2017年11月02日

拓馬篇前記−実澄9

 雑貨屋での利用料金と商品代はレイコの母が支払った。実澄は自分が代金を負担するつもりだったが、喫茶店でのレイコの飲食費を肩代わりしたことを指摘され、その帳消し案として押し通された。「本当なら食事代も払わなきゃいけない」ともレイコの母は言う。それは実澄がレシートをわざわざ他人に見せるみみっちさを嫌ったために実現しなかった。
 レイコの母による一連の交渉は、金銭のやり取りだけだった。しかしその本質はレイコを救った人たちへの感謝がこもっている。それが伝わったからこそ、実澄は金額の釣り合いがとれないことをあえて言わなかった。
 帰り支度をする段になって、レイコは母が持参したピンクのジャンパーを着た。白い長靴を履いた足で立ち、実澄と青年を見上げる。
「おせわになりました」
 ぺこりと頭を下げた。誰に言われるでもなく、自分の意思で謝辞を述べる様子に実澄は感心した。親の教育がしっかりしている証拠だ。実澄は前途ある親子に敬意を表する。
「どういたしまして。レイコちゃん、お母さんや弟くんを大切にしてあげてね」
「うん」
「いいお返事。じゃあこれは、わたしのお願いをきいてもらうお礼ね」
 実澄は手提げ鞄にあるピンク色のニット帽子を出した。レイコに被せた時につけた折り目がそのままになっている。レイコは帽子を触れようとしたが、途中で止める。
「いいの? ミスミ、さむくならない?」
「いいのよ、今日は雪よけのつもりで持ってきたものだから」
 日の落ちた外は雪がやんでいた。レイコはちらっと母親の顔を見る。レイコの母もどうしたものかと迷う素振りでいた。
「でも、いっぱいよくしてくれたのに」
「気にしないで。これは娘にあげたかった帽子でね、娘が『ピンクは自分に合わない』と言って、被ってくれなかったの。よかったらもらって」
 実澄がほほえむとレイコも「ありがとう!」と言いながら笑顔を返した。レイコは帽子をすぽっと被る。その色合いは上着とマッチしていて、違和感がなかった。
 レイコの母が包装されたマグカップを持ちつつ、慇懃な謝辞を述べた。ひとしきり別れのあいさつを交わす。そして母娘は手をつないだ。少女がもう片方の手を大きく振り、母とともに店を出た。その光景は期待していた最良の結果であるはずなのに、実澄は半身を失ったかのような虚しさを感じた。
(きっと、もう会えないのね……)
 レイコはこの近辺の子ではないと言っていた。ふたたび知り合いの家へ来訪することはあっても、実澄と接する機会はないだろう。
(さびしくなんかないじゃない、家に帰ったら娘がいるんだから)
 自分は自分の子の面倒を看ればよい。よその家もそうしているから家庭が成り立つ。そう考え、自身に生まれた身分不相応の保護欲をかき消した。
 青年が「私たちも帰ろう」と実澄に声をかけた。実澄はこの場に残るもう一人の目下の者へ意識を向ける。
「銀くんはどこに住んでるの?」
「……隣りの県に、厄介になる家がある」
「じゃあ電車に乗って帰るの?」
「そう、だな」
「駅まで送りましょうか?」
「それにはおよばない」
 青年は出入口の自動ドアをくぐった。実澄も外に出る。青年の進行方向は最寄り駅へのルートとは逆行しようとしていた。
「そっちは遠回りよ」
 青年が足を止める。くるりと方向転換し、実澄の納得するルートへ軌道修正した。実澄は早歩きで青年に歩み寄る。
「昼間と感覚がちがってくるでしょ。やっぱり心配だから一緒に行かせて」
 青年はなにも答えなかった。ただ実澄の道案内を承諾したのか、その歩調は実澄と同じになる。彼は一言「世話焼きだな」とつぶやいた。実澄は照れ隠しのようでもあるセリフを受け、笑みがもれる。
「おせっかいだってよく言われるわ。だけど銀くんも他人のことを言えないのよ? 暗くなるまでわたしたちに付き添ってくれたんだもの」
「……ほかに、することもなかった」
「散歩でもしてたの?」
「休暇をもらったからまだ見ていない土地を見に来た」
「へえ、観光目的だったのね。楽しめた?」
 遊び盛りの若い男性が歓喜する出来事は皆無。実澄にはその自覚はあったが、一応確認した。すると青年は意外にもうなずく。
「いろいろと勉強になった。やはり己とはちがう種類の人と接することは、学ぶことが多い」
「あら、そんなに充実してた? イヤな思いをさせてしまったかとヒヤヒヤしたんだけれど」
 本日は二度、不審人物の嫌疑をかけられた。おそらく実澄一人ではこうも怪しまれまい。青年もまた「慣れている」とぶっきらぼうに答えた。実澄は罪のない青年を憐れむ。
「ガマンしてちゃ損よ。工夫次第で、いい人に見えるはずだから」
「このナリでか?」
「ええ! 服なら簡単に変えられるでしょう? その黒色づくしは威圧感が増しちゃって、よくないわ。もっとこう、軽い感じの色で……たとえば子どもが好きになりやすい黄色をワンポイントに入れるとか──」
 実澄が路上でファッション講座を開く。実澄はさらに発揮する老婆心をうっとうしがられるのではないかと懸念したが、意外にも青年は熱心に耳を傾けた。

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2017年11月05日

拓馬篇前記−実澄10

 実澄は青年の道案内兼、服装の助言を続けた。はじめは他人に怖がられない色選びを主題にした。徐々に普通のコーディネート話へ変容する。実澄は青年の髪がグレーなことから、色相に迷った時に灰色で固めれば一安心だと勧めた。青年は「むかし、言われたことがある」と述べる。
「風土がちがえば色彩感覚も変わると思ったが……」
「人間の本能的な部分はいっしょなんじゃないかしら。赤は闘争本能を刺激する、とか」
 実澄は青年の口ぶりにより、彼が異国の者なのだと確信した。だが自身の本名さえ明かさぬ秘密主義者だ。彼に「どこの出身?」と聞いてはいけないと思い、その話題を避ける。
「いまはどうして黒で決めるようになったの?」
「私が世話になる人たちのおすすめの中で、もっとも無難だった」
「んー、モノトーンルックは無難なんだけれどね。銀くんはきれいな髪を持ってるから、白と黒よりは灰色がよく似合いそう」
「白は合わないか?」
「そうねえ……小麦色の肌を目立たせたいなら、いいと思う」
 これには青年が「やめておこう」と消極的だ。
「地味でいい。あまり人の印象に残らないくらいの──」
「その体格では難しそうね」
 街灯が照らす夜道においても青年の姿は目立つ。すれ違う人々は実澄が一人で出歩く時以上に距離をとって歩いていた。
「それはそうだ。もうすこし低ければよかったな」
「そう? 背の高い人にも悩みはあるのねえ。うちの夫はぜんぜんそんなこと言わないけれど、あれくらいがちょうどいいのかも」
「何センチだ?」
「一八五センチ。銀くんとは二十センチくらいちがう?」
「高く見積もってくれたな。あいにくだが私は二メートルを超していない」
 実澄は目測をあやまる心当たりが思い浮かんだ。彼の帽子、靴底の高さ、実澄との体格差による印象の増加。とりわけ自身が小柄なせいだと考えた。「チビだから余計に大きく見えた」と言おうとしたところ、青年が「ミスミ」と改まる。
「話していたことと関係ない質問をしてもいいだろうか?」
「え? ええ、どうぞ」
 実澄は内心焦った。彼の問いにちゃんと答えられる自信がない。自身がおよそ一般的な考えの持ち主ではないと自認していた。
「親は、子がどのように動けばよろこぶ?」
「え……」
「『幼いうちは親の指示を聞け』、『思春期をすぎてからは自分で考えて動け』というのがミスミの主張だと思ったが、それで合っているか?」
「ええ、そうね……」
「娘がミスミの良しとすることと真逆の行動をしても、ミスミは歓迎するか?」
 イエスと答えねばならない問いだ。実澄が他者に説いた親子論にもとづけば。だが完全肯定することに欺瞞を感じる。
「……最初は嫌がると思う。えらそうに言ってても、これが本音」
「なら、やはり子は親に従うほうがいいか」
「ううん。それも……ちがう」
 青年の提示する仮定は両極端だ。それは実澄の本意ではない。
「ほどほどがいいのよ。だれにだってゆずれない考えはあるでしょう? でも百パーセントゆずらなかったらケンカが起きちゃう。反対にゆずってばかりいたら、不幸な一生になってしまいそう」
「だから、話し合えと?」
「そう。みんながそこそこに満足できるところを探すの。それは家族にかぎったことじゃないけどね」
「血縁の無い他人もか?」
「そうよ。たとえ顔も見たことのない、ちがう土地や国の人だって幸せになれたほうがいいでしょ?」
 そうは思わない人間もいると実澄はわかっていながら、この青年なら同意すると期待した。青年は答えない。実澄はあてが外れたかと不安になる。
「銀くんは、わたしの考えがおかしいと思った?」
「変だとは言わない。だが同じ気持ちにはなれない」
「そう、なの? 意外ね……」
「私は、貴女が思うような良い人間じゃない」
 静かだが気迫のこもった声だった。実澄はその言葉をかるがるしく否定してはいけないのだと察する。たった半日、共にいただけの他人になにがわかるというのか。そんな言葉が裏にひそんでいるかのようだ。
 実澄はどうとも言えなかった。同じ会話を継続させるのも、テーマを変えるのも気が引けた。気まずい空気ができる。しかし目的の駅が目につくと会話のネタをつかむ。
「あ、あそこよ。銀くんはどっち方面に行くの?」
 家路の方角を聞いたが返事はない。実澄は青年の姿を捜す。街灯や家屋から漏れる電灯が照らす町中には巨大な図体がどこにもない。
「あれ? どこに──」
 来た道をさかのぼり、周囲を見渡す。やはり特徴的な高身長の人物はいない。だがべつの人影が目に留まった。わが子によく似た背格好の者が走ってくる。既製品の緑色のニット帽子を被った少女だ。夫の目鼻立ちをよく受け継いでいる。
「お母さん? どこに行くの」
 娘が息を切らしながらきた。実澄は青年が吐いた冷たい言葉を思考の外に追いやる。
「よそから来た人に道案内をしてたの。でもいなくなっちゃって……」
「その人、『案内して』って言った?」
「いいえ、わたしがおせっかいしたの。本人は『必要ない』と断ってたけれど」
「じゃあもう帰ったんじゃない? お母さん、しつこいとこあるから逃げたのかな」
 普段の実澄なら「ずいぶん言ってくれるじゃない」と娘の予想に言い返すのだが、どうもその指摘がハズレでない気がする。
「そうかもね……」
 後味の悪い別れだ。礼も挨拶も物足りない。こんな中途半端なやり取りを最後に、あの青年と永遠に別離してしまう。そう思うと今日一番のしくじりだったと反省した。
 娘は買い物袋を掲げて「洗剤買ったよ」と報告する。朝方、広告で知った特売品の衣類洗剤だろう。それが彼女が外出していた理由だ。
「わたしはもう帰るつもりだけど、お母さんは?」
「そうね、帰ってご飯の支度をしなきゃ」
「ついでに案内してた人の話を聞かせてくれる? 悪い人じゃなかったんでしょ」
 実澄は青年の行方を不明のままにし、娘とともに帰路をたどることにした。

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2017年11月06日

拓馬篇前記−実澄11

 実澄は青年に出会った時のことを娘に話した。ベランダから転落する少女を助けた、たくましい体つきの若者だったと。弱者の窮地を救ったヒーローだが、本人はその巨躯や怪力を良く思っていないことなども教えた。ヒーローものが好きな娘は「カッコいいね」と称賛する。
「なんだかヘラクレスみたい」
「ギリシャ神話の?」
「うん、赤ん坊のヘラクレスが蛇を絞め殺した話があるでしょ? あんなふうに、生まれつき英雄になる力を持った人かもね」
 青年が否定的だった能力を最大限にプラスに言い表している。実澄はそのポジティブさに感化される。
「今度会ったらそう言ってあげましょ」
「きっと悪い気はしないと思うよ。ヒーローは人気者だもん」
「ただ気負いしちゃわないかちょっと心配。英雄はたくさんの悪者と戦うんだもの、大変よね」
「うん、ヘラクレスの選んだ道はそうだよ」
 娘は児童書で学んだ英雄譚を語る。半神の勇者はみずからの意思で、困難ばかりだが後世に名声を残せる生き方を選択した。その時に彼が捨てさった生き方は、楽だがつまらない悪の道。その二種類の選択肢はそれぞれ女性の姿に具現化し、ヘラクレスの前に現れたという。
(銀くんは、簡単に割り切れる選択ができなさそうね……)
 青年が悩む行動とは、どれが正義だと断言できはしないだろう。あの心優しい青年が従いきれぬ指示を出す親がいる。その親のやり方はなにかが歪んでいるにちがいない。だが親の思いにそむけば不孝、あるいは不義不忠という別種の罪悪感を背負いこむことになる。
「でもヘラクレスもだらしなくてさー。勇者になる道を進むと決めたはいいけど、女の人とイチャイチャして子どもを三人こさえて。義母のヘラのせいで家族を死なせたのをきっかけに、やっとこ本格的な怪物退治をしていくんだよ。桃太郎だったら『鬼退治する』と宣言したあと、キビ団子が腐らないうちに仲間をゲットして、鬼が島に行ってるのにね」
 娘は西洋の勇者が本懐を遂げずに平穏にすごした期間を「鬼が島に何往復できるかわからないね」とからかった。実澄はその例えを不謹慎だと感じる。まだ名声を得ていない人物にも家庭を持つ自由はあるし、その幸福な家庭を失った反動によって唯一無比の勇者になれもしたのだと思ったからだ。このように考えた結果、実澄は娘とは別の解釈をする。
「……めぐまれた能力を持つ人だって、スムーズに事が運ぶわけじゃないんだわ」
 家族を失う大事件を乗り越え、神話の勇者は永遠の栄誉を獲得した。それほどの衝撃が銀髪の青年の身にも起きれば、彼は誰にも恥じることのない生き方へ転身できるのだろうか。
(だけど、それはとても辛いこと……)
 不運の英雄のように絶望の底から這い上がれたしても、そこから今までの労苦に見合う幸福を得られる保証はどこにもない。幸福が訪れなければ、ただ苦労を重ね続けた不幸な人になってしまう。その生き様は容易に他者へ望めるものではなかった。
「ところでお母さん、その新聞紙はなに?」
「え? これ、マグカップなの」
 実澄は胸に抱く新聞紙の包みを握った。包みごしに硬い陶器の感触がある。これがマグカップ作りの思い出だ。
「絵を描けるやつを、やってきたの?」
「そう。三人の合作で、三人分ね」
「へー、ちょうどよかったね。気になってたことがやれて」
 娘は母の欲求が満たされたことをよしとする。実澄はその意見を是としつつも、自分以外の者への利点を見いだす。
(ときどきこれを見て、思い出してくれるかしら)
 青年は今日の出来事を「勉強になった」と言っていた。そう悪くはない記憶になるだろう。この過去が、青年の苦しみをやわらげる糧となってほしい。そのように願った。
 長々と語らっていると自宅が見えてきた。娘が急に「今日のこと、オヤジにも話すの?」と尋ねた。実澄はその意味がよくわからない。
「言うけど、どうして?」
「いやさ、妻が若い男を連れまわしてたなんて、あらぬ誤解を受けそうじゃない?」
「バッカなこと気にするのね。小学生くらいの女の子付きよ?」
「まあそうなんだけど。話す時は女の子を優先的に出そうね。男の人のことだけしゃべったらオヤジはビックリするかもよ」
「それは『懐中時計の人』の話をした時のことを言ってるの?」
 娘は数日前、道端で見知らぬ背の高い男性と接触した。そのやり取りをその日の夕食時に話したら、夫が「お前も男を引っ掛けるようになったか」と揶揄したのだ。冗談だとわかっているとはいえ、娘は快く思っていない。
「カッコいいかどうかもよくわかんなかったのにさー」
「黒ずくめで、帽子を被ってて、大柄な人だったかしら? あら、それってもしかして──」
 よくよく娘の体験談を深めていくと、娘も実澄が会った青年と遭遇したのだとわかった。
「あらら、今日はじめてこの土地に来たみたいに言ってたのに、もう見学済みだったのね」
「回りきれなかったお店とか観光スポットがあったんでない?」
「そんなめぼしい場所がこのへんにかたまってるかしらね」
 実澄はほどよく田舎な地元を若干卑下しながら、青年との再会の希望があることを内心よろこんだ。
(好き勝手にしゃべっちゃったし、それでまずいことが起きてたらわたしが責任とらなきゃ)
 青年は自己表現が得意ではなさそうだった。かような人物には周囲の者の助けがきっと必要になる。実澄は今回、青年に与えた言葉が彼を救済する確信がない。うまくいかなければその都度修正を加えるべきだと考えた。
(会えた時のために、勉強しておこうかな)
 複雑な人間関係の対処法を説く書籍は世の中にごまんとある。手始めに家にある本を読んでみる目標を立て、実澄は灯りが煌々と光る自宅へ入った。

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2017年11月07日

拓馬篇前記−八巻1

 休日の昼下がり。八巻は病衣の上にカーディガンを羽織った姿で院内の中庭を歩いた。葉のない木々が生え、通り道が灰色のアスファルトで舗装された殺風景な場所だ。ほかに延々散歩しても人の迷惑にならぬ場所がない。季節柄、寒冷な二月といえどもお日様の暖かさを頼りに運動する。この時間帯の日差しは春の陽気に近い。風が吹かなければ一足早い春が来たような熱気であり、気分も高揚した。
 除去手術を施すための入院生活は今日で最後。術後に痛んだ患部はなんともない。明日からまた自宅へもどり、リハビリをしに通院する。八巻の素人考えではもう自主訓練のみでよいと思う。しかし担当の理学療法士が慎重な性格ゆえに継続することになった。
(普通なら死んでた人間、だそうだからな……)
 八巻は高校の男性教師であるかたわら、バイクのツーリングを趣味としている。その趣味のせいで半年前、大事故に巻き込まれた──というのが周囲の証言から推測できること。加害者にあたる運送業の人物が大型トラックを運転していたことはまちがいない。救急車を呼んでくれた親切な人がそう言ったのだから。だが八巻本人は自身の記憶がどこまで真実なのかわからなかった。事故の直後、不可思議な現象に遭遇したせいだ。
『生きたいと願え。そうすれば助ける』
 どんな声だったか覚えていない。この時の八巻に痛覚はなく、かけられたの言葉の意図は瞬時に理解できなかった。喋ろうにも、体を動かそうにも、自分の意思がちっとも自身の体に反映されない。体の自由が利かないのを知り、己が死に瀕しているのだとやっと悟った。
 死を間際にして、ひたすらに「死にたくない」と懇願した。あとあと振り返れば「この緊急事態になにを当たり前なことを言うんだ」と相手に言ってみたい気もする。全身血まみれの怪我人が助けを乞わぬはずがないだろう、と。
 奇妙な声に反抗しなかったおかげなのか、八巻は九死に一生を得た。失血死しかねない量の血をまとったにも関わらず、救急隊員による処置を受けるころには裂傷が数か所ふさがっていたという。救急隊員がそう判断した主な根拠は二点。大量出血するような傷口が無く、すべての血を口から吐いたにしては内臓や血管の損傷が軽すぎたのだ。
 八巻本人の血がべっとり付着した肌周辺の服が大きく裂けていた。そのことから、救急車がかけつけた時点で致命傷は癒えていたという非現実的な結論に達した。それは医学的にありえぬ見地だ。それゆえ事故現場に流れた出血量について、八巻の治療のうえでは無かったことにされた。
 だが命に大事ない傷はがぜん酷いありさまだった。全体の骨がひび割れ、折れ、体外へ突き出てしまった部位があったという。尖った骨がいくつか内臓に刺さっていたのを切開手術で取り払ったとも言われた。怪我の具合も手術の情景もすべて、八巻の意識外での出来事だ。八巻は他人事のように、あとになってそれらを知った。
 目覚めた時は病院の個室のベッドに伏せていた。事故後十日を経過した覚醒だ。昏睡中、母は息子が植物状態になるのではとオロオロしたそうだ。心配性な母のことだから、医者が漏らした数パーセントもあるかどうかしれない可能性を、数十パーセントに引き上げたのだろう。
 しかし医者が不穏なことを口走らなかったわけではない。以前のような運動能力まで回復する保証はできないと、そう言われたこともある。つまりは後遺症だ。まだ三十路にもいたらぬアウトドア派の人間には辛い宣告だった。
 しばらくはめっぽう打ちひしがれてしまい、「あの日に出かけなかったら」、「もっと早く帰宅していれば」と後悔した。冷静になって考えるとそれらは虫のよい、タラレバだ。都合よく事故の起きる日だけ、遠乗りに出かける意欲をなくす何かか起きるはずもない。天気のよい、休日で、これという用事がなければ、愛車とともにひとっ走りしてくる。それが八巻という男だった。現在はバイクが御臨終してしまったので遠出しようにもできないが。それは復職後に新しいのを見繕おうと考えている。後遺症が出なかった今では「もうバイクに乗らない」という方針が無しとなった。母は「もう乗らなきゃいいのに」と呆れていたが、生きがいには変えられない。
 医者は八巻の回復力を驚嘆し、その回復速度を若さに起因するものと考えた。だが八巻は自分一人の治癒能力が優れるのではないと思う。それは事故当時の謎の声も関係するが、またべつに不思議な体験をした。
「妖精さん……」
 八巻は勝手に名付けたあだ名をつぶやく。その名は院内で奇妙な体験をした際に見惚れた女性を指した。

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2017年11月09日

拓馬篇前記−八巻2

 八巻が事故に遭った後の約一か月間、夜中に異変が起きた。眠る八巻に何者かがぺたぺたと触ってくるのだ。触れる箇所はきまって顔。それ以外の箇所は触られても気付かなかったのかもしれない。当時の八巻は体のいたるところにギプスや包帯を巻いたミイラ男だったからだ。
 寝込みをねらったいたずらは不定期に起きた。八巻は当初、宿直の看護師がちょっかいをかけている、と予想を立てた。年配の女性看護師に聞いてみたところ「そんなことをするはずないじゃありませんか」とにべもなく否定された。偉丈夫を自負する八巻はすこし傷ついたが、どうも本当らしかった。
 受け答えの冷たい看護師は内面まで冷えておらず、八巻の予想を真摯に受け止めた。宿直を担当した看護師の勤務状況と事件当夜の日を照らし合わせ、これといって怪しい勤務者が浮かび上がらないことを証明した。誰が夜勤をしていようとも事件は発生したのだ。看護師たちの無実を知り、容疑者は医療関係者から外れた。
 次に同じ入院患者が怪しくなる。しかし八巻のいる階は動きに制限のかかる者が多い。八巻と似たような重傷の者や、もはや寝たきりを強いられる者など。彼らが八巻の個室に侵入する可能性は低かった。
 犯人の正体はつかめないが、ほかに明らかになることがあった。怪現象が起きたその翌朝は多くの入院患者がよく寝坊するのだ。というのも看護師は毎朝、患者の体温や血圧を測りに回る。その時に相対した患者の様子を見て「最近みんながだるそう」だと言った。反対に八巻は体調も怪我の具合も前日より良くなっていた。まるで周りの患者の元気を少しずつ分けてもらったかのように。
 八巻一人が元気であることを、看護師たちは別段不審がらなかった。八巻は病院に搬送された時からすでに異常な回復力を見せつけていたのだ。たかだか朝の目覚めがよいくらいでは異常のうちに含まれなかったのだろう。
 その頃の八巻は夜な夜な枕元に立つ存在をあきらかにしたくなった。両手が自由に動くようになると、腕の骨折が残る左手で懐中電灯を握り、布団に忍ばせた。腕自体が動かせる右手は相手を拘束するために空ける。そうして謎の人物の到来を待った。
 患者が寝静まる夜、例によって何者かが八巻の頬に接触した。八巻はその手首をつかみ、灯りをつきつけると──女性の顔があった。鼻筋の通った、青い瞳の、端正な顔つき。年かさは八巻と同程度に見えた。八巻は瞬時に「美しい」と思い、今なお目に焼きついている。
 女性の美顔をじっくりとは鑑賞できなかった。彼女は八巻の手を振りはらい、即座に闇に消えた。その時に走りさる足音はまったく鳴らなかった。女性は、ほんとうに消えたのだった。
 幽霊か物の怪か──と常人なら不気味がるだろう。八巻はそれを「妖精さん」として歓迎した。おそらくは彼女が八巻の怪我の回復を早めてくれた。もしかすると事故直後の声もあの女性が発したのかもしれない。きっとあの時に瀕死の八巻に目をつけ、入院後も八巻の身体を労わってくれたのだ。
 八巻はふたたび妖精さんが現れるのを心待ちにした。彼女の目的がなにか気になるし、八巻の推測通りに治癒してくれているのならお礼を言いたい。そしてあわよくば交際を申し込みたい。彼女の正体が人間でなかろうとも些末な問題のように感じられた。
 八巻は本来、死んでいた人間である。こうして生き永らえた要因は非現実的な事象の恩恵を受けたからだ。ならば生あるかぎり、非現実に類するものを拒む正当性は無いと考えた。
 自身の思いを理論立てて繕っても、率直なところ八巻は妖精さんにお熱である。その恋心に理屈は通じない。彼女が命の恩人だと見做したから湧きでた感情なのか、はたまた美人であったからか、と他人に聞かれれば八巻はこう答える。「両方だ」と。
 八巻が好奇心を発揮した夜以降、彼女は現れなくなった。正体を見てしまったせいで、もう来てはくれないのだろうか。それとも、これ以上治癒の手助けをする必要なしと判断されたか。八巻はがっかりした。だが医者にあることを吹きこまれると、希望が持てた。
 除去手術──体内に入れた金属を取り除く際、患部が傷つき、腫れて痛みをともなうことがある。その説明には「骨折が治ってもそれで完治ではありませんよ」という念押しの意図もあった。どちらかといえば脅し文句に相当する。しかし八巻は絶好の機会が残されてあるのだと歓喜した。その反応を見た医者は当惑していた。怪我人をよろこばせるセリフを吐いた覚えがなかったからだ。
 手術後に彼女の再来を期待できる。八巻は入院中であっても骨が治った部位を端から施術してもらった。しかし妖精さんは出現しなかった。こたび再入院した目的の足の手術も、一縷の望みをかけてきたものの、結局ダメだったようだ。
(あれはただの、まぼろしだったのか……?)
 怪我による日常生活の支障がなくなった現在、八巻は彼女との接点を失った。浮かれた情はむなしく砕ける。その事実を認めるのは寂しい。
 だがトータルで考えればプラス面が多かった。この身と心は彼女に支えられ、完全再起を遂げるまでになった。叶わぬ慕情であっても、長く苦しい入院生活に色を添えたことはありがたい。それは数日前に訪問してくれた校長も同意見だ。
『たとえ幻想だったとしても、楽しみが増えるならすばらしいことじゃないか』
 校長は腹の底からそう考える人物だ。校長の奥方はまさに、幻想を人々に提供する職に従事している。恋愛ものを専門とする作家だ。その作風への助力か単なる趣味かは知らないが、校長自身もそういった話には興味と造詣があった。
(もうそろそろ、本業に気持ちを入れるか)
 妖精さんへの思いに決別する時がきた。八巻は深いため息を一つ吐く。彼女の記憶を頭のすみに追いやりながら、中庭の周回を続行する。今度は八巻が迷惑をかけた学校の者たちへ思いを馳せた。

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2017年11月10日

拓馬篇前記−八巻3

(半年……長かったな)
 八巻は怪我の治療のために半年の期間を休職した。我ながら時間を浪費してしまったと感じる。その大半は妖精さんと名付けた謎の美女にうつつを抜かしていた。教師の体面上、とても生徒には言えないことだ。
 八巻の担当は二年生と三年生の社会科の授業。進学に向けて学んでいく大切な時間を、共有できなかったことは悔やまれる。生徒たちは八巻のことを「おもしろい先生」と慕ってくれていた。
(代わりに入ったという先生は、うまくやってるんだろうか?)
 不幸中のさいわいにして、八巻が交通事故を起こした時期は夏休み。休み明けまでに新たな社会科教師が採用され、生徒たちへの影響は軽微ですんだ。授業期間中に休職したなら、きっと八巻に配分された授業はしばらく自習時間にされただろう。
 ピンチヒッターの新任教師はこれが初めての教員生活だという。目の肥えた上級生に新人をあてがうのはリスキーだ。万一、彼の指導力が不十分なせいで生徒の学習がはかどらず、志望の学校に入れなかったと言われれば大問題である。そのため彼は一年生の担当に回され、他のベテランの教師が上級生の授業を受け持った。
 これらの変更による生徒たちの不満の声はあがらなかったらしい。八巻がいなくても業務が回っていくことはありがたい反面、どこか期待外れの感もあった。
(いまの一年生を来年度から見守る、か)
 八巻はもともと現一年生との接点が少ない。校長の依頼は具体的にどういうポジションでの職務なのか、まだ聞いていない。一クラスの担任になるのか、その副担任か、あるいはこれといってクラスを受け持たないフリーか。半年とはいえブランクのある八巻では、年齢の若さもあって担任を務めるには力不足。可能性があるのは副担任くらいだ。
(副担……はだれが担任でもいけそうだ)
 基本的に担任は次年度へ移行すると、進級した学年かつ同じ組を担当する。一年一組の担任は来年だと二年一組の担任になるという具合に。一年生のクラスは四組あり、そのうちの三人の担任は優しい人たち。残り一人は気難しい女性なのだが、悪い人ではない。八巻は一年生の担任たちのだれとも苦手意識を持っていなかった。
(退院したら、一度校長に聞いてみよう)
 校長もどういった差配が最良なのか考えあぐねているのかもしれない。こちらから話を持ちかけ、互いの認識の穴を埋めておくべきだと判断した。
 八巻は足に疲労を感じた。中庭を何周したか数えていないが、かなり運動した手応えがある。もう屋内へ入ろう。そう思って出入口のガラス戸を探す。一面ガラス張りの壁に目を滑らす中、奇妙な人影が視界に入った。
 二度見してみればガラスの向こうに人がいた。その目は普通の日本人にはない輝きがある。
「妖精さん……」
 八巻は思わず駆け寄った。ガラスに両手をつき、外国人風の人物に食い入る。明らかに青い瞳を持つ人だ。
 青い瞳の人物は灰色のパンツスーツ姿の女性。鍔つきの黒い帽子を被っており、男性に見まごうほどの長身だ。その顔は八巻がかつて、夜中に起きる怪現象の正体をつかんだ時に見た顔とそっくりだ。意外にも肌が焼けていた。暗がりでは肌の色まで印象に残らなかったようだ。しかし美人にはちがいない。
 スーツ姿の女性は無感情な面持ちだ。八巻がベッタリとガラスにへばりついても平然としていた。八巻と視線を合わせた途端、ぷいっと顔を背ける。女性はすたすたとロビーの方向へ進んでいった。八巻は手元のガラスをバンバン叩いてみたが、彼女はまったく振り返らない。
(追いかけなくては……!)
 八巻は病棟への出入り口のガラス戸を見つけた。走る勢いのまま体当たりをかます。運悪く移動中の事務員にその乱暴な行為を目撃される。
「あぶないでしょう!」
 中高年の職員にたしなめられてしまった。注意を受けるやり取りのうちに女性を見失う。
(この機会を逃がしてなるものか!)
 八巻は駆けだす。だがそれもまた事務員の制止をかけられる行動だった。これ以上忠告されぬよう、逸る気持ちを抑えながら早歩きで移動した。

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2017年11月11日

拓馬篇前記−八巻4

 八巻は走行禁止の病棟内を急いで移動した。八巻が「妖精さん」と命名した謎の女性は行方が知れない。それでも諦めがつかなかった。妖精さんのことで頭がいっぱいになり、彼女が向かったであろうロビーを目指す。
 待合所の長椅子がずらりと並ぶ区域が近づいてきた。ここがロビーだ。平日なら大多数の人が出入りする一画だが、今日は休日。がらんとしていた。
 ロビーと廊下との間に大きな女神像が立っている。翼の生えた金属製のモニュメントだ。銅像の足元には一メートルほどの高さの台があった。その台の前に松葉杖をつく男性がいる。
 彼は八巻の同室者。下の名前を隆之介といった。片足にギプスをはめた彼が「堅苦しいのは無しで」と呼び捨てを奨励し、八巻はその希望に応じている。
 隆之介は片手に松葉杖、片手に折りたたみ式の携帯電話を持っている。もう一方の松葉杖は女神像のお立ち台に立てかけてあった。なにやら話しこんでいるらしい。そうとわかっていても八巻は声をかける。
「隆之介、スーツ姿の女性を見なかったか? 青い目の人だ!」
 通話中の怪我人はびっくりした顔で、首を小刻みに横に振る。そして八巻から視線を逸らす。電話口の相手へ「なんでもない、こっちの話」と説明した。
「本当に見てないか?」
 八巻が食い下がる。隆之介は電話のマイク部分を手で覆い、「見てないって」と素っ気なく答えた。八巻は落胆する。通話に夢中な隆之介が見逃した可能性はあるので、自力で周囲を確認することに決めた。
「あー、ちょっと待った!」
 八巻が隆之介に背を向けたところを呼び止められた。なにか思い出したか、と八巻は期待しつつ振り返る。
「どうした?」
「その目の青い女の人、髪はどんな色だ?」
「それはわからない。帽子を被っててな」
「そっか。そりゃ残念だ」
 女性の髪の色がなんだというのか。八巻は訝しがる。
「なぜそんなことを聞く?」
「電話相手が『聞いてくれ』って言うもんでさ」
 隆之介は相手の名を明かさないが、八巻は質問者の想像がついた。除去手術目的の入院中、隆之介へ見舞いにきた者を八巻は二人知っている。一人は彼の伴侶、一人は彼の友人。その友人は自称公務員。なにか隠し事をしているような、不思議な男性だった。おそらくは彼が第三の会話者だ。隆之介の妻はごく一般的な人物であり、突拍子ない質問が出てくるようには思えない。
「何色だったらいい──」
 八巻が尋ねかけた瞬間、女神像が揺れた。身の丈成人男性なみの巨像が前後にぐらつく。そして八巻たちのいる側へ重心を傾けてきた。像の近くにいる隆之介は足が不自由だ。その状態では彼が銅像に押し潰されてしまう。
「危ない!」
 八巻は隆之介に飛びかかった。全体重をかけて彼を突き飛ばす。隆之介は銅像の進行方向から外れた場所へ、尻もちをつく。
(よし!)
 怪我人の救助に成功した八巻も離脱を試みる。だがなぜか足が鉛のように重い。足首が、なにかに引っ掛かっているようだ。
「なんで──」
 もがくと謎の重りはたちまち消えた。しかし自由を得た時には遅かった。重量級の銅像は八巻もろとも地に突っ伏そうとする。八巻は足の裏に力をこめ、数センチでも銅像から離れようと跳んだ。
 八巻の跳躍は上からの圧力により潰された。逃げ遅れた左ふくらはぎに、金属の塊がのしかかる。硬い床と銅像に挟まれた肉体が嫌なきしみを立てた。
 空洞の像が床面に砕け散った。その音と同時に、激しい痛覚が八巻を襲う。痛む箇所はつい数日前、手術した部分。最後の除去手術だった。半年もの間、丹念に治療してきたのに。
(また、折れたか……?)
 八巻はうつ伏せになったまま、固まった。これ以上の痛みを感じるのが怖くて、体を動かせない。
(うぅ、災難だ……)
 怪我の完治のために入院した病院で、負傷するとは。
(いやしかし、隆之介が無事なら──)
 この犠牲が報われる。彼の安否を知らねば。八巻は歯を食いしばり、顔を持ち上げた。
 隆之介は銅像の落下被害をまぬがれていた。だのに彼は大の字になって倒れている。そのかたわらには、しゃがむスーツ姿の女性がある。
「よ、妖精さん……!」
 女性は隆之介の携帯電話をいじっていた。それを隆之介の体の上へ放り投げる。彼女は立ち上がり、八巻のもとへ歩いてきた。八巻は喜色満面になる。
「妖精さん! きみは、ケガを治せるんだろう?」
 女性は両膝をつき、八巻の頬に手をのばした。
「そうだ、やってみてくれないか」
 八巻は彼女の治癒能力が間近で見れると思い、心が弾んだ。女性がほほえむ。その笑顔がいっそう八巻のハートを掴んだ。
「お休みなさい」
 視界いっぱいに黒い霧がたちこめる。なにが起きた、と戸惑ううちに八巻の意識は遠のいていった。

タグ:八巻
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長編の習一篇は他サイトで大部分が投稿済(未完)です。現ブログにてざっくり投稿(完結)しましたが、下記リンクはまだ貼っておきます。
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三利実巳
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