2011年08月21日
翼よ あれがテキサスの灯だ
あるアーティストを聴き始めたきっかけって、大抵は覚えているんじゃないでしょうか。
流れている曲が気に入って、アーティストを調べたとか
ジャケットが気に入って、つい手に取ったとか
好きなアーティストがゲスト参加していたからとか
プロデュースしていたからとか
カバー曲のオリジナル・アーティストを追っかけたとか
様々です。
それなりに、何らかの理由を覚えていると思います。
でも、なぜ手にすることになったのか、全く理由がわからない、覚えていないということが、ごくまれにあります。
私にとって、今回の主役、Wes McGheeこそ、そのレアな例のひとつです。
Side One
1. (They used To Say) Train Time (Wes McGhee)
2, Contrabandistas (Bobby Earl Smith, Joe Gracey)
3. Too High To Sing The Blues (Wes McGhee)
4. Ain't That Lovin' You Baby (Jimmy Reed)
5. Neon And Dust (Wes McGhee)
Side Two
1. Boys In The Band (Taught The Girl How To Boogie) (Wes McGhee)
2. No Angel On My Wing (Wes McGhee)
3. Texas Fever (Wes McGhee)
4. Mailman (Bring Me No More Blues) (Roberts, Kats, Clayton)
5. Heat Of The Highway (Wes McGhee)
このテキサス音楽が大好きな英国人を、私はどうして聴くようになったのでしょう。
可能性が高いのは、ジャケ買いか、あるいは輸入盤店の店長の推薦かも知れません。
最初に買ったのは、80年リリースの2ndアルバム、"Airmail"だと思います。
入手した時期は不明です。
本盤は、82年リリースの3rdアルバムになります。
多分、未だCD化されていないと思います。
このあとの4枚目が、定評の高い(?)85年の2枚組ライヴ盤、"Thanks For The Chicen !"になります。
私が特に聴いていたのは、このあたりの時期です。
CDが当たり前になった90年代以降は、すっかりご無沙汰していました。
それがつい最近、この人が現役であることに気付き、久方ぶりに聴き返したくなったのでした。
そのきっかけは、テキサスのバンド、Freddie Steady 5を聴いたからです。
Freddie Steady 5のリーダー、Freddie "Steady" Krcは、ローティーンの頃、英国ビート・バンドの襲来に衝撃を受けて、音楽を始めたらしいです。
その時、初めて見たのが、Sir Douglas Quintetだったというのが可笑しいです。
Sir Douglas Quintetが、英国バンドを装ったテキサスのガレージ・バンド(当時)だったのはご存じのとおりです。
さて、Freddie Steady 5のライナーによれば、Freddie "Steady" Krcは、若い頃、Wes McGheeのバンドでドラムを叩いていたらしいです。
ブリティッシュ・インベイションに憧れて音楽を始めたテキサス男が、テキサス音楽大好きの英国人ロッカーのバンド・メンバーだったというのです。
私は、LP棚をあさり、このアルバムを引っ張り出してきました。
そして、確認することが出来たのでした。
このアルバムは、ロンドン録音とテキサス録音で構成されています。
そのうち、テキサスのセッションには、バンドのメンバーが、次のように記されていました。
Wes McGhee : vocals, guitar
Fred Krc : drums, percussion
Larry Lange, Mike Robberson : bass, piano
Ponty Bone : accordion
Lloyd Maines : pedal steel guitar
Richard Bowden : fiddle
Don Caldwell : sax
Dermont O'Connor : mandlin
Kimmie Rhodes, Bobby Earl Smith, Jimmie Gilmore : vocals
いやー、またまたテキサス音楽ギークには、たまらないメンツですね。
このリストだけで、おかずなしで、茶碗1杯の白飯が食べられます。
Fred Krcの名前が、しっかり、ドラムスとクレジットされています。
情報は間違いなかったのでした。
しかも、それだけでなく、予期していなかった喜びの発見がありました。
ベースがLarry Langeと記されているではないですか。
驚きです。
Larry Langeは、後にテキサス、ルイジアナ音楽大好きバンド、Larry Lange & his Lonely Knightsを組む、あの人に間違いありません。
これは、かなりの驚きです。
Larry Lange & his Lonely Knightsは、私が大好きなバンドです。
アコーディオン奏者のPonty Boneは、ケイジャン・バンド、Ponty Bone & the Squeeze Tonesのリーダーです。
私は多分、LP盤を最低1枚は持っていると思います、(未確認です。)
そして、コーラスで、Bobby Earl Smith、Jimmie Gilmoreの名前がクレジットされています。
Bobby Earl Smithは、元Freda & Firedogsのシンガー、ベーシストで、解散後はDoug SahmやAlvin Crowと活動をともにした人でした。
Freda & FiredogsのFredaは、後のソロ・シンガー、ピアニストのMarcia Ballです。
Jimmie Gilmoreは、もちろん、Joe ElyやButch Hancockと共にFlatlandersを組んでいた、Jimmie Dale Gilmoreですね。
そして、Kimmie Rhodesは、テキサスのアーティストのアルバムでは、よくコーラスで参加している人です。
この人は、ソロ・アルバムが何枚かありますが、私は未聴です。
というわけで、そもそもFreddie Krcの参加を確認することが目的でしたが、Larry Langeの名前を発見して、私は異常に高まりました。
Freddie Krc、Ponty Boneの両名は、次作のライヴ盤、"Thanks For The Chicken !"にもクレジットされています。
このライヴ盤には、ゲストとして、Alvin Crowもフィドルで参加していました。
ちなみに、2ndアルバムの"Airmail"は、全く違う編成ですので、この3rdから付き合いが始まったのかも知れません。
"Airmail"には、Hank Wangfordが参加していました。
なんだか、クレジットを見ただけで、お腹一杯になった気分です。
"Landing Lights"のレコードの内袋には、セッション風景の写真がプリントされていて、若き日のFreddie Krc、Bobby Earl Smith、Larry Langeの姿が確認できます。
とりわけ、Larry Langeの写真が若いです。
本盤は、好曲、"(They used To Say) Train Time"でスタートします。
Ponty Boneの流麗なアコの調べが印象に残る、孤独な男の哀愁ソングです。
この曲は、Freddie Krcの別プロジェクト、Freddie Steady's Wild Countryの08年作、"Ten Dollor Gun"(Wes McGhee制作)でカバーされていました。
Wesがトランペットを吹く、Bobby Earl Smith作のボーダー・ソング、Contrabandistasから、Wes自作のロッキン・ナンバー、"Too High To Sing The Blues"、そしてJimmy Reedのブルースを元気一杯のアレンジでやった、"Ain't That Lovin' You Baby"を経て、再び哀愁のボーダー・ソングへと続くA面の流れが良いです。
とりわけ、Wesのスパニッシュ・ギターや、Pontyのアコが素晴らしく、Jimmy Reed Songでは、ブルース・ハープのパートをアコが奏でます。
B面冒頭の"Boys In The Band (Taught The Girl How To Boogie)"がまたよくて、こちらは雰囲気が変わって、ウエスタン・スイング・バンドがやる軽快なブギ・ナンバーのようです。
Wesのボーカル・エコーのチューニングが最高にセクシーに決まっています。
ポルカのような賑やかな"Texas Fever"は、当然かっこいいです。
そして、"Mail Man Bring No More Blues"は、私が昔から大好きな曲で、原曲は誰でしたっけ?
両面とも全くだれることなく、わくわくしながら聴きとおせました。
懐かしさよりも、新鮮な驚きを感じて、大きく見直した1枚です。
関連記事はこちら
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回想のファイアドッグス
流れている曲が気に入って、アーティストを調べたとか
ジャケットが気に入って、つい手に取ったとか
好きなアーティストがゲスト参加していたからとか
プロデュースしていたからとか
カバー曲のオリジナル・アーティストを追っかけたとか
様々です。
それなりに、何らかの理由を覚えていると思います。
でも、なぜ手にすることになったのか、全く理由がわからない、覚えていないということが、ごくまれにあります。
私にとって、今回の主役、Wes McGheeこそ、そのレアな例のひとつです。
Landing Lights
Wes McGhee
Wes McGhee
Side One
1. (They used To Say) Train Time (Wes McGhee)
2, Contrabandistas (Bobby Earl Smith, Joe Gracey)
3. Too High To Sing The Blues (Wes McGhee)
4. Ain't That Lovin' You Baby (Jimmy Reed)
5. Neon And Dust (Wes McGhee)
Side Two
1. Boys In The Band (Taught The Girl How To Boogie) (Wes McGhee)
2. No Angel On My Wing (Wes McGhee)
3. Texas Fever (Wes McGhee)
4. Mailman (Bring Me No More Blues) (Roberts, Kats, Clayton)
5. Heat Of The Highway (Wes McGhee)
このテキサス音楽が大好きな英国人を、私はどうして聴くようになったのでしょう。
可能性が高いのは、ジャケ買いか、あるいは輸入盤店の店長の推薦かも知れません。
最初に買ったのは、80年リリースの2ndアルバム、"Airmail"だと思います。
入手した時期は不明です。
本盤は、82年リリースの3rdアルバムになります。
多分、未だCD化されていないと思います。
このあとの4枚目が、定評の高い(?)85年の2枚組ライヴ盤、"Thanks For The Chicen !"になります。
私が特に聴いていたのは、このあたりの時期です。
CDが当たり前になった90年代以降は、すっかりご無沙汰していました。
それがつい最近、この人が現役であることに気付き、久方ぶりに聴き返したくなったのでした。
そのきっかけは、テキサスのバンド、Freddie Steady 5を聴いたからです。
Freddie Steady 5のリーダー、Freddie "Steady" Krcは、ローティーンの頃、英国ビート・バンドの襲来に衝撃を受けて、音楽を始めたらしいです。
その時、初めて見たのが、Sir Douglas Quintetだったというのが可笑しいです。
Sir Douglas Quintetが、英国バンドを装ったテキサスのガレージ・バンド(当時)だったのはご存じのとおりです。
さて、Freddie Steady 5のライナーによれば、Freddie "Steady" Krcは、若い頃、Wes McGheeのバンドでドラムを叩いていたらしいです。
ブリティッシュ・インベイションに憧れて音楽を始めたテキサス男が、テキサス音楽大好きの英国人ロッカーのバンド・メンバーだったというのです。
私は、LP棚をあさり、このアルバムを引っ張り出してきました。
そして、確認することが出来たのでした。
このアルバムは、ロンドン録音とテキサス録音で構成されています。
そのうち、テキサスのセッションには、バンドのメンバーが、次のように記されていました。
Wes McGhee : vocals, guitar
Fred Krc : drums, percussion
Larry Lange, Mike Robberson : bass, piano
Ponty Bone : accordion
Lloyd Maines : pedal steel guitar
Richard Bowden : fiddle
Don Caldwell : sax
Dermont O'Connor : mandlin
Kimmie Rhodes, Bobby Earl Smith, Jimmie Gilmore : vocals
いやー、またまたテキサス音楽ギークには、たまらないメンツですね。
このリストだけで、おかずなしで、茶碗1杯の白飯が食べられます。
Fred Krcの名前が、しっかり、ドラムスとクレジットされています。
情報は間違いなかったのでした。
しかも、それだけでなく、予期していなかった喜びの発見がありました。
ベースがLarry Langeと記されているではないですか。
驚きです。
Larry Langeは、後にテキサス、ルイジアナ音楽大好きバンド、Larry Lange & his Lonely Knightsを組む、あの人に間違いありません。
これは、かなりの驚きです。
Larry Lange & his Lonely Knightsは、私が大好きなバンドです。
アコーディオン奏者のPonty Boneは、ケイジャン・バンド、Ponty Bone & the Squeeze Tonesのリーダーです。
私は多分、LP盤を最低1枚は持っていると思います、(未確認です。)
そして、コーラスで、Bobby Earl Smith、Jimmie Gilmoreの名前がクレジットされています。
Bobby Earl Smithは、元Freda & Firedogsのシンガー、ベーシストで、解散後はDoug SahmやAlvin Crowと活動をともにした人でした。
Freda & FiredogsのFredaは、後のソロ・シンガー、ピアニストのMarcia Ballです。
Jimmie Gilmoreは、もちろん、Joe ElyやButch Hancockと共にFlatlandersを組んでいた、Jimmie Dale Gilmoreですね。
そして、Kimmie Rhodesは、テキサスのアーティストのアルバムでは、よくコーラスで参加している人です。
この人は、ソロ・アルバムが何枚かありますが、私は未聴です。
というわけで、そもそもFreddie Krcの参加を確認することが目的でしたが、Larry Langeの名前を発見して、私は異常に高まりました。
Freddie Krc、Ponty Boneの両名は、次作のライヴ盤、"Thanks For The Chicken !"にもクレジットされています。
このライヴ盤には、ゲストとして、Alvin Crowもフィドルで参加していました。
ちなみに、2ndアルバムの"Airmail"は、全く違う編成ですので、この3rdから付き合いが始まったのかも知れません。
"Airmail"には、Hank Wangfordが参加していました。
なんだか、クレジットを見ただけで、お腹一杯になった気分です。
"Landing Lights"のレコードの内袋には、セッション風景の写真がプリントされていて、若き日のFreddie Krc、Bobby Earl Smith、Larry Langeの姿が確認できます。
とりわけ、Larry Langeの写真が若いです。
本盤は、好曲、"(They used To Say) Train Time"でスタートします。
Ponty Boneの流麗なアコの調べが印象に残る、孤独な男の哀愁ソングです。
この曲は、Freddie Krcの別プロジェクト、Freddie Steady's Wild Countryの08年作、"Ten Dollor Gun"(Wes McGhee制作)でカバーされていました。
Wesがトランペットを吹く、Bobby Earl Smith作のボーダー・ソング、Contrabandistasから、Wes自作のロッキン・ナンバー、"Too High To Sing The Blues"、そしてJimmy Reedのブルースを元気一杯のアレンジでやった、"Ain't That Lovin' You Baby"を経て、再び哀愁のボーダー・ソングへと続くA面の流れが良いです。
とりわけ、Wesのスパニッシュ・ギターや、Pontyのアコが素晴らしく、Jimmy Reed Songでは、ブルース・ハープのパートをアコが奏でます。
B面冒頭の"Boys In The Band (Taught The Girl How To Boogie)"がまたよくて、こちらは雰囲気が変わって、ウエスタン・スイング・バンドがやる軽快なブギ・ナンバーのようです。
Wesのボーカル・エコーのチューニングが最高にセクシーに決まっています。
ポルカのような賑やかな"Texas Fever"は、当然かっこいいです。
そして、"Mail Man Bring No More Blues"は、私が昔から大好きな曲で、原曲は誰でしたっけ?
両面とも全くだれることなく、わくわくしながら聴きとおせました。
懐かしさよりも、新鮮な驚きを感じて、大きく見直した1枚です。
Whiskey is My Driver by Wes McGhee Live In London 1987
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