
鐘楼がみえるところまで
     物語で主節が過去形なので、接続法半過去が
使われます。
     (会話では、簡単に接続法過去で済ませます)
     接続法半過去は、習わなかった方も多いと思
いますので
     活用語尾を書いておきます。
語幹は単純過去の2人称単数(tu)の形から
sをとったものになります。
je ~sse / tu ~sses / il ~^t /
nous ~ ssions / vous ~ssiez / ils ~ssent
     
重要な例外の動詞        
avoir の接続法半過去
      j'eusse / tu eusses / il eût /
nous eussions / vous eussiez / ils eussent
  ★
êtreの接続法半過去
      je fusse / tu fusses / il fût /
nous fussions / vous fussiez / ils fussent

最後に、voir ですが、知覚動詞の文型は
     知覚動詞 + 不定詞 + 名詞
   この名詞は知覚動詞の目的語と不定詞の主語を兼ねます.
  Je vois courir un chien.
犬が走っているのが見えます。
  J'entends siffler le train.
汽車が汽笛を鳴らしているのが聞こえます。



1030番:ボヴァリー夫人(17)


Gustave Flabert
Madam Bovary
ボヴァリー夫人

ボヴァリー夫人(17)

       
−−−−−−−−−−−【17】−−−−−−−−−−−−−−−−−

Cependant, sous la pluie des pensums, l'ordre
peu à peu se rétablit dans la classe, et le pro-
fesseur, parvenu à saisir le nom de Charles Bo-
vary, se l'étant fait dicter, épeler et relire, com-
manda tout de suite au pauvre diable d'aller
s'asseoir sur le banc paresse, au pied de la
chaire. Il se mit en mouvement, mais, avant
de partir, hésita.


−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

 しかし先生が名前を聞き出すため、次々に、新入生に
あれやこれやと指図する中、教室の中は徐々に秩序を取
り戻しました.先生は、名前を書き取らせたり、スペル
を言わせたり、再読させたりして、ようやくシャルル・
ボヴァリーという名前だということがわかったのでした.
そしてすぐさま先生は、この哀れなやつに教壇のすぐ下
の劣等生席に来て座るよう命じました.新入りはどうし
ようかと迷った末にやっと移動しました.
 

−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

cependant:(接) しかしながら、にもかかわらず、
pensum:[ペンソム][ラテン語](mn) 罰の宿題
   faire des pensums / 罰の宿題をする
sous la pluie des pensums:罰の課題の雨の中;
   雨あられと降り注ぐような先生からの課題
  (自分の名前がちゃんと言えるまで、
   先生が新入りに、あれこれ指示したこと)
ordre:(m) 秩序
se rétablit:(3単単純過去)
< se rétablir (pr) 健康を回復する、回復される、
   状態が元に戻る  
rétablir (他):もとの状態に戻す、復旧する、回復する
parvenu(e):成り上がり者 (p.passé) <parvenir
parvenir:(自)[àに]苦労して達する
saisir:(他) つかむ、捕らえる、把握する、理解する
dicter:(他) 書取らせる、
se l'étant fait dicter:(p.pré) [leは名前]
   名前が聞き出せたところで
épeler:(他) 字のつづりを言う、
   Voulez-vous épeler votre nom ?
名前のつづりを言ってください.
relire:(他) 再読する、読み返す、
   J'ai relu plusieurs fois ce livre.
私はその本は何度も繰り返し読んだ.
commanda:(3単単純過去) < commander (他)
   ❶ 指揮する; ❷支配する、命令する
diable:(m) ❶悪魔、❷人間、やつ、男、
   bon diable / いいやつ
   ❸やんちゃ坊主、いたずらっ子
s'asseoir:(pr) 座る、着席する
  * asseoir:(他) 座らせる、着席させる
sur le banc:席に;(慣用表現)
   無理に「席の上に」としないこと.
   sur les bancs は「在学中に」「学校で」
paresse:[パレス](f) ❶怠惰、安逸;❶不活動、のろさ
le banc paresse:辞書不掲載語だが、banc には特定の人が
   座るという意味があるので、おそらくこれで
   「劣等生の席」なのであろう;反対に優等生の席は
   banc d'honneur でクラス1位の成績の人が座る
chaire:(f) 教壇
au pied de la chaire:教壇の真近に;
Il se mit en mouvement:彼(新入生)は移動を始めた.
    mit はmettre の3単単純過去 (直現はmet)
partir:(inf) 行くこと
hésita:(3単単純過去) < hésiter (自) ためらう
   < hésiter à + 不定詞 > 〜するのをためらう
   尚本文 < hésiter de + 不定詞 > は古形で、
   意味は同じ「〜するのをためらう」.
  フローベール(1821~1880)は200年ほど前の人
   ですので、ときどき古い表現があります.
 



1029番:ナナ(7)(エミール・ゾラ)


Émile Zola
−Nana−

ナナ(7)


−−−−−−−−−−【7】−−−−−−−−−−−−−−−−−

Une ouvreuse passait.
≪ Oh ! monsieur Fauchery, dit-elle familièrement,
ça ne commencera pas avant une demi-heure.
−−Alors, pourquoi affichent-ils pour neuf heru-
res ? murmura Hector, dont la longue figure
maigre prit un air vexé. Ce matin, Clarisse, qui
est de la pièce, m'a encore juré qu'on commence-
rait à neuf heures précises.≫



..−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 ひとりの案内嬢が通りかかりました.
 「あら、フォシュリーさん、」案内嬢は気安く声を掛
けました.「まだ30分しないと開演しませんわよ.」
 「それじゃあ、どうしてポスター広告には9時開演な
んて書くのさ?」エクトルがぼそっと呟いた.その痩せ
た面長の顔は不機嫌そうな様子だった.今朝、この芝居
に出ているクラリス私に9時ちょうどに開演するって、
きっぱり言ってのけたんだぜ.


..−−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

ouvreuse:(f) 案内嬢
passait:(3単半過去) 通りかかった;
   「通り過ぎた」と訳せば減点.半過去とは
   完了していない過去.別名「未完了過去」
   なぜ「半」というのかについては、過去の
   後半半分がない描写のため.たとえば刑事
   ドラマで犯人がナイフで人を殺そうとした
   瞬間に場面が切り替わるようなもの.まだ
   殺していない.次の瞬間ウルトラマンが現
   れるかもしれない.
Fauchery:(人名)フォシュリー(性)
dit-elle:引用セリフの導入では倒置するのが普通.
familièrement:(副) なれなれしく、親しげに
commencera:(3単単純未来) < commencer
afficher:(他) (ポスターなどで)予告する、広告する
   掲示する
murmura:(3単単純過去) < murmurer (他) ささやく、呟く
figure:(f) 顔、顔つき;(英語のfigureは「姿」.意味が
   フランス語とずれているので注意)
vexer:(他) 〜のl自尊心[感情]を傷つける、怒らせる;
   Cette remarque l'a vexé. / そう注意されて彼は気を
   悪くした. 
prit un air vexé:不機嫌そうな様子を見せた
Clarisse:人名(女子の名)クラリス、クララ
~ est de la pièce:〜がこの劇に出ている
   pièce は「演目」「出し物」
juré(e):(形) 深く誓った、公然と
   < jurer (他) 誓う、宣言する、断言する
commencerait:(3単条)(ここでは過去未来)
< commencer (自) 始まる 
à neuf heures précises:9時きっかりに
précis(e):(形) 正確な、ちょうどの、


1028番:学習挫折記念館(その1)「ニーベルンゲンの歌」

ニーベルンゲンの歌
Das Nibelungenlied

学習開始2021年6月27日(日)
学習挫折その後間もなく

−−−−−−−−−−−−【1】−−−−−−−−−−−−−−−−

Erstes Abenteuer

Wie Kriemhilden träumte

Viel Wunderdinge melden・die Mären alter Zeit
Von preiswerten Helden・von großer Kühnheit,
Von Freud'und Festilichkeiten・von Weinen und von Klagen,
Von kühner Recken Streiten・mögt ihr nun Wunder hören sagen.

−−−−−−−−−−−−【訳】−−−−−−−−−−−−−−−−

    「第一歌章」
クリームヒルトの夢見た様子

いにしえの時より伝えられている多くの驚嘆すべき話がある.
誉れ高き勇者の伝説、大胆な行為の数々の伝説
喜びと宴、涙と悲嘆の話
勇敢な戦士たちの戦いの話
今やおん身らは驚異の話の数々が語られるのを聞けるであろう.


−−−−−−−−−−−−【語句】−−−−−−−−−−−−−−−−

Kriemhild (人名)クリームヒルト(叙事詩ではクリエムヒルトですが一般読みに
                 従います)
wie Kriemhilden träumte 人名が格変化しているのにたまげました。
    これが1格か4格かで意味がかわるのですが、どうせ、こっちは
    無知・無教養の輩.1格ということで...
   (女性名詞の単数は変化しないはずなのですが私の理解を越えています)
träumte(過去形)<träumen (自) 夢を見る
Wunderdinge <das Wunderding {_(e)s/_e} 素晴らしい事物、《複数形で》不思議なこと 
melden (他)〜を報道する、報告する
die Mären (複)<die Mär [メーア]{_/_en}お話、言い伝え
   これに縮小辞がつくと、おなじみの単語、das Märchen です.
alter Zeit (2格)(形容詞は強変化)(f)古代の〜(言い伝えに続く)
das Abenteuer {_s/_} 冒険;冒険的な企て
  auf Abenteuer ausgehen 冒険に出かける
Erstes Abenteuer は「第一冒険」となるが、一般的には
 「第一歌章」と訳されているので、慣例に従います.
  「冒険」を「歌」と訳したのでは少なくとも独検では
  不合格答案になりますが、この物語の特異性からそれは、
  承認されるものだろうと思います.全てが頭韻、あるいは
  脚韻の韻律でもって歌われているからです.
Kriemhilden < Kriemhild [クリームヒルト] ジークフリートの妻
   岩波文庫の「ニーベルンゲンの歌」にはクリエムヒルト
   と訳されています.一般にはクリームヒルトですが、中世叙事詩の
   読みは、クリエムヒルトになります.ジークフリートの名も、
   中世叙事詩では、ジーフリトとなります.
träumte 過去形
von がたくさん出てきます.これらは、先行するdie Mären(お話)
 の内容を展開する導入辞です.「〜の話」「〜な話」etc.
preiswert (形) お買い得な
Helden → Held (m){弱} ❶英雄、勇士、❷(物語の)主人公
preiswerten Helden お買い得な英雄? → preiswert をもう一度
  調べる必要あり.「岩波文庫訳」と照合すると、preiswert は
  「誉れ高き」そこで博友社大辞典を引くと、「賞賛すべき」という
  意味がありました.よくみると、この辞書の編者と岩波文庫の
  翻訳者は同じ先生です(相良博士)
großer <groß (形) 大きい
die Kühnheit {_/_en} ❶(複ナシ)大胆、厚かましさ、❷大胆な行為
Freud' (縮約形) < die Freude 喜び
die Festilichkeiten {_/_en} ❶お祭り気分、華やかさ、荘重、華麗
      ❷祝祭、饗宴、祭典 
Klagen (複)<die Klage {_/_n} 嘆き、悲嘆
Weinen (辞書不掲載) 推測しますと:Wein(酒)の複数はWeine なので別.
  動詞weinen (泣く) の名詞化だと考えます.
von Weinen und von Klagen 「涙と悲嘆の話」と訳しました.
kühner <kühn (形) ❶大胆な、勇敢な、思い切った、あつかましい
  Ich bin so kühn, zu fragen. / 失礼ですがお尋ねいたします.
Recken (複) <der Recke {_n/_n}(詩) 英雄、勇士、戦士(とくにゲルマン伝説の)
Streiten (複) <der Streit {_(e)s/_e} 口論、争論、争い、けんか
   (古語)戦闘
mögt ihr nun Wunder hören sagen 主語はihr (諸君)、知覚動詞 hören は
不定詞 sagen と結合して 「語られているのを聞く」
  mögt は ihr の定動詞で動詞群hören sagen を文末に従える.
das Wunder {_s/_} 驚くべきこと、不思議なこと
「今や、諸君は驚異(に満ちた話)が語られるのを聞くことができるでしょう.」

2024年02月14日

1027番:「湖畔」(32)(シュトルム作)


湖畔(32)
IMMENSEE(32)


−−−−−−−−−【32】−−−−−−−−−−−−−−−

 Der Kleinen kam das Weinen nahe.„Mach
nur nicht so böse Augen,“ sagte sie;„ich will
ja mit nach Indien,“


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

 少女は泣き出しそうになった.「そんなにいやな目を
しないで頂戴.」彼女は言いました.そう、それじゃわ
たし、一緒にインドへ行くわ.」


−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−

böse:(形) 悪い、よくない、いやな

2024年02月13日

1026番:ロンドリ姉妹(27)


ロンドリ姉妹(27)


−−−−−−−−−−【27】−−−−−−−−−−−−−−−

 Vous connaissez Paul. Pour lui, le monde, la
vie, c'est la femme. Il y a beaucoup d'hommes
de cette race-là.


.−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

ポールのことはご存じですよね.ポールにとっては、
人の世とは、人生とは、女なのである.この手合いの
男は、世の中には、わんさといる.



...−−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−−

race:(f) 人種
cette race-là:この手の人種、この手合い

1025番:ロックの娘(25)


ロックの娘(25)
La petite Roque



−−−−−−−−−【25】−−−−−−−−−−−−−−
   
 Le facteur, à ce toucher, sentit son cœur
retourné, comme il le dit plus tard, et la
salive séchée dans sa bouche. Se relevant
brusquement, il se mit  à courir sous la
futaie vers la maison de M. Renardet.

 

.−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

 郵便配達夫は、後に話したところによると、死体に
触れたとき、心が動転しているのを感じて、口の中は
唾液もからからに乾いていたという.彼は咄嗟に立ち
上がり、樹林の中を走り出し、ルナルデ氏の宅を目指
した.


.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−

facteur:(m) 郵便配達員
à ce toucher:これに触れると;
   ce は指示形容詞で「この」
   ce を動詞 toucher の直接目的と見ることは文法上
   できません.ce は文法上「主語」に立つからです.
ここではtoucher は名詞(m)で「手触り」「触覚」
「感触」「触れること」 à は前置詞で、「〜によ
って」. à ce toucherは「この感触によって」
sentit:(3単単純過去) < sentir (他) 感じる
cœur:(m) 心
retourné:(形、p.passé) 動転した;
   <retourner (他) 動転させる 
sentir son cœur retourné:自分の心が動転しているのを
   感じる.[感覚動詞は目的語が不定詞の主語と
   なるが、ここでは不定詞êtreが脱落したものと
   みればよい]
comme il le dit plus tard:彼がのちに話したところでは
   le は中性代名詞で、死体発見当時の状況のこと
salive:[サリーヴ](f) 唾液、つば
séché(e):(形、p.passé)
   < sécher (他) 乾かす、乾燥させる 
dans sa bouche: 彼(女)の口の中では
se relevant:(p.pré)
   < se relever (pr) 立ち上がる、起き上がる 
brusquement:[ブリュスクマン](副) 急に、不意に
futaie:[フュテ](f) 大木、大木の樹林、
   森の中の大木の木立、大樹からなる森、
   高林、樹林、植樹造林


1024番:アルルの女(19)


アルルの女(19)
L'ARLÉSIENNE
アルルの女



−−−−−−−−−【19】−−−−−−−−−−−−−−−−
 
Jan ne parla plus de* l' Arlésienne. Il l'aimait
toujours cependant, et même plus que jamais*, depuis
qu' on la lui avait montrée dans les bras d' un
autre. Seulement il était trop fier pour* rien dire;
c'est ce qui* le tua, le pauvre enfant ! ...


−.−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

ジャンはもうアルルの女のことを話には出しませんでした。
それでも尚もジャンはその女を愛し続けた。女が自分以外
の男に抱かれていることを聞かされてからも、なお一層、
愛し続けたのだ。彼はただプライドが高すぎて、口にする
ことができなかっただけなのです。そしてこのことが、
気の毒なことに、この青年を死なせてしまったのです。


−−−−−−−−−《語句・語法1》−−−−−−−−−−−−−−−−

seulement: ただ〜なだけ
trop fier pour ~:〜するのは、あまりにプライドが高すぎる;
       あまりにプライドが高すぎて〜できない
 rien は肯定の不定代名詞としても、否定としても用いますので
 訳し方は2通りあります.(どちらでもOK!)
(A)il était trop fier pour rien dire:彼はあまりにもプライドが
           高いので、何も言えなかった.
(B)il était trop fier pour rien dire:彼は何かを言うには、あまり
           にもプライドが高かった.

 ただし(A)の訳を認めない先生もいらっしゃるので、
試験のときは(B)でお願いします.つまり、rien はne や
jamais などのはっきりした否定辞がない限りquelque chose
の意味になるというのです.

しかしrien は否定辞がなくても否定を表現することもあります.
Rien de nouveau. / 何も新しい[変わった]ことはない.

ところで本文の場合、私はpour にはすでに否定の意味が込めら
れているのではないかと考えます.
そういうことで
(A)の訳が許されると考えます.

 大切なことは rien は quelque chose という意味を内蔵している
ので ne を伴わないときは注意が必要です.
 たとえば:
   vivre sans rien faire / 「何もしないで暮らす」
 であって、「何もしないことなく暮らす」とすれば、誤訳です.

英語に換算するとanything です.anythingはno や not を伴わない
ときは、本来something の意味をもっていて、それを復活させます.
 

−−−−−−−−−≪語句・語法2≫−−−−−−−−−−−−−−−−
         
ne parla plus de: parler de ~ 「〜について話す」
        ne ~ plus 「もはや〜ない」    
même plus que jamais: plus que jamais 「今までより一層」
même この場合は副詞で「〜さえ」
        il l'aimait même plus que jamais
今までより一層愛してさえいた
        l'aimait のl' つまりla はアルルの女
on la lui avait montrée:la は「アルルの女」lui は「ジャン」
dans les bras d'un autre :別の男(ジャン以外の男)の腕の中
on avait montrée l'Arlésienne dans les bras d'un autre à Jan
ということです  


1023番:ボヴァリー夫人(16)


Gustave Flabert
Madam Bovary
ボヴァリー夫人

ボヴァリー夫人(16)


       
−−−−−−−−−−−【16】−−−−−−−−−−−−−−−−−

Ce fut un vacarme qui s'élança d'un bond,
monta en crescendo, avec des éclats de voix
aigus (on hurlait, on aboyait, on trépignait, on
répétait:Charbovari ! Charbovari !), puis qui
roula en notes isolées, se calmant à grand-
peine, et parfois qui reprenait tout à coup sur
la ligne d'un banc où saillissait encore ça et
là, comme un pétard mal éteint, quelque rire
étouffé. 


−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

その言葉で一瞬に騒ぎが起きた.そして段々と騒ぎは
大きくなり、大きな甲高い声も舞上がった.(吠えるよ
な声だったり、唸るような声だったり、足鳴らしする者
もあった.そしてシャルボヴァリ、シャルボヴァリと繰
り返すのだった.それから轟く声はまばらな音となって
やっとのことで和らいだ.そしてときどき突然、席から
席へと、さらにあちこちで、くすぶった爆竹のように、
くすくす笑いがほとばしっていた.


 

−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

vacarme:[ヴァカルム](m) (人の)騒ぎ、騒音、喧騒
   faire du vacarme / 大騒ぎをする
   le vacarme d'une usine / 工場の騒音
s'élança:(単純過去3単) < s'élancer (pr) 突進する
   駆け出す
bond:(m) 跳ぶこと、
d'un bond:ひと跳びで、一躍;
se lever d'un bond / 跳び起きる
monta:(単純過去3単) < monter
crescendo:[クレッシェンド](副) 次第に強く
crescendo:名詞(m)としても用いる
  その場合、en crescendo で「次第に強く」
éclats:[エクラ](m) 騒ぎ、大きな音、大声、爆発音
   破片 
aigu(ë):(形) 先の尖った、鋭い
hurlait:(3単単純過去)<hurler [ユルレ](犬・狼が)
   遠吠えする、吠える
   (人が)大声で言う、わめく
aboyait:(3単単純過去) < aboyer (自) (犬が)ほえる、
うなり声をあげる
trépignait:(3単単純過去) < trépigner [トレピニェ](自)
   (喜びや怒りで)足を踏み鳴らす、地団駄踏む
    trépigner de colère / 腹を立てて足を踏み鳴らす
répétait:(3単半過去) < répéter (他) 繰り返す
roula:(3単単純過去) < rouler (自) 転がる、転落する
   (車が)走る;(音が) とどろく、鳴り響く
en notes ~ :❶〜を書き留めて;❷〜の音で
isolées:(p.passé/pl/f) < isoler (他) 孤立させる
se calmant:(p.pré) < se calmer (pr) 静まる
calmer:(他) 静める、和らげる、落ち着かせる
à grand-peine:かろうじて、やっとのことで
parfois:ときには、ときどき
reprenait:(3単半過去) < reprendre (他) 再び取る
取り戻す、再び始める、再び続ける;
tout à coup:[トゥタクー] 突然
ligne:(f) 線
sur la ligne de:〜を伝って、〜に沿って
sur la ligne d'un banc:席伝いに
banc:[バン](m) 席
saillissait:(3単半過去) < saillir [サィイール](自) [文]
   ❶【活用は3単のみ】saille (直現3単);
saillait (3単半過去);  
    突出する、張り出す、浮き出す;
   ❷【活用は第2群規則動詞】[古語]
     湧出する、噴出する
pétard:[ペタール](m) 爆竹 
éteint(e)[エタン(ト)]:(形) 消えた;< éteindrer (他)消す
pétard mal éteint:ちゃんと消えていない爆竹;
くすぶった爆竹
étouffé:(形p.passé) 押し殺された
   < étouffer (他) 窒息させる、息苦しくさせる 



1022番:ナナ(6)(エミール・ゾラ)


Émile Zola
−Nana−

ナナ(6)


−−−−−−−−−−【6】−−−−−−−−−−−−−−−−−

 ≪ Que te disais-je, Hector ? s'écria le plus âgé,
un grand garçon à petites moustaches noires, nous
venons trop tôt. Tu aurais bien pu me laisser
achever mon cigare. ≫.



..−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「だから言ったろう、ヘクトル.」、年上のほうの背の
高いちょび髭を生やした青年が大きな声で言った.「来
るのが早すぎたのさ.ぼくに葉巻を吸い終わらせてくれ
てもよかったじゃないか.」


..−−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

Que te disais-je, Hector ? :ヘクトル、ぼくは君に何て言
    っていたか? が直訳だが、軽い苦情、非難が
    混ざった表現です.「だから言ったじゃないか」
何て言っていたかを思い出せ、という責め立て.
s'écria;(3単単純過去) < s'écrier [セクリエ] 叫ぶ、
    大声を上げる
nous venons trop tôt:現在形なので「私たちは早く来す
    ぎます.」ですが、すでに到着済みですから過去
    形にしたい気がします.しかしフランス語の現
    在形は進行形を兼ねているので、「現在早すぎる
    ぐらいに到着しているよ」と考えれば、納得で
    きるかと思います.
achever mon cigare:ぼくが葉巻を吸い終わること.
cigare:(m) 葉巻
achever:(他) 終える
<achever de + 不定詞> 〜し終える
すっかり〜してしまう


.−−−−−−−−−≪感想≫−−−−−−−−−−−−−−−

葉巻はタバコよりも吸い終わるのに時間がかかるのだと
思います.

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はじめまして.ゴタぴょんと申します.通訳ガイド(英語)をしております.というかしていました.コロナの影響で現在仕事はありません.毎日ヒマなので、語学学習をしております.学習したノートを公開しますので、どうぞ、ご一緒に!
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