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2017年11月09日

【ブルーレイ映画ソフトレビュー】ローン・サバイバー / Lone Survivor (動画付)

記事一覧TOP > 映画ブルーレイリスト > 【ブルーレイ映画ソフトレビュー】ローン・サバイバー / Lone Survivor (動画付)


ローンサバイバー.JPG【ブルーレイ映画ソフトレビュー】

ローン・サバイバー

Lone Survivor



posted with カエレバ

コピーライトマーク 2013 GEORGIA FILM FUND SEVENTEEN HOLDINGS. LLC.


Internal_Link_15px.pngオフィシャルサイト(ポニーキャニオン)







ソフト情報



■リリース:
 発売:ポニーキャニオン
 時間:121 min
 レーティング:PG-12(日本) / PG-12(米国)
 制作年:2013年
 発売日:2014年9月2日

■映像:
 コーデック: MPEG-4 MVC 23.976Hz
 解像度: 1080p
 アスペクト: 2.35:1(シネマスコープ)

■オーディオ:
 英語:Dolby True HD 5.1ch Advanced 96khz
 日本語:DTS-HD Master Audio 5.1ch 48khz

■字幕:
 日本語、英語

■ディスク:
 Blu-ray Disc
 片面2層 (2 BD-50GB)

■リージョン:
 Region Free

■最大ビットレート(おおよそ)(MPEG-4 H.264上限:54Mbps)(MPEG-4 MVC上限:66Mbps):
 59Mbps

■平均ビットレート(おおよそ):
 47Mbps

■撮影カメラ:
 Red Epic

■映画映像マスタ:
 素材:35mm(フィルム)
 素材マスタ:Redcode RAW (5K)
 上映マスタ:Digital Intermediate (2K)
 
■映画映像マスタリング(DI(Digital Intermediate)、マスタリング):
 Deluxe(マスタプリント)
 Deluxe Digital (デジタルマスタリング)
 Company 3(DI)

■映画音響:
 Dolby Digital、Datasat、SDDS、Dolby Atmos

■映画音響スタジオ(Sound Mix / Re-recording)(サウンドトラック除く):
 I-25 Studios (サウンド・ステージ)
 POP Sound (ADRレコーディング)
 Todd Soundelux (ポストプロダクション・サウンド・サービス)

■制作背景
・制作予算:約40億円/100円換算
・世界興行収入:154億円/100円換算
・撮影:アメリカ(ニュー・メキシコ)

■賞:
2014年アカデミー賞2部門ノミネート(録音賞、音響編集賞)。
他にも14の賞にノミネート、5つの賞を受賞しています。




キャスト情報



■監督:ピーター・バーグ / Peter Berg(ハンコック、バトルシップなど)


■出演者:

・マーク・ウォールバーグ / Mark Wahlberg External_Link_15px.png

・テイラー・キッチュ / Taylor Kitsch External_Link_15px.png

・エリック・バナ / Eric Bana External_Link_15px.png





映像クオリティ・レビュー総評






【画質】

超高画質!





■BD映像マスタ


コダック35mmフィルムで撮影されたネガティブフィルムを、DeLuxe社がポジティブ・プリントし、それをRED Digital Cinema社のRedcode RAWとして5Kでダイレクトスキャンしデジタル素材化。
このRedcodeは、近年、映画のポストプロダクションではかなり採用されているようです。
上映用DI(Digital Intermediate)は 高画質鉄板のCompany 3社にて2K化。
この映画のDigital Intermediate (2K)を、おそらくBDソフトでも使用していると思われます。

撮影フィルムのポジティブを、DeLuxe社がポジ化し、ダイレクトにデジタルマスタ化しているため、フィルムグレインは、ほとんど感じられないフィルム映像という不思議な画になっています。
「ダイ・ハード4.0」もそうですね。(この映画は制作年が少し前なので、フィルムグレインはわかりますが・・・)
最初に、この制作工程を知らずに、映画(BDソフト)を見た時に、高精細な画質なのに映画っぽい(フィルムルック)なと不思議に感じていました。
フィルムグレインはほぼなく(最初は判別できませんでした)、でもデジタル撮影っぽくないという不思議な感じでした。
調べてみて納得しました。

通常は、撮影ネガティブから起こしたポジティブフィルムからは、破損などのリスクを避けるため、マスタ化しませんが、フィルム制作会社のDeLuxe社が一貫してデジタル化まで行っているため、品質劣化は全く感じられません。
この作品では、映画マスタを制作する前に、撮影フィルムのポジをスキャンしていき、デジタル化したもので映画用マスタを作るプロセスとしたため、このような上流素材でのマスタリングが行われ、結果的に高画質なマスタが出来たわけです。
※間違えているかもしれません。

ただし、この作り方の場合、マスタである5K素材を将来8Kとかにしていくには、全部作り直しが必要です。
8K以上のメディアが出た場合は、アップスケーリングするのでしょうね。
ということで、2017年現在、高画質5Kの素材マスタ(映画マスタは2K)ですが、8K以降の世代になっていくと、作り直しをしない限り、素材は5Kのままです。


■映像総評


Blu-rayソフトは、実写洋画初の「マスターグレードビデオコーディング」(MGVC)を採用。(セル版のみ)
マスターグレードビデオコーディング(MGVC)とは、パナソニックの高階調映像エンコードサービスです。
オープン技術ではないため、MGVCに対応するBDソフトはパナソニックがオーサリングを担当するソフトに限定されています。
MGVCを採用しているBDソフトは、スタジオジブリ作品のBlu-rayソフトが有名です。

MGVCの技術は、通常のBlu-rayディスクの階調表現は、Y/Cb/Crがそれぞれ8bit(1色あたり)ですが、それを12bit(1色あたり)まで拡張する技術がMGVCです。
1色あたり8bitイコール24bitが、通常のBlu-rayディスクの階調表現になります。
MGVCでは1色あたり12bitまで拡張するので、36bitの階調表現が可能になります。

再生環境は、Blu-ray 3Dで使われているMPEG-4 MVC対応BDプレイヤーやレコーダーで再現が可能です。
対応していない場合は、通常のBDと同じ24bit再生になります。
管理人のBDプレイヤーであるOPPO BDP-105DJPは、Blu-ray 3D再生が可能です。
OPPO BDP-105DJPの出力帯域上限は4K/30p・24p 4:4:4 36bitとなっています。



パナソニックのMGVC説明:

ブルーレイディスクに拡張データを追加記録することにより、オリジナル映像(スタジオマスター)と同等の滑らかで質感豊かな高階調映像を実現する、パナソニック独自の高画質技術です。
映画などのスタジオマスターは多くの場合、約10億7,000万色(30bit)から約687億色(36bit)で制作されています。
しかし、通常のハイビジョン放送やブルーレイソフトは、放送やディスクの規格により表現できる色が約1,677万色(24bit)に制限されています。
MGVCでは、この制限によって失われる映像情報を独自の追加データとしてディスクに記録することにより、スタジオマスターと同等の滑らかで質感豊かな映像をリビングで再現することができます。


出典:パナソニック Internal_Link_15px.png




Blu-rayソフト販売に関して、会社の方針を高品質に転換した会社がいくつかあります。
今回のポニー・キャニオンはスタジオ系ではない独立系としては唯一の高品質ソフト化を図ってる会社です。
DVD時代は、ほぼ米国版より劣るソフトしか発売していませんでした。
例外として、「スリーピー・ホロウ」など突然高画質ソフトを独自マスタリングしてリリースしたりしますが・・・。
独立系だと、海外の版元から品質の良いメディア化用データがもらえないケースが多いことを、何かの雑誌の記事で読んだことがあります。
海外スタジオで高品質に転換したのは、あとはディズニーとライオンズ・ゲートかと思います。
DVD時代から一貫して品質にこだわっているスタジオ系では、SONYくらいですね。

映像のレビューをしていると、大体の法則が見えてくるのですが、マスタが高品位(DIの出来)ですと、ソフトも大体高画質です。
ということで、マスタ素材とDIがどのレベルなのかわかれば、そのソフトの出来がわかるという話です。
で、このBDソフトですが、フィルム撮影ですが、ダイレクトスキャンや5K素材化などの制作方法により、超高画質です。
撮影がフィルムで高画質なソフトは今では貴重です。

MGVCによる木々の緑の階調性は特筆すべき点です。
ものすごい立体感と精細さに加えて、わずかな色の違いが判ります。



解像感


フィルムとは思えない解像感がある高画質映像です。
実在感たっぷりで、ここまでくると気になる点はありません。
木々や葉っぱの様子から顔の傷やしわやひげなど、詳細かつ分析的に描写しています。


ノイズ感


撮影ネガティブのポジからダイレクトスキャンした画からは、フィルムグレインの判別は難しいと思います。
それくらいノイズ感は感じられません。
一時停止をして120インチスクリーンに近づくと、2Kの限界でのピクセル単位のデジタルの揺らぎは当然あります。
動きの激しい場面でもピクセルレベルのブロックノイズもわからないレベルです。
デジタル特有の擬似色や暗部ノイズは感じられません。


鮮度感


空気感や透明感は、2017年現在、素材がフィルムとは思えないどこまでもクッキリした現代的な表現です。
輪郭表現の線はフィルムですが精細で実在感たっぷりです。
透き通った空気感です。


階調性


フィルムの階調性で、デジタルの悪い点はなくどこまでも自然です。
立体感はすっきりとしています。
位置をはっきりさせるためか撮影による被写界深度は深いため、肉眼で見る場合と同じような表現をします。
そのためボケが少ない撮影で、臨場感が増します。
これは映画の内容がそういうもので、戦場における人物描写を淡々と描く作風には合っていると制作側が判断したのだと思います。


カラー


色調調整は完全に自然に見えるようにコントロールされています。
シーンごとに(撮影時間や日程による)差が出てしまう色温度を調整しているくらいではないでしょうか?
元々高画質な上にMGVCによるソフト化の効果も上乗せされ、完璧です。
最初にBDソフトを視聴した際に、何か違和感を感じながら観ていました。
それはBlu-rayを超えた完全な色表現だったのだと後で認識しました。
それくらい完璧なまでに自然な色です。




公式予告編



ローン・サバイバー予告編(ponycanyon)





音声クオリティ・レビュー総評





【音質】

高音質!





■音響マスタ


Dolby True HD 5.1ch Advanced 96khzは、Blu-Ray用にマスタリングされたものだと思われます。
米国版は、DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz, 24bit)ですので、ポニー・キャニオン独自かもしれません。
日本は未発売ですが、米国ユニバーサルスタジオ版4K UHD BD版の音声は、
・DTS:X
・DTS-HD Master Audio 7.1 (48kHz, 24bit)
・DTS Headphone:X
と日本版と仕様が違っているため、ポニー・キャニオンが頑張ってメディア用マスタから日本版のソフトを制作していると思われます。

冒頭の数分の音を聴いただけで、高音質とわかる音色です。
ニュアンスのレベルなので表現は難しいのですが、良い音なのです。
ほぼ最高の音声でサラウンドもSE音も銃声も爆発音もアパッチなどの音もぴか一です。
戦闘シーンではサウンドトラックはなく、銃撃などのSE音が主役になります。
山の自然音(鳥など)も包囲感は良く、枝を折る足音も結構細かく表現しています。
印象に残ったのは、主人公たちが崖から落下するときの1つ1つの衝撃音と、AC-130・ガンシップの25mmガトリング砲、105mm機関砲、40mmキャノン砲による掃射音です。

装備についてはこちらのサイト(英語)が詳しいです。Internal_Link_15px.png




■音響総評


本作はDTS-HD Master Audioとは違い、Dolby True HDなので、ちょっと細身な音で音圧も低めなのですぐわかります。
ただし、管理人が知っているBlu-rayソフトでは一番音の良いDolby True HDです。
恐らく96khz収録で繊細さや豊富な情報量によって高品位なHi-Def音声に仕上がっているのだと思います。
Dolbyの音って、DVDのDolby Digitalもそうですが、細身で音圧が低いので、ブラインドでもわかってしまいます。

7.1chではなく、5.1chですが、マルチチャンネルに配置された音が独立して分離感よく鳴ります。
4K UHDでは7.1chですので、マスタとしては情報量があったのだと思います。
日本でも4K UHD版が出ると良いのですが・・・。

中盤の戦闘音など、敵に包囲されたマルチ音響で移動感を伴いサラウンドします。
太く低音の効いたサイレンサーライフルの音や、RPGの爆破音、各種ヘリや航空機など戦闘音響マニア延髄の音と見せ場が用意されています。


ダイナミックレンジ(音域バランス)


Dolby True HDなので音圧は高くはなく、ダイナミックレンジはそこそこです。
DTS-HDMAであれば最強だった思います。


瞬発力・量感(キレと強さ)


静と動のコントラストが良く、制作側の意図が伝わってくる音響です。
瞬発力は良く、低域も量感はあります。
チャンネルの移動感に優れていて、量感にも繋がります。
芯やキレはそんなにありません。


情報量(台詞、SE音、音楽)


台詞:
ホームビデオカメラのような少し粗い平板な台詞です。
恐らく同録の音声のためと、ドキュメンタリータッチにしたい制作側の意図かもしれません。
いずれにしても、今一つです。

SE音:
丁寧に情報量も多く作られたSE音です。
屋外の暗騒音や反響音まで細かく作られています。
96khz収録により、元の素材の膨大な情報量が詰め込まれている感じで、最上級です。

音楽:
音楽が芝居を邪魔することがなく、あまり印象に残ってません。


サウンドデザイン(音像感と音場感含む)


その場にいるようなドキュメンタリータッチの音響で、不自然な誇張もない代わりに、その場にいたら聴こえているであろう環境音などがちゃんと収録されています。
画面には全く映っていない人の声や足音、虫の音などまでちゃんと配置しています。
銃声などの戦闘音は、Dolbyのため線が細いのですが、情報量がすごく良いため、解像感と重さ、移動感を伴い、細かい着弾音までサラウンドで的確に表現しますので、銃声マニアにも大満足の音です。
ただし、Dolbyのため、鋭さや芯は薄く、エッジが少々丸まった感じを受けます。
音場はシーンに合わせて現実感のある包囲をします。
また高さ方向への音場もあります。
96khz収録による元のサウンドデザインを引き立てる情報量の多さが特筆すべき点になります。


サラウンド(移動感含む)


サラウンドの情報量は膨大でマルチチャンネル天国のような音響です。
SE音や環境音、台詞、音楽全ての要素がマルチチャンネルに配置してあります。
サラウンドへの音響配置は手抜きがなく、銃声が背後から前方に移動しセンターチャンネルで着弾するなどの細かいデザインまで行われています。
またサラウンドが無音のシーンも結構ありますので、好みがわかれる気もします。(物足りないという意味で)




クオリティ・レビュー詳細





★総合クオリティ     :98点

(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)



★映像クオリティ     :99点

(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)



 解像感        :100点
 ノイズ感       : 98点
 鮮度感        : 99点
 階調性        :100点
 カラー        :100点





★音声クオリティ     :96点

(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)



 ダイナミックレンジ  : 86点
 (音域バランス)
 瞬発力・量感     : 84点
 (キレと強さ)
 情報量        :105点
 (台詞、SE音、音楽)
 サウンドデザイン   :105点
 (オリジナルとメディア化)
 サラウンド      : 98点
 (移動感含む)








レビュー基準についてはこちらInternal_Link_15px.png




商品ソフト紹介



【Blu-ray】
ローン・サバイバー Blu-ray
by カエレバ


【Blu-rayその他】
ローンサバイバー_100px.jpg
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【DVD】
ローン・サバイバー DVD
by カエレバ


【オンライン】
ローン・サバイバー(字幕版)
by カエレバ






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オーディオとホームシアターが三度の飯より好きなアラフィフ管理人です。どちらかと言えばホームシアターのほうがオーディオより好きです。映画ソフトはかなりたくさん観てきましたので、機器だけではなくソフトのクオリティ・レビューも気ままにしていきたいと考えてます。機材検討やソフト購入検討のお役に立てれば幸いです。
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