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ももしきや ふるき軒ばの しのぶにも

ももしきや ふるき軒ばの しのぶにも
なほあまりある 昔なりけり


(読み)
ももしきやふるきのきはのしのふにも
なほあまりあるむかしなりけり

(意味)
この宮廷の古く荒れた軒端に生えている忍草を見るにつけてもいくら忍んでも忍びつくせない恋しい昔の御世である。

(作者)
順徳院

▲UP

人もをし 人もうらめし あぢきなく

人もをし 人もうらめし あぢきなく
世を思ふゆゑに 物思ふ身は


(読み)
ひともをしひともうらめしあちきなく
よをおもふゆゑにものおもふみは

(意味)
あるときは人を愛しく思い、あるときは恨めしく思う。
世の中を味気なく思うことから、いろいろとものを思う、私は。

(作者)
後鳥羽院

▲UP

風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは

風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは
みそぎぞ夏の しるしなりける


(読み)
かせそよくならのをかはのゆふくれは
みそきそなつのしるしなりける

(意味)
風がそよそよと楢の葉に吹きそよぐならの小川の夕暮れは、六月祓(みなづきばらえ)の禊だけが、夏であることを告げるしるしである。

(作者)
従二位家隆

▲UP

こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに

こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに
焼くやもしほの 身もこがれつつ


(読み)
こぬひとをまつほのうらのゆふなきに
やくやもしほのみもこかれつつ

(意味)
いくら待っても来ない恋人を待つ私の身は、松帆の浦の夕凪の海辺で焼く藻塩のように、私の身は恋焦がれています。

(作者)
権中納言定家

▲UP

花さそふ 嵐の庭の 雪ならで

花さそふ 嵐の庭の 雪ならで
ふりゆくものは わが身なりけり


(読み)
はなさそふあらしのにはのゆきならて
ふりゆくものはわかみなりけり

(意味)
桜の花を誘って吹き散らす嵐の庭に真っ白に降りゆくものは、花吹雪ではなくわが身であった。

(作者)
入道前太政大臣

▲UP

おほけなく うき世の民に おほふかな

おほけなく うき世の民に おほふかな
わがたつ杣に 墨染の袖


(読み)
おほけなくうきよのたみにおほふかな
わかたつそまにすみそめのそて

(意味)
身の程しらずながら仏法の師としてこの憂き世の民に覆いかけよう。
比叡山に住みはじめて身に着けているこの墨染めの袖を。

(作者)
前大僧正慈円

▲UP

み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて

み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて
ふるさと寒く 衣うつなり


(読み)
みよしののやまのあきかせさよふけて
ふるさとさむくころもうつなり

(意味)
吉野の山から秋風が吹き降ろしてくる夜更け、古の都である吉野の里は寒々としていて衣を打つ砧の音が聞こえてくる。

(作者)
参議雅経

▲UP

世の中は つねにもがもな なぎさこぐ

世の中は つねにもがもな なぎさこぐ
あまの小舟の 綱手かなしも


(読み)
よのなかはつねにもかもななきさこく
あまのおふねのつなてかなしも

(意味)
世の中は永遠に変わってほしくないものだ。
海辺をこぐ海人の小舟の綱手を引いてゆくさまにしみじみと心が動かされる。

(作者)
鎌倉右大臣

▲UP

わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の

わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の
人こそしらね かわくまもなし


(読み)
わかそてはしほひにみえぬおきのいしの
ひとこそしらねかわくまもなし

(意味)
私の袖は潮が引いたときも海中に隠れて見えない沖の石のように、誰も知らないでしょうがいつも恋の涙で乾く暇がありません。

(作者)
二条院讃岐

▲UP

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき ひとりかも寝む


(読み)
きりきりすなくやしもよのさむしろに
ころもかたしきひとりかもねむ

(意味)
こおろぎが鳴く霜の降りる寒々とした寝むしろに、衣の片袖を敷いて私はただ独り寝るのであろうか。

(作者)
後京極摂政前太政大臣

▲UP

見せばやな 雄島のあまの 袖だにも

見せばやな 雄島のあまの 袖だにも
ぬれにぞぬれし 色はかはらず


(読み)
みせはやなをしまのあまのそてたにも
ぬれにそぬれしいろはかはらす

(意味)
涙で色まで変わった私の袖をお見せいたしたい。
あの松島の雄島の漁夫の袖と濡れ方は同じだけれど、色が変わったりしないのに。

(作者)
殷富門院大輔

▲UP

玉の緒よ たえなばたえね ながらへば

玉の緒よ たえなばたえね ながらへば
忍ぶることの 弱りもぞする

(読み)
たまのをよたえなはたえねなからへは
しのふることのよはりもそする

(意味)
わが命よ。もう絶えるなら絶えてしまえ。
このまま生きながらえると心をひとつにして隠す力が弱まって、思いが外に漏れそうであるよ。

(作者)
式子内親王

▲UP

難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ

難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや 恋ひわたるべき


(読み)
なにはえのあしのかりねのひとよゆゑ
みをつくしてやこひわたるへき

(意味)
難波の入り江の蘆の刈り根の一節のような短い一夜の契りのために、生涯を尽くして恋い続けることになるのでしょうか。

(作者)
皇嘉門院別当

▲UP

村雨の 露もまだひぬ まきの葉に

村雨の 露もまだひぬ まきの葉に
霧たちのぼる 秋の夕ぐれ


(読み)
むらさめのつゆもまたひぬまきのはに
きりたちのほるあきのゆふくれ

(意味)
村雨が通り過ぎその露がまだ乾かない槇の葉あたりに、霧がほの白く立ち上っている物悲しい秋の夕暮れだ。

(作者)
寂蓮法師

▲UP

なげけとて 月やは物を 思はする

なげけとて 月やは物を 思はする
かこち顔なる わが涙かな


(読み)
なけけとてつきやはものをおもはする
かこちかほなるわかなみたかな

(意味)
嘆けと月が物思いをさせるのであろうか、そうではなく、恋のためなのに、まるで月のせいであるかのように流れる涙である。

(作者)
西行法師

▲UP

夜もすがら 物思ふころは 明けやらで

夜もすがら 物思ふころは 明けやらで
閨のひまさへ つれなかりけり


(読み)
よもすからものおもふころはあけやらぬ
ねやのひまさへつれなかりけり

(意味)
一晩中、恋人のつれなさを恨んで物思いに沈んでいるこのごろは、なかなか朝日を運んでこない寝室の戸の隙間まで無常に思える。

(作者)
俊恵法師

▲UP

ながらへば またこのごろや しのばれむ

ながらへば またこのごろや しのばれむ
憂しと見し世ぞ 今は恋しき


(読み)
なからへはまたこのころやしのはれむ
うしとみしよそいまはこひしき

(意味)
これから先、生きながらえたのならば、今のつらさが懐かしく思い出されるのだろうか。
この世をつらいと思った昔が今は恋しく感じられるのだから。

(作者)
藤原清輔朝臣

▲UP

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる


(読み)
よのなかよみちこそなけれおもひいる
やまのおくにもしかそなくなる

(意味)
世の中にはつらさから逃れる方法はないのだ。深く思いつめて入ったこの山奥にも鹿が悲しげに鳴いている。

(作者)
皇太后宮大夫俊成

▲UP

思ひわび さてもいのちは あるものを

思ひわび さてもいのちは あるものを
憂きにたへぬは 涙なりけり


(読み)
おもひわひさてもいのちはあるものを
うきにたへぬはなみたなりけり

(意味)
つれない人を思い嘆き悲しんでいるが、それでもやはり命はながらえているのに、つらさで耐え切れないのは落ちてくる涙なのだ 。

(作者)
道因法師

▲UP

ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば

ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば
ただありあけの 月ぞ残れる


(読み)
ほとときすなきつるかたをなかむれは
たたありあけのつきそのこれる

(意味)
ホトトギスが鳴いたほうを眺めると、その姿はなく、ただ有明の月だけが残っているよ

(作者)
後徳大寺左大臣

▲UP

長からむ 心もしらず 黒髪の

長からむ 心もしらず 黒髪の
みだれてけさは 物をこそ思へ


(読み)
なかからむこころもしらすくろかみの
みたれてけさはものをこそおもへ

(意味)
あなたの心が末永く変わらないかはわかりません。
分かれた今朝は黒髪が乱れているように、心も乱れ物思いに沈んでいます。

(作者)
待賢門院堀河

▲UP

秋風に たなびく雲の たえ間より

秋風に たなびく雲の たえ間より
もれいづる月の 影のさやけさ


(読み)
あきかせにたなひくくものたえまより
もれいつるつきのかけのさやけさ

(意味)
秋風にたなびいている雲の切れ間からもれて出てくる月の光のなんという澄み切った明るさだろう。

(作者)
左京大夫顕輔

▲UP

淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に

淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に
幾夜ねざめぬ 須磨の関守


(読み)
あはちしまかよふちとりのなくこゑに
いくよねさめぬすまのせきもり

(意味)
淡路島から海を渡ってくる千鳥のもの悲しく鳴く声のために幾度目も目を覚ましたであろう、須磨の関守は。

(作者)
源兼昌

▲UP

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思ふ


(読み)
せをはやみいわにせかるるたきかはの
われてもすゑにあはむとそおもふ

(意味)
川瀬の流れがはやく、岩にせき止められてた川の水が二つに分かれても、末にはひとつになるように、あなたと分かれてもまた逢おうと思う。

(作者)
崇徳院

▲UP

わたの原 こぎいでてみれば 久方の

わたの原 こぎいでてみれば 久方の
雲いにまがふ 沖つ白波


(読み)
わたのはらこきいててみれはひさかたの
くもゐにまかふおきつしらなみ

(意味)
広々とした海上に船をこぎ出してはるかかなたをながめると、雲と見違えるばかりに白波が立っている。

(作者)
法性寺入道前関白太政大臣

▲UP

ちぎりおきし させもが露を いのちにて

ちぎりおきし させもが露を いのちにて
あはれ今年の 秋もいぬめり


(読み)
ちきりおきしさせもかつゆをいのちにて
あはれことしのあきもいぬめり

(意味)
約束してくださった恵みの露のような「させも草」の古歌を頼りに生きてきたのに、今年の秋もむなしく過ぎ去っていきます。

(作者)
藤原基俊

▲UP

憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ

憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ
はげしかれとは 祈らぬものを


(読み)
うかりけるひとをはつせのやまおろしよ
はけしかれとはいのらぬものを

(意味)
つれない人が私になびくように初瀬観音に祈りはしたけれど、初瀬の山おろしよ、お前のように、つらく激しくなるようにはいのらなっかたのに。

(作者)
源俊頼朝臣

▲UP

高砂の をのへのさくら さきにけり

高砂の をのへのさくら さきにけり
とやまのかすみ たたずもあらなむ


(読み)
たかさこのをのへのさくらさきにけり
とやまのかすみたたすもあらなむ

(意味)
はるかかなたの高い山の峰に桜が咲いたなあ。
里近い山の霞よ、花が見えなくなるので、どうか立たないでおくれ。

(作者)
前権中納言匡房

▲UP

音に聞く 高師の浜の あだ波は

音に聞く 高師の浜の あだ波は
かけじや袖の ぬれもこそすれ


(読み)
おとにきくたかしのはまのあたなみは
かけしやそてのぬれもこそすれ

(意味)
うわさに聞く高師の浜のいたずらに立つ波に袖が濡れないように、浮気で有名なあなたに気をつけないと、涙で袖をぬらすことになってしまうでしょう。

(作者)
祐子内親王家紀伊

▲UP

夕されば 門田の稲葉 おとづれて

夕されば 門田の稲葉 おとづれて
蘆のまろやに 秋風ぞ吹く


(読み)
ゆうされはかとたのいなはおとつれて
あしのまろやにあきかせそふく

(意味)
夕方になると門の前の田の稲葉をそよそよと音を立てさせる秋風が、この芦葺きの田舎家に、さびしく吹き訪れる。 

(作者)
大納言経信

▲UP

さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば

さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
いづくもおなじ 秋の夕ぐれ


(読み)
さひしさにやとをたちいててなかむれは
いつくもおなしあきのゆふくれ

(意味)
あまりの寂しさに庵を出て辺りを見回しても、どこも同じさびしい秋の夕暮れだった。

(作者)
良選法師

▲UP

あらし吹く み室の山の もみぢばは

あらし吹く み室の山の もみぢばは
竜田の川の 錦なりけり


(読み)
あらしふくみむろのやまのもみちはは
たつたのかはのにしきなりけり

(意味)
嵐の吹きさらす三室の山のもみじ葉は、竜田川の水面で錦のように美しい。

(作者)
能因法師

▲UP

心にも あらでうき世に ながらへば

心にも あらでうき世に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな


(読み)
こころにもあらてうきよになからへは
こひしかるへきよはのつきかな

(意味)
思いがけずこのつらい世の中に生きながらえることがあれば、この美しい月のことをきっと恋しく思い出すだろう。

(作者)
三条院

▲UP

春の夜の 夢ばかりなる 手枕に

春の夜の 夢ばかりなる 手枕に
かひなくたたむ 名こそをしけれ


(読み)
はるのよのゆめはかりなるたまくらに
かひなくたたむなこそをしけれ

(意味)
短い春の夜の夢のようなはかない戯れの手枕のためにつまらなくたつであろう浮き名が口惜しい。

(作者)
周防内侍

▲UP

もろともに あはれと思へ 山桜

もろともに あはれと思へ 山桜
花よりほかに 知る人もなし


(読み)
もろともにあはれとおもへやまさくら
はなよりほかにしるひともなし

(意味)
私がお前を懐かしく思うように、お前も懐かしく思ってくれ、山桜よ。
こんな山奥にいる今は、お前しか私の心を知る人はいないのだから。

(作者)
前大僧正行尊

▲UP

うらみわび ほさぬ袖だに あるものを

うらみわび ほさぬ袖だに あるものを
恋にくちなむ 名こそをしけれ


(読み)
うらみわひほさぬそてたにあるものを
こひにくちなむなこそをしけれ

(意味)
あの人が連れないことをうらみ涙に濡れて乾く暇がない袖が朽ちてしまうのも悔しいのに、この恋のために浮き名で朽ちてしまうわが名が惜しいのです。

(作者)
相模

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朝ぼらけ 宇治の川霧 絶え絶えに

朝ぼらけ 宇治の川霧 絶え絶えに
あらはれわたる 瀬々の網代木


(読み)
あさほらけうちのかはきりたえたえに
あらはれわたるせせのあしろき

(意味)
冬の夜が白々と明けるころ、宇治川の川面に立ち込めた朝霧が途切れ途切れになりその間に川瀬の網代木がつぎつぎと現れている。

(作者)
権中納言定頼

▲UP

いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを

いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを
人づてならで 言ふよしもがな


(読み)
いまはたたおもひたえなむとはかりを
ひとつてならていふよしもかな

(意味)
今はもうあなたのことをあきらめてしまおう、ということだけを、人づてでなく直接あなたに伝える方法があればいいのに。  

(作者)
左京大夫道雅

▲UP

夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも

夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも
よに逢坂の 関はゆるさじ


(読み)
よをこめてとりのそらねははかるとも
よにあふさかのせきはゆるさし

(意味)
夜の明けないうちに鳥の鳴き声をまねてだまそうとしても、函谷関ならともかく、あなたのわたしの間の逢坂の関は決して通ることを許さないでしょう。

(作者)
清少納言

▲UP

いにしへの 奈良の都の 八重桜

いにしへの 奈良の都の 八重桜
けふ九重に 匂ひぬるかな


(読み)
いにしへのならのみやこのやへさくら
けふここのへににほひぬるかな

(意味)
昔のならの都で咲いていた八重桜が、今日はこの九重の宮中で色美しく咲きほこっています。

(作者)
伊勢大輔

▲UP

大江山 いく野の道の 遠ければ

大江山 いく野の道の 遠ければ
まだふみもみず 天の橋立


(読み)
おほえやまいくののみちのとほけれは
またふみもみすあまのはしたて

(意味)
大江山を越えて、生野を通っていく道は遠いので、天の橋立の地を踏んでみたこともありませんし、まだ母からの手紙も見ていません。

(作者)
小式部内侍

▲UP

やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて

やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて
かたぶくまでの 月を見しかな


(読み)
やすらはてねなましものをさよふけて
かたふくまてのつきをみしかな

(意味)
きていただけないことがわかっていたのなら、ためらわず寝ていたでしょうに。
待っている間にとうとう夜が更けて月が西に傾くまで見てしまいました。 

(作者)
赤染衛門

▲UP

ありま山 ゐなの笹原 風吹けば

ありま山 ゐなの笹原 風吹けば
いでそよ人を 忘れやはする


(読み)
ありまやまゐなのささはらかせふけは
いてそよひとをわすれやはする

(意味)
有馬山に近い猪名の笹原に風が吹くとそよそよと音がします、さて、そのことです。
私はあなたのことをどうして忘れられるでしょうか。

(作者)
大弐三位

▲UP

めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに

めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに
雲がくれにし 夜半の月かな


(読み)
めくりあひてみしやそれともわかぬまに
くもかくれにしよはのつきかけ

(意味)
見たのは月であったのかそれすらわからないうちに雲隠れした夜半の月。
あなたはそれと同じくらいあっというまに帰ってしまいましたね。

(作者)
紫式部

▲UP

あらざらむ この世のほかの 思ひ出に

あらざらむ この世のほかの 思ひ出に
いまひとたびの あふこともがな


(読み)
あらさらむこのよのほかのおもひてに
いまひとたひのあふこともかな

(意味)
私は病気でまもなくこの世を去ると思いますが、思い出としてせめて、もう一度、あなたに会いたいと思っています。

(作者)
和泉式部

▲UP

滝の音は たえて久しく なりぬれど

滝の音は たえて久しく なりぬれど
名こそ流れて なほ聞こえけれ


(読み)
たきのおとはたえてひさしくなりぬれと
なこそなかれてなほきこえけれ

(意味)
滝の音が絶えてからずいぶん長い時間がたったが、その評判は今もなお聞こえている。

(作者)
大納言公任

▲UP

忘れじの ゆく末までは かたければ

忘れじの ゆく末までは かたければ
今日をかぎりの いのちともがな


(読み)
わすれしのゆくすゑまてはかたけれは
けふをかきりのいのちともかな

(意味)
あなたは私のことを忘れないとおっしゃるけれど、遠い将来まで続くかどうかはむずかしいので、そうおっしゃる今日を最後とする命とあってほしいと思う。

(作者)
儀同三司母

▲UP

なげきつつ ひとりぬる夜の あくるまは

なげきつつ ひとりぬる夜の あくるまは
いかに久しき ものとかはしる


(読み)
なけきつつひとりぬるよのあくるまは
いかにひさしきものとかはしる

(意味)
あなたが来ないことを嘆きながら一人で寝る夜があけるまでの時間がどんなに長いものか、あなたにお分かりでしょうか、わからないでしょう。

(作者)
右大将道綱母

▲UP

あけぬれば 暮るるものとは 知りながら

あけぬれば 暮るるものとは 知りながら
なほうらめしき 朝ぼらけかな


(読み)
あけぬれはくるるものとはしりなから
なほうらめしきあさほらけかな

(意味)
夜が明ければやがて日暮れが来ることは知っていますが、(あなたと別れなくてはいけないので)恨めしいあさぼらけだ。

(作者)
藤原道信朝臣

▲UP

かくとだに えやはいぶきの さしも草

かくとだに えやはいぶきの さしも草
さしもしらじな もゆる思ひを


(読み)
かくとたにえやはいふきのさしもくさ
さしもしらしなもゆるおもひを

(意味)
これほど思い焦がれているのに言うことができないのだから、伊吹山のさしも草のように、燃えるような思いをあなたは知らないのでしょうね。

(作者)
藤原実方朝臣

▲UP

君がため 惜しからざりし いのちさへ

君がため 惜しからざりし いのちさへ
長くもがなと 思ひけるかな


(読み)
きみかためおしからさりしいのちさへ
なかくもかなとおもひけるかな

(意味)
あなたに会うためなら死んでも惜しくはないと思っていましたが、逢って帰った今では長くあってほしいものだと思うようになった。

(作者)
藤原義孝

▲UP

みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえて

みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえて
昼は消えつつ 物をこそ思へ


(読み)
みかきもりゑしのたくひのよるはもえ
ひるはきえつつものをこそおもへ

(意味)
宮中の門を守る衛士のたくかがり火が、夜は燃え昼には消えるように、私の恋心も夜は恋しさに燃え、昼は消え入るように物思いに沈んでしる。

(作者)
大中臣能宣朝臣

▲UP

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ
くだけて物を 思ふころかな


(読み)
かせをいたみいはうつなみのおのれのみ
くたけてものをおもふころかな

(意味)
風が激しいので岩に当たる波が一人砕けるように、私も心も乱れて物思いするこのごろだ。

(作者)
源重之

▲UP

八重むぐら しげれる宿の さびしきに

八重むぐら しげれる宿の さびしきに
人こそ見えね 秋は来にけり


(読み)
やへむくらしけれるやとのさひしきに
ひとこそみえねあきはきにけり

(意味)
幾重にも葎(むぐら・つる性の雑草)が生い茂るこのさびしい宿に、人は誰も訪ねてこないが、秋だけはやってきたなあ。

(作者)
恵慶法師

▲UP

由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ

由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ
ゆくへも知らぬ 恋の道かな


(読み)
ゆらのとをわたるふなひとかちをたえ
ゆくへもしらぬこひのみちかな

(意味)
由良の迫門(せと)を漕ぎ渡る舟人がかいをなくして行方もわからず流されてしまうように、どうなって行くのかわからない私の恋の道だ。

(作者)
曽禰好忠

▲UP

あはれとも いふべき人は 思ほえで

あはれとも いふべき人は 思ほえで
身のいたづらに なりぬべきかな


(読み)
あはれともいふへきひとはおもほえて
みのいたつらになりぬへきかな

(意味)
かわいそうだといってくれそうな人は誰も思い浮かばないまま、思いこがれながら私はむなしく死んでしまうでしょうよ。

(作者)
謙徳公

▲UP

あふことの たえてしなくば なかなかに

あふことの たえてしなくば なかなかに
人をも身をも 恨みざらまし


(読み)
あふことのたえてしなくはなかなかに
ひとをもみをもうらみさらまし

(意味)
もし逢うことがまったくなかったら、相手の無情やわが身のつらさを恨んだりすることもないだろうに。

(作者)
中納言朝忠

▲UP

あひみての のちの心に くらぶれば

あひみての のちの心に くらぶれば
昔は物を 思はざりけり


(読み)
あひみてののちのこころにくらふれは
むかしはものをおもはさりけり

(意味)
あなたに実際に会って契りを結んだ後の切ない気持ちに比べれば、逢わない前の物思いなどなんでもないものでしたよ。

(作者)
権中納言敦忠

▲UP

ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ

ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波こさじとは

(読み)
ちきりきなかたみにそてをしほりつつ
すゑのまつやまなみこさしとは

(意味)
二人は固く約束しましたよね。
おたがいに涙にぬれた袖を絞りながら、あの末の松山を決して波が越えないようにどんなことがあっても二人の仲はかわらないと。

(作者)
清原元輔

▲UP

恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり

恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり
人しれずこそ 思ひそめしか


(読み)
こひすてふわかなはまたきたちにけり
ひとしれすこそおもひそめしか

(意味)
恋をしているという評判が世間にひろまった。
誰にも知られないようにひそかに心のうちだけで思いはじめたばかりなのに。

(作者)
壬生忠見

▲UP

しのぶれど 色に出でにけり 我が恋は

しのぶれど 色に出でにけり 我が恋は
物や思ふと 人の問ふまで


(読み)
しのふれといろにいてにけりわかこひは
ものやおもふとひとのとふまて

(意味)
誰にも知られないように心に秘めて恋していたのだが、恋心が顔に出てしまったようだ。
何か物思いしているのですかと人に問われるほどに。

(作者)
平兼盛

▲UP

浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど

浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど
あまりてなどか 人の恋しき


(読み)
あさちふのをののしのはらしのふれと
あまりてなとかひとのこひしき

(意味)
丈の低い茅(ちがや)が生えている小野の篠原。
その「しの」というとおり忍びに忍んできたけれど耐えられない、どうしてあなたがこんなに恋しいのだろう。

(作者)
参議等

▲UP

忘らるる 身をば思はず ちかひてし

忘らるる 身をば思はず ちかひてし
人の命の 惜しくもあるかな


(読み)
わすらるるみをはおもはすちかひてし
ひとのいのちのをしくもあるかな

(意味)
あなたに忘れられる悲しさはなんとも思いません。
けれども、神に誓いになったあなたの命が神罰で失われるのではと惜しまれてなりません。

(作者)
右近

▲UP

白露に 風の吹きしく 秋の野は

白露に 風の吹きしく 秋の野は
つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける


(読み)
しらつゆにかせのふきしくあきののは
つらぬきとめぬたまそちりける

(意味)
秋の野の草の上に結ばれた白露は、風が吹くと散って、その様子は糸でつらぬきとめていない玉が散り乱れるようだ。

(作者)
文屋朝康

▲UP

夏の夜は まだ宵ながら あけぬるを

夏の夜は まだ宵ながら あけぬるを
雲のいづこに 月やどるらむ


(読み)
なつのよはまたよひなからあけぬるを
くものいつこにつきやとるらむ

(意味)
夏の夜は短くてまだ宵のうちと思っていたら白々としてきた。
西の山に行き着く暇のなかった月は雲のどこへ隠れたのだろう。

(作者)
清原深養父

▲UP

人はいさ 心も知らず ふるさとは

人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香に匂ひける


(読み)
ひとはいさこころもしらすふるさとは
はなそむかしのかににほひける

(意味)
人の心は変わりやすいものだから、今のあなたの気持ちはわかりません。
しかし、この昔馴染みの里の梅だけは昔のままの懐かしい香りがします。

(作者)
紀貫之

▲UP

誰をかも しる人にせむ 高砂の

誰をかも しる人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに


(読み)
たれをかもしるひとにせむたかさこの まつもむかしのともならなくに

(意味)
いったい誰を心の許せるともとしたらいいのだろうか。
あの高砂の松でさえも昔からの友ではないのに。

(作者)
藤原興風

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久方の 光のどけき 春の日に

久方の 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ


(読み)
ひさかたのひかりのとけきはるのひに
しつこころなくはなのちるらむ

(意味)
日の光がのどかにさす春の日に、どうして落ち着いた心もなく桜の花は散ってしまうのだろうか。

(作者)
紀友則

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山川に 風のかけたる しがらみは

山川に 風のかけたる しがらみは
ながれもあへぬ もみぢなりけり


(読み)
やまかはにかせのかけたるしからみは
なかれもあへぬもみちなりけり

(意味)
山の中の小川に風がかけたしがらみ(柵のこと)は、流れきれずたまっている紅葉であった。

(作者)
春道列樹

▲UP

朝ぼらけ 有明の月と見るまでに

朝ぼらけ 有明の月と見るまでに
吉野の里に 降れる白雪


(読み)
あさほらけありあけのつきとみるまてに
よしののさとにふれるしらゆき

(意味)
ほのぼのと夜が明けるころ、空に残っている有明の月の光が降り注いでいるかと思うほど、白々と吉野の里に雪が降り積もっている。

(作者)
坂上是則

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ぱちんこ CR AKB48 Part2

最近は、余程気が向かないとパチンコホールには足を運ばなくりました・・・。
その原因は、ウルトラマンタロウの存在です。
これまでウルトラマンシリーズは、まぁまぁ楽しめたのですがタロウはそうではなかったのです。
この機種、1/392.4のスペックで確変継続率は80パーセントと謳っています。
ところがこれまでに21回の大当たりを引いたのですが、その平均継続回数は1.6回!
「こんなに弱いのかウルトラマンって!」と実感させられる台でした。
当たりが引けるのに勝てない台という印象で、それからパチンコを打つのを止めてしまったのです。
中には20連荘以上という人も見かけることもありましたが、隣で大当たりを引いた人も一回で終ったケースを
多く見かけました。
もともとパチンコはホールに分のあるギャンブルですから熱くならないことが肝心ですよね。


今さらですけど・・・落ち込み

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ぱちんこ CR AKB48 Part1

週末、久々にパチンコに行ってみたら「AKB48」の台があったので打ってみた。

推しメン機能なるものがあり、メンバーを替えることでリーチアクションも替わるようでファンなら十分に楽しめるんだろうな〜と思える作りでした。
アクションもまぁ〜楽しめるし、パチンコしないAKBファンの多くがホールに足を運び貢献してくれてるのだろうなぁ〜、なんて思ちゃいましたウインク

ライブ公演なるものは1時間に1回始まり、AKB48の機種が連携して動作するのでライブ感覚を見事に作り出している感じでした。
この機能を知らない人は一瞬当たったのかなと錯覚してしまう程、ど派手な演出で一度は見る価値はあるかもしれません。
でも私は1. 5万円投資しても当たらなかったのでもう撃ちに行くことはないと思います・・・うんち

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有明の つれなく見えし 別れより

有明の つれなく見えし 別れより
あかつきばかり うきものはなし


(読み)
ありあけのつれなくみえしわかれより
あかつきはかりうきものはなし

(意味)
有明の月が女との別れのときにそ知らぬ顔して空にかかっているのを見て以来、暁ほどつらく悲しいものはないようになった。

(作者)
壬生忠岑

▲UP

心当てに 折らばや折らむ 初霜の

心当てに 折らばや折らむ 初霜の
おきまどはせる 白菊の花


(読み)
こころあてにおらはやおらむはつしもの
おきまとはせるしらきくのはな

(意味)
祈るならば、あて推量に祈ってみようか、真っ白に初霜が降りたなか、その白さと菊の白さが見分けがつかなくなっている白菊の花を。

(作者)
凡河内躬恒

▲UP

山里は 冬ぞさびしさ まさりける

山里は 冬ぞさびしさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば

(読み)
やまさとはふゆそさびしさまさりける
ひとめもくさもかれぬとおもへは

(意味)
山里はとりわけ冬がさびしく感じられるようだ。
人も訪ねてこないし、草木も枯れてしまうと思うと。

(作者)
源宗行朝臣

▲UP

みかの原 わきて流るる いづみ川

みかの原 わきて流るる いづみ川
いつみきとてか 恋しかるらむ


(読み)
みかのはらわきてなかるるいつみかは
いつみきとてかこひしかるらむ

(意味)
みかの原から湧いて流れるという「いづみ川」、その名前のようにいつ見たというのだろうか、こんなにも恋しいなんて。

(作者)
中納言兼輔

▲UP

小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば

小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
いまひとたびの みゆきまたなむ


(読み)
をくらやまみねのもみちはこころあらは
いまひとたひのみゆきまたなむ

(意味)
小倉山に紅葉葉よ、もしお前に心があるならば、もう一度天皇の行幸があるはずだから、それまで散らないで待っておいてくれ。

(作者)
貞信公

▲UP

名にし負はば 逢坂山の さねかづら

名にし負はば 逢坂山の さねかづら
人にしられで 来るよしもがな


(読み)
なにしおははあふさかやまのさねかつら
ひとにしられてくるよしもかな

(意味)
「逢坂山のさねかずら」の名前のとおり、逢って寝られるという意味を持っているのならその「さねかづら」を手繰るようにして人に知られずあなたをたずねてみたい。

(作者)
三条右大臣

▲UP

このたびは ぬさもとりあへず 手向山

このたびは ぬさもとりあへず 手向山
もみぢのにしき 神のまにまに


(読み)
このたひはぬさもとりあへすたむけやま
もみちのにしきかみのまにまに

(意味)
今回の旅は急なことだったので前もって(神に祈るときにささげる)幣(ぬさ)の準備もできませんでした。
神よ、手向山の錦のように美しい紅葉を手向けの幣として、御心のままにお受け取りください。

(作者)
菅家

▲UP

月みれば ちぢにものこそ かなしけれ

月みれば ちぢにものこそ かなしけれ
わが身一つの 秋にはあらねど


(読み)
つきみれはちちにものこそかなしけれ
わかみひとつのあきにはあらねと

(意味)
月を見ているとなんだかいろいろもの悲しく感じられる。
私一人のためにきた秋ではないのに。

(作者)
大江千里

▲UP

吹くからに 秋の草木の しをるれば

吹くからに 秋の草木の しをるれば
むべ山風を 嵐といふらむ


(読み)
ふくからにあきのくさきのしをるれは
むへやまかせをあらしといふらむ

(意味)
山から吹きおろす風はすぐに草木をしおれさせる。
なるほど、だから、山から吹き降ろす風を嵐といい、野をあらす「あらし」というのだろう。

(作者)
文屋康秀

▲UP

今こむと いひしばかりに 長月の

今こむと いひしばかりに 長月の
有明の月を まちいでつるかな


(読み)
いまこむといひしはかりになかつきの
ありあけのつきをまちいてつるかな

(意味)
すぐ行きます。
というあなたの言葉を信じて待っていましたが、あなたは来ず、町もしない九月の夜遅く明け方に出る月を待つことになってしまった。

(作者)
素性法師

▲UP

わびぬれば いまはたおなじ 難波なる

わびぬれば いまはたおなじ 難波なる
身をつくしても あはむとぞ思ふ


(読み)
わひぬれはいまはたおなしなにはなる
みをつくしてもあはむとそおもふ

(意味)
うわさが立ってしまってはもう身を捨てたも同じです。
それならいっそのこと難波にあるみおつくしという名のように、身を滅ぼしてもあなたに会いたいのです。

(作者)
元良親王

▲UP

難波潟 みじかき蘆の ふしのまも

難波潟 みじかき蘆の ふしのまも
あはでこの世を すぐしてよとや


(読み)
なにはかたみしかきあしのふしのまも
あはてこのよをすくしてよとや

(意味)
難波潟の芦の短い節のようなほんの短い間さえあなたに会わずにこのまますごしてゆけというのですか。

(作者)
伊勢

▲UP

住の江の 岸による波 よるさへや

住の江の 岸による波 よるさへや
夢のかよひ路 人目よくらむ


(読み)
すみのえのきしによるなみよるさへや
ゆめのかよひちひとめよくらむ

(意味)
住の江の騎士に寄る波の「よる」という言葉ではないが、どうして昼ばかりか夜までもあなたは夢の中ですら人目を避けようとするのでしょうか。

(作者)
藤原敏行朝臣

▲UP

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは


(読み)
ちはやふるかみよもきかすたつたかは
からくれなゐにみつくくるとは

(意味)
不思議なことが多かった神代にも聞いたことがない。
竜田川が美しい紅色にくくり染めにするなどということは。

(作者)
在原業平朝臣

▲UP

立ちわかれ いなばの山の 峰に生ふる

立ちわかれ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば いまかへりこむ


(読み)
たちわかれいなはのやまのみねにおふる
まつとしきかはいまかへりこむ

(意味)
あなたと別れて因幡の国へ行きますが、因幡山の峰に生えている「松」という言葉のようにあなたが私を待つと聞いたなら、すぐにでも私は帰るでしょう。

(作者)
中納言行平

▲UP

君がため 春の野に出でて 若菜つむ

君がため 春の野に出でて 若菜つむ
わが衣手に 雪はふりつつ

(読み)
きみかためはるののにいててわかなつむ
わかころもてにゆきはふりつつ

(意味)
あなたに差し上げようと春の野に出て若菜を摘んでいる私の袖に雪がしきりに降りかかっています。

(作者)
光孝天皇

▲UP

みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆゑに

みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆゑに
みだれそめにし 我ならなくに


(読み)
みちのくのしのふもちすりたれゆゑに
みたれそめにしわれならなくに

(意味)
陸奥の信夫で作られる「しのぶ摺り」の乱れ模様のように、私の心はしのぶ思いに乱れています。誰のせいなんでしょうか?ほかならぬあなたのためにです。

(作者)
河原左大臣

▲UP

つくばねの 峰よりおつる みなの川

つくばねの 峰よりおつる みなの川
恋ぞつもりて 淵となりぬる

(読み)
つくはねのみねよりおつるみなのかわ
こひそつもりてふちとなりぬる

(意味)
つくば山の峰から落ちるみなの川が積もり積もって深い淵になるように、私の恋心もほのかな思いから淵のように深い思いになってしまった。

(作者)
陽成院

▲UP

天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ

天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ
をとめの姿 しばしとどめむ


(読み)
あまつかせくものかよひちふきとちよ
をとめのすかたしはしととめむ

(意味)
そら吹く風よ。舞姫が天上と地上とを行き交う雲の道を閉じてくれ。
この美しい天女たちの姿をもう少しとどめておきたいと思うから。

(作者)
僧正遍昭

▲UP

わたの原 八十島かけて こぎいでぬと

わたの原 八十島かけて こぎいでぬと
人にはつげよ あまのつり舟


(読み)
わたのはらやそしまかけてこきいてぬと
ひとにはつけよあまのつりふね

(意味)
大海原に数多くの島々を縫うようにして船を漕ぎ出して出て行ったと、都にいる恋しい人にだけは告げてくれよ、海人の釣り人よ。

(作者)
参議篁

▲UP

これやこの 行くも帰るも わかれては

これやこの 行くも帰るも わかれては
しるもしらぬも 逢坂の関


(読み)
これやこのゆくもかへるもわかれては
しるもしらぬもあふさかのせき

(意味)
これがあの東国に下る人も都へ上がる人も知り合い同士もそうでない人も皆が行き交う逢坂の関なんだ。

(作者)
蝉丸

▲UP

花の色は うつりにけりな いたづらに

花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身よにふる ながめせしまに


(読み)
はなのいろはうつりにけりないたつらに
わかみよにふるなかめせしまに

(意味)
美しい桜の花も春の長雨が降っていた間にすっかり色あせてしまった。私も恋の悩みや物思いにふけっていた間に美貌はずいぶん衰えてしまったなあ。

(作者)
小野小町

▲UP

わが庵は 都のたつみ しかぞすむ

わが庵は 都のたつみ しかぞすむ
世をうぢ山と 人はいふなり


(読み)
わかいほはみやこのたつみしかそすむ
よをうちやまとひとはいふなり

(意味)
私の庵は都の東南にあり、心静かに暮らしている。それなのに世間の人は世をわずらわしいと思ってここに住んでいるといっているようだ。

(作者)
喜撰法師

▲UP

天の原 ふりさけみれば 春日なる

天の原 ふりさけみれば 春日なる
三笠の山に いでし月かも


(読み)
あまのはらふりさけみれはかすかなる
みかさのやまにいてしつきかも

(意味)
大空を見渡してみると美しい月が出ている。あの月は故郷の三笠の山に出ていた月とおなじものなのだなあ。

(作者)
阿倍仲麻呂

▲UP

かささぎの 渡せる橋に おく霜の

かささぎの 渡せる橋に おく霜の
白きをみれば 夜ぞふけにける


(読み)
かささきのわたせるはしにおくしもの
しろきをみれはよそふけにける

(意味)
天の川にかかるというかささぎの橋。
その橋の霜で真っ白なのをみていると、すっかり夜も更けたのだなあ。

(作者)
中納言家持

▲UP

青菜に塩

青菜に塩

(読み)
あおなにしお

(意味)
青菜に塩をふるとしなしなになってしまうことから、人が元気ない様子を示す。

▲UP

青田をほめる馬鹿

青田をほめる馬鹿
(読み)
あおたほめらばばかほめれ


(意味)
青々とした田んぼは一見よさそうだが、実際の収穫はたいしたことがないことも多く、そんなものをほめるのは馬鹿だということ。

▲UP

青柿が熟柿を弔う

青柿が熟柿を弔う

(読み)
あおがきがじゅくしともらう

(意味)
熟柿を青柿が笑うが、青柿もいずれは熟柿になる運命であることに気がついていない様子。
大した差がないのにあれこれ言うことのたとえ。

▲UP

青い鳥

青い鳥

(読み)
あおいとり

(意味)
幸せは身近なところにあるということ.。

▲UP

仰いで天にはじず

仰いで天にはじず
(読み)
あおいでてんにはじず

(意味)
自分にやましいことがなければ、全てを見ている天をみても恥じることがないということ。

▲UP

青息吐息

青息吐息

(読み)
あおいろといき

(意味)
困ったときに出すためいきのこと。

▲UP

阿吽の呼吸

阿吽の呼吸

(読み)
あうんおこきゅう

(意味)
共に行動するときに、ぴったり息が合うこと。

▲UP

逢うは別れの始め

逢うは別れの始め

(読み)
あうはわかれのはじめ

(意味)
会った人とは必ず別れなければならないということ。
無常をあらわす。

▲UP

逢い戻りは鴨の味

逢い戻りは鴨の味

(読み)
あいもどりはかものあじ

(意味)
交際が途絶えた男女がよりを戻すと、その情愛は以前にも増して細やかになるということ

▲UP

曖昧模糊

曖昧模糊

(読み)
あいまいもこ

(意味)
物事がはっきりしない様子のこと。

▲UP

奥山に もみぢふみわけ なく鹿の

奥山に もみぢふみわけ なく鹿の
声聞く時ぞ 秋はかなしき


(読み)
おくやまにもみちふみわけなくしかの
こゑきくときそあきはかなしき

(意味)
さびしい奥山でもみじを踏み分けながら妻を思って鳴く鹿の声がする。その声を聞くととりわけ秋の悲しさが感じられるよ。

(作者)
猿丸太夫

▲UP

田子の浦に うちいでてみれば 白妙の

田子の浦に うちいでてみれば 白妙の
富士の高嶺に 雪は降りつつ


(読み)
たこのうらにうちいててみれはしろたへの
ふしのたかねにゆきはふりつつ

(意味)
田子の浦に出て風景を眺めると、真っ白な富士の高い峰にいままさに雪が降り続いているよ。

(作者)
山部赤人

▲UP

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む


(よみ)
あしひきのやまとりのをのしたりをの
なかなかしよをひとりかもねむ

(意味)
山鳥の長く垂れ下がっている尾のような長い秋の夜を、恋する人と離れてただ独りさびしく寝ることよ。

(作者)
柿本人麻呂

▲UP

春過ぎて 夏来にけらし 白妙の

春過ぎて 夏来にけらし 白妙の
衣ほすてふ 天の香具山


(読み)
はるすきてなつきにけらししろたへの
ころもほすてふあまのかくやま

(意味)
いつの間にか春が過ぎてしまって夏が来てしまったらしい、白妙の衣を干すという天の香具山に。

(作者)
持統天皇

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秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ

秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
我が衣手は 露にぬれつつ


(読み)
あきのたのかりほのいほのとまをあらみ
わかころもてはつゆにぬれつつ

(意味)
秋の田のほとりに立てられた仮の小屋は、屋根の苫の網の目があらいので、私の袖は夜露でぬれてしまっているよ。

(作者)
天智天皇

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相惚れ自惚れ方惚れ岡惚れ

相惚れ自惚れ方惚れ岡惚れ

(読み)
あいぼれうぬぼれかたぼれおかぼれ

(意味)
惚れ方はひとつでなく、いろいろあるということ。

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愛別離苦

愛別離苦

(読み)
あいべつりく

(意味)
愛する人とわかれるようになる苦しみのこと。

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愛は小出しにせよ

愛は小出しにせよ

(読み)
あいはこだしにせよ

(意味)
激しい愛は長続きしないので、控えめに愛しなさいということ。

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相手見てからの喧嘩声

相手見てからの喧嘩声

(読み)
あいてみてからのけんかごえ

(意味)
相手が弱そうなのを確認してから、急に人を威圧するような態度をとること。

▲UP

相手のない喧嘩はできない

相手のない喧嘩はできない

(読み)
あいてのないけんかはできない

(意味)
どんな人でも相手がいないと喧嘩は出来ないことから、喧嘩を売られても買うなということ。

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相手のさする功名

相手のさする功名
(読み)
あいてのさするこうみょう

(意味)
相手が劣っていたために、思いがけないような手柄を立てること。

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相手変われど主変わらず

相手変われど主変わらず

(読み)
あいてかわれどぬしかわらず

(意味)
相手がいろいろ変わっても、こちらは同じで変わりがないということ。

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相槌を打つ

相槌を打つ

(読み)
あいづちをうつ

(意味)
人の話に調子を合わせること。

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開いた口に牡丹餅

開いた口に牡丹餅

(読み)
あいたくちへぼたもち

(意味)
想定していなかった幸運が舞い込むこと。

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相対のことはこちゃ知らぬ

相対のことはこちゃ知らぬ

(読み)
あいたいのことはこちゃしらぬ

(意味)
第三者には相対で決めた取り決めについては分からないということ。

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