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「医療等の状況」の書き方 - @

「医療等の状況」の書き方−基礎編

小中学生が学校でけがをした場合、画像のような「医療等の状況」という書類を持ってくることがあります。これは、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度に基づく給付金請求に必要な書類です。

この制度には、義務教育下の小学校や中学校はもとより、高等学校、高等専門学校、幼稚園、保育所に至るまで、ほとんどの学校が加入しています。

これらの学校等の管理下における児童生徒等の災害(けが)に対し、災害共済給付(医療費、障害見舞金及び死亡見舞金の支給)を行うものです。
ここでいう「学校等の管理下にける災害」とは、授業時間中はもちろん、休憩時間中やクラブ活動中など、学校(管理)施設内で発生したけがを指す他、通学途中のけがにも適用されます。
会社員(労働者)の労災保険(労働者災害補償保険)の適用と似ています。


さて、この用紙の提出を受けた場合は、児童生徒等の傷病に対する施術について証明します。

注意事項としては、以下のとおりです。

「医療等の状況」作成時の注意事項

1) レセプト(療養費支給申請)と同様に、1か月ごとに書類を作成する。
2) 学校等の管理下における災害(災害給付制度の対象となる傷病)のみについて記載する。
3) 健康保険施術協定料金に基づく料金を記載し、自由施術の適用分は含まない。
4) 学校側の事務手続き上、月が変わり次第できるだけ早いうちに前月分の書類を交付してあげる。


「医療等の状況」に記載するのは、災害給付制度の対象となる傷病についてのみです。
例えば、災害給付制度の対象となる傷病と、同制度の対象とならない傷病を合わせて施術していた場合は、同制度の対象となる傷病についてのみを抽出して記載することになります。

【例】

学校で右足関節を捻挫して来院したA君が、その施術期間中、左肘関節を捻挫して施術を行った場合。
なお、左肘関節捻挫は自宅で受傷したもの。

この場合、「医療等の状況」には、右足関節捻挫のみについて記載し、左肘関節捻挫については記載してはいけません。


前述した【例】の算定は、A君の施術料金(総費用額)から左肘関節捻挫に要した料金(施療料、後療料、冷罨法料、温罨法料等)を差し引きます。
即ち、初検料や再検料は、「医療等の状況」で証明する中に組み入れるということです。

また、「医療等の状況」に記載するのは健康保険施術料金です。
例え、災害給付制度の対象となる傷病に対して行った施術でも、もし、自由施術分を組み入れてあったとしても、「医療等の状況」に記載するのは健康保険施術協定料金に基づく金額のみとします。

なお、「医療等の状況」には、初検料にはじまる保険施術料金算定上の料金種別(分類)があり、それぞれの料金や回数、施術期間などを記載する欄が設けられています。
20年ばかり前まではこの欄に記載していましたが、現在では、この欄を省略しても良いことになっています。

ですから、「医療等の状況」を作成するに際して柔道整復師の記載欄は、枠に囲まれた部分となります。

なお、初検料をはじめとする料金明細欄は省略しても良いというだけです。
記載してはいけないわけではありませんので、計算を分かりやすくするように記載しても構いません。

いずれにせよ、「医療等の状況」で証明する金額には、誤りがないように十分留意することが必要です。

なお、災害共済給付制度は現在、独立行政法人日本スポーツ振興センターの行う事業となっていますが、その前は日本体育・学校健康センター、もう一つ前の世代では学校健康会(学校安全会)などと何度か名前が変わっています。
ですから、古い先生では学校健康会などという呼び方の方が分かってもらいやすい場合もあります。

診断書の書き方 - E

傷害保険の診断書の書き方についてその項目ごとに説明をしてきたところですが、具体的な記載方法については今回が最終回となります。

17) 他の診断書の発行先

今回作成している診断書のほかに、損害保険会社あての診断書(傷害保険金給付請求用)を作成したか記載するものです。
この診断書に記載された傷病名と同じもので、同じ治療期間について証明するものが対象です。
従って、例え傷害保険金給付請求用の診断書であっても、今回作成している診断書に記載の傷病(受傷年月日や受傷原因が同じで、傷病名や通院期間が重複しているもの)以外のものであれば、他の診断書の発行先はないことになります。

該当する損害保険会社があれば、その会社名を○印で囲みます。
なければ、「その他( )」の欄の「その他」を○印で囲み、( )内に損害保険会社名を記載します。
また、今回の診断書の提出先となる損害保険会社と同じ損害保険会社に対して、異なる傷害保険の保険金請求を行うための診断書を発行してある場合も、「その他( )」の欄に記載します。

なお、該当する損害保険会社がない場合は、斜線を引きます。


18) 証明(診断)年月日

診断書作成年月日を記載します。
「初診日」の欄に元号(平成)で記載した場合は、この欄にも元号で記載します。
また、元号も省略せずに記載します。

なお、この診断書は過去の施術を元に作成するものです。
従って、将来的な推測に基づく診断書は作成できません。

具体的な例で述べると、「通院治療」に記載の通院期間が平成19年9月1日から10月11日までの場合、証明年月日に記載の日付は最も古くても10月11日で、それ以前では問題が生じてきます。

【不適切な証明(診断)年月日の例】
「通院治療」に記載の期間が9月1日から10月11日まで
「証明年月日」記載の日付が10月1日の場合

上記の【例】の場合では、診断書が作成した日付が10月1日であるのに、通院治療期間がそれより後の10月11日までに及んでいます。
すなわち、これが将来的な推測に基づくものに該当するのです。
よって、証明年月日は、「通院期間」に記載の最終施術日以降であればいつでも良いことになります。


19) 証明欄

「(施術所)所在地」、「電話番号」、「病院名(施術所名)」および「医師(柔道整復師)氏名」の順に記載します。
上記事項が記載されたスタンプ印などを利用するのであれば、上記の順にかかわらず必要事項さえ記載されていれば差し支えありません。
なお、スタンプ印を押印しても、例えば電話番号が抜けているなどしている場合は、必要な(不足分の)事項のみ手書きで書き加えます。

なお、「病院名」を「施術所名」、「医師氏名」を「柔道整復師氏名」にわざわざ訂正する必要はありません。
「病院名」を「施術所名」、「医師氏名」を「柔道整復師氏名」に読み替えた上で必要事項を記載します。
気になるようであれば、「医師氏名」記載欄には「柔道整復師 整骨太郎」という風に、氏名の前に免許名を記載しても構いません。

認印を押印することも忘れてはいけません。
認印はシャチハタではなく、三文判でも構いませんから、朱肉を用いて押印する印鑑を用います。

印鑑の押捺箇所は、下の画像に示したように、(印)と書かれた部分に押印します。


また、もう一つの押捺箇所として、氏名の最後になる文字の右半分にかけるようにして押印する方法もありますが、今回の診断書作成に当たっては前述した(印)の文字の上に押す方法がお勧めです。


20) 傷害部位

診断書裏面に傷害部位図示欄がある場合は、「傷病名および受傷部位」に記載した傷病の部位に○を付けます。
この時、傷病に起因して関連痛などが生じている部位(傷病の部位からかけはなれた部位)には○を付けてはいけません。
また、図に○を付けるだけで分かりにくい場合などは、必要に応じて「摘要」欄を利用します。

診断書の書き方 - D

12) 就業が全く不能な期間

この項目も、次の「本人の業務及び日常生活に支障がある期間」と合わせて誤解しやすいところです。

この項目を記載する際にはまず、患者さんの職業を元に考えなければなりません。
職業は、「職業」欄に記載しました。
単に「職業」欄に記載されたものだけではなく、患者さんからは具体的にどのような業務に従事しているか聞きます。
そして、その具体的な業務内容から判断して、就業が全く不可能と考えられる期間を導き出すのです。

就業ができなかった期間(会社等を休んだ期間)を患者さんから聞くことも誤りではありませんが、患者さんの中には傷病の重傷度を重いめに訴える人がいます。
ですから、患者さんを疑ってかかるわけではありませんが、患者さんの訴えを鵜呑みにしてはいけません。

【例/会社員Aさん】
具体的な職務内容は事務職で、1日のほとんどがデスクワーク。
Aさんは、就業が全く不可能な期間は「10/1〜10/20だった」と言ってきました。
しかし、この間に傷病を理由で会社を休んだのは10/1〜10/10だった場合、10/11〜10/20は少なくとも仕事ができています。


ただし、会社に出勤できたことが直接、就業が全く不可能ではなかったとするのは短絡的過ぎます。

【例/会社員Bさん】
具体的な職務内容は倉庫内での荷物の運び出し作業。
Bさんは責任ある仕事であったため、傷病のため欠勤したのは10/1のみ。
しかし、10/1から10/10までの間は荷物の運び出し作業はできず、倉庫内の椅子に座ったままで、荷物の運び出しの指図だけを行いました。


Bさんの場合、10/1から10/10までの間、指図だけでもできている(就業できている)と考えられますが、日頃、自分で行っている作業は全くできず、かと言って休んでしまうとどの荷物を出して良いか分からないため出勤して指図をし、代わりの人に運び出し作業を行ってもらったものです。
本来なら傷病のために休むべきところ、職責の都合上、休むことができずに出勤しています。
このような場合は、例え出勤してあっても、就業が全く不可能な期間と判断して構いません。

ただ、前述したとおり、患者さんの訴えのみに頼ることなく、患者さんの具体的な職務内容と傷病の程度を照らし合わせ、就業が全く不可能かどうか考える必要があります。

一般的な捻挫などの軟部組織損傷であれば、この欄に記載する期間は数日から10日程度となります。

なお、患者さんが会社員の場合は具体的な職務内容が把握できますが、主婦の場合はその患者さんが日頃行っている主婦としての業務を職務内容として考えます。
また、学生の場合は、学校での学生生活を就業(就学)内容として考えます。
フリーターの人のように何らかの職務内容がある人はその職務内容で考えます。
無職の人は職務内容がありませんから、この場合は日頃の日常生活を職務として考えます。

また、就業が全く不可能な期間の最終日は原則、施術した日でなければなりません。

【例】
Cさん
就業が全く不可能な期間:10/1〜10/5

この場合、少なくともCさんは、10/5に施術を受けている必要があります。
10/5に施術を受けていなかった場合では、10/6に施術を受けている必要があります。

就業が全く不可能な期間は患者さんが決めるものではなく、柔道整復師が患者さんの職務内容や傷病の状況を元に判断するものです。
従って、就業ができるようになったかどうか判断するためには、柔道整復師が施術(診察・検査)を行う必要があります。

例えばCさんの通院日が10/1と10/10の場合、5日以降で就業ができるようになったと判断する根拠に欠けてしまいます。
一方、10/5に施術してあれば、その時点で就業に支障を来さないと判断したと考えられます。
10/5に施術していなくても、翌日の10/6に施術していれば、例外的にその前日まで就業ができなかったが6日以降就業できると判断したと考えられます。


13) 本人の業務及び日常生活に支障がある期間

まず、ここに記載する期間は前項「就業が全く不可能な期間」よりも長くなることが必要です。
「就業が全く不可能な期間」と「業務及び日常生活に支障がある期間」では、後者の方が長引くことが想像できますね。

「傷病が治癒するまでは何らかの支障があって当たり前だから、治癒する日までを書くのでは?」と思われるようですが、そうではありません。
ここでいう「支障」とは、相当の支障と考えるべきでしょう。
疼痛や機能障害が残っていても、ほぼ普段どおりの業務や日常生活をこなせているのであれば、ここで証明する支障がある期間とはなりません。

具体的には前項で証明した期間との兼ね合いもありますが、概ね次のような期間とするのが一般的です。

【例/「就業が全く不可能な期間」と「支障を来す期間」】
/「就業が全く不可能な期間」で証明した期間・・・「支障を来す期間」で証明する期間
3日・・・5日〜14日
5日・・・7日〜20日
7日・・・10日〜30日
10日・・・14日〜45日


【例】に記載した期間はあくまでも目安で、実際は患者さんの職務内容と症状の程度に応じて考えるべきです。
従って、上記の期間を超えるなどしてもそれ相当の根拠があれば全く問題ありません。

なお、この欄に記載する期間についても、「就業が全く不可能な期間」と同様に、期間の最後の日には原則、施術を行ってあることが必要です。


14) 転帰年月日および転帰

転帰年月日(最終の施術年月日)およびその時点での転帰を記載します。

なお、年月日記載欄は元号記載の場合は元号(平成)をその都度記載するのが原則ですが、「通院治療期間」「固定装具使用期間」「就業が全く不可能な期間」「本人の業務及び日常生活に支障がある期間」および「転帰年月日」へは元号記載を省略しても構いません。


15) 通院日

「通院治療」の欄に記載した通院期間中における通院日(施術日)に○印を付けます。
画像に示したように、通院日記載欄の左側に何月分の通院日か記します。
通院日記載欄の右側には、当該月に何回施術を行ったかその日数(施術実日数)を記載します。
従って、「計 日」のところに記載された数字は、その月の通院日(○印を付けた数)に一致します。

画像に示した例は、9月4日から10月15日まで施術したということで記しました。
この場合、通院日記載欄はあと5か月分、空白のまま余ることになります。
記載欄にもかかわらず記載事項がない場合は、これまでと同様に、記載を要しない枠の右上から左下にかけて斜線を引きます。
これは、後で改ざんされることを防止する目的で行います。

なお、画像に示した○印や斜線は赤で表示していますが、これは画像を見やすくするためのものです。
従って、実際に診断書に記載する場合は、黒ボールペンで記載して下さい。

ところで、この通院日記載欄は「通院治療」に記載した通院期間内における通院日に○印を付けると冒頭でお話しました。

通院日記載欄はこの診断書では7か月分もありますから、捻挫などの軟部組織損傷であれば、まずこの期間内に治癒することでしょう。
骨折であっても7か月もあれば治癒するのがほとんどでしょうが、例外的にもし7か月を超える場合は、7か月目の最終施術日で一旦締め切ることになります。
従って、「通院治療」に記載の通院期間も、7か月目の最終施術日までとします。

【例】 1月10日初検で、8月以降も施術を継続している場合
1月から8月までの通院日を「22)通院日」に記載します。
「通院治療」は1月10日から8月の最終施術日までとし、「転帰年月日および転帰」は継続とします。

【例】に掲げた傷病は、9月になってからも引き続き施術を継続することでしょうが、ほとんどの傷害保険ではこれ以上施術を受けたとしても給付される保険金に影響が及びません。
従って、9月以降の通院にかかる診断書は不要ということになります。
もし、9月以降の通院についても診断書が必要な場合は、改めて診断書の交付を要請されます。


16) 後遺障害残存見込

後遺障害の残存見込みについては本来、柔道整復師が記載すべき内容ではありません。
しかし、ここで言う後遺障害の残存見込みは医師が行う後遺障害の認定とは異なるため、後遺障害がないと認められる場合は「無」に○印を付けます。

また、関節可動域(ROM)に軽度の制限が残るとか、腫脹が残っているなどというのはここで言う後遺障害には該当しません。
従って、捻挫をはじめとする軟部組織損傷では、原則としてこの欄への記載は「無」となります。

もし、この欄が「有」と思われる場合は、診断書の提出先となる損害保険会社に対して問い合わせて下さい。
この場合、後遺障害の認定を行う医療機関で診断書を交付してもらうことになります。
ですから、もし後遺障害が残存する可能性がある患者さんに対する施術の場合は、施術を開始した早期の段階から対診を行うなどしておくべきでしょう。

診断書の書き方 - C

7) 今回の傷病に関して実施した手術など
斜線を入れます。

(斜線記入例)
改ざん防止のため、記入のない枠には斜線を入れます。

医療機関において手術が実施されてあったとしても、ここには記載しません。この診断書には自院で行った施療(検査・施術・処置など)について記載するからです。

「手術名」、「筋骨関係手術の場合・植皮手術の場合」、「手術日」の記載枠には斜線を入れます。

8) 入院治療
斜線を入れます。

9) 上記入院期間中、付添が必要と思われる期間
斜線を入れます。

10) 通院治療

【例@】
10月1日から10月7日までの間に、1日、3日および5日の3日間通院した場合
通院期間=10/1〜10/7(7日間)
治療実日数=10/1、10/5、10/7(3日)

「通院治療 日間」と書かれたところには、通院期間中の日数(【例@】では7日間)を記載します。
この欄に、誤って通院実日数を記載する人が多いので注意が必要です。

「うち治療実日数 日」の欄には、【例@】で言えば3日です。

その下には通院期間を記載しますが、この欄に記載したいずれの日も、通院した日でなければなりません。

【例A】
10月20日から10月28日までの間に、20日、25日および28日の3日間通院した場合

【例A】の通院期間は「10/20〜10/28」となるはずです。
ところが、例えばこの傷病の転帰が継続である場合、通院期間を「10/20〜10/31」とする人が多いようです。
この場合、10/31は通院していません。
このように、通院していない日を通院期間の最初または最後の日とすることはできません。

11) 固定具使用の場合
ギプス、シーネ(金属副子を含む)、ポリネック、コルセットなどによって固定を行った場合に記載します。
プライトン、スダレ副子、テーピングによる固定も含みます。
なお、包帯施行の場合、固定を目的とする包帯を施行した場合は記載しますが、被覆を目的とする包帯では記載しません。
従って、伸縮包帯を施行した場合は固定とみなされにくいため記載せず、弾性包帯を施行した場合は固定とみなされるため記載します。

「使用期間」の欄には、固定を開始した日と固定を除去した日を記載します。
「使用固定具」の欄には該当する固定があればそこに○印をつけ、該当するものがなければ「その他( )」の欄に例えば「プライトン」、「テーピング」、「包帯固定」などと記載します。

なお、固定を行っていない場合は記載する必要がありません。
この場合は、改ざん防止のために、この枠の右上から左下に向けて斜線(/)を入れます。

診断書の書き方 - B

4) むちうち症・腰痛の場合の他覚症状(レントゲン・脳波・筋電図など器質的変化)の有無、検査結果

検査の結果を記載する欄です。
欄内にはあらかじめ、「X線異常」と「その他異常」の記載欄が設けられていますね。

柔道整復師が、行う検査もいろいろありす。
超音波画像診断装置を設備しているところでは、その検査結果を記載すれば良いでしょう。

超音波画像検査を行って異常がなかった場合であれば、「その他異常」の欄の「無」のところに○印をつけ、その右横にある()内に「超音波画像検査」(または「エコー検査」以下同じ)と記載します。
異常が認められた場合は、「X線異常」記載欄の上の空欄を利用します。
そこにまず、「超音波画像検査」と記載した上で、異常を認めた内容を記載します。

【例@/超音波画像検査で異常を認めた場合の記載例】
超音波画像検査(大腿四頭筋筋腹に不全断裂所見)

超音波画像で骨折所見が確認された場合は、次のように記載します。

【例A/超音波画像検査で骨折を認めた場合の記載例】
超音波画像検査(橈骨遠位端に骨折所見)

【例A】に示したように骨折所見を認めたものであれば、「 傷病名および受傷部位」記載欄には、「骨折」という傷病名がついていなければならないことは言うまでもありません。

ここで作成する診断書が骨折の応急手当だけの1日について証明するものであるならば、【例A】に示した書き方だけで構いません。
しかし、ほとんどの場合は2日以上の通院日数を証明するものでしょう。

ですから、【例A】で骨折所見の存在を記載するならば、同時に、「@ 医療機関に対する対診の旨」と「A その医療機関で骨折と診断されていること」も示す必要が生じてきます。

従って、傷病名が骨折である場合は、ほとんどの場合、次のような記載となります。

【例B/傷病名が骨折の場合の記載例】
超音波画像検査(橈骨遠位端部に骨折所見)
X線異常 (有) (○○整形外科)

検査結果記載欄にまず、超音波画像検査を行って、橈骨遠位端部に骨折所見を認めた旨を記載しています。
同時に、○○整形外科ではX線検査を行い、異常(骨折)が認められたことを記載しています。

この欄は一般的に、自院で検査した結果を記載するところです。
【例B】に例示したX線異常については、○○整形外科から交付される診断書に書かれるべき性質のものと言えるでしょう。
しかし、柔道整復師法第17条に規定される施術の同意の見地から、例え超音波画像検査で骨折所見を認めても、医師の同意を得た旨を記載しておくべきです。
なお、前述した「医師の同意」はこの診断書の作成上、法第17条に規定される「後療施術にかかる医師の同意」という性質よりも、医師によって骨折と診断されている旨(柔道整復師以外の第三者による骨折との診断)を示すものです。

なお、超音波診断装置を設備しないところで骨折の診断書を書く場合は、骨折と診断された事実を記載しておかなければなりません。

【例C/傷病名が骨折の場合の記載例】
X線異常 (有) (○○整形外科)

ただし、前述したように、ここに記載する検査結果は原則、自院で行った検査の結果を記すものですから、【例C】に記したような記載にとどめ、「骨折という診断名」までは記載しません。


接骨院で行う検査は、超音波画像診断だけではありません。

ROM(関節可動域)やMMT(徒手筋力検査)、SLR(下肢伸展挙上テスト)など、各部位の損傷に用いられる徒手検査などに異常があればその旨記載します。
打腱器を用いて神経学的検査を行った結果も記載できます。

いずれの検査においても、異常を認めたものは記載します。
異常がなかった場合は記載する必要はありませんが、いずれの検査においても異常を認めなかった場合は、異常がなかった旨を記載します。
この場合、異常がなかった検査名を1つか2つ程度記載しておけば良いでしょう。

【例D/検査に異常がなかった場合の記載例】
徒手筋力検査(MMT) 異常なし



5) 当該傷病の治療歴の有無

診断書の傷病名と同じ傷病名で、過去に治療歴がないかを記載します。
治療歴は自院のみならず、他の医療機関におけるものも含めます。
自院の治療歴は施術録を元に、他院での治療歴は患者さんからの申告を元に記載します。
なお、柔道整復師の場合、ここでいう治療歴は過去5年以内のものを指します。
当該傷病の治療歴が過去に2回以上にわたってある場合(2回以上、同じ傷病名で受傷してある場合)は、直近のものだけ記載します。

【例E/自院で腰部捻挫の治療歴がある場合の記載例】
治療歴 (有) (病院名:当院)
(平成○年○月○日〜○月○日 治癒)

【例E】に示したように、治療期間と共に転帰も記載しておきます。
補足ですが、当該治療歴に記載の転帰日(最終治療日)が診断書に記載の初診日(初検日)に近く、診断書記載の傷病と関連性があるなどと認められた場合は、保険金給付の対象とならないことがあります。

【例F/他院で右足関節捻挫の治療歴がある場合の記載例】
治療歴 (有) (病院名:○○整形外科)
(平成○年○月○日〜○月○日 治癒)

他院での治療歴は患者さんの申告に頼るだけですから、詳細な治療期間が分からないかも知れません。
この場合は、期間の欄に「平成○年○月ごろ」と記載します。
また、最終治療日や転帰は、分からない場合は記載しなくても構いません。

また、腰部を負傷して整形外科で治療を受けた既往がある場合は、必ずしも腰部捻挫(腰椎捻挫)という傷病名がついているかは不明です。
傷病名が明確でない場合は、患部が同じであっても、既往歴の欄は「無」に○印をつけます。

ここに記載するのは「当該傷病の治療歴」であって、施術録に記載する既往歴とは異なります。
例えば、腰部捻挫で受療した患者さんに腰椎椎間板ヘルニアの既往歴があっても、この欄には記載せず、次の「13) 既往症の有無」欄に記載します。


6) 既往症の有無

診断書において証明する傷病と特に関連性のある既往症がある場合、ここに記載します。
その場合は、受診した医療機関名を記載しておきます。
前項でお話したような、腰部捻挫で受療した患者さんに腰椎椎間板ヘルニアなどの既往歴がある場合、記載します。
医療機関名のほか、病名も合わせて記載します。

診断書の書き方 - A

3) 初診から現在までの主要症状並びに治療内容
ここには、次の内容を記載する必要があります。
@ 初検時における主要症状
A 現在(転帰時)までの主要症状の遷り変わり(症状の経過)
B 現在(転帰時)の主要症状の結果
C 治療内容

具体的には、次のようなことを書きます。

@ まず、初検時に確認した主たる症状を記載します。その他、それに付随する症状も記載。
A 初検時に見られた主たる症状やそれに付随した症状が、転帰時までにどのような経過をたどったか記載します。
B 転帰時において主たる症状やそれに付随した症状が改善されたか、まだ症状として残っているのかなどを記載します。
C どのような治療を行ったのかを記載します。

たくさんの事柄を書かなければなりませんが、簡略に必要な事項をピックアップする必要があります。

まず、@〜Bの部分を例を挙げてお話します。

【例A/右足関節捻挫】
初検時、自発痛著しく歩行荷重に支障を来たす。
外果下部に腫脹を呈し、前距腓靭帯部に限局性圧痛および内反痛を認める。
経過は比較的良好にて治癒に至る。

【例A/解説】
@ 初検時の主要症状やそれに付随する症状
「著しい自発痛と歩行荷重障害」が初検時の主要症状です。
そして、「外果下部の腫脹、前距腓靭帯部の限局性圧痛、内反痛」がそれに付随する症状です。
A 転帰時までの経過
「経過は比較的良好」という表現だけで、転帰時までの経過が良かったことを示しています。
B 転帰時の主要症状の結果
「治癒に至る」は、転帰時の結果を示しています。

この診断書は、通院日の記載欄は7か月分もあります。
ほとんどの診断書は半年分前後の通院日の記載欄がありますので、多くは傷病が治癒してからこの診断書を作成することになります。
ですから、「B転帰時の主要症状の結果」は、「治癒に至る」となるものが多いでしょう。

なお、「A 転帰時までの経過」としての記載方法には、次のようなものが挙げられます。

【例B】
・経過良好にて治癒に至る。
・経過は比較的良好にて治癒に至る。
・経過は緩慢ながら治癒に至る。
・歩行荷重痛が去り難かったが治癒に至る。
・内反痛が去り難く、長期固定を施行した結果、足関節に軽度の拘縮を招いた。

治っていくまでの経過がスムーズであれば、「経過良好」とします。
ちょっと治るのが遅いかな?と思う程度であれば、「緩慢ながら」という表現を用いると良いでしょう。
治り具合が悪かったのであれば、【例B】に掲げたように、具体的にどのような症状の治りが悪かったのか記載しておきます。
転帰で「治癒」は治ったことを指しますが、実務的にはもう少し詳しく分類ができます。

【治癒の分類】
a) 治癒
完全に治った場合。
b) 治癒見込み
転帰時時点ではまだ何らかの症状が僅かに残っているものの、あとは特段の加療をせずとも時間的な経過に伴って治ってしまうことが予測できる場合、治癒を見込むことができます。
治癒を見込んだ場合、治癒と同様に扱われます。
c) 症状固定
実際は治ったとは言えないのですが、転帰時現在において何らかの症状が残っているのですが、それに対して今後どれだけ治療を施しても全く改善が見込まれない状態を指します。
「症状が固まってしまった=それ以上、改善されない」という意味です。
この場合、転帰は「治癒」または「中止」で処理します。

なお、前述した「治癒見込み」または「症状固定」の場合は、その旨を記載しておきます。
また、治癒見込み時点に残っている症状や、症状固定となった時の症状も記載しておきます。

【例C】
・外果下部に微慢性腫脹、内反痛が去り難く、転帰時現在もその症状を僅かに残すが、日常生活動作上に支障を来たさなくなったため治癒を見込む。
・前距腓靭帯部付着部に軽度の圧痛、他動的な内反に軽度の疼痛を訴えているが、症状固定として治癒を見込む。

治療の途中(治癒しないうち)に診断書を発行する場合(転帰が「継続」、「中止」または「転医」)は、転帰時現在においてはまだ、症状が残っていることになります。
その場合は、転帰時現在の症状を記載しておきます。

【例D】
・(継続の場合)転帰時現在もなお、足内反制限を訴え、歩行荷重障害を認める。
・(中止の場合)外果部の腫脹および内反痛を残しているが中止。
・(転医の場合)自発痛去り難く、歩行荷重に支障を来たしたまま、○○整形外科(○○市に)転医。

転帰が転医の場合は、【例D】に記したように、分かれば転医先医療機関の名称および所在地も記載しておきます。
できれば、【例E】のように、転医の理由も記載しておくのが良い方法です。

【例E】
・経過が緩慢で自発痛去り難く、歩行荷重障害が改善されないため、○○整形外科(○○市)に紹介の上、転医。
・自発痛および歩行荷重障害が改善されないため患者が転医を希望。○○整形外科(○○市)を紹介。
・自発痛および歩行荷重障害が改善されないため患者が○○整形外科(○○市)への転医を希望したため転医。

「初診から現在までの主要症状並びに治療内容」の欄には、「@ 初診時主要症状」、「A 転帰時までの症状経過」、「B 転帰時主要症状」に次いで最後に、「C 治療内容」も記載する必要がありましたね。
「C 治療内容」に記載する内容は、施術録の処置欄からピックアップして書くことになります。
具体的には、患者さんに対して行った処置の種類を記載します。

処置の種類には、次のようなものがあります。

【処置(治療)の種類】
・低周波
・極超短波(マイクロ波)
・超音波照射
・乾式ホットパック
・湿式ホットパック
・頸椎牽引
・腰椎牽引
・柔整手技
・運動療法 など

処置にはこの他、シーネ(副子)固定、テーピング固定、包帯固定などがありますが、固定に関しては「固定具使用の場合」記載欄に記載しますので、ここでは記載しません。

また、急性期(炎症期)には冷罨法を施行しているでしょうが、これは温罨法(温熱療法)に比較すると短い期間であるため、ここで記載しないのが一般的です。

「C 治療内容」としての具体的な記載例は、次の通りです。

【例F】
・治療は、低周波通電、極超短波照射などのいわゆる物理学的療法。
・治療は、低周波通電、湿式ホットパック、腰椎牽引などのいわゆる物理学的療法。

低周波は「通電」、極超短波(マイクロ波)や超音波(超音波診断を除く)は「照射」とします。
治療として行ったものをいくつか列記した上で、その最後に「・・・などのいわゆる物理学的療法」と記しておけば、柔道整復師が行う施術として認識してもらえます。
なお、「理学療法」は理学療法士が行うものとなりますから、柔道整復施術の「物理学的療法」と区別すべきでしょう。

施行した治療の種類は全て列記する必要はありません。
主たる治療となるものをいくつか列記し、最後に総称として「物理学的療法」である旨記載しておけば差し支えありません。
このような理由から、前述したように「冷罨法」という治療の種類は記載しないのが一般的なのです。
記載するならば、「冷罨法」よりも多く施行されたであろう「温罨法」でしょうね。
なお、「温罨法」を行った旨記載したいのであれば、「温熱療法」とすれば良いでしょう。

@〜Cを通して記載すると、次のようになります。

【例G/腰椎捻挫】
初検時、仙棘筋硬化著しく不橈性疼痛を認める。加療に伴い漸次改善。治癒に至る。
治療内容は、低周波通電、極超短波照射などの温熱療法を主とするいわゆる物理学的療法。

【例G】は簡単過ぎて、記載欄には余るほどですね。
ですから、【例G】に掲げた記載例よりもう少し詳細に症状等を書いても良いでしょう。
ただし、いくら詳細に記載するからと言って、記載欄からはみ出してしまうことは良くありません。

また、主要症状をはじめとする記載は、専門用語を用いるほか、医学的な論拠に基づくものでなければなりません。


【例H/悪い記載例】
(専門用語を用いない記載例)
(誤) 内出血や腫れがなかなか引かず、階段の昇り降りにも支障を訴え続けていた。

(正) 皮下溢血や腫脹が去り難く、階段昇降などの日常生活動作に支障を訴え続けていた。

(医学的論拠に基づかない記載例/右足関節捻挫)
(誤) 内反捻挫による前距腓靭帯および腓腹筋損傷。他動的な足回内強制時に前距腓靭帯部および腓腹筋部に疼痛を認める。

(補足) 内反捻挫によって前距腓靭帯損傷は起こりますが、それによって腓腹筋損傷は一般的に考えられにくいですね。また、前距腓靭帯損傷であれば内反痛が症状として現れますが、他動的な足回内(外反)に疼痛を伴うのは一般的ではありません。

(正) 内反捻挫による前距腓靭帯損傷。内反痛は認められないが、他動的な足回内強制時に同靭帯部や腓腹部にも疼痛を訴える。

(補足) 内反捻挫によって前距腓靭帯損傷は問題ないためそのまま記載します。しかし、これによって腓腹筋損傷は考えられにくいため、この時点では記載していません。次いで他動的な回内痛が主要症状ですが、前距腓靭帯損傷に考えられるべき症状を記載すべきでしょう。この場合は、「内反痛は認められないが・・・」としています。そして、他動的足回内強制に伴って、前距腓靭帯および腓腹部に疼痛を訴える旨記載しました。(腓腹筋損傷である旨は記載せず、運動痛として腓腹部の疼痛を伴うとしています) また、(誤)の例示では「疼痛を認める」と記載しましたが、(正)の例示では「疼痛を訴える」にしました。この使い分けについては後述します。

診断書の書き方 - @

日常生活でけがをした場合、入院日数や通院日数に応じて保険金が給付される傷害保険に加入している人は少なくありません。 傷害保険による保険金給付を受けるために患者さんは、医療機関が交付する所定の診断書を添付して請求します。

しかし、損害保険会社にはわざわざ施術証明書は用意されていません。
しかし、患者さんには損害保険会社から診断書に記載してもらうよう患者さんに告げられます。
ですから、この診断書を用いても問題ありません。

1) 保険種別
施術に際して適用となった保険種別に◯をつけます。

@ 健保・・・協会健保、船員保険、日雇保険、健康保険組合、共済組合
A 国保・・・国民健康保険、国民健康保険組合、退職者国民健康保険
B 労災・・・労働災害保険、通勤災害保険
C 自費・・・自由施術(保険の適用を行わずに実費施術を行った場合)
D その他・・・自動車賠償責任保険(自賠責保険)

2) 職業
傷害保険によっては、就業が不能な期間について保険金が給付されるものがあります。
この場合は、患者さんの職業によって大きく左右されます。

【例】
・終日デスクワークをしているAさん。主な仕事はPC操作をはじめとする事務。
・スーパーの店員をしているBさん。荷物を運んで店頭に並べるなどしている。

下腿骨骨折で下肢にギプス固定をし、松葉杖によって歩行する場合を例にとってみましょう。
Aさんの場合では、自宅から会社までの行き帰りには支障を来たしますが、いざ職場でデスクワークを行うとなるとそれほど支障は来たさないでしょう。
一方、Bさんの場合では、免荷したままでは仕事にはなりません。

診断書の下の方に、「就業が全く不可能な期間」や「本人の業務及び日常生活に支障がある期間」を記入する欄があります。
そのためにも、診断書を作成する前には患者さんから職業と職場での具体的な仕事内容を聞いて、施術録に記録しておきます。

なお、診断書の職業欄には「会社員」「主婦」「自営業」「会社役員」「公務員」「農業」「学生」「パート社員」「アルバイト」「無職」「保育所児」「幼稚園児」「乳児」「幼児」などと書きます。

また、「就業が全く不可能な期間」や「本人の業務及び日常生活に支障がある期間」に記入した期間によっては、必要に応じて具体的な仕事内容を書き加えておきます。

【例】
会社員(デスクワーク)、会社員(営業職)、会社員(荷物の積み下ろしを行うトラックドライバー)、農業(米農家)、パート社員(スーパー店員)、公務員(警察官)など

3) 傷病名および受傷部位
まず、「傷病名」と「受傷部位」なのですから、それぞれを書く必要があるように思えますが、保険請求上用いる傷病名だけを記載して構いません。

例えば足関節捻挫では前距腓靭帯の損傷は多発しますが、それに比較して内側靭帯の損傷はまれで、この靭帯を損傷すると治癒までに期間がかかりがちとなることが多いと思います。
一般的な足関節捻挫であれば、中等度(第2度損傷)のものであっても1〜3か月もあれば治癒するでしょう。
それに対して三角靭帯(内側靭帯)を損傷したケースでは、3か月以上かかることもあるかも知れません。
このように、傷病名から推測できる治療期間に対して長期間の治療が必要となることが推測できる場合は、傷病名に合わせて具体的な傷害名を書き加えておくと良いでしょう。

【例】
左肩関節捻挫(棘上筋腱不全断裂)
左肩関節捻挫(上腕二頭筋長頭腱断裂)
左膝関節捻挫(前十字靭帯損傷)
左足関節捻挫(三角靭帯損傷) など

傷病名に続けて書き加える具体的な傷害名は、柔道整復師の業務範囲内のものであることは言うまでもありません。
肩関節に炎症症状を伴っているからと言って「肩関節周囲炎」とか、上腕骨外側上顆付近に炎症を伴っているからと言って「上腕骨外側上顆炎」と記載してはいけません。
また、「狭窄性腱鞘炎」や「変形性膝関節症」などが合併して、手指や膝の外傷の経過に悪い影響を与えていたとしても、傷病名(具体的な傷害名)としてはそれを記載してはいけません。

なお、この傷病名欄において、保険請求上用いる傷病名のほか、具体的な傷害名を記載するのは診断に該当するのでは?という意見を耳にすることがあります。

そのように思われる方は傷病名欄にはそれだけの記載にとどめ、具体的な損傷部位については「4) 初診から現在までの主要症状並びに治療内容」のところに記載すれば良いでしょう。

接骨院の診断書

日本接骨師会から、柔道整復師の業務に関する質問が厚生省に出された事があります。
以下、その質問と回答を掲載します。
平成3年9月28日号の日本医事新報に掲載されたものです。

医事法制
[問] このたび整復師がその業務にもとづく判断および証明について、医師の診断及び証明でないから不可とする事件が発生した。そこで日本接骨師会から左記の件について照会したい。整復師は医学的判断をする余地はないか、また、そのような判断を書面にして交付することは可能か。

[答] 医師が患者の健康状態に関し、医学的見地からおこなう総合的判断を診断と称し、これを証する書面を診断書と証するが、このことをもって整復師が法律上認められた業務の範囲において、施術のうえで必要な判断を行なうことを否定するものではなく、その判断にもとづく書面の交付を禁止するものではない。なお、整復師の行なう施術行為は広義の医療行為に含まれる。

                                          厚生省健康政策局医事課


 交通事故に限らず傷病給付金、障害保険等の診断書も作成できます。




>長期に病気や怪我を理由に休んだ場合、職場より診断書を請求されますよね?

 はい。

>その場合の診断書って、医師が書いたものではないのでしょうか?

 はい。医師が作成したものを確認します。

>診断書ってその程度のものでいいのでしょうか?

 長期欠勤者の就労復帰に関しては企業は、当該業務(職務内容)に就労させるにつき不都合はないかの確認をします。労働者の自己判断にて就労復帰して職場内または当該職務遂行を要因として病気が再発したり、倒れたりしたら企業における従業員の健康管理配慮義務を充分に果たさなかったこととなり、労働安全衛生法に抵触(違反)しかねません。そのため会社によっては就労する職務内容を記載した用紙に当該業務に就労させるにつき医師の証明または産業医の証明をつけさせます。

>同僚で、診断書を出せといわれて、「整骨院」(いわゆる柔道整復師)のものを提出しようとしている人がいます。
診断書ってその程度のものでいいのでしょうか?

 会社(人事部門)の判断によります。

紹介状

医療機関から紹介を受けた場合のお礼状

医療機関の側から私たちに紹介してくれる場合があります。
その場合、ほとんどの患者さんが紹介状を持って訪れます。

さて、医療機関から患者さんの紹介を受けた場合、接骨院としてはどのような対応をすれば良いのでしょう?
お礼の手紙を書くべきなのか?、紹介を受けた患者さんに加療して治癒したら報告すべきなのか?など。

まず、患者さんを紹介してもらったことについてのお礼を述べようとする場合なら、紹介を受けてすぐ、お礼状を送るべきでしょう。
この場合、単にお礼の文言にとどまるのではなく、施術の方法について簡単に記しておくのが良いかも知れません。

【例】

お礼状

◯◯整形外科 ◯◯ ◯◯先生 侍史

患者氏名 ◯◯ ◯◯殿(◯歳)

いつもお世話になります。

このたびは、◯◯殿をご紹介いただきまして有難うございました。
平成◯年◯月◯日に当院を来院しましたのでお知らせいたします。

なお、肩関節に拘縮を呈していますので、ご指示いただいたとおり温熱療法にて機能回復訓練を実施させていただきます。

今後ともよろしくお願いします。

平成◯年◯月◯日

◯◯県◯市◯◯(〒XXX-XXXX)
◯◯接骨院
◯◯ 太郎(印)
電話 XXXX-XX-XXXX


【例】は、上腕骨外科頸骨折を受傷した患者さんが紹介されてきたものと想定して、そのお礼状を示したものです。
医療機関からは、上腕骨外科頸骨折を受傷した患者さんで、骨癒合は得られたもののいまだ肩関節に拘縮を来たしているとして、その機能回復訓練を実施してもらいたいと紹介状に記されてあったと仮定しています。

医療機関に対して対診を行ったり、紹介を行う場合では、依頼状や紹介状は患者さんに言付けて持って行ってもらいます。
一方、患者さんの紹介を受けた場合のお礼状は、郵送するなどしなければなりません。
ですから、お礼状の中には必ず、患者さんの氏名を書き忘れないようにすることが大切です。

【例】のお礼状の中では、患者さんを紹介して頂いたことに対するお礼に始まり、その患者さんがいつ接骨院を初検で受療したかも書き添えておきます。

さて、一般的なお礼状であれば、このような感じでしょうか?

紹介してくれた医療機関がご自分の接骨院から近いようであれば、この患者さんの症状経過を見ながら、紹介元の医療機関に経過報告を兼ねて対診を行うのも良いでしょう。
また、この患者さんの傷病に治癒を見込むとき、紹介元の医療機関に対診を行って、治癒を診断してもらうのも良いかも知れません。





整形外科から交付された紹介状です。
--------------------
接骨先生

いつもお世話になります。
XX XX殿紹介させていただきます。
昨年12月20日交通事故にてXX病院入院、14年1月16日当院転医。
歩行不能でしたが現在無杖にて歩行可能となっております。
現在膝とか上腕に疼痛を訴えておりますので温熱療法よろしくお願い致します。

3/31 (医師のサイン)

○○県○○町○○
○○整形外科 ○○○○(印)
電話 XXXX-XX-XXXX

--------------------

交通事故で受傷した患者さんの紹介です。
事故から3か月を経過しても上腕および膝に疼痛を訴えたままなので、接骨院に後療施術(温熱療法)を依頼されてきたものです。

さて、このように医療機関から患者さんを紹介してもらった場合はまず、紹介していただいたことに対するお礼状が必要ですね。

そして、症状の改善度合いに応じて適宜、対診や報告を行えば良いでしょう。

無病

「無病」という傷病名での保険請求

初検で来院した患者さんが外傷性疾患など柔道整復師の保険施術の適用外であった場合でも、保険請求は行えます。

例えば、患者さんが転んで膝に痛みを覚えたとします。
心配になって、膝に何も起こっていないか確認を求めて来院しました。

来院した時にはすでに痛みもなくなっていて、どこかを損傷したという所見が全く見られません。
患者さんには「どこも痛めていませんよ!」と言って帰ってもらうことでしょう。

この場合は、膝関節を捻挫したわけではなく、傷病が見当たらないことになります。
あえて傷病名を述べるなら、無病ということになります。
この場合は、傷病名欄は無病とし、初検料のみの算定を行えます。

さて、前述したお話は患者さんが転ぶなどして一見外傷性疾患の存在を疑う負傷原因がありましたが、外傷性疾患でなく身体のどこかに痛みを訴えて来院した場合にもこれが適用できるでしょう。
傷病名がない(無病)の場合は負傷原因が存在する必要がないとする考え方です。

言い換えれば、腰に痛みを訴えて来院した患者さんが椎間板ヘルニアであった場合、無病として初検料の算定のみ行い、整形外科に紹介することが可能と考えられます。
もちろん椎間板ヘルニアの発症については負傷原因の存在を問われません。(*)

また、膝に痛みを訴えて来院した患者さんが変形性膝関節症だった場合も同様です。
ただ、この患者さんに何らかの負傷原因があって、変形性膝関節症とは別に靭帯損傷が認められる場合はその靭帯損傷に対して保険施術が可能です。

ここでお話しているのは、靭帯損傷など柔道整復師の保険施術範囲内の傷病が全く見当たらず、変形性膝関節症など柔道整復師の保険施術範囲外の疾患しか見当たらなかった場合を指します。(*)
もちろん、先に述べたように、変形性膝関節症などの疾患の有無に関わらず、保険施術範囲内の傷病が見当たらない場合は無病として初検料のみ請求することが可能です。

この取り扱いは所属する柔道整復師団体によって異なる場合があります。
傷病名を無病として保険請求する場合は、所属する柔道整復師団体に確認の上行うようにして下さい。
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