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2024年10月08日

1269番:ペルル嬢(86)


ペルル嬢(86)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−−−−【86】−−−−−−−−−−−−−−−−−
   
Mes frères, âgés de dix- huit et de vingt ans,
courturent chercher lerurs fusils; et comme on
ne faisait guère attention à moi, je m' emparai
d'une carabine de jardin et je me disposai aussi
à accompagner l'expédition .


−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

18歳と20歳になる兄たちは、各々自分の銃を取りに走
った.そして誰も殆ど私には目もくれなかったものだか
ら、私は射撃練習用の銃をひっつかんできて、探検チー
ムに参加しようとしました.
 

 
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

s'emparai:< s'emparer [de を] 奪う、横取りする
    占領する、❷すばやくつかむ、握りしめる
carabine:(f) 軽小銃、騎兵銃、カービン銃
carabine de jardin:(辞書不掲載につき不明) 訳本側は
  「空気銃」となっている.そこで空気銃を和仏で
  逆引きしてみら、空気銃:fusil à air comprimé (m) 
一方、仏和のcarabine の追い込みにある「空気銃」
はcarabine à air comprimé なのでcarabine de jardin
は依然、謎のまま.まさか危険な銃を庭に置いて
いたりはすまい.それとも庭に鍵をかけた倉庫が
あって、そこに保管してあったのか?その場合、
jardin には定冠詞がついてcarabine du jardin のはず.
これなら「庭から銃をひっつかんできた」しかし
それは違うはず.ここのde は「用途」のde で、
de jardin は「庭園用の」だと思います.庭園で
使用する射撃練習用の銃なのかも知れない.尚
kindle 版も紙版(Collection Guy de Maupassant 17)
もcarabine de jardin なので本側のミスでもなさそ
うです.さてどう訳すか.無責任なことはしたく
ないので、今自分が一番正解だと思う訳をつけて
おきます.「射撃練習銃」  
me disposai:(1単半過去) < se disposer
se disposer à + 不定詞:まさに〜しようとする、
accompagner:(他) (人と)一緒に行く、(の)お供をする
   (に)付き添う、(を)送っていく
expédition:(f) 探検、探検隊、遠征チーム.

2024年10月07日

1268番:ペルル嬢(85)


ペルル嬢(85)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−−−−【85】−−−−−−−−−−−−−−−−−
   
Mon père, bien que très calme et un peu impotent
( il traînait la jambe depuis qu' il se l' était cassée
en tombant de cheval), déclara à son tour qu' il
voulait savoir ce que c' était, et qu' il irait.


−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

父は落ち着いた人で、身体にやや障害があった(落馬で
骨折して以来、彼は脚を引きずっていました)のだが、
自分も行ってどうなっているのかを知りたいと言った.
そして行こうとした.
 

 
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

bien que + 接続法:〜にもかかわらず、〜ではあるが
impotent(e):(形/名) 手足が不自由な(人)
cassé(e):(形) 壊れた、割れた、折れた、骨折した
   jambe cassée / 骨折した脚、
traînait:(3単半過去) < traîner (他) 引く、引っぱる、
引きずる;



1267番:ペルル嬢(84)


ペルル嬢(84)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−−−−【84】−−−−−−−−−−−−−−−−−
   
 Et elle sonna, juste au moment où l' on coupait
le gâteau des Rois. Tous les hommes se levèrent
ensemble. Mon oncle François, qui avait bu du
champagne, affirma qu' il allait LE massacrer avec
tant de fureur, que ma mère et ma tante se
jetèrent sur lui pour l' empêcher.



−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

 そしてみんなが王様を決めるケーキを切ろうとしてい
たとき、鐘が鳴りました.男たちは一斉に立ち上がりま
した.叔父のフランソワは、シャンペンを飲んでいまし
たが、あいつをぶっ殺してやると、あまりに激しく言っ
たので、母と叔母は彼に向かってすっ飛んで行って、そ
うさせないようにした.


 
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

se levèrent:(単純過去3複) < se lever (pr) 立ち上がる
affirma:(3単単純過去) < affirmer (他) 主張する、
   言い張る、断言する
empêcher:(他) 妨げる、邪魔する、遮る;
LE:遠吠えをする犬を指す
massacrer:[マサクレ](他) 虐殺する、殺戮する、屠殺する
fureur:[フュルール](f) (激しい)怒り、激昂p
se jetèrent sur:(単純過去3複) <se jeter sur ~:
   〜に飛びかかる、


1266番:ペルル嬢(83)


ペルル嬢(83)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−−−−【83】−−−−−−−−−−−−−−−−−
   
On se remit à dîner, mais tout le monde de-
meurait anxieux; on sentait bien que ce n 'était
pas fini, qu' il allait se passer quelque chose, que
la cloche, tout à l' heure, sonnerait encore.



−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

 みんなは食事に戻りました.しかし全員が不安をかか
えたままでした.まだ事態は終わっていないと感じられ
たのです.まだ何かが起こるだろう、まだしばらくした
らもう一度あの鐘が鳴るだろうと感じていたのです.


 
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

on se remit à dîner:みんな再度食事を取り始めた.
一般に<se remettre à + 不定詞>で、再度〜し始める
tout le monde demeurait anxieux:みんなは不安を抱えた
  ままだった.
一般に<demeurer + 状態>で、〜のままである
demeurer:(自) とどまる、残る 
類似動詞にrester がある.これも同じように
<rester + 属詞・様態の状況補語>(ある状態に)
とどまる、〜のままでいる
tout le monde restait anxieux で置き換え可.(同じ意味)


1265番:ペルル嬢(82)

ペルル嬢(82)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−−−−【82】−−−−−−−−−−−−−−−−−
   
L' absence de mon oncle nous parut durer une
heure. Il revint enfin, furieux, jurant: ≪ Rien, nom
de nom, c' est un farceur ! Rien que ce maudit
chien qui hurle à cent mètres des murs.Si j' avais
pris un fusil, je l' aurais tué pour le faire taire.≫



−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

 叔父の不在時間は、私たちには1時間ほど続いたよう
に思えました.そうして叔父はやっと戻ってきたのです
が、鼻息荒げて、きっぱり言うことには、「何もねえよ、
全くこん畜生め!犬の悪ふざけだよ.いまいましい犬が、
数100メートル離れたところで、ただ遠吠えをしていた
だけさ.私が銃をもっていたら黙らせるために打ち殺し
ていたところだったよ.」



−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−− 
    
furieux(se):(形) 激怒した、激昂した
juant:(p.pré) < jurer (他) 誓う、約束をする
rien:なにもない、ne が伴っていないので、「ない」
 という語尾までは訳せないが、日本語の北海道辺り
  で「何もだよ」という言い方をする、あれと同じ.
  ここでは、「人っ子ひとりいない」ほどの意味.
nom de nom:(間) いまいましい、畜生!、くそっ!
 (憤り、驚きで出る言葉)(あまり上品ではない言葉)
farceur:(形) いたずら好きな、茶目っ気のある、
  < farce (f) いたずら、悪ふざけ
rien que qc/qn:ただ〜だけ、たったの〜
maudit(e):(p.passé) < maudire [モディール](他)
  呪う、恨む
se taire:(pr) 黙る
faire taire:黙らせる;(この場合se は省略する)


1264番:ペルル嬢(81)


ペルル嬢(81)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−−−−【81】−−−−−−−−−−−−−−−−−
   
Mon père essaya de nous rassurer: ≪ Vous allez
voir, dit- il, que ce sera quelque mendiant ou
quelque passant perdu dans la neige. Après avoir
sonné une première fois, voyant qu' on n' ouvrait
pas tout de suite, il a tenté de retrouver son
chemin, puis, n' ayant pu y parvenir, il est revenu
à notre porte.≫



−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

 父は私たちを安心させようと努めました.「今にわか
るよ.」と父は言いました.「それは物乞いか何かだろう、
あるいは雪の中で道に迷った通行人か何かだろう.1回
目に鐘が鳴ったあと、私たちはすぐには扉を開けないよ
うにしたが、道を探してみたのだよ.それからやっぱり
たどることができず、私たちのところの門扉まで戻って
来たってことさ.


−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

essaya:(3単単純過去) < essayer (他) 試みる
essayer de + 不定詞:〜しようと試みる、努める
rassurer:(他) 安心させる、
Ses propos me r4assurent. /
彼女の言葉は私を安心させる.
mendiant:(名) 乞食、物乞い
tenté:(p.passé) < tenter (他) 試みる、ためしてみる.
tenter de + 不定詞:〜しようと試みる
retrouver:(他) (なくしたものを)見つける、取り戻す
parvenir:(自) たどり着く、達する、
(人に)届く


−−−−−−−−−−−−≪語法≫−−−−−−−−−−−−−−−−−

Après avoir sonné une première fois, voyant qu'on n'ouvrait
pas tout de suite:
voyant が使われ分詞節になっているため、主体(主語)特
定が曖昧だが、意味上の主語はnous です.
Après avoir sonné une première fois, nous avions vu qu'on
n'ouvrait pas tout de suite:
そしてvoir que のところはvoir à ce que (〜するように
する)のことだと思います.
Après avoir sonné une première fois, nous avions vu à ce
qu'on n'ouvrait pas tout de suite:
1回目に鐘が鳴ったときは、私たちはすぐには扉を開け
ないようにした.
となります.
英語に[see to it that ~] という似た表現があって、「〜
するようにする、〜するように取り計らう」という意味
になります.恐らくここのvoir もこれだと思います.


1263番:ペルル嬢(80)


ペルル嬢(80)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−−−−【80】−−−−−−−−−−−−−−−−−

 Mais mon oncle ne prit qu' une canne et sortit
aussitôt avec le domestique.

Nous autres, nous demeurâmes frémissants de
terreur et d' angoisse, sans manger, sans parler.


−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
 しかし叔父は杖しか持たずに、使用人と一緒に、すぐ
に出かけました.
他の私たちは恐怖と不安で食事ものどが通らず、おし
ゃべりもできず、恐怖と不安で震えおののいていました.


 
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

canne:(f) 杖、ステッキ
domestique:(名) 召使い、使用人;
   公式には employé de maison という.
demeurâmes:(1複単) < demeurer (自)
   (ある場所に)とどまる、残る;
   (同じ状態に)いる、〜のままである、
Elle est demeurée silencieuse toute la soirée.
彼女は一晩中黙っていた.
frémissant(e)[フレミサン(ト)]:(形) 震えている、
   Il est frémissant de colère.
彼は怒りに震えている.  
* frémissment [フレミスマン](m) 震え、おののき
terreur:[テルール](f) (大きな)恐怖、
  * horreur [オルール](f) 恐怖、恐ろしさ
   frémir d'horreur / 恐怖におののく
angoisse:[アングワス](f) () 不安、恐怖、苦悩、心配

1262番:ペルル嬢(79)


ペルル嬢(79)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−−−−【79】−−−−−−−−−−−−−−−−−

Mon oncle François se leva. C' était une espèce
d' hercule, très fier de sa force et qui ne craignait
rien au monde. Mon père lui dit: ≪ Prends un
fusil. On ne sait pas ce que ça peut être.≫



−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

叔父のフランソワが立ち上がった.この人は筋骨たく
ましい男で、その怪力が自慢だった人で、世の中恐れ知
らずの人だった.父は彼に言った.「銃を持っていけよ.
何があるかわからんぞ.」


 
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

se leva:(3単単純過去) < se lever (pr) 立ち上がる、  
espèce:[エスペース](f) 種類、性質、種、種族;
une espèce de + 名詞:〜のようなもの、一種の〜
hercule:(m) 怪力の男、筋骨のたくましい男
  homme bâti en hercule /
  ヘラクレスのようなたくましい男.
fier de ~:〜を自慢する、誇らしく思う
craignait:(3単半過去) < craindre (他) 恐れる、
  心配する
fusil:[発音注意フュジ](m) 銃、小銃、鉄砲

1261番:ペルル嬢(78)


ペルル嬢(78)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−−−−【78】−−−−−−−−−−−−−−−−−

Ma mère enfin parla:≪ C' est étonnant qu' on ait
attendu si longtemps pour revenir; n' allez pas seul,
Baptiste; un de ces messieurs va vous accompagner. ≫



−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

とうとう母が言った.「こんなにも長く待ってから、
戻って来るなんて、やっぱりおかしいわ.バプティス
トや、一人で行くんじゃないよ.誰かひとり男の人に
一緒について行ってもらいなさい.」


 
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

étonnant(e):(形) 驚くべき、不思議な、
qu'on ait attendu si longtemps pour revenir:(接続法大過去)
こんなにも長く待ってから、戻って来るなんて.


1260番:ペルル嬢(77)


ペルル嬢(77)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−−−【77】−−−−−−−−−−−−−−−−
 
 Nous restions à nous regarder, la fourchette
en l' air, écoutant toujours, et saisis d' une espèce
de peur surnaturelle.


−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

 私たちは、持ったフォークが宙で止まったまま、お互
いの顔を見合わせ、尚も聞き耳を立てたまま、そして得
も知れぬような恐怖に憑りつかれていました.

  
−−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

fourchette:(f) フォーク
espèce:(f) 種類;
  une espèce de + 無冠詞名詞:一種の〜、〜のような;
  Ils habitent une espèce de château. / 彼らはお城みたい
な所に住んでいる.
surnaturel(le):(形) 超自然的な、不可思議な

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