2013年09月27日
＜楽天＞見せた野球の底力…リーグ初Ｖ
あれから２年半。東北楽天ゴールデンイーグルスの選手会長、嶋基宏捕手（２８）は、エース田中将大投手（２４）が投じた最後の球を万感の思いで受け止めた。最後の打者が空振り三振し、ゲームセット。「時間が止まったように感じた」２０１１年３月１１日、楽天が関西に遠征中に東北を襲った東日本大震災。チームの本拠地・仙台も被災した。それから約１カ月後の４月２日、プロ野球は各地で復興支援試合を行った。前日の夕方、プロ野球を統括する日本野球機構から、各球団の選手会長に試合前のあいさつ用の原稿が届いた。当時、楽天の球団広報としてチームに帯同していた岩越亮さん（３４）は一読、違和感を抱いた。「『被災地、頑張れ』という内容。他人の目線だった。被災地の球団としては読めるものじゃなかった」
思いは嶋も同じだった。２人で話し合い、独自の原稿を練り上げた。そして、多くの人々の胸を揺さぶった、あの名スピーチが生まれた。「今、野球の真価が問われている。見せましょう、野球の底力を。見せましょう、野球選手の底力を。見せましょう、野球ファンの底力を」
震災後、プロ野球界の足並みは乱れていた。セ・リーグが当初の予定通りに開幕することを主張し、延期すべきだとするパ・リーグや労組日本プロ野球選手会と対立。あげく、コミッショナーが政府首脳に苦言を呈された。プロ野球のあり方への危機感を覚える中で発した言葉でもあった。
だが、その言葉は同時に、大きな責任として嶋にのしかかった。被災地のことを考えて眠れない夜もあった。円形脱毛症にもなった。さらに１１年、１２年、チームはＢクラスに低迷し自身も満足な成績を残せなかった。
それでも、あの言葉と、その時の思いを忘れることはなかった。「逃げ出したい、しんどいと思ったこともあったが、優勝で報われた。東北のファンも待ち望んでいたと思う。長いようで短かったような。よく分からない」。いちずな思いは実を結んだ。【江連能弘】
yahooニュースより引用しました。
