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2019年04月25日

野村HDは赤字に転落 リーマン危機以来10年ぶり!




 





 【ネットニュースより】





 野村HDは赤字に転落 リーマン危機以来10年ぶり!



 Bloomberg 4/25(木) 15:07配信  より引用します



   4-25-19.png

               野村HDの北村巧CFO


 (ブルームバーグ)  国内証券最大手の野村ホールディングスが25日発表した前期(2019年3月期)連結決算によると、純損益は1004億円の赤字に転落した。

 前の期は2193億円の黒字だった。米リーマン・ブラザーズ等海外企業の「のれん」巨額減損に加え、債券トレーディングや投信販売も不調だった。通期の純損失はリーマン危機があった09年3月期以来10年ぶり。.
 同日会見した北村巧財務統括責任者(CFO)は、

 「営業部門やホールセール部門を中心に本業が振るわず、のれん減損等も重なり極めて不本意な決算と為った」

 と総括した。赤字転落を受けて野村HDと傘下の野村証券の取締役と執行役を対象とした役員報酬のうち賞与に当たる部分をゼロにすることを決めたと云う。4月以降、営業部門とホールセール部門は共に回復傾向が見られるとも語った。
 野村HD、野村証券の取締役と執行役は元々賞与を支払っていない社外役員を除いて計18人。有価証券報告書によると、18年3月期の野村HDの社内取締役・執行役10人の基本報酬を除く賞与分は計10億9900万円だった。野村証券は役員賞与を開示していない。

 前期は「のれん」の減損814億円の計上や米司法省との和解金198億円等の一時費用がかさんだ。又、長引く低金利に加え、日経平均株価が昨年12月後半に1年3カ月ぶりに2万円の大台を割り込む等下期に市場環境が悪化。債券トレーディングや投信販売が振るわ無かった。期末配当は1株当たり3円(前年同期は同11円)とした。


  




 2019年1−3月期の純損益は前年同期比96%減の8億4400万円の黒字だった。四半期ベースでは3四半期ぶりに黒字転換した。営業部門の税引き前損益は前年同期比85%減33億円。資産流入を受けて運用資産残高が拡大したアセット・マネジメント部門は同28%増の144億円だった。一方、ホールセール部門は130億円の赤字(前年同期は442億円の黒字)リストラ費用として84億円を計上したことなどが響いた。
 海外拠点の税引き前損益は、米州が37億円の赤字(前年同期は260億円の赤字)欧州が255億円の赤字(同9億円の黒字)アジア・オセアニアが87億円の黒字(同64億円の黒字)だった。海外合計の赤字額は205億円(同187億円の赤字)と5四半期連続の赤字と為った。


 (c)2019 Bloomberg L.P. Takako Taniguchi  Takashi Nakamichi

          
               以上







 関連するレポートを参照ください


 

 私達の年金が14兆円も溶けた?

 GPIFの運用失敗で「老齢貧困社会」到来はすぐそこに




 今市太郎氏  2019年1月17日 ニュース より引用


 




 最近、2018年10月〜12月の四半期におけるGPIFの年金運用で過去最悪と為る14兆円超えの損失を出したのでないかとの報道が出て、市場はザワ付いて居ます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

 ※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年1月15日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。



   4-25-17.jpg

          最新の運用状況 GPIF 年金積立金管理機構



 2018年10月〜12月期の収益額は14兆円規模の損失と為った模様


 年金運用の失敗で14兆円超えの損失か?


 最近、新聞赤旗が2018年10月〜12月の四半期におけるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用が過去最悪と為る「14兆円超えの損失」を出したのではないかと云う報道をし初め、市場はざわつきはじめています。現段階では、飽く迄この赤旗独自の試算によるものですから、これが正確なのかどうかは判りません。
 国内の日経平均の下落買い支えに好い様に使われたりして居るGPIFの投資で、もう1つ決定的に気に為るのが、海外の株式投資に絡む大失敗の様相です。


 巨大ファンドは時価総額の大きい銘柄中心で運用


 これはGPIFに限ったことではありませんが、図体のデカい年金運用等のファンドはその売買によって様々な影響を市場に与えることから、かなり時価総額の大きな株式銘柄に傾斜した投資を行う傾向があると言われて居ます。
 ここ10年余り米国のヘッジファンドが猛烈にFAANG等の特定銘柄に偏重投資を行うことで大きな利益をあげて来たことと、或る意味で同じ様な構造に為って居る訳です。実はGPIFは、昨年に保有する株式・債券などの銘柄を公表しており、矢張り外国株の保有リストにはアップルやアマゾン等の巨大優良銘柄がズラリと並んでいる状況にあります。
 しかしご存知の通り、こうした銘柄は昨年10月から12月末まで可なり大きく下落したことから、相当な含み損を抱えている可能性があることは赤旗で無くても判る処と為って来て居るのです。


 




 安直な投資手法で年金が溶けて居る


 GPIFが保有する株の上位5社は、アップル・マイクロソフト・アマゾン・フェイスブック・JBモルガンチェース・・・と言った処。実際の運用成績を見る迄も無く、10月からの四半期はかなり運用が落ち込んだことはホボ間違いの無い状況です。
 最近アップルは、株価の急落でフェイスブック1社分の時価総額に相当する日本円で48兆円もの時価総額を消失しており、何より自社株買いで最も損失を抱える企業と為ってしまいました。巨大優良株だけ買って居れば何でも平均以上の利益が出る時代は完全に終了して居り、GPIFのこうした安易な投資手法も少なからず見直しを図るタイミングに直面して居る事が判ります。


 年金支給対象の増加で運用額は減少する


 160兆円と云う巨額の資金を運用するGPIFですが、今後、年金支給対象者が増えれば、その運用額は順次減少して行く事は間違い無い状況です。赤旗の試算が仮に正しいとして、四半期だけで14兆円も原資を減らすことに為ってしまうと云うのは、相当国内の高齢化世帯の先行きに暗澹(あんたん)たるものを感じさせることに為り始めて居ます。
 今後、株の暴落に巻き込まれることに為り、しかも円高が急激に進行した場合、投資原資自体の大部分を失いかね無い事も十分に在り得るだけに、全くプロアクティブとは思え無いGPIFの投資手法には可なりの不安を感じる次第です。
 取り分け、政権からの要請に応えて日本株の買い支えにその資金を投入する様なことが更に大きく為れば、次の相場暴落では過去に無い様な壊滅的な運用結果を見ることに為る可能性も可なり高まります。


 




 下手くそ投資に年金を委ねるしか無い私達


 個人的にはもう運用し無くて好いので、払い込みした分だけ返金して貰えないかとも思いますが、そう云う訳にも行か無さそうで、この段階にして可なり絶望的な気分に為って来ます。目を瞑りますと、GPIFの責任者が運用失敗を平謝りに謝る姿が見えて来そうで怖いものがあります。
 元々GPIFは長きに渡って投資レベルが非常にド素人に近く、利益を出せ無い事で世界的にも有名な存在でした。しかし足元の、AIと逆行したこの人工無能とも云うべき恐るべき下手クソ投資。フランスならトッくの昔に暴動に為って居るのではないでしょうか。皆さんはどうお考えでしょうか?

                    以上



 






 【管理人のひとこと】


 安倍氏と黒田氏は、揃って「株高と雇用の好調」を取り挙げ、事ある毎に自分達の勧める「アベノミクス」の成功を幾度と無く繰り返し叫んで来ました。その株高を引っ張る証券販売の最大手の野村がここに来て「不調」を晒す形に為った。
 日銀・政府機関を挙げて株を買い続け、政府相場と揶揄された人為的株高もその実態を晒した様だ。年金を株に投資し利益を得るGPIFの仕組みも、莫大な損失を生み続けて居る。金利をゼロからマイナスにし、円を安くする政策と株高はどれ程の成果を上げたのだろう。

 此処に来て、大卒の就職戦線も売り手市場から徐々に警戒感が起きつつある。株高・円安・雇用の拡大で安倍一強で推し進めて来た今までの経済政策は、一部の、安倍に群がる御用経済人達のお小遣い稼ぎにしか為ら無かったのだろうか。既に安倍神話は崩れ、今更偽りの統計処理を施しても実態は隠せ無い。
 この様な有様で果たして10月の消費増税を強行出来るのか、8%の据え置き処か5%に減税し無くてはダメだろうとの憶測記事までが氾濫する。今の景気は、リーマンショック以上のマイナスを生み出してるとする経済学者が多い様だが、どうする安倍さん?



 



 






世界一の富裕国・ルクセンブルクには、何故高級車も高層マンションも無いのか?




 





 【ネットニュースより】



 世界一の富裕国・ルクセンブルクには、何故高級車も高層マンションも無いのか?


  文春オンライン 4/25(木) 5:00配信 より引用します 



       4-25-5.jpg

         地域エコノミストの藻谷浩介氏 コピーライトマーク深野未季/文藝春秋



 「超高齢化社会・少子化の日本はこれからどうやって食べて行ったら好いのだろう」

 「これから地方都市は次々と崩壊する?」


 ・・・漠然とした将来への不安を抱える日本社会に対して、ルクセンブルクがモデルケースとしてヒントに為ると云う。最新刊『 世界まちかど地政学NEXT 』を上梓した地域エコノミストの藻谷浩介氏が語る、世界の中の日本とその未来とは?



           4-25-2.jpg
      
        世界一の富裕国には見え無いルクセンブルク大公国の町並み

      

 

        


 国民一人当たりのGDPが日本の2.6倍もあるルクセンブルク


 ・・・ルクセンブルクと云うと、ドイツ、フランス、ベルギーに囲まれた小国で、日本人からすると馴染みの薄い地域です。何故この国に注目して居るのでしょうか?

 藻谷 ルクセンブルク大公国は、佐賀県程度の広さで人口は60万人程の極小国ですが、国民一人当たりのGDP(国内総生産)は10万ドル超、詰まり日本の2.6倍以上もある世界一の富裕国です。
 今から30年程前、私が未だ大学生の頃に訪れた時は鉄鋼業の国でした。普通なら、イギリスのバーミンガムの様に鉄鋼中心の都市は凋落の一途を辿る筈が、何時の間にかルクセンブルクは金融で浮上した。今や、ロンドンやフランクフルトに次ぐ、一大金融センターに為って居るんですね。


 




 ・・・何故そんなことが可能に為ったんでしょうか。


 藻谷 不思議ですよね。何処かの本に理由が書かれて居るのかも知れませんが、私は本の前に「現地を読む」と云う主義です。その場を自分で訪れて「何があるか」そしてそれ以上に「本来ある筈なのに無いものは何か」を観察するのです。


       4-25-3.jpg ルクセンブルグ旧市街


 ルクセンブルクの中心地に無かったもの


 藻谷 私は、名探偵ホームズや怪盗ルパンのシリーズを多年愛読して居るのですが、ホームズもルパンも、同じ方法で推理をします。警察が「現場に何が在ったか、何が落ちて居たか」からシナリオを組み立てては失敗するのに対し、ホームズやルパンは「そう云うシナリオなら、他にアレも落ちて居る筈なのに、現場には見当たら無い。何故在る筈のものが無いのか。とすれば本当のシナリオは何か」と考える訳です。

 と云う事でルクセンブルクの中心を歩いてみたのですが、先ず高層マンションが在りません。富める都市はNYにしろシンガポールにしろ、或はお台場でも、街の中心に超高層マンションが林立して、その上でワインを飲みながら我々の様な下々の者を見下ろして居る人達が居るものですが(笑)、ここはヨーロッパの古き良き田舎町と云う風情でスノッブ感ゼロ。
 美味しそうなレストランは少ないし、賑やかなお店は全然無くて空き店舗が目立つ程です。しかも、都市の繁栄には必須の筈の交通のアクセスも凄く悪い。行きは近くのブリュッセルからは電車でも車でも3時間も掛かり、帰りはLCCが飛んで無いからこのご時世に正味2時間のフライトで片道6万円も掛かりました。そんな中で何故金融ハブとして成り立って居るのだろうと。不思議ですよね。


       4-25-4.jpg ルクセンブルグ旧市街


 




 ・・・所謂、富裕都市にあるものが「ない」訳ですね。


 藻谷 小奇麗な街を歩きながら、高級外車を見無いことにも気付きました。「俺は金持ちだぜ」って見せ着ける様な〈華麗なるギャツビー〉や〈成金〉らしき人の姿も殆どいない。表向きには、極普通の静かで上品な地域にしか見え無いんです。
 居住者の45%は外国人で、特にポルトガル人の労働者が多いそうなのですが、単純労働者が作業して居るのを見ないし、ホームレスも寝て居ない。そうやって「不在」のものを洗い出して行くと「格差を最小化する」ことで金融業と社会秩序を成り立たせて来たこの国特有の知恵が見えて来ます。


 ルクセンブルクが世界一の富裕国に為った仕組み


 




 ルクセンブルクの稼ぎ手は「放牧された金融業」です。金融と云う暴れ馬を、野放にしつつコントロールして、その「上がり」を取っている。
 小さな独立国なので、EUの規制の範囲内とは言え、ロンドンやフランクフルトが為れ無いオフショア市場に為れる・・・詰まり規制を緩めて怪しい資金も含め大量のお金を呼び込んで居るのです。言わばドル圏のケイマン諸島みたいなポジション取りをユーロで遣って居る。スイスにも一寸似て居ますが、スイスは独自通貨なので、ユーロ圏のルクセンブルクの方がEUから資金を集め易いと云う強みもあります。

 因みに日本もルクセンブルクに対し、2017年ですと6000億円程の第一次所得黒字(金利配当を得たことによる黒字)です。リスクの高いオフショア市場で大儲けして居るルクセンブルクに、日本企業も投資してそれだけのお零(こぼ)れを得て居る訳です。
 とは言え、金融関係者は国民の1割も居ません。彼等だけが葉巻を吹かして外車に乗って高層マンションを建て捲(まく)ればどう為るか? 目に見える格差が拡大して社会秩序が崩壊しますよね。小国程、互いの格差が見え易いので特に配慮が必要です。


 ・・・格差を最小化する仕組みを意識的に作って来たと云う事でしょうか。



    4-25-6.jpg 

           ルクセンブルク大公国とアルザス宮殿


 藻谷 その通りです。帰国してから調べてみたら、格差の大小を示すジニ係数が小さい。移民層もそれ為りの水準の所得を得て居るんですね。移民が非常に多いのに貧困が表に見え無い地域として代表的なのが、シンガポールとカナダとルクセンブルクでしょう。
 端的に云うと、シンガポールは他宗教排斥や人種差別の言論を封じることで、カナダは福祉国家として移民にも平等に教育機会を与えることで、そしてルクセンブルクは富裕層が富を見せつけ無い配慮によって、不満が生じ難くして居ます。それは最良のテロ対策にも為って居る事は言うまでもありません。

 そんなルクセンブルク人は、歴史の経緯の中でフランス化したドイツ人です。日常語はドイツの方言、食べ物もドイツ料理ですが、例えば法律用語はフランス語。文弱なフランスにも野暮なドイツにも為り切れ無いと云う国民意識は、第一次大戦を経て強まり、先の大戦でナチスに蹂躙されてから更に高まった。
 でもフランスとドイツが喧嘩をする度に、ドチラかに侵略されて来た歴史があり、単独で安全保障は無理。ではどうしたかと云うと、ベルギーやオランダと手を結んでEU形成の中核に為るんですね。EUの中にフランスとドイツを収め仲良くさせることで、自国の独立を守り抜いたのです。


 




 大国の狭間にあるルクセンブルクと極東の島国日本


 ・・・大国の狭間に在ると云う地政学的な位置を踏まえ、対応した戦略を執って来た訳ですね。極東の島国日本にも参考に為る部分が多そうです。


 藻谷 そうなんです。小国と言えど学ぶべき点が幾つもあります。第一に、製造業中心の堅実な国柄だったのに金融でも稼ぐ国へと変化したことです。得意分野を一つに決め着け無いと云う姿勢は、日本の各県にも参考にして貰いたい。

 第二に、非常に強い独立意識がありながら自国中心主義を辞めた事。EU統合の核と為り独仏を和解させることで、自国の安全と国外マーケットを確保した。実は、周りの国が平和な程国の経済が潤う構造は日本も同じです。
 我々は、何も武器を売って儲ける国じゃ無いのだから、例えば中国やインドが戦争をしても何の得にも為ら無いんです。数字は正直で、アジアが安定する程日本の国際収支は改善します。2017年の日本の経常収支黒字は20兆円を超えバブル期の倍以上なのです。一番のお得意様はアメリカで日本が13兆円の黒字でしたが、2番目の中国(香港含む)からも5兆3000億円も儲けさせて頂いた。3位の韓国からも2兆7000億円の黒字を稼いでいます。


 




 ・・・ナンと、韓国がトップ3のお客様に入って居るんですね。

 
 藻谷 だから、もう少し大事にした方が好いんですよ(笑)。因みに台湾からは2兆円位、シンガポールからは1兆5000億円位稼いで居ますが、黒字の稼ぎ手はハイテク部品や機械・金融・観光なので、もしアジアが紛争地帯に為ればこうした黒字は吹っ飛んでしまう。 
 2018年の訪日外国人数は3000万人を超えましたが、4人に1人が中国人で4人に1人が韓国人です。要するに半分は中国と韓国ですので、彼等の景気が好い程日本も儲かります。兎に角周りが繁栄した方が自分も儲かると云うのが、日本とルクセンブルクの共通点です。

 自力では安全保障の出来ないルクセンブルクが独自の立場を保ちつつ周辺国の関係を平和へと仕向け、その中で世界1の豊かさを享受して居る事に、日本はもっと学ぶべきでしょう。

 因みにシンガポールは将にルクセンブルクの真似をして居て、ASEANを作りその中心に入って、マレーシアとインドネシアを仲良くさせることで安全と経済的繁栄を作り出しています。
 もっと云うと、インドネシアとマレーシアの富裕層にドンドン自国内に不動産投資をさせて家を買わせることによって、シンガポールが攻撃対象に為ら無い構造を作って居るんですね。ルクセンブルクもヨーロッパ中の人が投資して居るから、当然攻撃なんてされません。小国程、国際関係における地政学的な勘が強く、国内格差にも十分に配慮して産業振興を進めて居るんですね。


 




 ・・・新著の中で、21世紀の地政学は、軍事力等のハードパワーでは無く、経済力・文化力・民族意識等のソフトパワーの方が大きな役割を果たすと云う指摘は新鮮でした。


 ルクセンブルクに無くて日本には在るもの


 藻谷 21世紀において、軍事力による物理的な占領って意味がありません。例えばヒトラーみたいなのがもう一度出て来て、ルクセンブルクやシンガポールを占領しても何も得るものは無い。そこに在るお金は逃げて行くだけで投資は呼び込め無い。
 大戦後のヨーロッパが植民地を次々と手放したのは全然儲から無くて意味が無かったからです。そんなことより経済的に進出して投資だけした方が住民の面倒みなくて済むので楽ですよ。

 日本は自前で安全保障が出来ないから主権国家じゃ無い、アメリカの植民地みたいな国だ、と云う声もありますが「植民地」と云う割りには、アメリカから年間13兆円も黒字を稼いで居て随分儲かって居る訳です。詰まり、経済力の様なソフトパワーが21世紀の国際社会ではとても重要です。
 中韓台星(星はシンガポール)の4国からだけで年に12兆円近くも黒字を稼いで居る日本が、そんな数字も確かめずに、自分の側から排外主義的なスタンスを執る様では「ソフトパワーの地政学」の時代に生き残れません。

 



 これまで世界105カ国を巡って来て改めて思うのは、今日本人の自己認識と世界から見た時の日本が激しくズレて来て居ると云う事。日本は「これから食べて行け無く為る危機」には無いし、世界の中で「誇りを失っている国」でも無い。
 世界中の観光客が日本に来たら大喜びです。ニューヨークで好いホテルに泊まったって、日本のおもてなしやサービスに比べたら極めて劣るのが現実です。夜、東京の街を歩いたって、暗めの街路でも落ち着いて静かで安全ですから。

 最後にひとつ。ルクセンブルクには無くて日本に在るものはコンテンツ発信力です。ルクセンブルクは地形的には一寸金沢に似た処のある城塞都市で中心街の規模も似ていますが、ルクセンブルクに兼六園や武家屋敷や茶屋街はありません。加賀料理も無いし「金沢21世紀美術館」も無い。
 ルクセンブルク人が金沢を見たら「何と多くの独自の文化コンテンツを持っている街だ」と思うでしょう。そもそも日本全体に、30個〜40個のルクセンブルクがあっても可笑しく無い。そんなポテンシャルを日本の各地方都市は秘めても居ます。

 今、日本のソフトパワーの等身大の実力はどれ程のものか、地政学を踏まえてどんな振る舞いをすることが日本の繁栄を呼び込むのか、本書が日本の自画像を認識し直す切っ掛けに為れば嬉しく思います。



4-25-1.jpg


 藻谷浩介(もたに・こうすけ)氏

 1964年山口県生まれ。地域エコノミスト。鞄本政策投資銀行参事役を経て、現在、鞄本総合研究所調査部主席研究員。東京大学法学部卒業。米コロンビア大学経営大学院卒業。著書に『実測!ニッポンの地域力』『デフレの正体』『世界まちかど地政学』、共著に『里山資本主義』(NHK広島取材班)、『経済成長なき幸福国家論』(平田オリザ氏)、対談集『完本 しなやかな日本列島のつくりかた』等がある。


 





 【管理人のひとこと】


 ルクセンブルグ大公国・・・馴染みの薄い国でしたが、次に簡単に歴史等をご紹介します。今回のレポートには、地方エコノミストと名乗るだけあり、何となく地方への愛情と牧歌的な郷愁を呼び起こす不思議な感覚を覚えました。
 確かルクセンブルグ大公国とは、EUの本部が置かれている筈の小さな国でした。この様な小さな国でも世界的に活躍するのは、それだけの歴史と日々の努力の賜物なのですね。この様な優等生の国と我が国を比較するのは何と無く申し訳無い思いもしますが、そんなに卑屈に為らず、我が国の美点も沢山在るのだと・・・一人で指折りして数えて居ます。

 「シンガポールは、他宗教排斥や人種差別の言論を封じること」「カナダは、福祉国家として移民にも平等に教育機会を与えること」そして「ルクセンブルクは、富裕層が富を見せ着け無い配慮に」よって不満が生じ難くして居ます・・・これが、豊かな小国や他の国で実践して居る事。これって日本に当て嵌まりますか?
 唯一、日本で誇れものと言えば「他宗教排斥や人種差別の言論」が自由な事ですが、封じてまでは居ない。と言うより日本は宗教に関して淡泊で、極度に関心の低い国民性、言い換えれば無宗教の国。これって、好いですよね、日本の一つの美徳でもあります。他の宗教の色々なものを取り入れ、延いては遊びに昇華させる知恵なのです。自分も宗教に縛られたく無いし他の宗教にも干渉しない態度。
 後の二つは、今後意識的に考えなくては為ら無い点です。移民の問題や富を見せ着け無い配慮・・・って今後必ず出食わす問題ですから・・・



 




 
 ルクセンブルクの歴史


 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説より引用


 ドイツとフランスの間にあるこの地域は,もとゲルマン系トレベリ人が住み,前1世紀中頃ローマに征服され現ルクセンブルク市辺りに小さな城塞を建設。後にフランク王国の分裂後の963年アルデンヌ伯ジークフリートがこの地に建国した。「小さな城塞」にちなんでルクセンブルクと命名された。

 11世紀中頃、伯領と為り神聖ローマ帝国の一諸侯として次第に発展。14世紀初めに神聖ローマ皇帝ボヘミア王を輩出し,1354年ルクセンブルク家の皇帝カルル4世は金印勅書を公布しルクセンブルクは公国と為った。
 しかし1444年以後は、フランスのブルゴーニュ家やオーストリアのハプスブルク家の所属と為り,1555〜56年にはスペインによる支配が始った。更にフランスのルイ 14世の征服を経て,スペイン継承戦争後再びオーストリア領へ,フランス革命戦争でフランスの併合と長く外国支配が続いた。

 ウィーン会議の結果,1815年以後は大公国としてドイツ連邦内の独立国と為りオランダ王が統治。 1830年ベルギーの独立に際して国民はこれに参加。列国が介入して西半分のフランス語地域はベルギーに帰属しより狭い東半分はオランダに属した。
 この様に,この地域の戦略的重要性から中世以来シバシバ支配権を巡る争いが展開されたが,1867年プロシアとフランスがその支配を争って対立し,ロンドン会議でルクセンブルクの独立と永世中立が保証され,翌年立憲君主国と為り,1890年オランダ王家の統治も解消してナッサウ家がこれを継いだ。

 19世紀末,南西部地帯の豊かな鉄鉱床を基礎に鉄鋼業が急速に発展し,20世紀前半は世界有数の鉄鋼生産国として繁栄した。両世界大戦には共にドイツに占領され苦難と抵抗の歴史を刻んだが,第2次世界大戦後は中立を放棄して西ヨーロッパやアメリカとの結び着きを深め,1949年北大西洋条約機構 NATOに加盟。1958年ヨーロッパ経済共同体 (現ヨーロッパ連合 EU) の構成国と為り現在に至って居る。

               以上


 
 










2019年04月23日

「れいわ新選組」提言へのコメント




 





 「れいわ新選組」個別提言へのコメント
(つづき)



 7 災害に備える

 〜防災庁を創設〜

 実際に復旧・復興に取り組んだNPO等の方々も雇用し、そのノウハウを蓄積、有事に備えます。災害時、実態に合った最大限の取り組みを、国として行える組織作りを始めます。



 〈コメント〉

 これも大賛成です。自然災害はこれから頻繁に発生すると考えるのが防災の第一歩です。常にそれを想定した組織の存在は必要不可欠です。今までは、東日本地震津波復興対策に〈復興庁〉なる臨時組織を立ち上げましたが、臨時では無く恒久的な組織は必要で、今までの貴重な経験を生かす上でも、本部機能を充実させノウハウが蓄積される機能も持ちます。
 万が一国内に災害の無い時には、積極的に海外の災害復旧活動に参加し、技術を磨き援助することで国交関係確立の一助にも為ります。国民の生命を守る・国土を守るのが政府の第一義の責務でもあるのです。


 




 8 コンクリートも人も・本当の国土強靭化、ニューデイールを

 公共事業のより大きな枠組み「公共投資」でみると、橋本総理から小泉総理までの10年の間に予算は半減。
何かと悪者にされる公共事業・公共投資ですが、雇用や防災を考えれば必要不可欠。防災対策だけで無く水道、鉄道等の公共性の高いものは国が主導し、積極的に支出します。



 〈コメント〉

 老朽化した公共施設やダム・道路・橋梁等、一概の予算カットで手つかずのものが残って居ます。何かの災害でも発生しないと多くの人から忘れ去られてしまうのですが、災害が発生しては遅いのですから、常に生命第一を掲げ、普段の調査を怠らずに保守点検で終わらせずに、不要なものなら即時に撤去し、不可欠なものなら早期に改修を行うべきで、それにより雇用も発生し安全も得られます。これは、国民が生きて行く為の最低限のインフラ整備にあたる、国として最優先の事業でもあるのです。


 




 9 お金配ります

 〜デフレ脱却給付金・デフレ時のみ時期をみて〜

 この政策ならば、確実にデフレ脱却は出来ます。一人当たり月3万円を給付。二人為らば月6万円、4人ならば月12万円。インフレ率2%に到達した際には、給付金は終了、次にデフレ期に入った際に又再開します。

 財源はどうするの?

 〜デフレ期にしか出来ない・財政金融政策〜

 日本総貧困化を防ぐ為には、まとまった財源が必要です。財源は税収が一般的ですが、私は、デフレ期には別の財源も活用します。新規国債の発行です。確実に足り無い分野と人々に大胆に、財政出動を行い、生活を支え積極的に経済をまわします。
 経済成長すれば当然、税収は増えます。国債発行は無限ではありません、リミットがあります。インフレ目標2%に到達する迄です。到達後、金融引き締めで増税まで必要な場合には、税の基本(応能負担)に還ります。法人税にも累進性を導入します。



 〈コメント〉

 政府の税のバランスシートを指摘し、国債発行をまるで悪いと決めつける傾向があるのですが、国民の懐に直接入る為に国債を発行するのは決して悪くは無いのです。何かに投資(公共投資)して得る利益から出そうとするよりも直接的な効果を最大限挙げられます。
 余計な手続きを省き直接〈お金を配る〉のを〈バラマキ〉と否定するのは、間に利権を産ま無いからです。中間を取り除いて直接配ることで無駄なく趣旨を徹底出来ます。


 


 

 10 真の独立国家を目指します

 〜地位協定の改定を〜

 沖縄・辺野古基地建設は中止。普天間即時の運用停止。在沖海兵隊にはカリフォルニア等への移転をお願いし、これまでの駐留経費と同等の費用を日本側で持つことを前提に、米国側と再交渉。沖縄の民意を尊重します。費用負担が厳しければ、必要分の米国債売却を検討。対等な同盟関係を築けるよう、真正面から取り組みます。



 〈コメント〉

 普段から指摘されるこの問題、日米地位協定の改定を一基果敢にやり遂げるのは、政権交代の時期しかありません。最低、西欧並みの地位協定に移管する必要があります。延いては、今後の日米関係の円滑化にも役立ちます。対等な関係こそ信頼関係の基礎ですから、米国にも異存は無い筈。交渉担当は外務省なのでしょうが、首相の直轄組織を作り早急に手を付けるべきです。



 


 


 11 「トンデモ法」一括見直し・廃止

 TPP協定(利権)PFI法(利権)水道法(利権)カジノ法(利権)漁業法(利権)入管法(利権)種子法(利権)、特定秘密保護法、国家戦略特別区域法(利権)、所得税法(利権)等の一部を改正する法律、派遣法(利権)、安全保障関連法、刑訴法、テロ等準備罪など。



 〈コメント〉

 管理人も昔から主張していた「安倍専制法案」ですが、全てが新たな利権を生み出す為の法律です。安倍晋三氏が手掛けた一連の法律を全て見直し、改正するか廃案へと決断すべきです。もう一度国会で審議するのが最低限必要です。
 これ等が廃止されると、消費税以上の効果が得られるかも知れません。それと、警察組織の見直しも必要です。警察組織の風紀の紊乱(びんらん)・現金紛失・続く犯罪・・・固定化した組織に陥り易いものが続出してるのは、組織の在り方そのものが問われているのではないでしょうか。


 




 11 原発即時禁止・被曝させ無い

 〜エネルギーの主力は火力〜

 この先、南海トラフ、東海地震、首都圏直下などの大地震が来ると言われる中、原発は安全を保てるのか?その答え合わせは大地震の後に為ります。詰まり、その大バクチに負けた際の費用負担は皆さんの税金です。事故が起これば、国土を半永久的に汚染し、人々の生業を奪う発電からは撤退。
 国の積極的投資で日本の廃炉技術を世界最先端に。エネルギーの主力は火力。自然エネも拡大します。東電原発事故による被災者・被害者への支援の継続、拡充を。



 〈コメント〉

 これも賛成です。廃炉技術を継続発展する為の原子力工学の発展に寄与すべく政策を掲げ、先ずは、廃炉へ向けた環境を整備することです。出来てしまったものを安全に管理し、行く行くは無害にして安全を維持して行く・・・それしか方法が無いのですから、それを徹底すべきです。
 今更原発に未練のある人は居ないと思いますが、収斂(しゅうれん)へと向かうには今後何百年以上の時間と新たな技術の開発を必要とするものですから、終わった科学では無く新たな(廃炉収斂に向けた)科学だと位置ずけて教育から始めなくては為ら無いのです。


  以上


 





 その他、12障がい者への「合理的配慮」、13DV問題、14児童相談所問題、15動物愛護等の政策にも全て賛意を述べたいと思います。その全てが実行出来るかは、私達が如何に山本氏を応援出来るか、そして彼と彼の周囲の方達の真摯な努力を必要とします。
 氏の発言を契機として、早速立憲と国民の選挙協力の話し合いが持たれた様ですが、それはそれとして山本氏の一連の行動は決して間違っては居なかったのです。氏を中心とした何か「新しい風」が吹きそうな予感がします・・・


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         山本太郎氏「恥を知れ!」絶叫




 【管理人のひとこと】


 「れいわ新選組」の立ち上げを発表した記者会見をVTRで拝聴した。ヨクヨク聞くと、彼の発言の内容は、全てに筋の通る中身で、殊更否定すべきものは何一つとして無かった。それが、自分でも信じられ無かった思いだった。

 「政治生命が危うく為るのでは?」の小沢氏の忠告も披露したが「野党が大同団結するのであれば、この旗を降ろす。その邪魔をする積りは無い」とも言い切った。彼の胸の内には「大同団結は困難だ」との思いも過るのだろう。
 早速、立憲と国民の選挙協力の話し合いが持たれた様だが、矢張り、後先が逆な話し合い。心ひとつ為らずでは何の果実も得られぬだろうし、単なる数合わせの話だと世間も評価しない。山本氏の様に、一つ一つの課題をハッキリと結論付ける勇気が無い訳だ。
 無論、色々な背景と柵(しがらみ)を持つ政党には、それ相応の立場があり、色々な人の意見をまとめるのは困難。それを為すには、山本氏の様に無から新たな政策を出すのが一番の正攻法で在り、受け取る側も真っ新な気持ちで受け止められる。今後は、その利点で責めるしかあるまい。無から、真っ新な処から新しいものが生まれるのだと。

 出来上がった幾つものものを再び一つに繫げるよりは、一度全部を破壊し、新たなものを作り上げる方がエネルギーの燃え方が違うだろう。その炎は幾倍にも燃え広がり高く昇り続けるだろうし、廻りに大きな熱と温かさを与える。その様な炎の点け人であり中心と為って山本氏は活躍して欲しい。
 一連の安倍晋三氏の強行した法律を「トンでも法律」と切り捨てたのは、実に溜飲の下がる思いだ。全てが新たな利権を産みそれを刈り取ろうとする経済人と安倍氏が企んだものだと判れば、その法律の中身が透けて見えると云うものだ。

 構造改革・規制緩和を隠れ蓑にした安倍氏のやり方は、全てがモリ・カケに通じる、姑息な手段で、多くの疑惑とそれに加担した官僚の悲劇へと繋がる。利用された人達は、今さら安倍氏を「嘘つき!」「裏切者!」と非難しても、国民の同情は得られ無い。元国税庁長官と為った、安倍氏を庇い偽造と偽証を重ねた忖度官僚は、今、どの様な気持ちで居るのだろう・・・満額の退職金を貰い、悠々自適の生活を送ってるのだろうか・・・

 国民に経済苦と疲弊を強制した全てのツケは、彼を何度も選んでしまった国民へと直接向かってしまう。しかし、反省し新たな道を選ぶ権利は残る。私達に残るのは只一つ・・・選挙権だけなのだから、それを使うしか無い。今後の色々な選挙には相当な駆け引きを国民に押し付けるだろうが、それを跳ね除け私達は一つでも果実を獲得せずには収まら無い。先ずは、安倍政治の否定・総点検から始め無ければ令和は迎え難いだろう。








2019年04月22日

「れいわ新選組」個別政策へのコメント

 
 「れいわ新選組」個別政策へのコメント


 過日の国会本会議での、首相質問での山本氏の演説をVTRで確認しました。ハッキリとした主張と確信を得る疑問に断定、全てが心からの真摯な態度で臨んだ・・・実に歴史的なものでした。これも最後に添付してありますのでご覧ください。



 




 1 消費税は廃止・・・物価の強制的な引上げ、消費税をゼロに。初年度、物価が5%以上下がり、実質賃金は上昇、景気回復へ。参議院調査情報担当室の試算では、消費税ゼロにした6年後には、1人当たり賃金が44万円アップします。


 〈コメント〉

 山本氏は、個人的には現行の8%を0%にしたいと考えて居る様です。しかし、他の野党との折衝で最大5%までは容認するとして居ます。これは、財源不足を消費税に頼ら無いことを原則として居るからです。財源不足は、先ず第一に景気を拡大し政府の税収アップから始める。次に消費税以外の、法人税の見直しや他の税の見直しをすると考えます。
 日本の経済が弱体化した原因の多くが消費税に在ったと考えて居るのです。確かに、消費税は政府からしたら一番取り易い安易な増税です。が、一番の欠点が低所得者を直撃し国全体の消費を減速させる、下手で未熟な増税方法なので、結局総合的に税収は大きく落ち込み直ぐに財源不足を発生させ次の増税へと進みます。この方法を続けるなら、直ぐに、消費税20から30へ50%へとキリが在りません。(外国の例を見る通り)

 更に、消費税の処理に余りにも手間が掛かり、費用対効果の面でも未熟な税制です。これは、国民一人ひとりから捕る形に為るので、国の税収機関の一部を国民(税負担者・・・小売店・問屋・メーカー、その部品の移動毎に消費税が無数に発生する)が代理徴収する様なもので、その処理費用を合計すると国としての実際の税収の殆どを占めるのでは無いか。
 ですから、消費税廃止の提言は、実に考えたものと評価出来ます。彼は、切り口を替えた見方だと説明します。財源が足り無いから消費増税へとの政策は、実は何も遣ら無い方がマシな程の政策なのです。結局は直ぐに又財源が枯渇して次の増税へと進みます。

 それに、消費税を福祉と子供支援に使うと目的を決めてもダメ。消費税に印も色も付いていず、政府の税収の一部として扱われ、今までと同じく使われてしまうからです。
 ですから彼の主張は、決して夢を語ってるのでは無く発想を変えたのです。強制的に税金を巻き上げるのでは無く、自然に増収と為る様な政策を打つべきなのです。日本は、企業が海外へ逃げてしまうからと法人税を減税しました。その一番に恩恵を得た大企業は、その分を社員の所得に振り向けず、内部留保を積み上げただけで何らの経済的循環はありませんでした。


 



 

 2 安い家賃の住まい

 敷金・礼金などの初期費用や家賃、高くないですか?空き家、中古マンション、団地を活用し、全ての世代が初期費用無し、安い家賃で住める公的住宅を拡充します。



 〈コメント〉

 これも、ヨクヨク考えた政策です。日本にある住宅の空き家は年々増加している。特に地方ではそれが顕著で、行く行くは5軒に1軒、3軒に1軒が空き家と為る。今から将来の住宅事情を考えなくては為りません。その為にどうしたら好いか。先ずは現存の住宅の有効利用から始めるのが妥当です。
 先ずは使えるものを選別し、不要なものは転用・処分するしか無い。これを市町村が、国家的な目標の下で政府の資金で推進します。そして、新たに作る建物は、100年以上の耐久力と地震・火事・津波等の自然災害に耐え得るもの・・・従来の数倍の価値あるものに限定します。
 余分なものに投資しないさせ無いのです。戦時中、多くの古い家が取り壊され強制疎開が始まりましたが、結局は焼け野原に為ってしまいました。その分、新たな建物が建ったのですが、今は、政府が計画的に国民の住宅を考慮する時期に来たのです。無駄なものを作って取り壊す無駄を無くすのもその一つです。


 




 3 奨学金チャラ

 555万人を奨学金徳政令で救います。返済に充てる予定のお金は、必要な消費に廻して頂きます。



 〈コメント〉

 これも大きな景気刺激に為ります。そして、これに縛られて居る人に取っては大きな減税と為ります。何回も使えるもので無い荒業ですが、この奨学金事業での税収は恐らくゼロですから、経費は人件費程度でしょう。教育資金は国の未来への投資と考え、政府が無償で行うのが筋なのです。返却不要の教育資金こそが奨学金なのですから。


 




 4 全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」

 最賃1500円でも月収では24万円程度。決して高過ぎる賃金ではありません。現状が酷いだけなのです。
これまで政治主導で壊して来た労働環境や処遇を改善する為には、賃金の最低水準を強制的に引き上げる必要があります。
 中小零細企業に影響が無い様に、不足分は国が補填。最賃との整合性をかんがみ、生活保護基準も引き上げます。 年収200万円以下世帯をゼロに。地方活性、景気回復、東京一極集中是正の切り札です。



 〈コメント〉

 これは、遣ろうと思えば直ぐにでも可能な政策です。一番のネックが低賃金で無いと廻って行かない企業の存在です。しかし、生産性の悪い企業を存続させる為に人件費を低く抑えるのは筋が違う。結局は、そう云う企業は自然淘汰されます。その為に移民を増やすことは、全体の雇用条件が劣化するのでタブー。それ以上の人件費を出せる企業へと応援するのが国の仕事なのですから。


 5 公務員を増やします

 〜保育、介護、障害者介助、事故原発作業員等公務員化〜

 「公務員の数を減らせ」と云う政治家も居ますが、実際は世界から見て日本は公務員の数が少なく、現場は過酷です。1万人あたりの公務員数をみると日本は、英国の約3分の1、米国の約2分の1です。公務員を増やす。安定雇用も経済政策です。



 〈コメント〉

 これも賛成です。今回問題に為った統計問題も、8.000人居た従来の統計職員が数年で60%カットされ2.000人に為ってしまったのが始まりでした。利益を求められ無く難しく困難な仕事にこそ、政府が高給で雇用すべきなのです。それは、行く行くは目に見える大きな国家的な利益を生み出すのですから。


 




 6 一次産業戸別所得補償

 食糧安全保障は国を守る上で最重要事項。余りに低く過ぎる食料自給率を100%目指し大改革。第1次産業に就けば安定した生活が送れる様政府が戸別に所得補償します。



 〈コメント〉

 これも、色々複雑な制度をコネクリ回すよりも効果が直接出る政策です。制度を作りそれを選別し進め実際に行う為にだけで相当な予算を必要としますから、その分手厚い所得補償が可能と為ります。70歳を超えるだろう専従農家に、新たな企業や若者や子弟が参入し新たな農業が始まるかも知れません。今度は彼等が利益を生み出し納税者としての立場に為ります。
 そんなに上手く行かなくとも、日本の食料自給率は格段に伸び、将来の世界的気候変動や世界的食糧危機から逃れる手立てと為ります。


 つづく


 参議院本会議 山本太郎代表質問 2019年2月1日 VTR





 







 

「れいわ新選組」 山本太郎氏が立ち上げ記者会見




 





 「れいわ新選組」発足!



 参院議員の山本太郎氏が4/10記者会見し、政治団体「れいわ新選組」の結成を発表した。そのVTRを添付します。それをご覧の上で次の決意をお読みください・・・



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 決意


 日本を守る、とは  あなたを守ることから始まる。あなたを守るとは、 あなたが明日の生活を心配せず、人間の尊厳を失わず、胸を張って人生を歩めるよう全力を尽くす政治の上に成り立つ。
 あなたに降りかかる不条理に対して、全力でその最前に立つ。何度でもやり直せる社会を構築するために。

 20年のデフレで困窮する人々、ロスジェネを含む人々の生活を根底から底上げ。中卒、高卒、非正規や無職、障害や難病を抱えていても、将来に不安を抱えることなく暮らせる社会を作る。私たちがお仕えするのは、この国に生きる全ての人々。それが、私たち「れいわ新選組」の使命である。



 



 

 政権とったら直ぐやります・今、日本に必要な緊急政策


 れいわ新選組は、ロスジェネを含む、 全ての人々の暮らしを底上げします!


 1 消費税は廃止

 物価の強制的な引上げ、消費税をゼロに。初年度、物価が5%以上下がり、実質賃金は上昇、景気回復へ。
参議院調査情報担当室の試算では、消費税ゼロにした6年後には、1人当たり賃金が44万円アップします。



 2 安い家賃の住まい

 敷金・礼金などの初期費用や家賃、高くないですか?空き家、中古マンション、団地を活用し、全ての世代が初期費用無し、安い家賃で住める公的住宅を拡充します。


 3 奨学金チャラ

 555万人を奨学金徳政令で救います。返済に充てる予定のお金は、必要な消費に廻して頂きます。


 




 4 全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」

 最賃1500円でも月収では24万円程度。決して高過ぎる賃金ではありません。現状が酷いだけなのです。
これまで政治主導で壊して来た労働環境や処遇を改善する為には、賃金の最低水準を強制的に引き上げる必要があります。
 中小零細企業に影響が無い様に、不足分は国が補填。最賃との整合性をかんがみ、生活保護基準も引き上げます。 年収200万円以下世帯をゼロに。地方活性、景気回復、東京一極集中是正の切り札です。



 5 公務員を増やします

 〜保育、介護、障害者介助、事故原発作業員等公務員化〜 

 「公務員の数を減らせ」と云う政治家も居ますが、実際は世界から見て日本は公務員の数が少なく、現場は過酷です。1万人あたりの公務員数をみると日本は、英国の約3分の1、米国の約2分の1です。公務員を増やす。安定雇用も経済政策です。


 6 一次産業戸別所得補償

 食糧安全保障は国を守る上で最重要事項。余りに低く過ぎる食料自給率を100%目指し大改革。第1次産業に就けば安定した生活が送れる様政府が戸別に所得補償します。


 




 7 災害に備える

 〜防災庁を創設〜

 実際に復旧・復興に取り組んだNPO等の方々も雇用し、そのノウハウを蓄積、有事に備えます。災害時、実態に合った最大限の取り組みを、国として行える組織作りを始めます。


 8 コンクリートも人も・本当の国土強靭化、ニューデイールを

 公共事業のより大きな枠組み「公共投資」でみると、橋本総理から小泉総理までの10年の間に予算は半減。
何かと悪者にされる公共事業・公共投資ですが、雇用や防災を考えれば必要不可欠。防災対策だけで無く水道、鉄道等の公共性の高いものは国が主導し、積極的に支出します。


 9 お金配ります

 〜デフレ脱却給付金・デフレ時のみ時期をみて〜

 この政策ならば、確実にデフレ脱却は出来ます。一人当たり月3万円を給付。二人為らば月6万円、4人ならば月12万円。インフレ率2%に到達した際には、給付金は終了、次にデフレ期に入った際に又再開します。

 財源はどうするの?

 〜デフレ期にしか出来ない・財政金融政策〜

 日本総貧困化を防ぐ為には、まとまった財源が必要です。財源は税収が一般的ですが、私は、デフレ期には別の財源も活用します。新規国債の発行です。確実に足り無い分野と人々に大胆に、財政出動を行い、生活を支え積極的に経済をまわします。
 経済成長すれば当然、税収は増えます。国債発行は無限ではありません、リミットがあります。インフレ目標2%に到達する迄です。到達後、金融引き締めで増税まで必要な場合には、税の基本(応能負担)に還ります。法人税にも累進性を導入します。


 




 10 真の独立国家を目指します

 〜地位協定の改定を〜

 沖縄・辺野古基地建設は中止。普天間即時の運用停止。在沖海兵隊にはカリフォルニア等への移転をお願いし、これまでの駐留経費と同等の費用を日本側で持つことを前提に、米国側と再交渉。沖縄の民意を尊重します。費用負担が厳しければ、必要分の米国債売却を検討。対等な同盟関係を築けるよう、真正面から取り組みます。


 11 「トンデモ法」一括見直し・廃止

 TPP協定(利権)PFI法(利権)水道法(利権)カジノ法(利権)漁業法(利権)入管法(利権)種子法(利権)、特定秘密保護法、国家戦略特別区域法(利権)、所得税法(利権)等の一部を改正する法律、派遣法(利権)、安全保障関連法、刑訴法、テロ等準備罪など。


 11 原発即時禁止・被曝させ無い

 〜エネルギーの主力は火力〜

 この先、南海トラフ、東海地震、首都圏直下などの大地震が来ると言われる中、原発は安全を保てるのか?その答え合わせは大地震の後に為ります。詰まり、その大バクチに負けた際の費用負担は皆さんの税金です。事故が起これば、国土を半永久的に汚染し、人々の生業を奪う発電からは撤退。
 国の積極的投資で日本の廃炉技術を世界最先端に。エネルギーの主力は火力。自然エネも拡大します。東電原発事故による被災者・被害者への支援の継続、拡充を。


 




 12 障がい者への「合理的配慮」を徹底、障がい者福祉と介護保険の統合路線は見直し

 障がいを持つ方々は、社会生活を送る上で様々なバリアに直面して居ます。障がい者が社会生活を送りやすいようにする「合理的配慮」を受ける権利が障害者権利条約、そして障害者差別解消法で求められています。障がいの度合いや種類は様々です。障がい者の立場に立った合理的配慮を更に徹底させます。
 また、取り分け重度障がい者の方を苦しめているのは、現在の障害者総合支援法の第7条にある「介護保険優先原則」です。この条文の所為で、それ迄の充実した重度訪問介護等のサービスが利用出来ず、65歳に為ると利用時には原則一割負担を求められる上、サービスの幅も狭い介護保険の利用が求められています。障がい者の生活に不自由を強いる、障がい者福祉と介護保険の統合路線は見直して行きます。


 13 DV問題

 被害者支援と加害者対策、防止教育を基本とし、DV・虐待の無い社会の実現へ。DVによる暴力の定義と保護対象を拡大

 〜生活の本拠を共にしていないデートDV被害者も保護対象に〜

 国連の「女性に対するアラユル形態の暴力の撤廃に関する宣言(Declaration on the Elimination of All Forms of Violence against Women)」には、暴力とは家庭内もしくは地域社会で起こり、国家によって容認されてきた身体的、性的、心理的暴力であると明確に定義。

 DVは、年齢や性別、結婚して居るかどうか、同棲して居るかどうかなど、その関係や形態に関わり無く、親密な相手に対してチカラと権力を使って優位に立ち、支配する関係を作り、それを維持する為に繰り返し行う虐待行為だと考えられ、その様に定義されている国もあることを考えると、現行のDV防止法では被害者の保護が網羅出来て居るとは言えません。生活の本拠を共にしていないデートDV被害者も保護対象に加えます。

 •DV被害者(子供も含む)の心身の安全確保、心理的ケア、生活支援等を拡充
 •加害者の更生教育、受け皿としての加害者プログラムを全国に
 •学校におけるDV・デートDV防止教育を義務化


 14 児童相談所問題

 家庭裁判所の判断と、里親・特別養子縁組制度の拡充
 社会的養護下にあった子供達の独り立ちが不利に為ら無い施策を
 児童相談所で働く職員の不足、質の向上も勿論ですが、保護するかどうかの判断を、ほぼ児童相談所だけで行うことは、子供の将来にとって必ずしもプラスには為りません。海外では、保護するかどうかの判断を児相的なものだけで無く、第三者(司法など)が介入、判断に中立性を持たせます。
 家庭裁判所の職員を増員すると共に、一時保護後の子供の行き先については、裁判所が中立に判断する方法を用います。
 国際人権規約では、 社会的養護下にある子供を施設に収容するのは「最終手段」と定められており、拡大家族(extended family)による養育や養子縁組・里親養育が多くを占めます。それが、その子供の最善の利益に為ら無いと判断される場合に初めて、施設養育と云う最終手段を用いるとされています。

 一方、日本では、殆どの子供(平成29年度は全体の約87%)が、乳児院や児童養護施設などに入所しているのが現状。未だに施設ありきで社会的養護を推し進めています。加えて、里親に為る要件について、これまで事実上除外されて居た単身者や同性カップル等にも広げ、里親への研修、サポート、処遇を大幅に改善します。

 虐待の数をカバー出来るだけの人材の確保、具体的な体制や政策の整備、更には、施設の不足や里親の不足。この状況を是正すること無くして、「悲劇」が繰り返されるだけ子供達を守ることは出来ません。
 更に社会的養護下にある者の高校・大学等への進学で必要な授業料や諸経費、また運転免許取得費用等、自立を支える為の経済的支援を強化し、独り立ちした後も、賃貸契約や雇用契約は勿論携帯電話契約等、生活に欠かせ無い契約について、継続的に子供の保証人ないし保護者を務める人を指定したり、こうした契約で親権者の有無が障害と為ら無い様措置を講じます。又この保証人の利用等については、必要に応じて退所後のいかなる時点においても可能とします。


 




 15 動物愛護

 ペットショップでの生体販売禁止。 ブリーダーからの直接譲渡や、保護犬猫の譲渡を促進。 動物実験の削減を強化、義務化。 畜産動物のアニマルウェルフェアを世界レベルに。

 依然として動物虐待や劣悪飼育と言った問題が後を絶た無い現状を改善する為、最低限の飼育環境・設備の基準を定め、立入を義務化。実験動物使用数の削減を義務と強化。畜産業においても動物福祉が守られる様国際的な基準を踏まえた飼育や処分方法に関する基準を定める。犬猫殺処分ゼロに向け自治体による引き取り・収容・殺処分を改善します。

         以上


 なお、既にホームページが開かれており、この文章もそれより引用しました。何よりも首記「記者会見の
VTR」をご一見下さい・・・

  


 





 次に、一つ一つの政策提言に対する管理人のコメントを・・・




2019年04月20日

原発事故はなぜくりかえすのか 高木仁三郎氏を忍ぶ




 




 【管理人より】


 貴方は「高木仁三郎」と云うお名前をご存知だろうか。原子力科学者で、科学に基づいた見識で原子力業界を指導された人です。前回の最終ページに彼のNHKで収録されたVTRを掲載しましたが、ご覧に為ったらお分かり頂けたと思う。興味の無い方でも、彼の名前だけでも記憶に留めて欲しいと思い、今回取り上げました。



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          原爆と原発の反人類史・非人間史を語る高木仁三郎氏




 高木仁三郎 署 「原発事故は何故繰り返すのか」著作評論


 

 



 岩波新書 2000 ISBN:4004307031 編集:岩波新書編集部 装幀:岩波書店 より引用します



 日本における反原発思想を本格的な運動として立ち上げたのは、市民科学者の高木仁三郎だった。早くからプルトニウムの危険を訴え、次いでは「原子力安全」と「原子力文化」が決して成立し得無い事を、常に根底から告発し続けた。頑固で、勇気があって、誠実な人だった。
 しかし激痛と闘病の中でJCOの臨界事故を知り、本書を遺して無念のまま他界した。もしフクシマのことを知ったらどう為って居たことか。


 2000年10月8日、築地の聖路加国際病院で高木仁三郎が亡く為った。最終病名は直腸ガン。62歳と2カ月余。その3年程前に会った時は顔色は優れ無かったが、大病を患って居るとは思わ無かった。暫くして大腸ガンであることが判明したと人づてに聞いた。
 高木さんには最後の最後に口述した『鳥たちの舞うとき』(工作舎)と云う唯一のフィクションがある。十川治江が編集した。その「あとがき」を書いた久仁子さんによると、1998年の7月に大腸ガンだと判って切除手術をした時には既に肝臓や胆嚢(たんのう)に転移して居た様で、本人も1年位の余命だと覚悟して居たらしい。それでも何とか退院をして、新たに計画していた高木学校の連続講座で第1回の「プルトニウムと市民」を講演した。

 1999年は闘病しつつも6回分の高木学校を了えたのだが、腫瘍マーカーの値がドンドン上がり、タチマチ抗ガン剤を打ちながらの日々に変じた。そんな時の9月30日にJCOの臨界事故が起こった。何度も何度も、嫌、数百回にわたって高木さんが警告していた原発事故だった。本書はその記述から始まっている。
 しかし容体は益々悪化するばかりで、2000年には東京女子医大病院の人と為り、9月18日に聖路加に移って居た。もう、時間は無い。全てを察知して最後の仕事に向かおうとして居た高木さんは、自身で酸素チューブを外し、本書のゲラと『鳥たちの舞うとき』のゲラを遺して死んで行った。今日はその高木さんの祥月命日なのだ。追悼したい。


 




 本書には、原発事故は無く為ら無いと云う事が「原子力文化と云うものナンて有り得無い」と云う視点から繰り返し説かれている。「原子力は文明であるかも知れ無いが、到底文化には為り得無い」と云うのが高木仁三郎の確信だ。
 確かに原子力技術に基づいた原子力文明は在り得るだろう。又、原子力発電が既にそう為って居るのだけれど、利潤を追求する原子力産業も在り得るし、医療や宇宙開発に応用することも可能だろう。けれども生活の安心や安全を満喫する原子力文化が何処かに在るとは思え無い。この事を高木さんは原子力技術の研究開発に関わった現場で実感した。


 高木仁三郎が日本原子力事業と云う会社に入ったのは、東大理学部化学科卒業直後の1961年である。1955年に原子力基本法が出来、その翌年から日本の原子力研究が少しずつ本格化すると、三井(東芝)・三菱・日立・富士・住友等による原子力産業グループが形成されるが、高木が入ったのはその三井系の会社だった。
 そこは東芝や石川島播磨や三井東圧から派遣された人材によって構成されて居たらしく、高木は核化学研究室に配属に為った。
 核化学は元々高木の専門で、ウェット・ケミストリーとして放射性物質を水溶液状態で扱う研究開発に携わった。無論心高鳴る職場であった筈で、当時は原子力産業は学生に非常に人気が高く、工学部のエリートの殆どが憧れて居た。しかし実情は、原子力委員会が組み上げた「日本の国産炉」をどうするかと云う計画の前、

 @ 先ず研究所を作る
 A そこに実験原子炉を作る
 B それに関連した仕事を皆で遣る


 と云う様な事しか決まって居なかった。ハッキリ云って「無思想」だった。空想的には放射性物質をクラスレートに閉じ込めてアイソトープ商品を作る等と言った類のことも、アレコレ企画に上がったそうだが、到底原子力商品をもって新たな産業文化に寄与すると云う様なものは一つとして無かったらしい。本格的な議論も無かった。詰まり「無思想」なのである。
 それで何をしたかと云うと、アメリカの例に倣(なら)おうと云う事で、一つは原子力潜水艦の様な方向を、もう一つは原子力発電の方へ向かおうと云う事に為った。


 




 僕も好く憶えている。10歳の頃だったが、学校のクラスの男の子達は原子力潜水艦ノーチラス号の話題で持ち切りだった。1954年、アメリカのジェネラル・ダイナミックス社が華々しく進水させたノーチラス号の姿は、当時の子供にとってはジュール・ヴェルヌの『海底二万哩』の世界そのものだ。それは又『鉄腕アトム』に始まった夢多い原子力ロボットにワクワクして居た時期でもあった。
 これ等は真に他愛の無い子供ドリームに過ぎ無かったけれど、高木によると、日本原子力事業と云う〈本気の原子力屋〉の議論も実はそんな程度だったと云うのだ。

 こうして日本はアメリカを追随(ついづい)しての原子力発電に取り組んで行く事に為る。これは高木から見ると「放射能を知ら無い原子力屋」による目標の無い大プロジェクトだったと見えた。しかしその集団こそが〈原子力村〉を作り、日本の原子力発電の産業化に取り組んだ訳だ。


 1999年9月30日の東海村JCOで起きた臨界事故は、病身の高木仁三郎を激怒させ、悲しみの深淵に突き落とした。核燃料加工のプロセスで本来の手順を逸脱してウラン235の高濃度溶液が一つの容器に集中し、その為核分裂反応が持続したまま中性子がこの世に放出された事故だった。
 80日後、現場作業員の大内久氏が放射線急性障害で死亡、次いで二人目の篠原理人氏が大量被爆で死亡した。日本の原子力開発がもたらした初めての死亡事故だ。これで日本人は三たび、青い光の告発を受けることに為ってしまった。


 




 青い光と云うのは、原子炉で核分裂反応の高いエネルギーを持った粒子が水の中を通過する時に発する特殊な光のことで、核爆発や核分裂の現象に特有の光。科学用語では「チェレンコフの光」と云う。
 日本人はこの青い光を、第1には1945年8月6日に広島で、第2には8月9日の長崎で、そしてそれから54年経った東海村で見ることに為った。その他に、1954年3月1日にビキニ環礁で被爆して死亡した第五福竜丸の久保山愛吉氏も、チェレンコフの光から派生した光を見たかも知れ無い。


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              JCO臨界事故と環境説明図


 JCO臨界事故は、濃縮ウラン溶液を手作業でバケツ7杯も運んだ所為だと言われて居るが、その様なことをさせた原子力関係者の意識が大問題に為った。本来なら原発での仕事には、全ての関係者が放射能事故について過敏で無ければ為ら無いのだが、処が日本の原子力関係者は、その理論を組み立てる者も設計に携わる者も、現場のメンテナンスに従事する者もその意識が極めて薄かった。特に事故に対する意識が薄い。
 それは、日本だけでは無くアメリカでも結構希薄だった。原発の安全性については1975年に発表されたラスムッセン報告と云うものがあって、原発事故を確率論的に評価して「メルトダウンと云った大事故が起きる可能性は10のマイナス5乗から6乗だ」と発表し「ヤンキースタジアムに隕石が落ちる様なもの」と付け加えた。


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              朝日新聞社提供


 処がこの報告の後スリーマイル島の原発事故が起こった。何かの底がスッカリ抜けて居る。その底こそは、本当は文明が文化を生み出す為の根底にあるべきものだったのに、そうでは無かった。


 1989年の『巨大事故の時代』(弘文堂)と云う本がある。そこで高木さんは事故の原因を「重畳型・共倒れ型・将棋倒し型」の3つに分けた。


 




 重畳型は、単独ではそれ程深刻では無い筈の故障やミスが〈偶然〉に重なりあって大事故に為ると云うケースで、ニューデリーの南200キロのボパールで起きた農薬工場の例を挙げて居る。
 その工場ではコークスと塩素を反応させてホスゲンを発生させ、そこからMIC(イソシアン酸メチル)を生成して居たのだが、貯蔵タンクと反応槽を繋ぐパイプを清掃中に遮断シートを使うのを忘れた為、水分とホスゲン或はMICが反応して大量のガスと為り、それでタンクの内圧が上昇して爆発した。
 洗浄のミス・メーターの無視・生ガス焼却装置の欠陥・タンク操作ミスが重なったのである。その重なりは確率で言えば10万回に1回位のことであるのにそれが起こったのだった。


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 共倒れ型は、1975年にアメリカのブラウンズフェリー1号炉の事故に見て獲れる。原子炉建屋の中の空気の流れを調べようとして調査作業員がローソクを灯したのだが、それが火災に繋がり、ケーブルが燃え制御装置と安全装置を使用不能状態にした。多重に防衛されて居た筈の装置が、足った一本のローソクで共倒れに為ってしまった。

 将棋倒し型は、1986年のチェルノブイリの大事故に顕著だった。既に詳しい解説書が幾つも公開されて居るので、今更説明する迄も無いが、高木さんの闘いはここから始まって居るので、以下に概略だけを書いて置く。
 詳しいことは高木仁三郎講義録『反原発出前します』(七つ森書館 1993)等を読んで頂きたい。この講義録は1987年1月から始まった出前講義の集大成で、出前そのものは3年間で300回を超えた。科学論としても技術論としても滅法詳しく記載されて居る。



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           チェルノブイリ事故から21年経過時


 チェルノブイリ原発事故の経緯

 チェルノブイリ原発の4号炉は、現在でこそ建設当時から色々の設計ミスや不手際があった欠陥原発だったと云う事に為って居るが、その頃は世界的にも有能な原子炉だと思われていた。ソ連もトテモ自慢して居た。

 1986年4月25日、ディーゼル発電機が立ち上がる迄にタービンの慣性回転を利用して緊急炉心冷却系に電力を供給するテストをしようと云う事に為り、この日の夜の11時から出力降下作業が着手されることに為った。
 このテストは実は2度目のトライで、最初はその半日前に行われ、出力を低下させ始めた運転員は、その時緊急炉心冷却装置(ECCS)の信号を切って居た。炉心の水位が下がった時はECCSが作動して注水が勝手に行われてしまうから、信号のスウィッチを切ったことは妥当だった。

 処が、出力を更に下げ様とした時、キエフから指示があって「電力需要の必要で50パーセントの出力で運転をしろ」と言って来た。その段階でテストは半日延期された。こうしてその後に交代した作業員がテストを再開した。直後に出力が3万キロワットに落ちた。
 慌てた作業員は出力を回復させ様として、何とか20万キロワット迄戻したが、これで原子炉の内部が極めて不安定な状態に為った。直ぐに制御棒を引き抜いた処、これは引き抜き過ぎた。加えて作業員はタービン停止に伴って原子炉を緊急停止させる信号も切った。これはルール違反だが、最初のテストが上手く行か無かった時に再度トライする為だったらしい。

 午前1時23分、緊急閉鎖弁が閉じられ、タービンは慣性で回転を続けるのだが、無論その回転数は落ち始め、タービン発電機に繋がる循環ポンプの能力も落ちた。これで炉心を流れる冷却水の量が減り、温度が上がって出力暴走が始まった。
 その直後の足った1秒の間に、出力が3億2000万キロワットに上昇すると、燃料ウランが内部から粉々に砕け、高熱に為った酸化ウランが冷却水と接触し、かの蒸気爆発を起こしたのだ。原子炉建屋の上部は吹き飛ばされ、原子炉は破壊されて内部に溜って居た放射性物質を大気中に放出して行った。


 




 これが将棋倒し型である。高木さんはこう説明した。


 「これは、一つ一つの信じられ無い様な規則違反が重なって信じられ無い事が起こったのでは無く、一つ一つでは起こり難い出来事や規則違反が連なって、返って最も信じられ無い事が起こり易く為ったのである」

 と云う風に。原発事故については、高木さんは基本的には二つに大別出来ると言っていた。

 Aは暴走事故型で、核分裂反応の制御に失敗する事故である。
 Bは冷却に失敗して炉心が溶けると云う事故、即ちメルトダウンに至る事故である。


 




 原発の事故は 人間の技術ではカバーし切れ無いのでは


 しかし当時から、これ等の複合型の事故も起こり得る、その危険性の方が返って高いとも警告し、その複合性を技術はカバーし切れ無いのでは無いかと見て居た。

 例えば暴走には、エネルギー出力の反応度の事故と原子炉の事故があり、後者の場合は燃料棒が壊れるだけで無く、それによって熱く為った燃料と蒸気が接触すると蒸気爆発に為る事も、その途中で水が分解して水素に為り、それが水素爆発に為る事もあり、一方、冷却材が破損或は喪失した場合は、メルトダウンが起こって炉心が溶けるだけで無く、そのまま原子炉の底を貫通して放射能が外部に漏れたり、それが他のエネルギーに転換して蒸気爆発や水素爆発を併発させる事が在り得るとも予告して居た。

 今更その先見性を高く評価したって何だか空しいが、高木さんは原発事故の殆ど全てを予見して居た訳だ。しかしそのことを警告するのが高木さんの仕事を占めて居た訳では無かったとも言って置か無ければ為るまい。そもそも高木さんは「プルトニウム社会」と云うものを問題にして来た。
 『プルトニウムの恐怖』『プルトニウムの未来』(いずれも岩波新書)を読まれると好い。念の為に書いて置く。


 




 一言で云えば、プルトニウムは原爆開発の為に人工的に作られた元素だ。核分裂性と毒性がヤタラに高い物質で、核兵器の大半に使われる。足った1グラムでも人の命を脅かす。そのプルトニウムは、何故原発と関係があるのか。
 元々原子炉による原子力発電にはウラン235とウラン238が使われて来た。この数字は原子核を作る粒子、即ち陽子+中性子の数を云う。ウラン235に中性子が衝突すると原子核が分裂して熱を出す。ウラン238に中性子が衝突しても核分裂は余り起こらず、その代わりに中性子を吸収して極短時間でプルトニウム239に変化することが多い。
 そのプルトニウムに中性子が衝突すると原子核が分裂して熱を出す。これ等の熱を利用して蒸気を作り、タービンを回すのが原子力発電の基本原理に為って居る。


 この原理で発電する時、地中から採掘される天然ウランには「核分裂するウラン235」が僅か0.7%しか含有してないから大変な希少価値に為る。一方「核分裂しないウラン238」を使えばプルトニウムに変えられるから、可なりの有効活用が出来る。
 これ等のことから、原子力発電をするとプルトニウムが抽出出来、それを再処理出来ると云うことに為って来た。100万キロワット級の軽水炉を1年間フルに動かせば、約250キログラムのプルトニウムが生成出来る。但しこれは、日本の全人口を何度かに渉ってガンで致死出来る量だ。

 プルトニウムが7〜8キロ程あれば一個の原爆が作れるし、日本中の43基の原発が稼働すれば、毎日原爆2〜3個が作れると云う計算に為る。
 アメリカは原発王国だが、核兵器用のプルトニウムはシコタマ保有して居るものの、民間原発からはプルトニウムを取り出して無い。ドイツと日本がプルトニウム再処理をして核燃料サイクルを確立しようとして来た。今やドイツはこれを辞め様として居るが、日本は未だそこまで踏み切っていない。何故なら核燃料サイクルがあれば、燃料の有効利用が出来、ウランに依存するよりずっと効率的に為るからだ。


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          もんじゅ「廃炉を想定して無い設計」


 こうして日本はプルトニウムを増やす仕組みに開発費を掛けることに為った。それが高速増殖炉の開発で、「もんじゅ」に結実した。

 もう少し説明すると、高速増殖炉は中心部にプルトニウムを20パーセント前後に濃縮したMOX燃料(ウラン・プルトラウム混合酸化物燃料)を入れて置き、その周囲にウラン238を配置する。高温度の金属ナトリウムをドロトロの液体にして使う。
 中心部のプルトニウムが核分裂しながら、その熱をナトリウムに伝えて発電エネルギーとして行くと、核から飛び出した高速の中性子がナトリウムの中を走るので、これを首尾好くウラン238に捕獲させ様と云う仕組みだ。これでウランがプルトニウム239に変化して行く。

 その結果、消費されたプルトニウムより、新しく生まれたプルトニウムの量が多ければ、資源が増して行くと云う事に為る。発電が出来て資源も増加するから一石二鳥である。しかし、1995年に「もんじゅ」はナトリウム火災を起こし停止した。核燃料再処理サイクルは止まったままだ。マア、この位で好いだろう。


 




 それで高木さんは、この様なプルトニウムを活用しようとする社会そのものが、病んで居るのではないかと告発し続けたのだった。これ等の技術を活用する社会はアクティブ過ぎると言った。
 「原発はアクティヴィズムの極致の技術である」とも書いている。 そう云うアクティヴィズムよりも、寧ろパッシブな社会に転換した方が好い。私はパッシヴィズムに向かいたい。そう断言した。

 これは僕の見方で言えば「もっと社会を、フラジャイルでヴァルネラブルなものだ見た方が好い」と云う事に為る。そこを高木さんは日本を「イントリンシックな社会」に戻した方が好いとも言って居る。イントリンシックとは「本来の社会」と云う事である。僕もズッとそう思って来た。日本の本来と将来を繫げることが、日本と云う方法の課題なのであると。



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          原発止めよう1万人行動(1988年)



 【著者情報】 高木仁三郎[たかぎ じんざぶろう]

 1938年生まれ。群馬県前橋市出身。1961年東京大学理学部卒業。日本原子力事業、東京大学原子核研究所、東京都立大学等を経て、1975年に原子力資料情報室の設立に参加し、1987年から1998年まで代表を務める。1997年ライト・ライブリフッド賞受賞。


                  以上



 





 【管理人のひとこと】


 長い文章でしたがお付き合い有難うございます。今と為っては、原子力・放射能の危険な情報が福島第一の事故のお陰で一般的に認知されました。しかし、原発開始の頃は数々の失敗を繰り返し、高木氏の様な現場の学者から疑問が沸いて来た。
 彼は、それと真摯に向き合い「原発は人類に不幸をもたらす」と確信を得「人間がコントロール不可能なものだ」と再発する事故を検証し「反原発」へと進むべき道を切り開いて行きました。彼には色々な本を著作し数々の報道番組にも出演して訴えたのです。更に「高木学校」為るもので啓蒙活動も行いましたが、病に伏し、62歳2か月と云う早い一生を終えました。
 が、彼には多くの人達が教えを請いその意思を引き継いで居ます。彼の著作の一つでも、書店か図書館で目に付いたら手に取って読んで頂きたいと思います。



 

 





「閉じた経済」で地方再生を 落合貴之衆議院議員(立民)



 【ネットニュースより】閉じた経済で地方再生を


 




 【管理人より】


 自民党の政策や今後の方針等は、現実の政策や、今議論されたり今後されるであろうと予想される各種法律等を知らせる報道などで概要を知ることは出来る。
 しかし、第一野党である立憲民主党の目指す政策や今後の方針は、ナカナカ具体化しない為でもあるが、私達は殆ど知ら無いのに等しいのでは無いだろうか。最も単に私が注意して見ていないだけなのかも知れないが。彼等は一体、今後、どの様な政策でどの様な目標を持って国民に訴えて行くのだろうか、と常々疑問に為って居たのです。
 彼等は、自民党の発議を殆ど反対する。無論メディアの所為なのだが、彼等はそれがダメなのであれば独自の対案を示し多くの国民に訴える・・・その力が余りにも弱いのでは無いだろうか。私達には殆ど響いて来ないのだ。そこで、立憲民主党の落合貴之衆議院議員が「閉じた経済」と云う新しい言葉を用いて提案したとの記事なので、今回はこれを取り上げます。



  




 「閉じた経済」で地方再生を 落合貴之衆議院議員



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            落合貴之氏 衆議院議員  (東京6区)



 Japan In-depth 4/19(金) 8:32配信  (C)Japan In-depth編集部  より引用します。(文章の一部を省略しています)



 【提案のまとめ】

 ・少なくとも今現在は景気にブレーキが掛かって居る
 ・中長期的な経済政策が必要
 ・IT、エネルギーの地産地消、農業の改革を地方から進めて行く



 




 安倍政権が7年目に突入し、アベノミクスについて、専門家・エコノミスト・各メディアからその効果について様々な見方が出て居る。景気の見通しと今後の経済対策について、立憲民主党落合貴之衆議院議員に話を聞いた。




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 アベノミクスの評価


 先ず、アベノミクスに付いて落合氏は、最終目的は達成されて居ないとした上で、デフレから脱却し三本の矢を打って来たが、実質的な回復の為には、個人の消費とか個人の家計の部分が上手く回って行か無いと企業の投資も呼ば無い。その為、一番重要な最終目標に行き着く前に失速する。
 色々お金を注ぎ込んでしまったので軌道修正をしないと後でツケが回って来てしまうのでは無いかと危惧して居る。



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            2020東京五輪の経済波及効果は?


 また、景気後退の局面に入って来て居るのでは無いかと云う見方に付いては、海外でブレーキが掛かって来て居るのでその影響を受けて居るが、専門家の間では「今年の半ば以降には又、好い方向に進む」と云う意見と「今後もブレーキが掛かった状況が続く」と云う意見に二分されて居る。
 少なくとも今現在はブレーキが掛かって居る事は確かだと述べ、現下の景気は足踏みしているとの認識を示した。オリンピック効果が剥落(はくらく)する可能性について問うと、落合氏は、オリンピック効果を期待する一方で、人手不足解消策のタイミングには慎重であるべきだ。と述べた。


 




 その理由として、経済の循環を短期的では無く、中長期的な視点で見て行く必要がある。非正規の外国人労働者を急いで集めても、日本国内の不安定な雇用に外国人労働者が国に帰ってしまう可能性もある。これから人口は下がって行くから、そう云う意味で地道に経済成長の為の政策を打って行く時期に為って居るのではないかと述べた。
 又、今後、中国に対する輸出に規制が掛かる様な事があれば法制の見直しが必要だ。が、日本国内の労働人口が減少する中で自然な経済成長は見込め無いので、中長期的な効果がある法制を打って行かねば為ら無い。との考えを示した。


 子育て世代への支援を


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  失敗する国民投票・・・深く考えずに一時のムードに流され 国民・家族を分裂させてしまう


 過つて民主党政権時に公約で掲げられた「分厚い中間層」に付いても触れ、先進国各地でデモが起こって居るが、トランプ政権の誕生もイギリスのEU離脱も、マクロンに対するデモも〈中間層の脱落〉から始まって居ると述べ、富の偏在が世界的に社会の不安定化を招いて居るとの考えを示した。
 そうした「中間層の脱落」をどう食い止めるか、と云う問題に対して、教育費の負担軽減と云うのは重要だ。シングルマザーの平均年収が180万位で3人に1人が離婚して居る。
 と云う事は、機会を均等化しないと行け無い。分配政策が今まで以上に重要に為って居る。子育て世帯を中心にすることが経済効果でも持続可能な日本の発展と云う面でも重要だと述べ、子育て政策の充実が鍵だとした。

 




 グローバル化と「閉じた経済」


 グローバル化に対して、先進国がグローバル化への対応に注力し過ぎたと述べた上で、フラットにし過ぎると、世界の賃金は一つの処に収斂(しゅうれん)して行く訳だから、賃金水準が元々高かった処は下がって行ってしまう。水野和夫さんの言葉を借りると「閉じた経済」即ち、或る程度国境を作って再構築して行くことが重要だと述べた。


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             世界のブレーキの原因はトランプ


 又、トランプ政権に付いては「社会の崩壊を食い止める」とか「人々の生活に焦点を当てる」と言ったその理念は支持しつつも「遣り方に問題がある」と指摘する。世界のブレーキの原因はトランプにある。マクロ経済の面で間違って居る政策が多いと述べた。
 その上で、日本にはその選択肢が無い。私は、立憲民主は保守本流と言って居るのであれば、そう云う面で国民の生活を守ると云う面から、グローバル化一辺倒を辞めた方が好いと思うと述べた。


 




 米中貿易摩擦


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 次に、日本の輸出に影響を与えている米中貿易摩擦の見通しについて、グローバル化への反発がトランプ政権にあり、グローバル化の象徴が昔の日本であるみたいに、今の矛先が中国なのでは無いか。外交防衛の問題で今日本と韓国が上手く行か無い様に、アメリカと中国は対立せざるを得無い。トランプ政権が続く限りは転換は無い。それによって日本経済も影響を受けている。
 新規の設備投資を見送ると云うニュースも流れて居り、機械受注も下がって来て居る。それは中国の要因では無いだろうか。中国の生産と消費が減って居るからだ。


 




 消費税増税



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 オリンピック効果が剥落(はくらく)する中での消費税増税に付いては、財政健全と云うより持続可能な経済成長の方が重要だ。消費税を全否定はしないが、タイミングは確り見ないと行け無い。
 今日本のGDPは6割が個人消費・2割が設備投資・1割が政府支出・1割が海外への輸出。個人消費が伸びて居無い中で消費税を上げると云うタイミングでは全く無い。増税緩和対策はオリンピック迄と云う期間限定に為って居る。今の政策だけではダメだ。オリンピック後の経済をどうして行くか、と云う事を野党側が言わなければ為ら無い。
 具体的には、安倍政府の政府支出は公共投資だが、中心と為る建設業界は人が足り無い。そこにお金を幾ら注ぎ込んでも経済循環は生まれ無い。IT等、今後に繋がって行く資産を作って行く必要がある。中長期的な視点で遣って行くべきだ。


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            平成29年度のエネルギーの比率


 IT・AI・医療への投資に付いては、大企業向けの政策ばかりでバランスが悪い。エネルギー政策でも「閉じた経済」を作る為にはエネルギー自給率を上げる必要がある。それは日本全体もそうだし各地方もそう。
 日本は石油を買うのに20兆円位使って居る。稼ぐ為には輸出し無ければ行け無い。再生可能エネルギーでエネルギー自給率が上がれば、コストが下がるから地方の所得は上がり農業林業に回す事が出来る。昔、田中角栄元首相が目指して居た日本中が快適な暮らしを出来る様にする、所謂『均衡ある国土の発展』と云うのは可能だと思うし、立憲はそれを経済成長戦略として示すべきだとした。


 




 落合氏はエネルギーの地産地消を念頭に置きながら、田舎の方が生活コストが高い。それはガソリンとか灯油とかの燃料費が高いから。そう云うコストを下げて行けば、GDPには反映され無いが、支出を減らすのでその分豊かに為りQOL(生活の質)は上がる。


 政権交代


 立憲民主党は現野党党1党だ。政権交代に付いての意気込みを聞いた。

 「私が初当選した時、共産党以外の新人では35歳で自分が一番若かった。しかし最近は、大臣を経験していないと当選しない。中堅若手がドンドン減って居る事が政権交代を遠ざける要因と為って居る。
 公募をして居るが、リーマンショック以降優秀な人は民間に取られてしまった。我が党は女性の優秀でヤル気のある人達を探して行こうとしている。今は女性が政界に進出する好い機会なのではないか」


 と述べ、立憲民主党として女性候補者の擁立に前向きな姿勢を示した。


 




 中長期的ビジョン



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 地方では資産が残念ながら安く為って来て居る。今地方の資産は買い時で、安いコストで広い土地が買える。東京にマンションを持ちながら、もう一個「不動産を買うこと」も可能で、そうやって経済を分散させることが重要だ。健康需要も伸びるのではないか。
 今政権交代しても直ぐに金融緩和を止めることは出来ない。金融は当面これ以上出来ることは無いので、短期的な政策は安倍さんから引き継ぎながら、中長期的に違う経済の形に持って行くと云う事が必要だ。人口は減少して行くが、現在の日本の借金を返して行く為にも、IT分野や地産地消のエネルギーと農業を進め、新しい日本人の生活を見出しながら各政策を打って行く事が大切だ。と述べた。


 





【編集後記】

 一極集中の経済から、エネルギーの地産地消をベースにした「閉じた経済」を地方から進めると云う発想には共感した。実際、愛知県豊田市等、新たな経済循環や人の交流を生み出そうとして様々な取り組みを始めており(参考〈つながる つくる 暮らし楽しむまち・とよた〉の実現 豊田市「SDGs未来都市」計画)は、多くの自治体のロールモデルに為り得ると感じる。一方で、国主導の公共投資に頼り勝ちな自治体側の問題もある。折しも、今統一地方選の真っ只中だ。耳触りの好い目の前の政策の連呼が町を埋め尽くしているが、こうした中長期的な視点こそ政治家に求められている。

                  以上



 




 落合貴之衆議院議員の紹介

 経歴

 慶應義塾大学経済学部卒 元株式会社三井住友銀行 行員 衆議院議員江田憲司 元公設第一秘書 参議院議員松田公太 元公設第一秘書 元みんなの党衆議院東京6区支部長  地域主権型道州制国民協議会(堺屋太一名誉会長、江口克彦会長) 世田谷・東京6区支部長 東京特別州政治家連盟理事

 特定秘密保護法案に反対し、2013年11月27日みんなの党を離党し無所属に。翌2014年5月結いの党入党。党の合併により、2014年9月より維新の党衆議院東京6区支部長。2014年12月、衆議院議員選挙にて小選挙区では惜敗するも比例復活当選。
 2016年3月、党の合併により民進党衆議院東京6区総支部長。2017年10月、希望の党合流に異を唱え無所属に。その後、立憲民主党設立に参画。総選挙にて小選挙区勝利。衆議院議員2期目。

 [国会での主な役職]経済産業委員会 野党筆頭理事 予算委員会 委員 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 委員
 [党での主な役職] 政務調査会 副会長 経済産業部会 会長 エネルギー調査会 副会長  政治改革部会 事務局長 統治機構調査ワーキングチーム 事務局次長 憲法調査会 幹事 外国人受け入れ制度及び多文化共生社会のあり方に関する検討プロジェクトチーム 幹事 安定的な皇位継承を考える会 幹事
青年局 顧問 東京都連 選挙対策委員長 東京都連 つながる本部 本部長
 [議員連盟] 自然エネルギー社会実現議員連盟 事務局長  若者政策推進議員連盟 事務局次長
国連世界食糧計画(WFP)国会議員連盟 顧問  立憲民主党 科学技術・イノベーション議員連盟 副会長
立憲民主党 弁理士制度・知的財産制度改革推進議員連盟 副会長

 落合貴之衆議院議員国会事務所

 〒100-8982 東京都千代田区永田町2-1-2 衆議院第二議員会館 606号室
 TEL:03-3508-7134 / FAX:03-3508-3434

 落合貴之衆議院議員世田谷事務所

 〒154-0017 世田谷区世田谷1-12-14原ビル2F
 TEL:03-6312-4505 / FAX:03-6312-5308


 





 【管理人のひとこと】


 落合貴之氏を特別に応援している訳では毛頭無い。しかし、支持すると為ると、政党としては立憲民主党しか無いのは致し方無い。無論、古い民主党体質(特に党首に為られた人達の影響が強い程)のままでは、二度と政権に復帰するのは難しいと思う。菅氏や野田氏に、党を分裂させた某氏に至っては、特に若い層からの支持は得られ無いだろう。氏の経歴をみると、色々と苦労された経緯が判る。

 田原総一朗氏が好く云う様に、日本の政党に右も左も無くオール・リベラルなのだ。特に経済に関しては、政策は似たり寄ったりで区別は付か無い。経済以外でも党としての特徴を上げるのは難しい。トウの本人達も内心は頭を悩まして居る筈だ。
 その中で「閉じた経済」との言葉は、或る意味トランプ流の「保護主義」であったり「自国ファースト」の一面を持つ、所謂「脱・グローバル」の流れの一つなのだと理解した。詰まり「行き過ぎたグローバル」の反省と「自国の為=経済的鎖国」の両面を取り入れたものだろう。


 




 イギリスのEU離脱にしても、その他欧州の移民批判も根は同じ処にある。落合貴之氏が指摘する様に、余りに制度をフラット化(規制緩和)してしまうと、逆に強弱が極端に表に出てしまう。故に、中間層が消滅し富が偏ってしまい、富裕者層と貧困層にハッキリ別れてしまう。昔で言えば階級が、特に現在は極端な貧富の階級が出来てしまった。
 その原因がグローバル化・極端なグローバル化・・・業界の一つの成功企業が全地球を圧倒してしまう。この様なものが出来てしまったのは大きな欠点だった。

 富裕者層は、自分達の努力と運が勝(まさ)ったのだが、困窮者層は決して全てがその人達の責任では無い。国内の紛争で国外へ逃げたり教育を受けられ無い環境だったりの色々な原因が考えられる。だから、政治では富の分配が一層重要と為る。これも同感だ。これに対して何らかの法律を考えると氏は云う。尤もだと思う。
 経済学者はイノベーションが大切だと説くが、中には、今更真正面から挑んでも勝て無いのだから、ルールを替えたら好い・・・それが戦略だと云う人も居る。日本は戦術に固執し戦略が無いと批判する。何か卑怯な感じがするが、根本を見直すことも時には必要だと思うから、一つの考えだと思う。竹中平蔵の様に、法律でフラット化させ利権を作り出し、それを自ら秀抜する手合が居るのが現在の日本だ。彼には、悪い意味で富者・成功者の一面を見る思いである。



 









 

2019年04月18日

【先生の明日】志望者が6年連続で減少



 

  【ネットニュースより】




               《先生の明日》


            志望者が6年連続で減少



 





   他人事では無い教員の長時間労働 「教育問題では無く社会問題」




 カナロコ by 神奈川新聞  4/18(木) 16:00配信  より引用



 公立学校の先生の志望者数が6年連続で減少している。識者は、学校現場の長時間労働が敬遠されている影響を指摘する。新潟県では小学校の教員採用試験の倍率が僅か1・2倍に為り、教員不足によって授業が行え無いと云う事態は全国で現実に起こっている。


 教員の労働問題に詳しい内田良・名古屋大准教授(43)は「為り手の減少が続けば、当然教育の質は下がって行く。一番影響を受けるのは子供でありその親。詰まり教員の長時間労働は、教育問題では無く社会問題だ」と警鐘を鳴らす。 (神奈川新聞・佐藤将人)



 先生が死んでも「他人ごと」


 横浜市立中学の教員だった夫の過労死が認められる迄5年半もの月日が掛かった。その数ヶ月後、工藤祥子さん(52)は横浜市の教育長から各校長宛に送られた通知を、知り合いの先生から手渡された。

 「まるで、夫の3度目の死亡宣告を受けた様な瞬間でした。1度目は夫が亡く為った時、2度目は過労死の申請が当初は「校務外(不認定)の決定を受けた時、そしてこの通知だ」


 〔過重労働による健康障害防止の為の取組みについて(依頼)〕と題された通知にはこう記してある。

 <市立中学校教諭がクモ膜下出血により死亡した件について、地方公務員災害補償基金(地公災)神奈川支部長から、改めて公務災害として認定する通知がありました。その理由として「長時間に及ぶ時間外勤務や通常の範囲を超えた職務内容」と当該疾病の因果関係を認めたことが考えられます> (一部略)


 「地公災は完全に過労死と認めたのに何故『考えられます』なのか。そもそも夫はこの組織の一員だった筈。校長宛の通知とは言え、追悼やお悔やみの言葉も一切無く、何処から何処までも他人ごと。まるで当事者意識が無い。夫はこんな組織の為に頑張って、死んで行ったのか。夫の死は、こんなにも軽く扱われてしまうのか」

 一人の教師が仕事に人生を懸けて命を落としたと云う事実を、当該組織のトップすら「自分ごと」として捉えられ無い。「結局は誰も責任を取ら無いし、過労死してもお咎め無し。そう云う無責任な姿勢が究極の形で表れたのがこの通知だと思う」


 




 実際、これまで教員の過労問題で、校長等管理職を含めた学校や教育委員会が、法的責任を問われた例は無かった。
 しかし今年2月、大阪府立高校の男性教諭が精神障害の一種である適応障害を発症したのは長時間労働が原因だとして、国家賠償法に基づいて府に対して損害賠償請求を起こした。公立の教員が過労による傷病で損害賠償を請求するのは日本で初と云う。過労問題を専門に扱い、同訴訟の代理人も務める松丸正弁護士(72)はこう話す。


 「民間で起きたら企業責任を問われるのに、学校の問題は(どれだけ残業実態があっても違法と為ら無い)給特法を根拠に飽くまでも管理監督者の指揮命令下に無い自主的自発的勤務と言われて、先生好くやったね、と美談で終わってしまっている。過労で心身を壊す先生の数は10年前と殆ど変わっていない。教員の過労問題も、管理者の責任を問える様に為ら無いといけない」

 一石を投じた格好だ。


 「先生はきつい」を隠すから


 長時間労働が野放しにされ教師が疲弊する。教職に希望が持て無いから、為り手が減って行く。その傾向はデータからも明らかだ。
 教員採用を巡る文部科学省の調査によると、近年の採用人数はホボ横ばい近くと為る一方で、受験者数は6年連続で減少。新潟県では2019年度の小学校の採用試験の倍率が1.2倍と過去最低を記録し、受験者の大半が受かると云う異常事態と為った。

 名古屋大教育発達研究科の内田准教授は「背景には、学生に取って売り手市場が続く民間企業への就職状況等もあり、一概には言え無い」と前置きした上でこう語る。

 「学校の外では『教員はきつい』と云う情報が溢れて居るのに、大学の授業では触れたとしても少しだけ。フタをして置いて『それでもこんなに遣り甲斐があるんです』と、マイナスをプラスで無理やり消そうとする。それが結果的に学生の不安を煽る悪循環に為って居る」


 




 現実をオープンにし問題を整理する。国がどう云う対策を練ろうとして居るのかを知る。声を上げている教師達の改善策に耳を傾ける。その上で自分はどうして行くべきなのか、何をすべきなのかを一緒に考えて行く。このプロセスが重要だと説く。

 「教師に為って最初はシンドイかも知れないけど、自分が30歳に為る頃には良く為るかも知れ無いと云う希望が持てたり、それなら自分達が変えようと云う風に思えた方が、学生にとっても安心だし、余程生産的だと思います」


 足元が崩れる教育現場


 教育の質を担保するのは人材だ。その担い手が減少し続ければ、教育現場は瓦解(がかい)して行く。内田准教授は危機感を隠さ無い。


 「1年前に出会った小学校の先生で『12月の全ての授業で準備時間0分でした』と云う人が居た。過去の蓄積で、その場しのぎで教壇に立つ。これで好いのでしょうか。教員が不足し、必要な授業を行え無いと云う中学校は現実に存在する。結果的にそれは子供の学習意欲を低下させることに繋がるし、授業の質を低下させることに間違い無く為って来る」


 それで一番困るのは誰か。子供であり親だ。だからこそ内田准教授は「教員の長時間労働は教育問題ではなく社会問題なのです」と強調する。

 社会という言葉が大き過ぎる為らば、「地域」に置き換えて考えれば好い。文部科学省は長時間労働の主因とされる部活で外部の指導員を制度化した上で、週に2度の休養日を設けるガイドラインを示した。
 現状は教師が行う登下校指導、夜間の見回り、各種徴収金の徴収等を「基本的には学校以外が担うべき業務」校内清掃等を「学校の業務だが、必ずしも教師が行うべきでは無い業務」に仕分けした。ポイントと為るのは何れも地域との関わり方だ。

 内田准教授はこう語る。

 「膨れ上がった先生の業務は基本的に全て只働き。外部化しようとしてもコストが掛かって居ないので、予算が着か無い。原資があれば誰かに任せられるのに、それが直ぐに出来ないのが教師の働き方改革の難しさ。只地域に担い手が居ない、保護者も共働きが増えて多忙だと言って、先生に一極集中させて来たツケが回って来た。社会の構成員全員が考え直さないといけない問題です」


 





 一方でこれまで9件の教員の過労死裁判に関わり、8件で認めさせた松丸弁護士はこう言う。

 「結局そうやって地域に仕事を落として行くと、必ず保護者や地域住民が『学校は地域のことを考えていない』と為る。そう云う歪が出て来るのは、お互いにとって好く無い。問題は単純で、教員の人員を増やせば好い。これが最も効果的です」


 外部化にせよ、教員の人員増にせよ、必要と為るのは「予算」だ。それを後押しするのは地域を起点とする社会全体の理解であり、世論と云う声に為る。
 そのキーとして「自分ごと」と云う言葉が浮かび上がる。自分の住む街にある学校、自分や親戚や友人の子が通う学校に根付く長時間労働は、決して他人ごとでは無く、有形無形、夫々に関わって来る問題だ。子供に生き生きとした先生の下で学んで欲しいと願うのは、万人共通の思いだろう。


 工藤さんの元に届いた、夫の教え子や保護者からの手紙。100通ではきか無い。


 過労死に近い、教師の平均像

 
 松丸弁護士によると過労で命を落とす人には、明確な共通項があると云う。

 
 「先ず、真面目で几帳面。でも、これだけでは倒れません。後一つは『他者配慮』です。周囲の人に対する気配りや、頼まれたら断れず背負ってしまう人。これは民間も同じです。特に過労自殺の場合は遺書で必ず、周囲に謝りながら死んで行く。迷惑をお掛けしてスミマセンと。特に教育現場ではそう云う人が特殊では無く、寧ろ平均に近いですから」


 小学校教員の約3割、中学校教員の約6割で過労死ラインと呼ばれる月80時間以上の時間外労働が常態化している現状は元より、その中の少なからぬ先生達が、過労死に陥り易い傾向を持っているのが危うい。過労死した工藤さんの夫・義男さんは、卒業式の時に何時も生徒に送る言葉があったと云う。


 「お前ら、絶対に俺より先に死ぬなよ」


 言葉の真意は、どんなに辛い事があっても生きてさえ居れば必ず又笑えるし幸せに為れる、嫌、為って欲しいと云う思いにあった筈だ。工藤さんはこう言う。

 「夫が亡く為り、その教え子から沢山の手紙を貰った。嬉しい半面、夫は子供達にこんな思いをさせたくは無かった筈だと思うと、本当に居た堪れ無かった。過労だけの問題では無いと思いますが、子供達が親に平気で『また先生辞めちゃった』と言ってしまう現状は矢張り可笑しい。先生達が自分のプライベートや健康を犠牲にする働き方を見せてしまって居るのは、子供の未来の為にも為ら無い」


 




 自らも小学校の教員だった工藤さんは現在「全国過労死を考える家族の会」の公務災害担当として、厚労省が進める過労死等防止対策協議会の委員を務める他、求めに応じて講演等を行っている。その活動は決して、教育行政や教職現場を批判する為では無い。
 自分と夫が愛した先生と云う仕事で、もう誰も不幸に為ら無い様、そして若者が希望を持って目指せる仕事である様、前へと進めて好きたいからだ。


 連載「先生の明日」  

 この記事は神奈川新聞とYahoo!ニュースによる連携企画です。教職員を取り巻く課題を伝え、その解決策について考えます。「過労問題」編は 4月16・17・18日の3回に渉って配信しました。


                  以上




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 【管理人のひとこと】



 学校の問題で一番に世の中に知られるのは「いじめ」の問題だろう。その原因の多くが「教師が子供達を見て居ない」とする周囲からのクレームだ。が、トウの先生達にしてみれば、大変な仕事量の中での出来事で「これだけ遣っても・・・」との無念と諦めの思いが心を覆い尽くすだろう。

 私の父も母も学校の教師をしていたので、教師の仕事量を想像することは出来る。明治生まれの父は、体操教師として旧制中学の教師から、戦後は高校の体育教師に為った。母は、師範学校を卒業し小学校の教師をし父と見合いして結婚。無論、結婚と同時に教師は退職し、その後多くの子供を育て上げた。
 父は運動部の部活を数多く受け持ち、中には家に住まわせた生徒も何人か居た。学校の長期の休みの殆どが運動部の合宿の面倒を見る為に泊まり込み、冬休みはスキー部の合宿に、相撲部や陸上部は夏休みや春休みと年中家には居なかった。が、時には私達子供も連れて行かれたこともある・・・昔の思い出だ。


 




 生徒の就職の世話は勿論、大学の受験には東京まで出掛けて行って母校との折衝をする。親からは色々なお礼を受けたと思うが、金銭は決して受け取らないと評判だった。だから、何年経っても好く教え子が家を訪れオヤジに会いに来た。
 そんな教え子との付き合いはとても長く続いた。教師を退職してからの次の仕事の世話や、ブラジルに渡航する際の世話を受けたりして居た様で「先生!」「先生!」と、至り付くせりの世話をして頂いた様だ。だから、昔の生徒達の仕事の世話や商売の応援も辞さなかった。

 時には、柔道部の生徒だった人の「柔道整骨師」の開業の世話や、興業会社を経営する人の「ローラースケート場」の開業の世話、時には歌声酒場の開設・・・音楽好きな生徒が兄弟でナガシをして店を持ちバックで演奏し客に歌を指導する。当時の人気歌手だったディック・ミネ氏を招いたことも。時にはヤクザに近い人であったり大企業の重役に為った人も、自衛隊のパイロットだった人も・・・色々な生徒達が居た。
 その当時の教師と生徒との間にはマダ、多少の信頼と愛情関係が残って居た様で、父は決して権威ブッテル訳でも無く、生徒達ともまるで友達の様に接していた。オヤジの葬式に間に合わなかったと、東京から小樽まで出向いて呉れた人も居た。彼は、早大を出て教師と為り冬の国体で長距離で優勝した人だった。努力家で、毎日暗く成るまで校庭をスキーで廻って居たのを思い出す・・・決して、父が聖人君子だった云う訳では無く、昔の師弟の関係はそんなものだった・・・


 




 今とは時代が違う・・・と言っても、人間対人間の関係だ。そんな関係が好かったのか悪かったのかは別にして、教師の使命とは何か? 何を為すべきなのか? その回答は昔から変わら無い、只一つだ。次の時代の人間を育て上げる以外の目的は無い。そうであるなら、その目的に少しでも近づけるべく環境を作らねばなら無い。
 それは、文化省の仕事だ地方公共団体の仕事だ、と私達が逃げては為ら無い。我が子、我が孫が直接の当事者なのだから、同じ位に教師の環境にも目を向けなくては為ら無い。余りにも無給の残業が多いのであれば、先ずは人員を増やし書類を1/10位削減し無理な勤務を減少させるのが最優先される。
 「立派な先生だ!」の評価が欲しい教師は少ないだろう。子供達への愛情を持てる、精神的時間的余裕が欲しいだけなのだから・・・



 










【紙面の片隅から】 廃炉作業の現在と課題



 【紙面の片隅から】



 




 廃炉作業の現在と課題 2019年4月18日 某宗教紙 5版 より引用します




 廃炉作業の現在と課題




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 国際廃炉研究開発機構(IRID) 奥住直明・開発計画部長に聞く



 ・・・事故から8年。福島第一原発では、廃炉に向けた原子炉の内部調査が本格化している。しかし、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しには、更なる調査、技術開発が必要である。廃炉作業の技術研究、開発を進める国際廃炉研究開発機構(IRID)の奥住直明(おくずみ・なおあき)・開発研究部長に聞いた。


 溶融物(ようゆうぶつ)の接触調査実施


 ・・・現在、原子炉内部の調査はどこまで進んでいるのでしょうか?


 2015年から宇宙線ミュオンを使った調査の結果、核燃料は圧力容器底部、更に格納容器内に落下していることが認められ、更に直接的な観測の為、各号機に対応するロボットを製作し、調査を継続して来たのが昨年までの経過です。
 2号機、3号機では、原子炉圧力容器の下にあるペデスタルの内部を撮影することに成功し、内部の状況が明らかに為って来ました。かつ、2号機では、今年2月にデブリの一部とみられる溶融物に接触調査を試みることが出来ました。溶融物には、掴んで持ち上げられるものもあれば、岩の様に固く動かせないものもありました。

 見えているものは、未だ、ごく一部ですが、それを基に周辺の状況を推定することは可能です。また、動かせない溶融物があることも予測しており、これ等を切削する為のロボットの開発も今後の調査と並行して進めることに為ります。



  





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 ・・・政府が決定する「中長期ロードマップ」に示された目標工程の目安では、今年度中に、燃料デブリ取り出しの初号機を確定するとあります。


 工学的安定状態を目指す


 デブリ取り出しの初号機確定へ

 課題は、残る1号機にあります。1号機では、ペデスタル内部にロボットを投入する場所の放射線量が高い為、より下方部から投入する方法を試す予定です。その為の地下階を移動できる水中遊泳型潜水ロボットも開発しました。
 一方、2号機では、アーム型のアクセス装置の先端部にレザースキャナーを搭載し、内部の正確な位置情報を把握したいと考えて居ます。ただ、3号機については、調査を進める為には格納容器内の水位を下げる必要があり、その検討が必要です。
 これら一連の調査を通し、IRIDとして燃料デブリ取り出しの初号機を決定する為のデータを提供したいと考えています。


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 叡智の結集と人材育成


 ・・・2013年8月に設立されたIRIDは、廃炉技術の基盤強化を視野に、当面の課題である福島第一原発の廃炉作業に必要な技術の研究開発が目的とされています。


 




 IRIDは、技術研究組合法に基づいた組合組織で、国内の原子力に関わって来た研究開発法人、プラントメーカー、電力会社等が組合員と為り、30年、40年と言われる廃炉作業のなか、技術開発を進める組織です。各機関に所属する研究者等がIRIDの職務を兼務してます。
 そして、福島第一原発の廃炉作業の中で、IRIDが担うのは燃料デブリの処理に関する技術の研究開発です。従って。燃料デブリの調査から、その取り出し、収納、移送、保管の為の技術開発が私達のミッションになります。
 又、廃炉作業の推進には、海外の叡智の結集も必要です。世界的にみれば、スリーマイル島やチェルノブイリ原発の事故処理の経験を有する研究者も居ます。こうした研究者、関係機関との交流も進めて居ます。



 





 ・・・廃炉作業の継続の為に技術の継承、人材の育成も必要ではないでしょうか?


 廃炉作業は長期間に及ぶ作業ですので、次世代、更に次の世代まで作業の継続を担う人材を育成する活動も必要です。また、IRIDの研究成果も将来的に引き継がれ無ければ為りません。その一環として、大学、高等専門学校とワークショップを開催し、現場で進む作業や課題を紹介するなど、積極的に交流を行っています。
 また、年一回、シンポジウムを開催し、学生や一般の方にも参加を頂き、研究開発の現状も紹介しています。多くの方々の理解を深め、進めていくことが廃炉作業を継続するためにも大切だと思っています。


 ・・・廃炉のゴールをどのように考えておられますか?


 遠隔操作を必要とする研究現場 

 私達の考えるゴールの一つは工学的な安定状態です。現在、燃料デブリは原子炉建屋の中で冷却され、一定の安定状態にあります。しかし、このまま放置し、100年後も安全かと言えば、建屋などの構造物も老朽化し、安定状態を保つことには限界があります。
 従って、燃料デブリを再び危険な状態に為ら無い量まで取り出し、安全な状態にすることが必要です。燃料デブリが再臨界を起こすことの無い状況にすることが目標なのです。廃炉作業を終えたスリーマイル島原発も全ての燃料デブリを取り出したのでは無く、物理的に再臨界は起こりえ無い量まで減量させたと云う事です。こうした工学的な安定状態を一つのゴールとして目指しています。


 




 ・・・廃炉に関する研究は「後ろ向きの研究では無い」と言われています。


 注目する若手研究者も

 例えば、遠隔操作技術は現在、多くの分野で利用されていますが、本当に遠隔操作が必要とされ、利用されているのは、宇宙開発と廃炉作業ではないでしょうか。宇宙空間では、人は生存できないのと同じく、福島第一原発の格納容器内に人が入り、作業することはできません。
 従って、廃炉の現場こそロボット等の遠隔操作を必要とする研究開発のフィールドなのです。こうした視点で捉える若い研究者も現在、増えて居ます。


 奥住直明氏 1979年 東京芝浦電気(現・東芝)に入社 原子力事業本部で原子炉一次系システム機器の設計業務等に従事。同社で産業政策渉外部長等を歴任 2016年から現職



 




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       同じものを扱った他社の記事を参照します・・・



 





 THE SANKEI NEWS  2019.3.10 18:00 ライフ|科学 より引用します



 福島原発事故8年 ゴール見え無い廃炉の姿



 福島第1原発の現状

 東京電力福島第1原発で進む廃炉を巡っては、事故から8年が経つ現在も「廃炉の定義」が定まっていない。通常、廃炉は更地に戻すことを指し、地元自治体も完全撤去を望んでいる。只、作業は困難を極めるとみられ、東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明・最高責任者は「(福島第1は)普通の原発と違う」と広範な議論を求めている。ゴールが見え無いまま廃炉は進んで行く。

 東電は廃炉工程表で、当初から最終工程を「原子炉施設の解体等」と明記し、事故から30〜40年後の作業完了を目指している。しかし、想定する廃炉の最後の姿について、小野氏は「今の段階では考えの振れ幅が大きすぎて決められ無い。10人に言わせると、10人が違う答えを言う状況」とし「未定」を強調した。


 




 廃炉で最大の難関とされるのが、溶融核燃料(デブリ)の取り出しで、1〜3号機にはデブリが原子炉内外に計880トンあると推測される。更に2号機で2月に行われたデブリの接触調査からは、新たな機器開発の必要性が出て来るなど、東電が目指す全量取り出しの道のりは険しい。

 海外の事例でも、廃炉の姿や工程は異なる。1957年に火災事故を起こし、放射能汚染をもたらした英国のウィンズケール(現セラフィールド)原子力施設は、作業がし易い様放射能が半減する迄100年以上待ってから施設を解体する予定だ。
 1986年に炉心溶融で大量のデブリが発生した旧ソ連のチェルノブイリ原発では、デブリの取り出しを断念し、「石棺」と呼ばれるコンクリートの構造物で覆い長期保存する事に為った。


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 福島第1の場合、デブリに加えて、1〜3号機に残る使用済み燃料の取り出しや、汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水が敷地内で増え続けて居る事など、後回しに出来ない課題が山積している。だが、使用済み燃料取り出しは相次ぐトラブルで、処理水は処分方法の検討が長期化しており、作業が停滞気味だ。
 福島県など関係自治体は速やかに国の責任で更地にすることを望んでおり、県の担当者は「汚染されたものを全て残ら無い様にすることが廃炉の完了だ」と話す。しかし、原子力規制委員会の更田豊志(ふけた・とよし)委員長は現状について「廃炉の完了と云う視点では、勝負処はマダマダ先」と指摘する。最後の姿処か、道筋も霧の中だ。(福田涼太郎)



 






 【管理人のひとこと】



 素敵な「自転車と家庭水族館」https://fanblogs.jp/yorionet5000/ では、敢えて忘れ無い様にと、時折、福島第一原発の廃炉作業の状況をお伝えしている。この問題は、国家が関与した大きな過ちの結果、当然起こるであろう未必の事故だった。
 これは、水俣やその他の公害の様に、一企業の責任や地域に限定されたものでは無く、全国に置かれた原発が持つ国家的な「国害」と呼ぶべきもので、東電と関連各企業だけでは到底対処出来無い、時間と人類の英知を結集しても解決出来そうも無い人類共通の問題でもある。


 




 国家・日本人嫌、人類が犯した行為への当然の帰結だった。文明の利器と崇めた末の、人間の手には負え無い分野への挑戦だったが、沢山の人達の警告と翻意を退けて強行した報いでもある。これから数十年数百年と人類はこの後始末に翻弄され続けなければなら無い。
 何時終わる?最終着地点は? と早急に結果を求めるには次元が異なるのだから、一つ一つ現状を分析して対処する・・・その繰り返しが重なり要約目標も定まる。孫の、又孫の、その又孫の世紀を超えた戦いでもある。

 スリーマイルでもチェリノブイリでも、現状は変わら無いだろう。一つ一つ問題が発生し解決できたとしても、時間と共に又新たな問題も起こり、その繰り返しだ。溶解した燃料(デブリ)を取り出さずそのまま現地に密封する・・・国家からその地を隔離する様な事に為りそうな予感がする。
 緑の茂る国土の中に、ポッカリと死の世界が広がる情景・・・それが原発を推し進めた私達への報酬だ。果たして、原発のお陰で電気料金が下がり快適な生活が可能に為ったのか? その結果の報酬がこの風景を形作った訳だ。人間が原子力・放射能を完全にコントロールするのは、技術的に早過ぎたのか? それとも遣っては為ら無い事だったのかの結論は既に出ている。それは後者にだ。
 
 放射能の危険から逃れる技術を開発するのでは無く、放射能自体を人間に影響させ無い方法・・・影響を及ぼす様な装置を作らせ無い、医療やその他の最低限必要な放射能の使用に留める様な方法しかあるまい。一時、自然界には無数の放射能が存在し、人間はそれに対する抗体を持って居るとする原発の御用学者が居たが、彼は何処までが影響すると考えたのか? 何十年何百年との経緯も予想して居たのだろうか?
 その影響の研究も未だ確立せず、無論対症療法もだ。なのに先に進んで為ら無かったのだ。それだけは今の技術で判ったことだった。




 反原発運動を指導した高木仁三郎氏のビデオ NHKTV


  


 






 

2019年04月17日

 竹中平蔵の正体  小泉以来、日本経済を翻弄する黒い欲望!



 〔竹中平蔵特集6〕



 





 竹中平蔵の正体  小泉以来、日本経済を翻弄する黒い欲望!




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        アベノミクスのマイナス金利を説く竹中平蔵



 野中幸宏氏 より引用します



 『市場と権力 「改革」に憑(つ)かれた経済学者の肖像』


 (著:佐々木実)2016.04.04



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               著者 佐々木実氏



 経済学者と云うには生臭く軽い言動、政商と呼ぶにはダイナミズムが足り無い・・・この男は何者なのか・・・この本がジックリとその人・竹中平蔵の素顔を描き出して行きます。


 「トリクルダウン何て有り得無い。待ってるだけで好い訳が無い!」

 〈企業が収益を上げ、日本の経済が上向きに為ったら、必ず庶民にも恩恵が来ますよ〉の言葉を手のひら返しする・・竹中平蔵氏の平静心



       

 

 言動の軽さと云う事で言えば、今年の初めのテレビ番組で「トリクルダウン何て有り得無い。待ってるだけで好い訳が無い!」と発言してメディアで話題に為りました。トリクルダウン何て元々胡散臭いものですが、竹中氏はそれを主張して居た筈っだったのですが・・・
 調べてみると「2013年に出版された『ちょっと待って!竹中先生、アベノミクスは本当に間違ってませんね?』(ワニブックス)でも、竹中氏は〈企業が収益を上げ、日本の経済が上向きに為ったら、必ず庶民にも恩恵が来ますよ〉と言い切っている」(『日刊現代デジタル』2016年1月4日より)と云う記事が見付かりました。竹中氏自身は著書の中で明らかにトリクルダウンの効果を認め広めて居たのです。


 小泉純一郎元首相の〈構造改革〉と切っても切れ無い関係がある竹中氏ですが、この構造改革は、当時(2001年)から経済学者クルーグマン氏によって厳しく批判されて居ました。



 




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            ノーベル経済学者クルーグマン氏



 「構造改革は破滅に通ずる」とクルーグマン氏は警告


 ・・・構造改革による供給(サプライ)サイド改革である規制緩和や民営化は、ヤガテは需要サイドにも効果を及ぼす筈だ・・・云うのが竹中の理屈だった。
 それは、飽くまで長期的な展望で、しかも構造改革が実行されれば、企業のリストラに伴う失業者の増加が予想され、長期的に見ても逆の効果・・・詰まり、需要サイドにマイナス効果を与える事が十分考えられる。寧ろ大胆な改革を行う程後者のシナリオが実現する危険は高く為る。竹中の主張には経済学的論拠が薄弱だった。
 竹中が主張する構造改革を本当に実行するなら「構造改革か、サモ無くば破滅」と云う二者択一処か「構造改革による破滅」を導くだけだろう・・・と迄クルーグマンは警告して居た。(本書より)


 




 小泉の政治的判断を実際の市場で実行し、利権を発生させたのが竹中


 この本でも野口旭氏が指摘して居た様に、構造改革は、実際には政治的な戦略判断で進められたものでした。勿論、政治的な戦略判断をしたのは小泉純一郎元総理です。そして「官から民へ」「改革無くして成長無し」と云う小泉氏の政策を実行したのが竹中氏でした。
 この構造改革で肝心なのは「医療・介護・福祉・教育等、従来主として公的ないしは非営利の主体によって供給されて来た分野に競争原理を導入する」ことにあります。そこには様々な利権が発生して来ます。


 




 経済学者の肩書が欲しい


 何が竹中氏の様な人物を作り上げたのでしょう。彼は銀行員から出発して経済学者へ転身します。学者と言っても経済理論の追求では無く経済政策・国家政策に関わることに早くから関心を寄せて居ました。経済学者と云うのも、その為に必要な肩書きだったのです。(博士号を巡るヤリトリが詳説されて居ます)
 彼の大きな転機と為ったアメリカへの留学、そこで竹中氏が見たものは、多くの経済学者達が多額の報酬を受けて政策立案者として政府、政党或は企業の研究機関に参加して居る姿でした。それを目の当たりにして彼の関心は政策コンサルタントとして活動することに向けられたのです。
 帰国後、竹中氏は自ら政治家に接近します。政策コンサルタント業としては与党(自民党)、野党(旧・民主党、現・民進党)のどちらにもシンクタンクを設立させ同時に主催して居ました。「抜け目無い知的起業家」と云う竹中平蔵の始まりです。


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             「りそな」に税金2兆円を資金支援


 そして彼を重用した小泉純一郎元首相の下で、金融再編、郵政民営化に象徴される構造改革の旗振り役と為ったのです。竹中氏の銀行界への敵意とも思える様な金融再編案を巡るヤリトリはこの本のクライマックスのひとつです。
 そこで描かれた〈りそな銀行〉を巡る「自らの手は汚さず、監査法人を指嗾(しそう)して銀行を破綻させ、公的資金投入を実現する・・・その戦略」は企業小説を読んでいるかの様です。
 この〈りそな銀行を巡る経過〉で明らかに為ったのは、実は「株主からすれば、りそな破綻では無くりそな救済だった」のです。何故なら「何等ペナルティーを科されず、政府から二兆円もの資金支援」を受けることが出来たからです。そして誰よりもこの処理を大歓迎したのが海外投資家達でした。


 




 常にアメリカの影が?


 竹中氏の言動には常にアメリカの影が見て取れます。留学時代に培ったアメリカ人脈は政策コンサルタント業としても彼の重要な資産と為って居ました。その一方でそれは、アメリカの意向を竹中氏に伝えて居たものでもあった様です。竹中氏の施策提案にはそれが反映して居たとも思えます。(その一例が紹介されています)

 政策に関与するようになった竹中氏に政界からこのような批判が出されました。

 ・・・竹中氏は「族議員と官僚の歪んだ政策を正す為に、民間の有識者を政策決定の中に入れて居る」と云う。では公の領域で自らの利益を図ろうとする人間は歪んで居ないのか。官僚と族議員が歪んで居て、財界人は全部真っ当だと云う好い加減な理屈は成り立た無い。(本書より)
 正論だと思います。竹中氏の政策提案には利権・私益の匂いが感じられて為りません。正規雇用・非正規雇用の問題を語っても、竹中氏の言論には経済学者だけで無くパソナ会長としての顔も見え隠れします。佐々木さんが記して居る様に「竹中の話には、日本社会の改革を語りながら、パソナの市場開拓戦略にも為って居る」のです。


 




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 共同研究者の成果を収録しながら共同名で無く単著と出版した時から、詰まり学者としての出発点から竹中氏には黒い影が付き纏って居ます。彼の持つ強い上昇志向は何処から遣って来たのでしょうか。
 佐々木さんは彼の幼少期にその遠因を求めて居る様です。そのことを含め、この本は、何時の間にか改革派のリーダーと為り「改革」を売り物にし「市場化の伝道師」を続けて居る竹中氏の実像が詳細に描き出されている力作です。

 と同時に小泉政権時の金融緩和策の顛末も詳細に描き出されて居ます。この経過はこの本の大きな価値がある部分です。何故なら現在の安倍政権が実施して居る金融緩和政策は当時のものと瓜二つだからです。TPPも小泉時代の「市場化」政策の延長にあります。
 詰まりこの本は現在の日本の舵を取っている安倍政権、日本経済の行方を知る上でも極めて参考に為るノンフィクション作品だと思います。今こそ過去(歴史)に学ぶ為にも精読されるべきものだと思います。


 




 『市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像』書影


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         著:佐々木 実


 



 





 【管理人のひとこと】


 小泉改革で、日本に大混乱を巻き起こし一世を風靡した竹中は、既に終わった人間だと多くの人が思って居た筈です。しかし、シブトク現在も生き残り、今の安倍一強政府の中でも、更に実業界・学会の中でも大手を振って動き回って居る。
 実にアクティブで根性のある性格をしている。全く見上げたものです。彼にマツワル疑惑は、全てが安倍のモリ・カケ疑惑と同じ性格を持って居ると感じます。ハッキリとした経緯があるのに、その犯意を証明できない、嫌、マサかと思う様なゲスな遣り方をして居るので、普通の常識が通ら無い処ですか。

 正社員は不必要、解雇し易い様な労働環境にし無ければ日本の産業は滅びる・・・との政策を打ち上げ、早速、派遣社員を供給する人材派遣会社大手のパソナの重役に収まり会長と為る。どう考えても、常識ある人なら恥ずかしくて遣ってられません。それを平気な顔で・・・似た様な規制改革を次々と打ち出し、所属する企業をそのピースに嵌めて行く。
 余りにも破廉恥でミットモナイ行動なのですが、どうやら法律には触れ無い様で、次々と成功した手段を繰り返し同じ犯行を続ける訳です。どうやら、マスコミも彼への糾弾を避けているのは、彼が恰好なネタ元と為る貴重な存在なので、捨てるには勿体無いと感じている様です。

 管理人が尊敬する田原総一朗氏も、彼をマスコミに引っ張り出した張本人でもあり、裏では何かの繋がりもあり、竹中を批判したくても真正面からはし難い様です。モリ・カケを非難するなら竹中を糾弾出来ぬ道理はありません・・・マダマダ色々な実証例が在りそうですが、又次回へ・・・


 

 


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