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2017年07月27日

大腸CT検査アカデミー  良いオープンアクセスジャーナルを見極めよう!

PubMedから、今日のつぶやき − 38 −


Binefa G, et al. Colorectal Cancer Screening Programme in Spain: Results of Key Performance Indicators After Five Rounds (2000-2012). Sci Rep 2016;6:19532.



先週は3施設のドクターや技師さんが
読影トレーニングのレポートをご提出されました。
地道で大変ですが、コツコツ進めていけば必ず終わります。
とてもお忙しいとは思いますが、最後まで頑張ってくださいね。
やり遂げると、必ず相当な力になります!!



さて、オープンアクセスジャーナルの続きです。

いずれにしても、ジャーナルと論文を載せられない研究者の利害が一致して急速に普及したといえます。

オープンアクセスジャーナルから、
論文投稿して〜、特別価格で載せるよ!
今だけ掲載無料だよ!
エディターに加わてあげる〜
といった内容のメールが毎日たくさん(10〜20通)は届きます。
朝、こうしたメールを掃除するのが日課です笑
オープンアクセスジャーナルが膨大な数になっているのを実感しますね。

オープンアクセスジャーナルをメジャーにしたのがPlos Oneという雑誌です。

170727_PlosOne.png


この雑誌にはきちんとした査読があります。

ただ編集方針として、研究手法が正しければ基本的に掲載する、
言い換えると科学的なインパクトは一切考慮しません。
ジャーナルから言わせると科学的に意義があるかどうかの判断は読者に任せるいうスタンスなのですが。

Plos Oneが出た当初、どうせ長続きしないだろうと、老舗出版社たちは見ていました。
ところがPlos Oneについた最初のインパクトファクターが4点台と高得点をたたき出して、
大いに注目を集め、投稿数もさらに伸びていったんです。

ネガティブな書き方からはじまりましたが、Plos Oneは良いジャーナルですよ。

iPS細胞で有名な山中先生たちのグループも、
Plos Oneに何本も論文を掲載しています。

(一例)
査読スピードが速く、いち早く世の中にリリースできる長所もあるからですね。

ところが掲載論文がいまや年間3
万件以上となり、やはり玉石混合になります。

先月、このジャーナルの査読を行いました。
韓国からの研究で、大腸がんの腫瘍量をCTで計測するとその体積とステージは
相関するという内容のものでした。

科学的な研究手法は正しいのですが、
だから臨床で何に使えるかというと厳しいですよね。
臨床家からすれば当たり前です。

一部突込みを入れて修正をお願いしましたが、研究手法に間違いはないので、
最終的にアクセプトとなりました
もう少しすると掲載されるかと思っていたら、早くも掲載されていました。
早い〜 この早さもジャーナルの魅力の一つですね


ちなみに、どのジャーナルも査読は完全にボランティアです。
ジャーナルによっては、1年単位で査読した論文数を掲載した賞状(のようなもの笑)を
送ってくれますが報酬はありません。


話がそれました。
いずれにしても、このPlos Oneが成功したのを受けて、それまで馬鹿にしていた老舗ジャーナルも
、次々とオープンアクセスジャーナルを出すようになりました。

その一つが、かの有名なジャーナル「Nature
が出したのが「Scientific Reports」なんですね。

「Scientific Reports」や「Plos One」の評価は分かれますが、
インパクトファクターが高値であれば魅力はあるといえるでしょう。

でも、オープンアクセスジャーナルが増えるに連れて「Plos One」の
インパクトファクターは右肩下がりで減少(3点台)してきています。

「Scientific Reports」の採択率は55%程度もあり、「Plos One」の採択率は70%にもなります。
今後は徐々にインパクトファクターが下がっていく可能性もあると思いますし、
運営費用がまかなえなくなると淘汰されていくようにも思われます。
どうなっていくんでしょう。

でも実を言うとEuropean Radiologyにアクセプトされた
大腸CT検査の実施状況および偶発症に関する実態全国調査の論文ですが、
アクセプトされなければ次は「Scientific Reports」を考えてました。

ジャーナルの未来も気になりますね。
今後流行っていくだろうジャーナルに投稿した方がいいと思います〜
それでは、また。


★★最新ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA−03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
掲載されました!!

委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★




著者からのおすすめPR-----------------------



▲PRここまで--------------------------------




大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。

<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。

<前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。

<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。

<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)

<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。



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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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