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2017年07月14日

研究の限界・研究の欠点に着目することは大切だよ!

PubMedから、今日のつぶやき − 30 −

Pickhardt PJ, et al. Colorectal Findings at Repeat CT Colonography Screening after Initial CT Colonography Screening Negative for Polyps Larger than 5 mm. Radiology 2017; 282: 139-148.



最初に、は昨日の宿題について解説です。

Limitation(研究の限界・研究の欠点)は、
Discussionの最後から2段落に書かれていることが多いです。
今回のPickhardt研究もそうですね。
最終段落は結論(ConclusionあるいはSummary)になり、
その一つ手前ということになります。

まず1つ目のLimitationです。
この研究の対象者は、
無症状の検診集団を対象とした初回の大腸CT検査受診者のうち、
検査が陽性(C2以上)となった症例を除外しています。
だから、検診集団全体に一般化して考えた場合には、
見逃し癌や中間期癌の頻度が少なく算出されているかもと述べています。
なかなか難しいですね〜

つまり、検診の一般的母集団から、ポリープのあった者を除外した検討だから、
セレクション・バイアスが発生しており、
一般的な検診対象よりも見逃し癌や中間期癌の頻度が高くなる可能性があるよ。
だから、一般化するときには注意してね、といってます。
まあ、これはしょうがないですよね。
研究デザインのミスではないですし。
この研究結果を理解するうえで、考慮すればよいということだと思います。

2つ目のLimitationです。
Pickhardtさんは研究を単施設で行うことが多いですね。
まあ、単施設で行えば研究のスピードは上がりますし。
でも、単施設だと施設特有の偏り(検査手技、読影医、検査担当技師、対象者)
が入り込む可能性が高くなります。
例えば、白人が多い地域であったり、高齢者が多い地域であったり、
高度に熟練した読影医しか担当していないなど、偏りが生じえます。
多施設で行う研究、メタアナリシスが大切な理由の一つですね。
単施設で行った研究論文では、Limitationに必ず挙げるべきだと思います。

3つ目のLimitationです。
統計学的手法の限界を言っているようです。
このようなLimitationを読むのは初めてです。
すみません・・・良く分かりません。
統計に詳しい同僚に明日聞いてみますね(T橋さんよろしく〜)。


(ラインコミュニティ「CTC Academy」からT橋さんのコメント)
ひえええご指名賜りましたT橋です。
大腸CTも統計も何もかも勉強中なのですが、間違いを恐れず頑張ります。
ご指定の3つ目のLimitationの記載は
かなりさらっと書かれていて確かに「?」な感じなので、
思いきり意訳しました。

「二度目の大腸CT検査は最新の研究結果の詳細なデータを使っているけれど、
一度目の検査は昔に行われたので、現在ほどには詳細なデータがない(要約した情報しかない)。
だから一度目と二度目の検査の比較は、
情報が限られる一度目の検査に大きく制限を受け、
そのためフィッシャー検定やt検定のような基本的な解析しか出来なかった」

ということを言っているのだと思います。……多分。
おかしな点があったらツッコミ入れてくれると助かります……みなさま……

ついでに自分が思うこの研究のLimitationにつきまして。
(これも間違いを恐れずに行ってみます)

論文のLimitationの1つ目と被りますが、セレクションバイアスがやはり心配になります。
論文ではC2以上を除外した事による偏りを懸念していますが、
最初に5,640人から1,429人が絞られる過程におけるセルフセレクションバイアスも気にせずにはいられません。
推奨期間通りにちゃんと再受診しに来る人は健康意識が特に高くリスクが低いとか、
そういった可能性は結構ありうるのでは、とは思いました。
あくまで可能性ですが。

以上。


ナイスなコメントどうもありがとうございます!!


それでは、また。
みなさま、今日もよい日をお過ごしくださいね。



★★最新ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA−03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
に掲載されました!!
https://link.springer.com/article/10.1007/s00330-017-4920-y

委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★


ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。


原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27552558



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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。

<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。

<前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。

<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。

<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)

<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。




◆ラインコミュニティ「CTC Academy」の参加募集◆
メリット
・画像が共有できる!
・最新の情報を入手できる。
・仲間と意見を交換できる。
・待ち時間に気軽にみられる。
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(恐れ入りますが、ラインコミュニティは医療関係者の方に限定させていただいております)

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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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