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診断書の書き方 - D

12) 就業が全く不能な期間

この項目も、次の「本人の業務及び日常生活に支障がある期間」と合わせて誤解しやすいところです。

この項目を記載する際にはまず、患者さんの職業を元に考えなければなりません。
職業は、「職業」欄に記載しました。
単に「職業」欄に記載されたものだけではなく、患者さんからは具体的にどのような業務に従事しているか聞きます。
そして、その具体的な業務内容から判断して、就業が全く不可能と考えられる期間を導き出すのです。

就業ができなかった期間(会社等を休んだ期間)を患者さんから聞くことも誤りではありませんが、患者さんの中には傷病の重傷度を重いめに訴える人がいます。
ですから、患者さんを疑ってかかるわけではありませんが、患者さんの訴えを鵜呑みにしてはいけません。

【例/会社員Aさん】
具体的な職務内容は事務職で、1日のほとんどがデスクワーク。
Aさんは、就業が全く不可能な期間は「10/1〜10/20だった」と言ってきました。
しかし、この間に傷病を理由で会社を休んだのは10/1〜10/10だった場合、10/11〜10/20は少なくとも仕事ができています。


ただし、会社に出勤できたことが直接、就業が全く不可能ではなかったとするのは短絡的過ぎます。

【例/会社員Bさん】
具体的な職務内容は倉庫内での荷物の運び出し作業。
Bさんは責任ある仕事であったため、傷病のため欠勤したのは10/1のみ。
しかし、10/1から10/10までの間は荷物の運び出し作業はできず、倉庫内の椅子に座ったままで、荷物の運び出しの指図だけを行いました。


Bさんの場合、10/1から10/10までの間、指図だけでもできている(就業できている)と考えられますが、日頃、自分で行っている作業は全くできず、かと言って休んでしまうとどの荷物を出して良いか分からないため出勤して指図をし、代わりの人に運び出し作業を行ってもらったものです。
本来なら傷病のために休むべきところ、職責の都合上、休むことができずに出勤しています。
このような場合は、例え出勤してあっても、就業が全く不可能な期間と判断して構いません。

ただ、前述したとおり、患者さんの訴えのみに頼ることなく、患者さんの具体的な職務内容と傷病の程度を照らし合わせ、就業が全く不可能かどうか考える必要があります。

一般的な捻挫などの軟部組織損傷であれば、この欄に記載する期間は数日から10日程度となります。

なお、患者さんが会社員の場合は具体的な職務内容が把握できますが、主婦の場合はその患者さんが日頃行っている主婦としての業務を職務内容として考えます。
また、学生の場合は、学校での学生生活を就業(就学)内容として考えます。
フリーターの人のように何らかの職務内容がある人はその職務内容で考えます。
無職の人は職務内容がありませんから、この場合は日頃の日常生活を職務として考えます。

また、就業が全く不可能な期間の最終日は原則、施術した日でなければなりません。

【例】
Cさん
就業が全く不可能な期間:10/1〜10/5

この場合、少なくともCさんは、10/5に施術を受けている必要があります。
10/5に施術を受けていなかった場合では、10/6に施術を受けている必要があります。

就業が全く不可能な期間は患者さんが決めるものではなく、柔道整復師が患者さんの職務内容や傷病の状況を元に判断するものです。
従って、就業ができるようになったかどうか判断するためには、柔道整復師が施術(診察・検査)を行う必要があります。

例えばCさんの通院日が10/1と10/10の場合、5日以降で就業ができるようになったと判断する根拠に欠けてしまいます。
一方、10/5に施術してあれば、その時点で就業に支障を来さないと判断したと考えられます。
10/5に施術していなくても、翌日の10/6に施術していれば、例外的にその前日まで就業ができなかったが6日以降就業できると判断したと考えられます。


13) 本人の業務及び日常生活に支障がある期間

まず、ここに記載する期間は前項「就業が全く不可能な期間」よりも長くなることが必要です。
「就業が全く不可能な期間」と「業務及び日常生活に支障がある期間」では、後者の方が長引くことが想像できますね。

「傷病が治癒するまでは何らかの支障があって当たり前だから、治癒する日までを書くのでは?」と思われるようですが、そうではありません。
ここでいう「支障」とは、相当の支障と考えるべきでしょう。
疼痛や機能障害が残っていても、ほぼ普段どおりの業務や日常生活をこなせているのであれば、ここで証明する支障がある期間とはなりません。

具体的には前項で証明した期間との兼ね合いもありますが、概ね次のような期間とするのが一般的です。

【例/「就業が全く不可能な期間」と「支障を来す期間」】
/「就業が全く不可能な期間」で証明した期間・・・「支障を来す期間」で証明する期間
3日・・・5日〜14日
5日・・・7日〜20日
7日・・・10日〜30日
10日・・・14日〜45日


【例】に記載した期間はあくまでも目安で、実際は患者さんの職務内容と症状の程度に応じて考えるべきです。
従って、上記の期間を超えるなどしてもそれ相当の根拠があれば全く問題ありません。

なお、この欄に記載する期間についても、「就業が全く不可能な期間」と同様に、期間の最後の日には原則、施術を行ってあることが必要です。


14) 転帰年月日および転帰

転帰年月日(最終の施術年月日)およびその時点での転帰を記載します。

なお、年月日記載欄は元号記載の場合は元号(平成)をその都度記載するのが原則ですが、「通院治療期間」「固定装具使用期間」「就業が全く不可能な期間」「本人の業務及び日常生活に支障がある期間」および「転帰年月日」へは元号記載を省略しても構いません。


15) 通院日

「通院治療」の欄に記載した通院期間中における通院日(施術日)に○印を付けます。
画像に示したように、通院日記載欄の左側に何月分の通院日か記します。
通院日記載欄の右側には、当該月に何回施術を行ったかその日数(施術実日数)を記載します。
従って、「計 日」のところに記載された数字は、その月の通院日(○印を付けた数)に一致します。

画像に示した例は、9月4日から10月15日まで施術したということで記しました。
この場合、通院日記載欄はあと5か月分、空白のまま余ることになります。
記載欄にもかかわらず記載事項がない場合は、これまでと同様に、記載を要しない枠の右上から左下にかけて斜線を引きます。
これは、後で改ざんされることを防止する目的で行います。

なお、画像に示した○印や斜線は赤で表示していますが、これは画像を見やすくするためのものです。
従って、実際に診断書に記載する場合は、黒ボールペンで記載して下さい。

ところで、この通院日記載欄は「通院治療」に記載した通院期間内における通院日に○印を付けると冒頭でお話しました。

通院日記載欄はこの診断書では7か月分もありますから、捻挫などの軟部組織損傷であれば、まずこの期間内に治癒することでしょう。
骨折であっても7か月もあれば治癒するのがほとんどでしょうが、例外的にもし7か月を超える場合は、7か月目の最終施術日で一旦締め切ることになります。
従って、「通院治療」に記載の通院期間も、7か月目の最終施術日までとします。

【例】 1月10日初検で、8月以降も施術を継続している場合
1月から8月までの通院日を「22)通院日」に記載します。
「通院治療」は1月10日から8月の最終施術日までとし、「転帰年月日および転帰」は継続とします。

【例】に掲げた傷病は、9月になってからも引き続き施術を継続することでしょうが、ほとんどの傷害保険ではこれ以上施術を受けたとしても給付される保険金に影響が及びません。
従って、9月以降の通院にかかる診断書は不要ということになります。
もし、9月以降の通院についても診断書が必要な場合は、改めて診断書の交付を要請されます。


16) 後遺障害残存見込

後遺障害の残存見込みについては本来、柔道整復師が記載すべき内容ではありません。
しかし、ここで言う後遺障害の残存見込みは医師が行う後遺障害の認定とは異なるため、後遺障害がないと認められる場合は「無」に○印を付けます。

また、関節可動域(ROM)に軽度の制限が残るとか、腫脹が残っているなどというのはここで言う後遺障害には該当しません。
従って、捻挫をはじめとする軟部組織損傷では、原則としてこの欄への記載は「無」となります。

もし、この欄が「有」と思われる場合は、診断書の提出先となる損害保険会社に対して問い合わせて下さい。
この場合、後遺障害の認定を行う医療機関で診断書を交付してもらうことになります。
ですから、もし後遺障害が残存する可能性がある患者さんに対する施術の場合は、施術を開始した早期の段階から対診を行うなどしておくべきでしょう。


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