被害者請求とは
加害者側から十分な賠償を受けることができない場合に、最低限の賠償を、被害者自ら請求すること(自動車賠償責任保障法第16条)
・後遺障害等級認定(保険会社に等級認定の手続きを任せることは事前認定という)
・手続きの透明性は高いものとなります
余談:
「後遺症とは?:急性期症状(事故直後から一定期間の強い症状)が治ゆした後も、なお残ってしまった機能障害や神経症状などの症状」
「後遺障害とは?:
1.交通事故によって受傷した精神的・肉体的な傷害(ケガ)が、
2.将来においても回復の見込めない状態となり、(症状固定)
3.交通事故とその症状固定状態との間に相当因果関係(確かな関連性・整合性)が認められ、
4.その相当因果関係が医学的に認められる(証明できる、説明できる)もので、
5.労働能力の喪失をそう失を伴うもので、
6.その程度が自賠法施行令の等級に該当するもの
と定義されています。
つまり、〔交通事故により受傷し、一定の治療の末残ってしまった症状〕=〔後遺症〕のうち、上記の要件を満たしたものを〔後遺障害〕として等級認定し、傷害部分とは別に損害賠償請求の対象としています。」
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事故発生→障害部分→後遺障害部分
自賠責保険においては、等級が認定された「後遺障害」のみが賠償の対象となり、いくら症状が残っても、等級認定されない限り、賠償の対象とはなりません。
つまり、事故で負ったケガのうち、症状固定後に残った症状(後遺症)は、等級認定を受けることにより、後遺障害として、傷害部分とは別に、損害賠償の対象となります。
では、「症状固定」とは? 症状固定は、医学面と、損害賠償面の二側面から説明することができます。
医学的な意味の「症状固定」
治療を続けても大幅な改善が見込めず、大きな回復・憎悪のない安定的な状態が続くようになった段階。
損害賠償上の「症状固定」
医師から症状固定の診断を受ける前は、実務上「傷害部分」と呼ばれています。「傷害部分」として、治療費や休業損害、入通院慰謝料などが請求できます。
症状固定後は、等級認定を受ければ「後遺障害部分」として、逸失利益や後遺障害慰謝料を請求できます。
しかし、「傷害部分」と同じように治療費や休業損害を請求することはできなくなります。
つまり、症状固定とは、賠償上、「傷害部分」の終わりを意味しています。
では、誰が「症状固定」を決めるのか?
保険会社から「そろそろ症状固定してください。」と後遺障害診断書を渡されたり、「治療費打ち切りさせてもらいます。」と言われるケースが多くありますが、必ずしも〔治療費打ち切り=症状固定〕ではありません。
治療費を打ち切られても、症状が残っていれば健康保険に切り替えるなどして治療を続け、後に自腹の治療費を請求するというのもひとつの方法です。
つまり、医学的な症状固定は医師が診断することであり、そのタイミングは自分の症状を一番よく知っている被害者自身が、症状経過を見てきた医師と一緒に決めるべきことなのです。
等級認定を受けるには
・自賠責保険に直接被害者請求するか、
・任意保険会社が行う事前認定をするか、
この二通りの方法があります。
等級認定の原則
損害保険料率算出機構の等級認定の原則として、〔書面主義〕 があります。一定の場合を除き、提出した書面の審査しかされません。個人的な事情は審査に影響しません。また、提出した書面にないものは審査の対象になりません。これは、膨大な請求に、公平かつ迅速に対応するためです。
つまり、適正な等級認定を受けるためには、
・基準・要件を把握し、
・ポイントをおさえて過不足なく書面(立証資料)を揃えること
が必要になります。
また、損害を立証する責任は被害者にあります。
余談
Q.人身傷害補償保険って何?
A.被保険者が事故に遭い傷害を被った場合、過失割合に関わらず、契約の範囲内で保険金が支払われるものです。(日本国内のみ)
自分が車を運転していない場合でも、被保険者やその家族が事故によりケガを負った場合、約款に定められている基準の範囲内で、過失割合にかかわらず保険金が支払われる傷害保険です。
たとえば、出会い頭の事故で過失割合が30:70だった場合、相手方の対人賠償責任保険から支払われるのは損害額の70%のみですが、残りの30%の支払を受けることができます。
(約款に定められている基準の範囲内で)
相手方の対応が悪く治療費等が支払われない場合にも、基準の範囲内で治療費等の支払を受けることができます。
自分の保険会社からの支払ですので、相手方との交渉の必要がありません。
詳しくは保険会社、保険代理店、またはお手持ちの保険約款をご確認ください。
余談3
事故後の対応Q&A
Q.事故に遭って、ケガを負った。病院で気をつけることは?
A.症状はすべて医師に伝えましょう。
事故直後は気持ちが動転していることもあり、一番辛い症状しか自覚せず、医師にも伝えていないということがあります。事故からしばらく経ってから別の症状を訴えても、治療面でも賠償面でも不利益な扱いを受けてしまうことがありますので、できる限り冷静に、一番辛い症状以外も医師に伝え、必要な検査があれば念のため実施していただくようにお願いしましょう。
Q.ケガをしたのに、物損事故扱いに・・・・・・どうすればいいの?
A.人身事故に切り替えられる場合があります。
交通事故の場合、2〜3日経ってから、傷害に気付くことも少なくありません。しかし、届け出が物件事故のままだと、どんなに症状がひどくなっても自賠責保険は支払われません。
警察署によって取扱いが異なりますが、4〜5日中であれば、物件事故から人身事故に切り替えてくれる場合があります。(多くの場合、診断書の提出を求められます。)
Q.構内での事故だから事故証明書が出ない。どうすればいいの?
A.人身事故証明書入手不能理由書を提出します。
私有地や会社の構内での事故の場合、警察は処理してくれないため、人身事故としての証明書が発行されません。
この場合、人身事故証明書入手不能理由書を提出すれば、自賠責上人身事故として扱われます。
余談4
総治療期間、この間の治療実日数、治療費を示して質問が繰り返されています。
昨年の10月から通院事案70件のデータを分析、治療費÷治療実日数の平均をとると、自由診療の日額は6500円となっています。
それを当てはめると、42日×6500円=27万3000円程度が治療費と予想されます。
慰謝料は、4200円×42日×2=35万2800円、
主婦の休業損害は、5700円×42日=23万9400円、
予想される総損害額は、通院交通費を除いて86万5200円です。
まだ、自賠責保険の範囲内です。
損保ジャパンの担当者には、自賠範囲で治療を終了する予定ですから、もう、電話をしないでください!
次の電話で、そのように回答されては如何でしょうか?
被害者請求でも構いませんが、やや面倒です。
以上です。