2014年01月25日
青果の「アイドル」、新品種続々デビュー
野菜や果物で新顔が続々と登場している。イチゴの新品種は最近5年間で新たに73件登場し、その前の5年間に比べ6割多い。トマトの新品種も3割増えた。甘さや、見た目、大きさといった特徴を競い、市場が活気づいている。産地や種苗会社間の競争は今後も激しくなりそうで、農業の成長をけん引し、地域経済を元気づけている。
イチゴの多くの新品種に共通する特徴は「大きさ」と「甘さ」だ。1990年代に市場に登場した栃木県の「とちおとめ」は従来の品種より大きいのが売り物だったが、その後はさらに大粒のものが出た。2012年の栃木「スカイベリー」は通常品種の2倍近い大きさが特徴だ。このほか奈良では糖度13度以上と甘い「古都華」、熊本では白い果肉が特徴の「あその小雪」などが続々登場している。
新品種ラッシュの引き金になったのは05年に品種登録された福岡県のイチゴ「あまおう」だ。大きさに加えて甘さが特徴で、高級イチゴのなかでの存在感は大きい。都内のスーパーの小売価格は、とちおとめが1パック400円程度に対しあまおうは600円前後と高め。福岡のイチゴは主力のあまおうの販売拡大で生産量を伸ばし、首位の栃木を追いかける。
2位の福岡とは対照的に栃木は03年から生産量が2割減った。危機感を強めた栃木はあまおうの対抗品種としてスカイベリーを投入した。
トマトでは種苗会社の間の競争が激しい。有名品種「桃太郎」シリーズを擁するタキイ種苗が毎年のように新品種を投入。病気に強い「桃太郎セレクト」などを出しているほか、サカタのタネも栽培が簡単な「パルト」などを出す。
最大産地の熊本県の生産量は10万4300トン(12年)で、03年に比べて2割伸びた。「メロンからの転作が目立つ」(JA熊本経済連)という。甘くて食味の良い品種が多く登場したことで、トマトの生産に乗り出す農家が増加。地域農業の活性化につながっている。
中堅スーパーのいなげやによると「より糖度の高い商品を求める消費者のニーズもあり、店頭に並ぶトマトの種類は増える傾向だ」。新品種の登場で消費者は好みにあったものを幅広い品ぞろえから選べるようになる。トマトはスーパーの野菜売り場でトップクラスの売り上げを誇る主力商品。「並べる品を工夫すれば、ほかのスーパーとの違いを打ち出せる」と扱う店にとってもメリットは大きいという。
そのほか、キャベツは09〜12年の新品種の発表数がその前の4年に比べ2倍に増加。ジャガイモも同3倍、小松菜も2.4倍に増えた。
日本の産地間競争でしのぎを削った品質や見栄えのいい農産物は輸出市場を開く顔にもなる。あまおうが多い12年の門司税関管内のいちご輸出量は約73トンで前年比で8%増えた。13年も前年を上回ったもようだ。香港や台湾を中心にアジアの消費者を魅了している。
国内で競う産地が連携すれば海外に攻め込む可能性も広がる。九州経済調査協会の岡野秀之調査研究部次長は「輸出相手はさまざまな商品をほしがっている。県域にこだわらず各地を代表するブランド農産物をセットで輸出する仕組みをつくることができれば、日本の農産物輸出全体の底上げにつながる」と説明する。
日本経済新聞より引用しました。
イチゴの多くの新品種に共通する特徴は「大きさ」と「甘さ」だ。1990年代に市場に登場した栃木県の「とちおとめ」は従来の品種より大きいのが売り物だったが、その後はさらに大粒のものが出た。2012年の栃木「スカイベリー」は通常品種の2倍近い大きさが特徴だ。このほか奈良では糖度13度以上と甘い「古都華」、熊本では白い果肉が特徴の「あその小雪」などが続々登場している。
新品種ラッシュの引き金になったのは05年に品種登録された福岡県のイチゴ「あまおう」だ。大きさに加えて甘さが特徴で、高級イチゴのなかでの存在感は大きい。都内のスーパーの小売価格は、とちおとめが1パック400円程度に対しあまおうは600円前後と高め。福岡のイチゴは主力のあまおうの販売拡大で生産量を伸ばし、首位の栃木を追いかける。
2位の福岡とは対照的に栃木は03年から生産量が2割減った。危機感を強めた栃木はあまおうの対抗品種としてスカイベリーを投入した。
トマトでは種苗会社の間の競争が激しい。有名品種「桃太郎」シリーズを擁するタキイ種苗が毎年のように新品種を投入。病気に強い「桃太郎セレクト」などを出しているほか、サカタのタネも栽培が簡単な「パルト」などを出す。
最大産地の熊本県の生産量は10万4300トン(12年)で、03年に比べて2割伸びた。「メロンからの転作が目立つ」(JA熊本経済連)という。甘くて食味の良い品種が多く登場したことで、トマトの生産に乗り出す農家が増加。地域農業の活性化につながっている。
中堅スーパーのいなげやによると「より糖度の高い商品を求める消費者のニーズもあり、店頭に並ぶトマトの種類は増える傾向だ」。新品種の登場で消費者は好みにあったものを幅広い品ぞろえから選べるようになる。トマトはスーパーの野菜売り場でトップクラスの売り上げを誇る主力商品。「並べる品を工夫すれば、ほかのスーパーとの違いを打ち出せる」と扱う店にとってもメリットは大きいという。
そのほか、キャベツは09〜12年の新品種の発表数がその前の4年に比べ2倍に増加。ジャガイモも同3倍、小松菜も2.4倍に増えた。
日本の産地間競争でしのぎを削った品質や見栄えのいい農産物は輸出市場を開く顔にもなる。あまおうが多い12年の門司税関管内のいちご輸出量は約73トンで前年比で8%増えた。13年も前年を上回ったもようだ。香港や台湾を中心にアジアの消費者を魅了している。
国内で競う産地が連携すれば海外に攻め込む可能性も広がる。九州経済調査協会の岡野秀之調査研究部次長は「輸出相手はさまざまな商品をほしがっている。県域にこだわらず各地を代表するブランド農産物をセットで輸出する仕組みをつくることができれば、日本の農産物輸出全体の底上げにつながる」と説明する。
日本経済新聞より引用しました。
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