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2019年04月29日

アベノミクスは「過去の失敗の集大成」だった!




 


 


  【ネットニュースより】



 アベノミクスは「過去の失敗の集大成」


 平成の終わりの〈既知感〉の正体



 ダイヤモンド・オンライン 4/29(月) 6:01配信 より引用してます



   4-30-1.jpg

     立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授 金子 勝氏 



 




 4月5日に発表された内閣府の「社会意識に関する世論調査」で、現在の生活に「満足して居る」と云う答えが7.4%「やや満足している」が57.3%で、合計64.7%の人々が現在の生活に「満足」していると答えた。
 特に1980年代後半の「平成バブル」を全く知ら無い18〜29歳71.6%と高く稀に見る高水準である。他方で、ネット調査(マクロミル「2019年 新成人に関する調査」)では、若い世代では日本の未来を「暗い」と思うが63%を占めた。未来に期待が持て無いとすれば「今が一番好い」と云う感性が社会を支配するのは自然な事かも知れない。「今だけ・金だけ・自分だけ」の気分が蔓延した平成の初めに戻ったかの様だ。


 




 平成の〈振り出し〉に 一巡して戻った日本経済


 作り出した数字でアベノミクス成功を演出する 中身の無い実体経済


 確かに株価はソコソコ高い・・・それは、日本銀行が470兆円を超える国債を買って金融緩和を続け、25兆円弱ETF(指数連動型上場株式投信)を買い、年金基金等にも株を買わせて居るからだ。日銀はREIT(不動産投資信託)も5000億円以上買い支えて居るので、不動産価格も大都市商業地を中心に上昇して居る。
 オマケに、この超低金利と金融円滑化法(中小企業等が返済負担の軽減を求めた際に、貸し付け条件の変更に務めることを義務付けた法律)があれば、利払いを殆どせずに借金を繋いで行けるので倒産件数は増え無い・・・形ばかりの体裁の好い数字を演出して居るに過ぎ無い。


 スッカリ世界に取り残された日本


 色々な数字は既にご存知だろうから省略するが、この20年〜30年でスッカリ外の景色が変わってしまった。日本がアベノミクス等で意味の無い議論を続けて居るその間に、世界では情報通信・エネルギー・バイオ医薬等技術の大転換が起きて居り、日本の産業衰退がドンドン進んで居たのだった。
 平成の始まった1980年代後半から30年以上経つと、バブル崩壊の痛みを忘れてしまったのか、再び「ゆでガエル」状況が生まれて居る。「平成」が終わると云うのに、マルデ振り出しに戻ってしまったかの様だ。


 




 不良債権の先送りに象徴・・・本質見ずに財政金融政策で糊塗  


 このデジャブにこそ、平成の「失われた30年」への無反省が象徴されて居る。何度でも同じ失敗を繰り返しそして沈んで来たのだ。

 現実を糊塗(ごまか)し、小出しに公的資金を投入しズルズルと処理する
 

 1990年代初めにバブルが崩壊し、宮沢喜一首相(当時)は1992年8月末の経団連の軽井沢セミナーで、公的資金を投入してでも不良債権を早期に処理する必要性があると発言した。丁度、米国でも整理信託公社(RTC)が出来て公的資金注入が始まって居た。
 しかし、経済界・官僚・政治家達の反対にあって公的資金注入はタブーと為った。銀行経営者も監督当局も、不良債権問題を誤魔化し続け地価の回復に期待し、それが難しいと為ると小出しに公的資金を注入して、ズルズルと処理する方式を執った。



 




 本来なら、不良債権の査定を厳格に実施し銀行は十分な貸倒引当金を積む。又、貸し付け先の企業も再生の為に事業再構築を行うべきだった。或は、銀行を国有化し不良債権を切り離し、残る部分を再民営化する等の根本的な処理策を執るべきだったのだ。
 実際、海外ではそうやって不良債権を処理した。一見、両極端に見え市場原理主義を執る米国も、高福祉高負担の北欧諸国も大胆な不良債権処理策を執った。米国はRTCを設け経営者を監獄に入れ、中小銀行の貯蓄銀行(S&L)や州法銀行から不良債権を買い取り経営統合させて救済した。北欧諸国は銀行を国有化し、不良債権を切り離して再民営化する方式を執った。
 そして、両国共情報通信技術を基盤としたイノベーション研究開発投資に金を注ぎ込んだ。それによって両国ともV字回復を果たしたが、日本はそう為ら無かった。

 監督官庁の責任も経営者責任も問われず、日銀は金融緩和を続け、巨額の財政赤字を出して景気対策を繰り返した。その後、経済政策は振り子の様に振れた。閉塞状況を打破すると称して、規制緩和や「小さな政府」を軸とする「構造改革」路線が執られたが当然の様に行き詰まる。すると、今度は景気対策としての「マクロ経済政策(拡張的な財政政策と金融緩和政策)」が執られた。
 政策と政権はこの両者の間で行ったり来たりした。それはまるで「供給サイド」に立つか「需要サイド」に立つかと云う主流経済学の対立軸をそのまま再現して居るかの様だった。問題の本質を直視せず、抜本的な改革をしないまま、財政金融政策で需要を傘上げし企業を支える政策が繰り返された。


 




 「無責任体制」を変えられず  1997年を境に経済は変わった


 平成後半の「長期停滞」は、膨大な財政赤字で何とか経済成長率を持たせて居るに過ぎ無い


 2011年の東日本大震災で福島第1原発事故が起きた時も、経営者も監督官庁も政治家も責任を執らず、原発と云う不良債権を抱えて東京電力や東芝が実質的にゾンビ企業化したまま生き残ることに為った。当面持たせれば好いと、只管惰性の政策をズルズルと続けて来た結果、世界的に起きているエネルギー転換や、情報通信、バイオ医薬等の先端産業の競争で取り残され貿易赤字が定着する様に為った。
 「ゆでガエル」状況から抜け出せ無いまま、遂に「我が亡き後に洪水よ来たれ」と言わんばかりのアベノミクスに行き着いてしまった。

 だが、平成の時代は1997年を境に多くの経済指標が、日本経済の構造変化と「限界」を示す様に為った。例えば名目GDPと国の借金(長期債務残高)の推移(図1)を見れば、国の借金はウナギ上りの様に増加して居るのに、1997年を頂点にして名目GDPは停滞したままである。 平成の「長期停滞」は膨大な財政赤字で要約経済成長率を持たせて居るだけなのである。同じ様に、1997年を頂点に、多少の山谷はあるものの、雇用や賃金は低下傾向を示している。


 




 統計改ざん事件・・・そんな禁じ手しか無かったから 

 統計改ざん事件によってその信頼性が揺らいで居るが、毎月勤労統計調査によれば、名目賃金(現金給与総額)は1997年の37.2万円から2015年の31.4万円へと約16%も減少している。
 実質賃金指数で見ても1997年を100とすると、2015年には88.7迄落ちている。世帯所得の中央値(その半分が相対的貧困率を決める貧困線と為る)も1995年の550万円をピークに1997年以降急速に減少し、2015年には427万円まで落ちている。主たる働き手である生産年齢人口(15〜64歳)も、1995年の8717万人をピークに減少し、2015年には7592万人と1100万人も減った。

 非正規雇用数1000万人(1995年)が(2016年)2000万人を突破

 その一方、低賃金で不安定な非正規雇用数は1995年には約1000万人だったが、1997年以降、急速に増加して2016年には倍の2000万人を超えた。


 




 「3本の矢」の下で進む劣化・・・産業の衰退や賃金の減少


 平成の終わりに今なお「衰退」が続いて居るのは、アベノミクスは過去の失敗した政策の集大成に過ぎ無いからだ。「3本の矢」の一つとされて来た「成長戦略」は、掛け声倒れで成果は皆無と言って好い。財政支出と「異次元の金融緩和」に偏重し、しかも財政金融政策は只規模を大きくして一斉に実施して居るだけ。それは、肺炎に罹って居るのに風邪薬が効か無いからと、風邪薬を一瓶飲んでしまえ!と言って居る様なもの。
 当然のことながら「マクロ政策依存症」の様な経済の衰退は止まら無い。以下の様な症状がドンドン進行して居る。


 




 1.産業の衰退が酷い 特に情報通信・バイオ医薬・エネルギー・先端部門で決定的な後れを取って居る。電気自動車(EV)転換で残った自動車も危ない。
 2.貿易収支が赤字化している 2016〜17年に僅かに黒字化したものの、米中貿易戦争の影響で再び赤字化し、事実上の日米FTA交渉次第では一層の赤字化が進むことが懸念される。
 3.継続的に実質賃金も家計消費も低下している 特に所得の継続的低下は教育の機会均等を奪い格差の固定化を招いて居る。
 4.少子高齢化と地域衰退が止まら無い 基盤産業である農業の衰退も著しい。空き地・空き家率が上昇を続け町や村の崩壊が進んで居る。
 5.マイナス金利で銀行経営が困難に陥っている 特に地銀・信金の経営悪化が酷くバブルが崩壊すれば、引き取り手の無い中小銀行が破綻すると云う戦前型の金融危機を招きかね無い。
 6.日銀の中央銀行としての機能がマヒして来た 異常な金融緩和政策は出口を失っているが、もしバブル崩壊や対外ショックが発生した場合、日銀が債務超過に陥り政策手段(政策金利誘導、量的金融緩和、預金準備率操作)を失ってしまう。

 これ等は、アベノミクスの「6つの大罪」である。


 





 自壊が始まったアベノミクス  金融システム不安再燃のリスク


 一体、こうした状況は何時まで持つのだろうか。多くの人々は未だ気付いていないかも知れないが、実は、アベノミクス自体の自壊が始まって居ると言って好い。中核を為す異次元金融緩和は既に破綻している。

 先ず第1に「2年で2%の物価上昇」と云うデフレ脱却目標は既に破綻して居る。当初は「2年」の短期間での達成するとして居たが、6年経っても達成で来ていない。3月の消費者物価上昇率は、総合で0.5%、コア指数(生鮮食品を除く)で0.8%、コアコア指数(生鮮食品とエネルギーを除く)で0.4%に過ぎ無い。
 この上昇分も、トランプ政権によるイラン制裁やサウジアラビアの減産等によるエネルギー価格の上昇や、円安による輸入食品の上昇が大きく、金融緩和の効果では無い。日銀は今や、物価目標の達成時期を「展望レポート」から消してしまった。只、延々と金融緩和政策を続けて居るだけなのだ。日銀は金融正常化の「出口」を失い、一方で金融市場も歪みは拡大するばかり。


 




 第2に、何より量的金融緩和自体が破綻しつつある。日銀はデフレ脱却の為に、表向きは年80兆円の国債を買うとしている。しかし、実際の日銀の国債購入額は減少の一途を辿って居る。
 日銀の国債積み増し額は、2017年度は49兆4232億円、2018年度は33兆188億円と落ち込んで来て居る。既に国債残高の42%を日銀が保有する一方で、金融機関の保有割合は15%まで落ち込んで居る。詰まり、銀行はホボ売れる国債は売ってしまい、日銀は「弾不足」に為って居る。
 最早金融機関には、過去の利回りの高い国債を売って、当座預金(精々0.1%の金利しかつか無い)に換える動機が働か無いからだ。国内運用先の無い金融機関は、未だ金利が僅かにプラス圏にある超長期債を買うが、それによって超長期債の価格が又上昇(詰まり金利が下がり過ぎて)、将来、銀行が評価損を被るリスクを生じ易くするので、日銀は買い入れを縮小せざるを得無いと云う「矛盾」に突き当たって居る。

 第3に、そもそもインフレターゲット論は論理としても破綻した。インフレターゲット論は、人々の物価上昇「期待」に働き掛けるものだが、日銀が金融緩和を行って居る事に7〜8割に及ぶ人々は関心が無い。従って、ソモソモ人々の「期待」を変えることが出来ると想定すること自体に無理がある。  
 日銀が実施している「生活意識に関するアンケート調査」によると「物価の安定目標」を実現する為に、「日本銀行が積極的な金融緩和を行って居る」ことを「見聞きしたことがあるが好く知ら無い」と云う回答が38.1%「見聞きした事が無い」と云う回答が35.1%を占める。
 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に至っては「見聞きしたことがあるが、好く知ら無い」が31.8%、「見聞きしたことが無い」が50.4%と半数を占めて居る。


 




 第4に、減税等で企業や富裕層が豊かに為れば、その富が滴が下に落ちる様に、中小企業や普通の人達にも回って来ると云う「トリクルダウン」は起きて居ない。企業の内部留保(法人事業統計の利益剰余金)が2012年の304兆円から2017年度の446兆円まで増えて居る一方で、継続的に労働分配率は下がり実質賃金や実質家計支出も下がり続けている。
 アベノミクスの下で、賃金が下がり続けて居る事が毎月勤労統計の改ざんにも影を落として居たと考えざるを得ない。
 2015年の3月31日、当時の首相秘書官が厚労省幹部を呼んで「賃金統計が下振れ」する問題を問い質したのは、丁度日銀が2年で物価目標を達成すると宣言して居た期限直前だった。トリクルダウンが起きて居らず、インフレターゲット論は破綻して居るとの批判が強まって居た時だった。.

 第5に、超金融緩和で銀行取り分け地銀・信金の経営を困難に陥れて居る事。前述した様に、超低金利政策で金利負担が少なく、借り換えを続ければ企業は倒産し無いで済むが、それは金融機関に負担を強いる事に為る。
 4月17日に発表された日銀の金融システムリポートは、人口減少と低成長に伴う資金需要の先細りで約6割の地方銀行が10年後の2028年度に最終赤字に為るとの試算を示した。同時に、不動産業向け貸し出しが1980年代後半のバブル期並みの過熱サインが出て来て居り、不動産業向け貸出比率が高い金融機関程「自己資本比率が低い傾向」もあり、市況の悪化局面では「貸し出しよりも大きく価値が毀損し得る」とした。

 日銀は、自ら進めて来た政策が危うい結果を招きかね無く為って居るのを認めた様なものだ。不動産市場の過熱が反転すると、不動産融資にノメリ込んで居る地銀・信金が危無く為る。大手は店舗の整理や人員整理で何とか為っても、引き取り手の無い破綻する地銀・信金が出て来るリスクがある。こうした事態に陥れば、地域経済の崩壊を促進するだろう。


 




 技術等の大転換期に 「需要の問題」で対応した間違い


 こうして金融システム不安の再燃するリスクが高まる一方で、財政赤字の拡大は止まらず、日銀の国債購入が無ければ金利は急騰しかね無い。とは言え国債は「弾不足」
 アベノミクスは自壊の様相を呈して居る。元はと言えば、平成の時代に起きた社会構造や産業、技術の大転換期の問題を、財政や金融政策の「需要」の問題にスリ替え続けて来た事が根本的に間違いなのである。


 立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授 金子 勝氏


                  以上



 






 【管理人のひとこと】


 安倍一強・・・と、恐れられた安倍晋三さんだが、好くもここまで永く続けたものだ。好い加減首相と云う職は、飽き無く余程魅力的なものなのだろうか。文句は言われても褒められることは身内の人間だけ、そんなもの屁のツッパリにも為ら無いし、妻の明恵は好き勝手に動いて金を配るし内心00に為ってるんだが・・・
 でもここまで日本をダメにして来たのだから、最後まで遣ったら好い。昔みたく「お腹が痛いから辞める」とは言わせ無い。トコトン手術してでも薬を飲ませてでも最後(0ぬまで)まで遣って貰う。先ず経済からは身を引いて貰おう。ここまで滅茶苦茶にしたらもう出番は無い。

 先ずは、安倍氏が単独で強行し採決した「安倍一括法案」の全ての見直しから始めよう。どうせ景気が回復するまでは時間が掛かるから、ジックリと遣ろう。悪いけど、証拠隠滅の恐れがあるので巣鴨に入って貰うね、独りで好く考えてネ。官僚や参考人も何なら巣鴨に容れても好いよ。適正な証人による的確な審理をしたいからね。
 急が無いからジックリ考えて答えて好いんだ。どうせ大した法律でも無いしね、只、御用商人の00さん達は実刑にしたから何度も審理したいんだ。旧日産会長のゴーン氏と同じ15億も保釈金出したけど彼は金持ちだね? でも保釈は棄却したよ、だって色んな人に口止めして証拠隠滅するんだもの。それはダメだよ。取り敢えず、資産を洗いざらい調べ全てを国家に没収することから始めてる。



 


世界経済を大転換させる「3つの構造変化」










 世界経済を大転換させる「3つの構造変化」



  東洋経済オンライン 4/29(月) 4:50配信 より引用します



 世界経済を大転換させる「3つの構造変化」




    4-29-7.jpg

    最年少の女性下院議員!アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(29歳)

 民主党の将来的な大統領候補の1人と目されて居るアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員。格差が拡大し、ミレニアル世代を中心にオカシオ=コルテス氏の様な政治家を支持する人々が増えて居る(写真:AFP=時事)




    4-29-6.jpg


 世界の経済情勢は益々不確実性が高まっている。大きな底流には何があるのか、又、中長期的に注目すべき問題は何なのか。財務省財務官や経済協力開発機構(OECD)事務次長を歴任し、現在は公益財団法人 国際金融情報センター理事長を務める玉木林太郎氏に尋ねた。


 ミレニアル世代の存在感が増している


 




 ・・・不確実性が高まりつつある現在の国際経済情勢をどのように見ていますか。


 実感するのは、今は経済システムの世界的な大転換期にあると云う事だ。転換を促す構造変化は主に3つある。

 第1に、デモグラフィ(人口動態)。特に、ミレニアル世代(2000年代に入って成人を迎えた世代)が世界的にプレゼンスを高めつつあることだ。彼等の経済社会システムに対する意識は、それまでの世代とは全く異なる。会社に対する意識や働くことの意義、自分達の将来についての考え方も、我々の若い頃とはかなり違う。
 アメリカで民主党系のバーニー・サンダース上院議員やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員らを単なる「左派」と片付ける向きもいる。しかし彼等を支持する若者は非常に多く、ミレニアル世代は今やアメリカの労働力人口の約35%を占めている。

 第2の構造変化はテクノロジーだ。デジタル化の進展が人々に大きな不安を与えている。それに対応できない人々や企業が落伍して行く。大戦争で中間層が没落する様な巨大な社会構造の変化を生み、企業の淘汰が激しく起こる可能性がある。

 そして第3が気候変動。日本で余り関心が高まら無いのは不思議だが、世界では非常に大きなテーマだ。気候変動によって台風や洪水等の自然災害が発生することもあるが、最大の問題は、化石燃料を使わ無い世界が直ぐ近くまで来て居るという事だ。日本では環境問題を正面から取り上げている政党は無いし、自民党にも立憲民主党にも政策の柱としての気候変動対策が無い。
 一般の企業にとってはビジネスモデルの上で死活問題と為るし、キチンと対策を準備して情報開示している企業とそうで無い企業との間では明らかなレピュテーション(評価)の差が生じる。そのレピュテーションは顧客の消費行動や投資家の投資行動に影響する。


 




 これ等3つの構造変化がシンクロナイズして経済社会のシステムを変えつつある。その中で変わることの出来ないグループは脱落して行く事に為るだろう。日本ではこうした構造変化が社会を揺さぶるペースが遅いが、アメリカの様に若者がもっと積極的に発言し、それを取り上げる政治に為れば社会は変わる。企業の対応スピードも従業員や顧客等のステークホルダーを通じて速まることに為る。


 ・・・アメリカでは来年、大統領選がありますが、前回に続いて民主党の候補指名を目指しているサンダース氏等革新派の勢力は一段と拡大するでしょうか。


 大統領選で勝てるかは判ら無いが、彼等が1つにまとまってシンボリックな大統領候補を生むことが出来るかどうかだろう。来年は難しいにしても、5年後9年後の選挙では現実のものに為るかも知れない。
 彼等は左派と言っても、会社と云うシステムを否定して居る訳では無く、会社の有り方を見直す必要があると言って居る(最低賃金の引き上げ等)。又、落ち零れた人々が医療を受けられ無いシステムで好いのかと国民皆保険制度「メディケア・フォー・オール」を主張する。
 詰まり社会思想の問題だ。テクノロジーも気候変動もそれ自体が新たな格差を生みつつある中、そうした社会思想は今後益々重要なテーマと為って来るだろう。


 




 「負け組」企業がハッキリしつつある


 ・・・再び史上最高値圏にあるアメリカの株式市場を見ても、企業間の格差が目立ちます。


 上場企業の観点から見ても「負け組」が明らかに為って居る。例えば、石油株や自動車産業株は平均以下のパフォーマンスだ。構造変化の動きは株価にも反映して居る。負け組が腕組みをして何もし無ければ、会社は潰れてしまう。


 ・・・デジタル化の中でGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)等巨大ネット企業が勝ち組と為って居ますが、個人情報保護やデジタル課税の流れ等先行き不安も強まって居ます。


 当然、GAFAにも不安はある。欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)の様な規制強化に対して、アメリカでは抵抗があるものの、将来的に個人情報に対してどの様な姿勢で臨むのかアメリカ自身も未だ答えが出て居ない。


 




 ・・・アメリカが警戒感をムキ出しにする様に「5G」や人工知能等中国のテクノロジーの急発展振りが脅威と為って居ます。


 今の構造変化の中では、新興国や途上国には「カエル跳び」の様に、一気に先進国を飛び越えて新しい経済成長モデルへ先回りする余地がある。中国はマサにそれを実践しようとしている。
 気候変動に関しても、日本ではPM2.5や大気・水質汚染の状況から中国を「環境後進国」のイメージで見る向きは多いが、中国は今、エネルギーを中心とした気候変動への対応と環境対応を一度に遣ろうとしている。「中国は未だ日本の昭和40年代と同じ」等と考え無い方が好い。


 英国とEUは元々「家庭内離婚」の様なもの


 ・・・大きな構造変化の中で日本に今必要なことは何でしょうか。



 ミレニアム世代の様な若い人達の間からもっとイノベーションが出て来る様に為ら無いといけ無い。人口減少が言われるが、人口が増えて居ても旧態依然としたビジネスモデルを続けて居てはダメだ。革新的なスタートアップ企業を温かく迎える様な社会にする必要があるだろう。
 一方で、ゾンビ企業には早く退場して貰う。退場すべき企業が金融緩和や公的信用保証等の財政支援で命を繋いで居ると、新しい雇用もイノベーションも生まれ無い。


 




 ・・・処で、欧州ではブレグジット(イギリスのEU離脱)が迷走して居ます。今後を含め、どう見ていますか。


 イギリスは1973年にEC(EUの前身の欧州共同体)に加盟したが、共通通貨ユーロにもシェンゲン協定(域内出入国審査の廃止)にも入らず、経済面での損得勘定のみで統合に参画して居る様な状況にあった。EUが経済統合から政治統合へと向かう中、政策決定の主権をEUに譲る覚悟は無く、欧州大陸とどう付き合って行くのかに付いてのコンセンサスも無いまま走って来た。そのツケが「はずみ」で実施された国民投票後の迷走に表れている。

 今後の行方は誰にも判ら無い。内政のドタバタ劇として心配しないで見て居る方が好い。大体、大陸側では左程大きな事件とは見ていない。イギリスとはこれ迄も「家庭内離婚」の様なものだったので、出て行くのは仕方が無いとの見方だ。移民や気候変動等他に重要な問題がある中、これ以上この問題に関与したく無いとのムードが強い。
 ホンダや日産自動車がブレグジットの迷走を主因として移転や生産計画撤回を決めたと云う見方は間違って居る。ディーゼル車やガソリン車のマーケットが消えつつある中、ブレグジットが有ろうと無かろうと、自動車会社は陳腐化したビジネスモデルの負のレガシーである海外工場の見直しを避けて通れ無い。


 




 ・・・今の日本の金融・財政政策や為替相場については? 


 金融政策は新たな選択肢が無く為って来ており、財政の対応力にも不安がある。又、中央銀行が国債や株式を大量保有する官製相場によって、グローバルな投資家からすれば、実態と乖離した扱い難いマーケットに為って居る。かと言って資金供給を辞めれば、金利や為替、株価への影響は大きい。将来的にどう「出口」へ向かうのか、抜き足差し足で出て行く様な極めて難しい作業と為るだろう。

 為替について言えば、日本では「円安は好い事だ」「円高だと不景気に為る」と云った考え方のバイアスがあることは間違い無い。実際、短期的にはそうかも知れ無い。だが、通貨安が長期的に経済成長のエネルギーに為ることは有り得無い。


 




 長期的には円安は成功と言え無い


 日本の場合、長い目で見てデフレ・低インフレの中で通貨が上昇圧力に晒されるのは当然だ。一方で、日本は経済の潜在成長率が低下して居るので、通貨が安く為る長期トレンドの中にも入って居る。高く為るトレンドと安く為るトレンドが同時にあって、中長期的にドチラに進むかは両方の可能性がある。
 円安は長期的に国民の購買力を低下させる方向でジワジワ効いて来る。外国人のインバウンド需要が増える反面、自分達は外国製品を買い難く為る。それが経済政策の結果として成功かと言えば疑問だ。


 ・・・日米通商交渉では農産品や自動車に加え「為替条項」の扱いが注目されています。


 為替条項で大騒ぎするのは可笑しい。そこに書いてあることは突拍子も無い事では無く、日本が行っている事そのものだ。日本はこれ迄一度たりとも自分に有利な為替操作等はしていない。円安に為ったのも金融緩和の結果であって、円安誘導が目的では無い。今後も今迄通やれば好いだけだ。
 それなのに、何故為替条項と云うだけでビクビクする様な報道に為るのか。それは寧ろ、メディアが作り出す危機に為りかねない。為替条項が入った瞬間に「日本敗北」と報道されれば、「円高に為るに違い無い」とマーケットが考える切っ掛けに為り得るだろう。


 中村 稔  東洋経済 記者


                     以上



 





 【管理人のひとこと】


 為替相場で日本のメディアは、押し並べて「円安」基調がベターの様に自ら受け止め、同じ様に報道するのだが、これが本当なのだろうか? 円が安いとは日本の価値が下がる感じがするのだが、そしてその他の影響を考えてみよう。


 円高・円安ってどう云う事?


 円高・円安って何?より引用します

 海外旅行に行ったり、行きたいと思ったことありますか?日本以外の国に行く為には、パスポートは勿論、ご飯を食べたりお土産を買ったりする為のお金が必要です。日本で使っているお札や硬貨をそのまま持って行って、海外でも使える訳ではありません。
 日本で使われているお金は「円」ですが、アメリカなら「USドル」フランスやイタリアなら「ユーロ」中国なら「元(げん)」等、国によって使われて居るお金は異なり、夫々の国で使われているお金のことを「通貨」と言います。


 色々な外貨 


 例えば、皆さんがアメリカに旅行に行って買い物をする為には、日本の円をアメリカのUSドルに交換する必要があります。では、1万円をUSドルに交換したら1万USドルが貰えるのかと云うとそうではありません。別の通貨に交換する時には「為替(かわせ)レート」と云う比率で交換されるのです。
 例えば、為替レートが1ドル=100円だったとします。これは「1ドルは100円と交換します」と云う意味ですから、皆さんの1万円は100ドル分のお札や硬貨に交換されます。


 




 この為替レートは常に一定では無く「1ドル=90円」や「1ドル=110円」の様に変化して居ます。皆さんの1万円は、1ドル=90円の時は約111ドル(1万円÷90円)1ドル=110円の時は約91ドル(1万円÷110円)に交換される事に為ります。
 1ドル=90円の時は1ドル=100円の時に比べて、同じ円でも多くのドルに交換されることから、円の価値が上がったと云う意味で「円高」と言います。 逆に1ドル=110円の時は1ドル=100円の時に比べて少ないドルにしか交換され無いので、円の価値が下がったと云う意味で「円安」と言います。

 この様に為替レートが変化する理由として、需要と供給の関係が挙げられます。円の人気が上がり他の通貨から円に交換する人が多く為る(需要が多い)と円高に為り、円の人気が落ちて円から他の通貨に交換する人が増える(供給が多い)と円安に為ると言われて居ます。


 円高・円安による影響は?


 では、円高や円安は私達の生活にとってどの様な影響があるでしょうか。例えば皆さんがアメリカへ旅行して買い物をするとしましょう。

 1ドル=100円の時1万円は100ドルに交換されますが、円高に為って1ドル=90円に為ると、1万円は約111ドルに交換され、1ドル=100円の時よりも約11ドル分多く買い物が出来たり値段の高いものを買ッたりすることが出来ます。
 逆に円安に為って1ドル=110円に為ると、1万円は約91ドルにしか交換され無いので100ドルの買い物が出来なく為ってしまいます。


 円高と円安 


 円高や円安の影響は、海外旅行の時だけではありません。例えば、海外で販売されて居るバッグを輸入している会社の場合、100ドルのバックを1ドル100円で輸入したとすると、日本円で1万円が必要です。1ドル90円の円高に為れば、9千円で輸入出来ることと為り安く仕入れる事が出来ます。逆に、円安に為れば、高い金額を支払わ無いと輸入出来なく為ります。
 輸入されて居るのは海外のバッグだけで無く、食料品や石油等日頃の生活に必要な色々なものが海外から輸入されて居るので、円高や円安は家計に大きな影響があるのです。

                   以上



 







 

 

最低賃金の引き上げが「世界の常識」な理由




 





 最低賃金の引き上げが「世界の常識」な理由


 「韓国の失敗、イギリスの成功」から学ぶこと




 デービッド・アトキンソン氏 2019/02/01 09:00  東洋経済オンラインより引用します


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           デービッド・アトキンソン氏


 日本の最低賃金引き上げは「世界標準に照らすとマダマダ不十分だ」と言います。オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名を馳せたデービッド・アトキンソン氏。
 退職後も日本経済の研究を続け『新・観光立国論』『新・生産性立国論』等、日本を救う数々の提言を行って来た彼が、遂に辿り着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行された。人口減少と高齢化と云う未曾有の危機を前に、日本人はどう戦えば好いのか。本連載では、アトキンソン氏の分析を紹介して行く。


 




 世界中の学者が「最低賃金」と「生産性」に注目

 
 過去の最低賃金の上昇は、生産性向上の結果だった

 今、アメリカ以外の先進国では、生産性を高める為の政策が最も重要視されて居ます。中でも、最低賃金の引き上げによる効果が注目されて居ます。そして、その理由が大変に興味深いのです。生産性と最低賃金との間には強い相関関係があります。これは周知の事実です。
 この相関が強く為って居るのは、これ迄、生産性が高く為れば所得水準が上がり最低賃金も引き上げられて来たからです。最低賃金の上昇は生産性向上の結果だった。

 この様に、最低賃金が事後的に決まると考えるのは、最低賃金を労働政策、強いて言えば貧困対策と捉える考え方です。しかし、今は全く逆の発想、詰まり最低賃金を「経済政策」と位置付ける傾向が強く為って居ます。「生産性と最低賃金に強い相関関係があるので有れば、最低賃金を引き上げたら生産性も向上させられるのではないか」と考え始めたからです。
 このアイデアを説明する前に、何故生産性向上の為の手段が注目されて居るのか、その背景を説明して置きましょう。


 




 人口減少に為れば、国が主導し生産性を高める為の政策を打つ必要がある

 コンサルティング会社のマッキンゼーの分析によると、過去50年間、世界の経済成長率は年平均3.6%だったそうです。経済成長率は人口増加要因と生産性向上要因に分けて見ることが出来ます。過去50年の3.6%と云う成長率は、人口増加要因と生産性向上要因の夫々によるものが1.8%ずつでした。
 しかし、これからの50年間は、人口増加要因による成長が0.3%まで下がります。生産性向上要因による成長率が今迄と同じ1.8%で推移すると仮定すると、世界経済の成長率は2.1%まで下がります。その結果、生産性向上要因への経済成長の依存度が、これ迄の50%から86%まで急上昇するのです。

 要するに、人口が増加すると何もし無くても経済は勝手に成長し政府の税収も伸びます。政府は、人口増加と云う数の力によって、高齢化により増加する社会保障の負担を捻出する事も可能です。この様な状況下であれば、政府は賃金等民間企業の経営に口を出す必要はありません。しかし、人口増加要因による経済成長率が低下すると、政府は生産性向上に注目し始めます。
 一方、日本の様に人口が減少すると、人口増加要因は経済成長率にマイナスに作用します。経済成長率が下がれば、当然、国は苦境に立たされることに為ります。社会保障費を初め、高齢化によって増え続ける各種の負担分を捻出する為には、どの国よりも生産性を向上させ無ければ為りません。
 国が何もし無くても自然と生産性が上がるのなら好いのですが、人口増加による経済成長と違い、生産性にはその様な都合の好い事は起きません。ですので、国が主導し、生産性を高める為の政策を打つ必要があります。最低賃金と生産性の相関関係の強さに注目が集まる様に為ったのは、生産性向上に有効な方法を探した結果なのです。


 




 「誰」が「何故」、生産性を高めるのか


 先程も書いた様に、人口増加要因と違い生産性は自然に上がるものではありません。誰かが意図的に何かをしないと、向上するものでは無いのです。生産性向上には設備投資や企業内の働き方の変化が必要ですので、意思決定と実行能力を要します。
 研究者達の研究で、生産性を上げる具体的な方法については解明されて居ますが、どう云う動機を持って、誰が生産性の向上を決め、実行するかに付いては未だ解明されて居ません。生産性向上は競争の結果だと云う研究者も居ますが、同じ国(経済)の中や同じ業種の中でも、企業間で生産性の激しいバラツキが存在することも確認されて居ますので、競争だけでは説明出来ません。

 唯一言えるのは、同じ国の同じ業種で企業間で、生産性の大きな違いが生じて居ると云う事は、明らかに経営者の質の善し悪しが生産性の高低を左右して居ると云う事です。生産性向上は経営者の質に懸かって居ることは、研究によって明らかにされて居ます。
 なので、国全体の生産性を高め経済を成長させる為には、生産性の低い企業の経営者をどう動かし、生産性の向上に当たらせるかが1つの重要なポイントとして浮かび上がるのです。


 

 


 生産性向上の手段として 最低賃金の引き上げが重要

 国が政策として、企業経営者に生産性を上げる様誘導する、その手段として最低賃金の引き上げが重要なポイントに為ります。何故なら最低賃金の変動は全企業がその影響を免れ無いからです。最低賃金が上がることによって人件費が増えると、経営者は対応せざるを得無く為ります。
 会社のビジネスモデルを変えて、生産性を高め無ければ為りません。インフレと同じ原理です。最低賃金で働く人を多く抱える生産性の低い企業程大きな影響を受けますので、経済の「底上げ政策」と言えます。
 この政策は幾つかの国で実施され、期待通り生産性は向上しました。最低賃金の変動がその国の経済にどの様な影響を与えるか、その事例として最も研究が進んでいるのがイギリスの例です。


 最低賃金引き上げの成功例・・・イギリス


 イギリスは1999年に最低賃金を導入しました。実は、1993年からの6年間はイギリスには最低賃金が存在して居ませんでした。詰まり、1999年の導入は「新規」導入と云うことに為るので、最低賃金導入による経済効果を研究する為には格好の、雑音の無いデータが手に入ると云う好条件が揃って居ました。その為、多くの研究者がイギリスの事例をコゾッて研究テーマに選んだので数多くの分析がされたのです。
 又、この事例の研究が進んだのには、当時のイギリスの政治事情と云うもう1つ別の理由がありました。イギリスの最低賃金の導入は、労働党のブレア政権の下で実現しました。元々ブレア首相は最低賃金の導入と引き上げを公約に掲げて選挙を戦い、政権を奪取したと云う経緯がありました。

 最低賃金導入に反対だった保守党は、ブレア政権を攻撃する材料として、最低賃金導入のアラを探すべく、多くの研究者に分析を依頼しました。その結果、イギリスの事例は徹底的に研究されることに為ったのです。反対派の期待も空しく、イギリスでは最低賃金の導入により予想以上に大きな成果が生まれました。
 イギリスでは1999年から2018年まで、毎年平均4.17%も最低賃金が引き上げられ続けました。この間、最低賃金は実に2.2倍に為ったにも関わらず、インフレには大きな悪影響も無く生産性も上昇して居ます。2018年6月の失業率は4.0%で1975年以降の最低水準です。1971年から2018年迄の平均である7.04%を大きく下回っています。

 最低賃金の引き上げに対して、日本で必ず沸き上がる反対意見を紹介し、それ等の間違いを指摘して置きたいと思います。


 




 最低賃金を引き上げても失業者が増えるとは限ら無い


 最も典型的かつ、沢山上がる反対意見は「最低賃金を引き上げると失業者が増える」と云うものです。この意見は新古典派経済学の説に基づいています。
 新古典派経済学では、市場経済の下、労働市場は価格形成が効率的に行われて居ると云う前提が置かれて居ます。その為、最低賃金を引き上げると失業者が増えると云う理屈が成立します。確かに昔の教科書には、その様に載って居ました。
 しかし、この仮説は既に幾つかの国での実験によって否定されて居ます。イギリスを含めて、各国のデータを分析すると、最低賃金を上手く引き上げれば失業率は下がる事例が多く上がる例は比較的少数派です。

 詰まり、実験によって新古典派経済学のこの仮説は完全に否定されたのです。では新古典派経済学の仮説は何が間違って居たのでしょうか。答えは、実際の労働市場における労働価格が、教科書の様に効率的には形成されて居無い事にあります。
 仕事や雇用に関する情報は完全ではありませんし、転職には障壁もあります。又労働者層によって労使間の交渉力が違うので、完全に効率的な価格形成はされ無いのです。

 日本での最低賃金引上げに反対の声を上げる人達の中には、2018年の韓国の失敗例を持ち出す人も居ます。この人達の意見を否定するのは簡単です。先程も説明した様に、最低賃金を引き上げると必ず失業者が増えると云う単純な事実は存在しません。最低賃金は引き上げ方次第で効果が変わるのです。


 




 計画的・段階的に最低賃金を上げる 

 最近好く言われる様に為ったのは、最低賃金を賢く引き上げ、経営者がパニックには為らず、ショックを与える程度に引き上げるのが効果的だと云う説です。
 アメリカの或る分析によると、12%以上の引き上げは危険な水準であるとされて居ます。韓国政府も事前にこの分析を読んで居れば、2018年の様に最低賃金を一気に16.4%も引き上げると云う、混乱を招く政策を実施することも無かったのでは無いでしょうか。
 韓国の失敗は、一気に引き上げ過ぎたと云う引き上げ方の問題でした。経営者がパニックに陥り、経済に悪影響が出たと解釈するべきです。

 2018年、安倍政権は最低賃金を3%引き上げましたのは正しい判断です。しかし、この時、経営者から悲鳴の様な抗議の声は上がりませんでした。と云う事は、この程度の最低賃金の引き上げは彼等にとってショックですら無かったと判断出来ます。この程度の引き上げ幅ではマダマダ不十分だったのでしょう。
 2019年は消費税の引き上げも予定されて居るので、最低賃金は少なくとも5%の引き上げが必要なのではないでしょうか。


 




 人件費削減は愚かな「自殺行為」だ


 本連載の第1回「『永遠の賃上げ』が最強の経済政策である理由」では、日本経済を成長させる為には、賃上げによって個人所得を増加させるしか無いと提言しました。永遠の賃上げを実現し、国民の所得を増加させる為には、最低賃金の継続的な引き上げが極めて重要です。
 今の日本の経営者の多くは、人件費をコストと捉えて、下げることばかり考えて居ます。人口が増加して居るのであれば、その考え方に強く反対はしませんが、人口が減少して居る時に人件費を下げるのはご法度です。人口が減る中で人件費が下がれば、個人消費総額が減り、廻り回って結局は経営者自身の首を絞めることにも為るのです。将に自殺行為です。

 経営者が遣ら無いのであれば、政府が無理やり賃金を上げさせれば好い

 私が常々強調して居る様に、日本経済は人口増加のパラダイムから、既に人口減少パラダイムへとシフトしました。そのパラダイムシフトに合わせて企業の経営も変える必要があるのは言うまでもありません。しかし、嘆かわしいことに日本の経営者の多くは未だ対応出来て居ません。
 しかし、経営者がこの事を理解せず、従業員の給料を増やす気に為ら無くても、政府は彼等を変えることが出来るのです。経営者が自主的に賃金を上げ無いのなら、最低賃金を引き上げて無理やり賃金を上げさせれば好いのです。

 継続的に、かつ、上手に最低賃金を上げて行けば、経営者は人の配置と資本金の使途、商品自体や商品の単価を工夫し無くては為ら無く為ります。人口減少で働き手が減るので、失業率が上がることを恐れる理由も必要もありません。
 計算の上では、人口減少による悪影響が最も大きい2040年まで、毎年約5%ずつ最低賃金を上げて行けば、経済は1%ずつ成長する事に為ります。


 




 「最低賃金を引き上げて、生産性を高めても、それは只のお金至上主義ではないか。生産性が上がれば、国民生活が豊かに為るのか。そうでは無い筈」と云う様なことも時々言われますが完全に間違っています。
 経済が成長しても、必ずしも国民の生活水準の向上には繋がりません。何故ならば、単純に人口が増加すれば経済は成長するからです。しかし、生産性は国民の生活水準そのものです。私が主張したいのは、人口が減少する日本ではナカナカ総生産額は伸び無い。しかし、生産性を高め個人所得を増やして行けば、個々人の生活水準が上がって、今後益々厳しく為る高齢化による負担増も乗り越えられると云う事です。


 社会保障を維持するには生産性向上しか無い

 「生産性を上げても税金で取られるだけですよ」と言う人も居ます。確かに生産性を上げても、全ての恩恵が労働者に還元される訳ではありません。税負担は増えます。しかし、社会保障の負担は生産性を上げても上げ無くても、何れにせよ重く為ります。
 生産性を上げて行かないと、労働者の可処分所得は減る一方です。最早生産性を上げるしか選択肢は無いのです。勿論、税負担の増加以上に生産性が向上する事が望ましいのは言うまでもありません。


                 以上



 





 【管理人のひとこと】



 前ページの反論と為る様なレポートですが、韓国の失敗は一時に急激に賃上げしたからだ、とデービッド・アトキンソン氏は言います。そして、努力の結果企業の生産性が上がり収益が向上しても、そのまま賃金が上がるとも限ら無いことも指摘されました。
 利益の配分は、個々の企業の裁量の中にありますから、政府は賃上げを要望するしか無く強制出来ません。しかし、最低賃金を幾ら以上との法律は可能なのです。国民の人間らしい生活を送れる様にするのが政府の第一義の義務です。

 安倍氏が今まで言って居た・・・企業の業績が上がれば必然的に働く人の環境も向上する・・・のが完全に間違って居た事が既に証明されて居ます。残念ですが。企業は企業としての生き残りを賭けて内部留保に励んで居るのですから。
 此処は、先ずは国民の所得を挙げ国民の購買力を高め企業の収益を向上させるより以外の手は無さそうです。黙って居ても企業は所得を上げる勇気は出て来ないのですから。それ程、先は読めないのです・・・


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最低賃金1500円は愚策中の愚策  韓国の二の舞に為るのは必至!




 





 【ネットニュースより】


 「れいわ」新選組の山本氏の提言への反論らしき記事が載って居ましたので、参照します・・・




 最低賃金1500円は愚策中の愚策 韓国の二の舞に為るのは必至!



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        作家・ジャーナリスト・出版プロデューサー  山田順氏



 山田順  作家・ジャーナリスト・出版プロデューサー  4/28(日) 19:38 より引用します
美容院

 山本太郎議員の訴えは痛い程判る。しかし----


 「れいわ新選組」ばかりか与野党皆同じ政策


 山本太郎氏が立ち上げた「れいわ新選組」の公約の評判が好い。中でも「最低賃金1500円」は、共産党も公約として居る。今後、7月の参議員選挙を控えて、立憲民主党等も同じ様な政策を出して来るだろう。何しろ最低賃金の引き上げは、与党の自民党でさえ推進して居る政策だ。自民党では毎年3%程度引き上げを掲げ、公約である「時給1000円」の実現を目指している。
 しかし、これは雇用を破壊し、日本経済をドン底に突き落とす愚策である。何故、そうなのか。本稿ではそれを説明してみたい。


 先ず、以下が「れいわ新選組」が公表している政策である。

 (1)消費税廃止
 (2)最低賃金1500円
 (3)奨学金徳政令
 (4)公務員増
 (5)一次産業戸別所得保障
 (6)トンデモ法一括見直し
 (7)辺野古基地建設中止
 (8)原発即時廃止・・・


 何れも、日本が抱えて居る問題に鋭く切り込んで居る。「消費税廃止」等は高く評価出来る。しかし「最低賃金1500円」「公務員増」「一次産業戸別所得保障」等は政府の肥大化を招くのが必至だから、国民の自由を奪う上、経済衰退を招くのは間違い無い。 特に「最低賃金1500円」は愚策中の愚策である。


 




 アメリカと日本では経済の事情が違う


 アメリカでは近年、最低賃金の引き上げが続いて居る。 ニューヨーク州では、昨年12月31日をもって最低賃金が時給15ドル(1ドル110円として1650円)に引き上げられた。これは従業員11名以上の企業の場合で、10名以下の場合は今年の12月31日から適用される。
 こうしたことを踏まえて、日本でも最低賃金の引き上げを提唱するのは心情的には理解出来る。しかし、日本とアメリカとは事情が全く違う。アメリカは曲がり為りにも経済成長をして居る。しかし、日本は幾らアベノミクスが上手く行って居ると政府が言い続けても、実際はマイナス成長かイーブンである。そんな中で、最低賃金を引き上げたら、どう為るかは火を見るよりも明らかだ。

 現在、日本の最低賃金は、厚生労働省の「中央最低賃金審議会」によってガイドラインが決められている。それによると、昨年の10月1日から、東京都では985円、大阪では936円、愛知では898円、福岡では814円、北海道では835円と為った。
 と為ると、1500円と云うのは、行き成り倍近くに上げると云う事に為る。政治家と云うのは常に国民のことを考えて居ると云う姿勢を執る。だから、最低賃金を引き上げることは、イコール最大限国民のことを考えて居る様に思える。しかし、これは全くの偽善だ。特に今の日本でそんな事をすれば、その結果として、大量の失業者、犯罪者、自殺者を生み出すだろう。


 




 大幅な引き上げで経済崩壊した韓国


 最低賃金を政治の力で引き上げて、大失敗した例がお隣の韓国である。 リベラルの先端を行く文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、経済低迷から脱却する為「所得主導成長」政策を提唱した。最低賃金の引き上げは、文大統領の政策の目玉で、2017年の就任以来、韓国の最低賃金は毎年10%以上と劇的に引き上げられた。文大統領は、大統領選挙の公約で「2020年まで時給1万ウォン達成」を掲げた。
 1万ウォンは、本稿執筆時のレートでは日本円で987円だから、達成されれば日本を上回る。(ちなみに、2017年の韓国の最低賃金は6470ウォンで全国一律)

 ではその結果、なにが起こったか?

 韓国の就業者の2割を占めるのが自営業者だが、彼等の生活が立ち行か無く為った。特に家族経営や1人経営の店等では、従業員を従来の様に雇え無く為り解雇が続出。人件費の高騰をメニュー等の値上げでカバーしようとした飲食店では、客足が減って倒産する処まで出た。
 又、ソウル市内のコンビの経営は悪化の一途を辿った。24時間営業を3交代のアルバイトで熟して来た或る店は、収益悪化で赤字に為り営業を続けられ無く為った。

 昨年12月、ソウルで開かれた中小企業中央会の小商工人連合会の記者懇談会で、チェ・スンジェ会長は「最低賃金引き上げが小商工人に及ぼした実態調査を行った」とし、その結果について「恐ろしくて発表出来ない」と話したと『朝鮮日報』は報道している。
 又、2月19日の『中央日報』(日本語版)に掲載されたコラム記事では「普段20万件以上生じて居た韓国国内の雇用」が昨年7月以降、1万件前後に極端に落ち込んだと報道されている。
 雇用ばかりでは無い。人件費の高騰は輸出品の高騰を招き、韓国の輸出は大きく落ち込んだ。最早、韓国経済は瀕死の状態に陥って居るのだ。詰まり、最低賃金の引き上げは大失敗だったのである。


 




 それなのに何故、今更日本が、韓国と同じ様なことをし無ければなら無いのだろうか?


 何故引き上げると失業者が増えるのか?


 最低賃金の引き上げがどの様に経済に影響を与えるかは、どんな経済学本にも書かれている。私等が改めて書く程のことでは無いが、ポイントは次の様な事だ。

 ・経済には「需要と供給の法則」と云う基本原則がある。或る商品やサービスの価格は、需要と供給が一致した点で決まると云うのがこの原則で、この一致する点を「均衡点」と呼んでいる。
 ・均衡点は、賃金にも当て嵌る。 働いて得る対価の賃金はモノの価格に当たる。従って、賃金が均衡点より高く為ると、供給(求職)が需要(求人)を上回る。詰まり、働いて稼ぎたいと云う人間が増える。すると、企業側は雇うのを控える様に為る。詰まり失業が増えるのだ。
 これ迄時給800円が均衡点だったとする。それが、政治の力で無理やり1500円に為れば、雇う側は何人かを解雇せざるを得無く為る。そうしないと利益が出無く為るからだ。こうして、失業者が今まで以上に生み出される。多くの場合、失業に追い遣られるのは、低賃金だからこそ仕事に有り付ける、特別な職業スキルを持た無い人々である。詰まり、最低賃金の引き上げは、最も助け無ければなら無い人々を苦しめる。


 




 経済情勢に合わせた「適正なレベル」がある


 但し、最低賃金の引き上げが悪影響ばかりかと云うとそうでは無い。1500円は無謀としても、或る程度の引き上げは経済が成長して居るなら遣った方が好い。 詰まり、引き上げには「適正なレベル」がある。韓国の場合は、それを無視して大幅に引き上げた為に大失敗してしまったのだ。  

 4月12日 『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)は、最低賃金の引き上げで雇用に悪影響が出ると云う記事を掲載した。この記事によると、連邦最低賃金の引き上げは比較的小幅であっても雇用に悪影響を及ぼすと、多くのエコノミストが警鐘して居ると云う。
 WSIが調査したエコノミストの内全体の約3分の1は、現行7.25ドルの連邦最低時給を7.25ドル超〜10ドル未満の範囲に引き上げれば、雇用喪失に繋がると回答して来たと云う。雇用喪失を招く最低時給水準としては、26%前後が10.01〜13.00ドル、12%が13.01〜15.00ドル、28%が15ドル超との見方を示したと云う。  

 詰まり、最低賃金は、現在の経済情勢に合わせて、その引き上げ幅を考え無ければなら無い。そうし無ければ、返って経済を悪化させるのだ。と為ると、マイナスか精々イーブンの日本が出来る訳が無い。


 




 次に不況が来た時最低賃金が足枷に為る


 最低賃金と犯罪率を調査した研究が、アメリカにある。 アメリカのウエブメディア『fee.org』の記事「Minimum Wage Hikes Increase Crime」(最低賃金の引き上げが犯罪を増加させる)によると、1998〜2016年に実施された10%の最低賃金引き上げの結果、新たに8万件近い窃盗犯罪が16〜24歳の若者によって行われたと云う。
 従って、もし最低賃金を時給15ドルまで引き上げれば、更に41万件の窃盗犯罪を生み出すことに為るだろうとこの記事は警告して居る。

 日本は、世界の先進国でも有数の自殺者数が多い国である。一時、その数が増加して危惧されたが、最近は横ばいに為った。しかし、最低賃金を上げれば自殺者数も上がるのは必然と思われる。
 与野党とも、自覚していないのは、今や日本は先進国の中でも最も貧しい国だと云う事だ。日本の1人あたりのGDPは世界中では27位と、他の先進国と比べても圧倒的に低い。最低賃金は、こうしたことに連動して居るのである。

 ここで、今は何とか為って居るとしても、何れ不況が遣って来ると考えてみよう。その時、何が起こるだろうか?

 不況に為れば、企業経営は只でさえ悪化する。すると、企業はそれ迄の賃金水準、雇用を維持出来なく為る。それなのに、そこには法律で決められた最低賃金があり、それを破る罰則が科せられる。こう為ると、倒産する企業も出て来るのは必然だ。
 実際、リーマンショックによる2008〜09年の景気後退局面では、アメリカの倒産件数は増大した。最低賃金が足枷に為ってしまったのである。


 




 企業活動を活発化させる以外豊かには為れ無い


 貧しい人々が、より高い賃金を望むのは当然である。貧困層程、一生懸命に働いて貧困から脱出しようと努力する。その努力に報いる為の最低賃金の保証は必要である。しかし、それを政府が市場原理を無視して行うと、返ってその人々を苦しめる。何故なら、政府は自ら富を作り出して居る訳では無く、他人のおカネで貧しい人々を救済しようとして居るだけだからだ。
 リベラルや社会主義者が致命的に陥る欠陥が此処にある。この世界では、富を作り出せるのは、民間経済、企業だけである。政府は単に、右のおカネを左に動かす機能しか持っていない。

 資本主義では、企業家が労働者を使って、消費者が望む商品やサービスを競い合って作り出す。この競争によって社会は豊かに為る。そう為れば、自ずと賃金も上がる様に為って居る。処が、最低賃金を国家が決めてしまうと、こうした競争は阻害されてしまう。
 詰まり、貧しい労働者を豊かにする為には、国家が市場に介入して最低賃金を引き上げては行けないのだ。処が、リベラルを提唱する人々、左派と呼ばれる人々は、自分達は何もしないのに、他人のおカネ(国民の税金)を使って貧しい人々を助けようとする。
 この偽善に騙されては行けない。人々と社会がより豊かに為るには、企業がより自由に活動出来る規制緩和や減税が必要であって、最低賃金の引き上げ等と云う単純かつ完全に間違って居る方法では実現し無い事を、この際再認識すべきだ。


 




美容院山田順  作家・ジャーナリスト・出版プロデューサー

 1952年横浜生まれ。1976年光文社入社。2002年『光文社 ペーパーバックス』を創刊し編集長。2010年退社。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙と電子の両方の出版プロデュースも手掛ける。
 専門分野はメディア、経済、ビジネス。主な著書は『出版大崩壊』『資産フライト』(ともに文春新書)『新聞・出版 絶望未来』(東洋経済新報社)『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)『日本が2度勝っていた大東亜・太平洋戦争』(ヒカルランド)『日本人はなぜ世界での存在感を失っているのか』(ソフトバンク新書)『地方創生の罠』(青春新書)。近著は『永久属国論』(さくら舎)。

 official site 山田順プライベートサイト より


               以上



 





 【管理人のひとこと】


 この様に真摯に反論されるのは、山本氏も心から感謝することでしょう。確かに、指摘の中身は間違って無いし、日本の状況がアメリカや韓国とも違うのも頷けます。韓国やアメリカの経済成長は、マイナスかチョボチョボの日本に比べてハッキリとプラスに動いて居ます。韓国の経済失速、特に内需の落ち込みが大きかったのも理解出来ます。
 そして、政府が指導して最低賃金を1500円にするとの遣り方も、そこ迄民間の経済に口を出さ無くとも好いのではないか・・・との思いも理解します。恐らく山本氏も心の中で同じでしょう。民間が率先して遣るの好いのであって、それが民主的なやり方の正当な資本主義なのだと。

 政府が出す最低賃金法とは、これ以下では生活出来無い所得(賃金)なのだから、これ以上払い為さい、それ以下だと罰しますよ・・・と言う、社会保障の一つに当たるのでしょう。ですから、企業は是か非でもそれ以上出せる体質に為る様努力し、出せ無い企業が自然消滅する。
 もう一つ、賃金を他の価格と同じく、需要と供給で決めるとする見方には余り同意出来ません。職業とは、単に高い安いと他と比較するだけのものでは無く、苦しい・楽しい・遣り甲斐を見付ける・使命・・・と色々な要素が在るのですから、セリの様に競売で決まるのではありません。

 無論、自由経済の中では、優秀な人材が必要だと高給で人材確保する企業も現れ、必然的に他の業種も賃金が上昇へと導く事もあるでしょうが、それは、社会に取っては歓迎すべきことで、飽くまでも最低賃金とは、困窮者を失くす国の政策の一つなのです。
 大いに給料を上げて購買力を高め、国内経済の起爆力とすべきです。最低賃金を更に下げることは、そのまま国内経済をマヒさせる事に繋がります。ですから、移民法等で彼等に低賃金雇用を許しては為ら無いのです。無論山本氏は、企業にも多くのセーフティーネットを設け、韓国の様に為らぬ様知恵を絞ると思いますが・・・

 筆者は「消費税廃止」等は高く評価出来る。しかし「最低賃金1500円」「公務員増」「一次産業戸別所得保障」等は政府の肥大化を招くのが必至だから、国民の自由を奪う上、経済衰退を招くのは間違い無い。 特に「最低賃金1500円」は愚策中の愚策である・・・と冒頭で述べられて居ます。それでは、高く評価される消費税や、他の項目に付いてのご意見も聞きたいものと、私は期待します。是非ここで取り上げたいと思います。



 







 

「不公平」を放置し格差を広げ続ける ニッポンの税制




 【ネットニュースより】



 





 「不公平」を放置し 格差を広げ続ける ニッポンの税制



  LIMO 4/28(日) 20:45配信より引用します



 税金には、貧富の差の問題を改善して行く為に重要な「所得再分配」の機能があります。しかし、日本の税金を巡る様々な矛盾に切り込んだ書籍『税金格差』の著者であるジャーナリストの梶原一義氏「今、この機能が大きく失われている」と警告します。この記事では梶原氏が、サラリーマンが是非知って置きたい「基礎教養」として、格差を広げ続けている「税の欠陥」について解説します。


 




 米国より酷い!? 日本の中間層の落ち込み


 2012年末に誕生した第2次安倍晋三政権は、円安・超金融緩和・株高等を骨子とする経済政策「アベノミクス」を展開し、特に大企業や富裕層はその恩恵をこうむって来た。上場企業は輸出産業を中心に概ね好業績が続き、財務省の法人企業統計によると、企業の内部留保(利益剰余金)は、12年度に304.5兆円だったのが16年度に406.2兆円4年間に102兆円増えている

 又日経平均株価は12年末に1万395円だったのが、19年4月12日は2万1870円と倍以上の水準で、高所得層は大いに潤って居る。
 野村総合研究所によると、純金融資産保有額が1億円以上の富裕層は11年に81万世帯あり、彼等が保有する純金融資産総額は188兆円だった。それが17年には同富裕層が56.4%増の126.7万世帯となり、彼等の同資産総額は59%増の299兆円と急増して居る。高所得層程所得に占める株式売買益の比率が大きいからこう云う現象が起きる。

 その一方で、中間層以下は賃金の減少等厳しい状況が続いて居る。2016年の米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利した背景には、製造業衰退等で没落した中間層の不満があったと言われるが、日本の中間層の衰退は米国より酷いと云う見方が強まっている。
 日本の実質賃金は21世紀に入って減り続けて居り、現在はピーク時(1996年)より約12%低い水準にある。主要先進国では賃金が増えて居るのに、日本だけ減少・弱含みが止まら無い。


 




 OECDで最悪レベルの1人親世帯貧困率


 みずほ総合研究所の解説リポート『みずほリサーチ』の2016年4月号には「衰退を続ける日本の中間層」と云うリポートがあり、こう述べられて居る。

 「日本の実質中位所得は、1992年をピークにホボ一貫して下がり続けて居る。米国の2015年に対して、日本ではホボ四半世紀に渉って実質所得が減少して居る格好だ。(中略)又日本の中間層衰退には、米国と異なるもう一つの特徴がある。それは、分厚い中間層全体で所得の減少が生じて居る点だ。日本では、好く『一億総中流』と言われるが、中流に属する世帯全体が低所得層に転落し兼ね無い上況と為って居る」

 富裕層の金融資産増加、中間層以下の衰退の中で、貧困率の高さが問題に為って居るのは周知の通りだ。厚生労働省によると、2015年の相対的貧困率は15.7%で、およそ6世帯に1世帯が貧困と云う事に為る。OECD(経済協力開発機構)による2000年代半ばの加盟30カ国の相対的貧困率調査によると、日本はメキシコ・トルコ・米国に次いで4番目に貧困率が高い。特に深刻なのは、1人親世帯の貧困率がOECDで最悪レベルにあることだ。


 戦後の格差拡大・定着の最大要因とは?


 こうした富裕層の活況や格差の問題を検討する上で欠かせ無いのは、その時々の経済情勢だけで無く、富裕層や中間層に課せられる「税の問題」と云う視点で見て行く事である。特に株式譲渡益(売却益)課税の動向を見ると格差問題が好く分かる。

 前述した様に、高所得層程所得に占める株式譲渡益の比率が大きい。例えば国税庁による2017年分の申告所得税標本調査によると「株式等の譲渡所得等」があった人は20万2319人で、その内合計所得が1億円超の人数は7088人で全体の3.5%に過ぎ無い。
 しかし、同所得等の総計3兆515億円の内、合計所得1億円超の人による額は2兆2245億円で全体の72.9%を占めて居る。詰まり合計所得1億円超の人は全体の3.5%に過ぎ無いが、同所得総計の4分の3を占めて居ると云う偏在振りだ。

 そして、この典型的な不労所得である株式譲渡益への課税率は、戦後一貫して低く抑えられて来た。1953年から1988年迄は原則非課税だった。「産業資金調達優先の為投資家を保護・育成する」「株式市場活性化の為」と云った名目で、36年もの長きに渉り非課税だった。これが戦後の格差拡大・定着の最大要因と言っても過言では無い。


 



 
 「所得が増えると税負担が減る」可笑しな状況


 「金持ち優遇税制だ」と云う批判が高まった為、1989年度から原則課税に為ったが低い税率で済み、2003年度から13年度迄の11年間は、申告分離課税として本来の税率20%の半分の10%で済む軽減税率が適用されて来た。
 現在は税率20%(復興特別所得税を除く)だが、これは所得税の最高税率45%の半分以下であり、所得金額330万円〜695万円の層に適用される税率だ。主要先進国の中でも低い税率である。


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 高所得層に偏在する株式譲渡益への税率が低い為、例えば図表1〈別画像〉で2014年分の申告納税者の所得税負担率を見ると、負担率が最も高いのは所得が5000万円〜1億円の層の28.7%で、それより上位の所得層では、所得が増える程負担率が低下すると云う奇妙な状況に為って居る。高所得層程全所得に占める株式譲渡益の比率が大きいからだ。
 また、バブル期前後から相次いで行われて来た所得税の税率構造の圧縮も、最高税率の引き下げが高所得層に税負担減のメリットをもたらした。所得税率は1983年まで19段階に区分され、最高税率は75%だった。しかし1984年以降、税率区分は徐々に減らされ、現在は7区分で最高税率(4000万円超)は45%だ。


 




 格差是正のカギ「所得再分配機能」が失われている


 税は国の社会・経済を支えるインフラ(基盤制度)として、貧富の差(格差)を是正する為の「所得再分配機能」が本来最も重要だ。しかし、高所得層に有利な株式譲渡益課税や最高税率引き下げ等により、所得再分配機能はホボ失われている。
 それを示して居るのが厚生労働省による所得再分配調査である。所得格差の程度を「ジニ係数」で示したものだ。ジニ係数は、所得分配等の均等度を示す代表的な指標として0〜1の範囲で示され、0に近い程所得格差が小さく、1に近い程大きい。


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 図表2〈別画像〉の様に、当初所得の格差は大きく為って居るが、社会保障(年金・医療・介護・生活保護など)による所得再分配が機能して居る為、再分配所得の格差の拡大は抑えられて居る。この社会保障による改善度が高まって居るのと対象的に、税による改善度は低水準のままだ。高所得層の税負担軽減により、再分配機能が低下して居るからである。

 同調査では、税については所得税と住民税、固定資産税等を対象としている。しかし「持てる者」に益々有利に為って居る相続税や贈与税も対象に含めると、税による改善度はもっと低く為る筈だ。
 相続税は、税額計算における基礎控除が15年度に縮小され増税に為ったが、同控除自体は依然として高水準だ。税負担を大幅に軽減する小規模宅地等の課税の特例の拡充も目覚ましい。贈与税では、教育資金や結婚・子育て資金等の贈与の非課税制度の創設・拡充が進んで居る。更に15年から、父母・祖父母等直系尊属からの贈与は特例贈与財産として、一般の贈与財産より低い税率が適用される様に為って居る。


 




 税に無関心な国民が招いた歪み


 日本には不公平税制が多いが、それは政府だけで無く、税に無関心な一般国民にも責任がある。全就業者の9割近くを占めるサラリーマン等給与所得者には源泉徴収制度や年末調整制度が適用され、所得税の納税業務を雇用主が代行して呉れる。その為給与所得者は自ずと税に無関心・無知に為り勝ちだ。
 また実際の勤務経費より遥かに多い給与所得控除が適用されて大きな減税メリットを享受して居るから痛税感が和らげられ、税への無関心・無知が助長されると云う面も大きい。

 こうした制度は、給与所得者達が税に余り関心を持た無い様にと国が定めたものだ。だから多くの不公平税制やそれによる格差の発生は、残念ながら税に無関心・無知な国民として自業自得とも言える。ともあれ、今日の格差の問題は「税の欠陥」と云う視点から見ると好く理解出来ることを強調して置きたい。



  梶原一義(かじはら・かずよし) ジャーナリスト。1953年生まれ、北九州市若松区出身。早稲田大学商学部を卒業後、ダイヤモンド社に入社。「週刊ダイヤモンド」記者としてマクロ経済や中小企業、総合商社、化学・医薬品業界などを担当。各種経営情報誌や単行本などの編集を経て、現在はフリーとして活動。


                 以上



 






 【管理人のひとこと】


 所得再配分機能が税制の基本・・・そうなのです、その積りだったのです。しかし何時か国の行政・地方の行政を行う為に必要な経費を獲得する方法へとシフトチェンジしたのです。メーンは後の方であり、再配分機能は全体の数%へと下がってしまった。
 ですから、今の税制の基本は必要経費を獲得する為へと為り、その為に色々な対象物を探して来た訳で、消費税が一番の悪法と言われています。それは、この税金は、所得再配分機能ナンかを鼻から無視する、低所得者をピンポイントに対象とする税制だからです。

 その他、日本の全ての税金について再度分析し調査する必要もあります。ヨーロッパ等は、税金が高く物価も高い・・・その代わり社会保障が行き届き子育てや教育費に医療費も安い・・・と一般に言われていますが、日本と比較して調査する必要もあります。
 彼等が法外な税金に苦しめられ不満一杯なのか、それとも納得して居るのか。それは何故なのか・・・を対比して比較することで、日本の税金の在り方を考えることも必要です。



 









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