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2023年02月06日

【オリジナル歌詞】『孫が見たいなら幸せな結婚生活を見せてよ!』

「早く孫が見たいわ」「花嫁姿が見たいのよ」
だったら なぜ見せるのよ? 不幸な結婚生活を

苦しそうで 我慢ばかりで パパの愚痴 あたしに聞かせる
子ども(あたし)は見てるよ? 母(あなた)の背中

  「結婚したらこんなに 苦しい人生になるんだ」
  母(あなた)を見たあたしは思うの「だったら結婚なんかしたくないわ」
  気づいてないの? あなたは 孫から遠ざかるばかり
  勝手な願望を あたしに押しつける前に 幸せを見せてよ!



「あなたは親不孝者」 あたしに言うのは自由だけど
”親になりたくない”と 思わせるだけよ?

娘(あたし)は親(あなた)の願いを 叶えて当然と思うなら
勘違いしてるわ それは支配よ

  家庭を持ってほしいなら 持ちたくなるよう仕向けてよ
  「あたしは結婚して幸せ」と あなたが示し続けるのが筋でしょ?
  気づいてないの? あなたは 娘(あたし)を囲うばかり
  パパへの愚痴を あたしにぶつける前に 優しさ見つけてよ!



「あなたさえ生まれなければ パパとママは不幸にならなかったわ」
母(あなた)の背中は こう言ってるのよ?

  「不幸が見えてるから 結婚なんてしたくないわ」
  あなたの生き様が見せるのは こんなメッセージよ わかってるの?
  早く気づいて あなたに 幸せ伝えてほしいの
  「家族がいて あたしは幸せよ」と あたしに教えてよ!

  幸せな親の背中 見せることが 子ども(あたし)の幸せよ




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



⇒過去作品
『虚(から)のコイビト』

『願い』

『秋風の手紙』



⇒参考書籍



posted by 理琉(ワタル) at 19:19 | TrackBack(0) | 歌詞

2023年02月03日

【オリジナル歌詞】『娘は母のオカアサマ』

セケンテイが悪いでしょう? そろそろ結婚しなさいよ
そんな男はダメよ 自慢できやしない

あたしの言うこと聞きなさい 「アナタノタメヲ思ッテルノ」
シアワセなはずよ 感謝しなさい

  あなたはずっとあたしに 支配されていればいいの
  親(あたし)の話 聞けないって言うの? 愚痴も不満もすべて受け止めてよ
  あたしを甘えさせて あたしだけを見ててよ
  あたしの母がしてくれなかったこと 娘(あなた)がしなさいよ



オレはオマエのために 働いてんだ 昼も夜も
旅行にも行ってやったぞ 「タノシイ」と感じろ

オレに逆らうつもりなら 返す覚悟はできてるんだろ?
オマエに今まで かけた金を

  オレのおかげでオマエを 生かしてやってるんだぞ
  オレに感謝と恩義を感じろよ 無力なままオレに依存(たよ)っていろよ
  オマエはオレの価値を 証明し続ければいい 
  逃げたいんだよ 目を逸らしたいんだよ 自分の無価値感から



あなたを支配することでしか つなぎ止められない わかるでしょ?
子ども(あなた)は 母(あたし)と 父(オレ)の 「親代わり(ママ)」だと

  あたしは寂しかったの 親に構ってもらえなくて
  あたしの話を聞いてくれた 初めての人が娘(あなた)なのよ
  オレは悔しかったんだ 親に認めてもらえなくて
  オレの価値を 感じさせてくれたのは 息子(オマエ)だけだったんだ

  あたしたち いつまでも あなたを離さないわ
  無邪気に無自覚にコワシテアゲル 子ども(あなた)の人生を




ーーーーーーーーーー



⇒過去作品
『きみらしく』

『色恋シゴト』

『蛍』



⇒参考書籍











posted by 理琉(ワタル) at 19:35 | TrackBack(0) | 歌詞

2023年01月28日

【短編小説】『雪の妖精 待ち焦がれ』後編

【MMD】Novel Snow Fairy SamuneSmall1.png
前編からの続き


<登場人物>

雪吹 月永(いぶき るな)
 ヒロイン、20歳、大学2年生
 白夜(はくや)とは小学生からの幼馴染み

冬城 白夜(とうじょう はくや)
 月永(るな)の幼馴染み
 同じ大学に通う20歳、2年生

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



私の手術の日が近づいてきた。
最近、ふっと身体の力が抜けることが増えた。

一瞬、ガクっと崩れ落ち、ハッと正気を取り戻す。
そんなことがよくあった。

あぁ、やっぱり…。
(保存治療で引き伸ばすのは、そろそろ限界でしょう。)

お医者さんの言葉、本当だったんだ。

私は驚かなかった。
自分の身体のことだ。なんとなくわかっていた。


ーー


私が入院してから、
白夜(はくや)はよくお見舞いに来てくれた。

私が手術を受けると決断できたのは、
白夜(はくや)のおかげ。

だから、病室で話しているときも、
不安が湧き上がることはなかった。

明日から面会謝絶。
手術前に会えるのは、今日が最後。

来て、くれるかな…?


私の不安をよそに、彼は隣にいた。
私たちはいつものように、たわいない会話をした。

何も不安はない、何も。
私には、白夜(はくや)がくれたお守りがあるんだ。

だから…。大丈夫…。

--

いつの間にか、私の眼から
ぽろぽろと涙がこぼれていた。


あ、あれ?おかしいな…。
私、もう大丈夫って思ってたのに。
もう、手術への不安なんてないはずなのに。

やっぱり、白夜(はくや)の隣は安心する。
気を張っていても、ゆるんでしまう。

白夜(はくや)はまるで、
私の気持ちをすべて見通したように、
私にハンカチを差し出した。

少しだけ、私に寄り添いながら。

--

私は彼の優しさに触れ、
抑えていた不安と恐怖が決壊した。

『私…怖いの…!』
『死ぬかもしれないことじゃなくて!』
『もし死んじゃったら、別々の世界に行っちゃう!』
『そしたら白夜(はくや)に会えなくなっちゃう!』


私は、白夜(はくや)からプレゼントを受け取った
あの日の言葉を繰り返した。

『だから、余命3年って知らされたときに思ったの!』
『あと3年、一緒にいられたら十分、って!』

『だけど…!やっぱりイヤ…!』
『たった3年なんてイヤだよぉ!』

『もっと2人でいたい!』
『元気になって、いろんな場所へ遊びに行きたい!』
『ずっと…白夜(はくや)と、一緒にいたいよ…!』


私が悲しみを吐き出す間、
白夜(はくや)は何も言わず、私の頭をなでてくれた。

そして、私が悲しみを出し切った頃、彼は言った。

「…つらかったね。」
「今まで、本当によく頑張ってきたね。」

「僕だって月永(るな)と会えなくなるのは悲しい。」
「もし失敗したら、なんて考えたくない。」

「でも、月永(るな)が決めたことだから。」
「どんな結果になっても受け入れる。」


『白夜(はくや)…!』

彼の存在が、言葉が、すべてが私を支えてくれる。
彼の声を聞くだけで、私には怖いものなんてなくなる。


ーー


私が安心感に包まれていると、
白夜(はくや)は唐突に、私の手をぎゅっと握った。


ドキッ

私の耳が、心臓の鼓動の音でいっぱいになった。

「ずっと月永(るな)に伝えたくて、伝えられなかったけど…。」
「僕は月永(るな)のことが大好きなんだ!」
「だから、僕と付き合ってください。」


『!!ふぇ?!』

私は驚きのあまり、変な声が出た。

白夜(はくや)…それは反則だよ。
私の心臓が、もたないよ。

幼馴染みで、兄妹で、お互い近すぎて。
ずっとずっと抱いてきて、まだ伝えられていない言葉。

私のバカ…。先、越されちゃった。

--

「びっくりさせてごめん。」
「手術前に、どうしても伝えたくてさ。」


『うん…ありがと。私もずっと…。』

言いかけた私に、珍しく白夜(はくや)が言葉を続けた。

「でも、今は返事はいらない。」

『え…?』

「返事は…完治して、元気になった月永(るな)から聞きたい。」

本当にあなたは、優しすぎだよ…。
私に、未来への希望まで持たせてくれるなんてさ。

ゼッタイに治って、
白夜(はくや)に思い切り『大好き』と伝える。
そんな、未来への希望を。


あれ…?
さっき、涙は出し切ったと思ったのに。

また、こぼれてきた。
今度は、嬉し涙が。



ーーーーーーーーーー



月永(るな)の手術の日から、数週間後。
今日も、雪がしんしんと降っていた。

僕、冬城 白夜(とうじょう はくや)は
いつも通りの日々を過ごしていた。

大学に通って、それなりに勉強して、それなりに遊ぶ。
幸せとは、そんな平凡な日常を指すんだろう。

ただ1つだけ、僕には欠けていた。
いつも僕の隣にいる、大切な幼馴染みがいないんだ。

--

僕はあえて、手術の結果を聞かないことにしていた。
いや、それは言い訳だ。僕には聞く勇気がなかった。

(万が一、手術が失敗していたら…。)

そう思うと、僕の心が耐えられなかったから。

僕は月永(るな)が言うような、頼れるお兄ちゃんじゃない。
本当の僕はこんなに弱くて、いくじなしだ。

--

僕は自宅のカレンダーに印をつけた。
その日は、月永(るな)の手術の日から、ちょうど3年後。

そして、僕はその日まで、
月永(るな)からの連絡を待つことにした。

月永(るな)に告げられた余命は3年。

もし、彼女が生きていれば、
あの日、僕が伝えた気持ちへの返事をくれると信じて。

3年経って連絡がなければ、
それは大切な幼馴染との、今生の別れ。


そして、僕が前を向き、
人生を歩き出すためのスタートライン。


ーー


降り続いた雪が、少し弱まってきた、ある朝。
僕のスマホに1件の着信が入った。

画面に映し出された名前を見た瞬間、
僕の心は嬉しさで満ちていった。

『ごめんね、連絡が遅くなっちゃって。』
『手術、成功したよ!』


幼馴染みの月永(るな)は、
成功率30%をくぐり抜けていた。


術後の経過も順調。
医師も驚くほどの回復を見せ、
もうすぐリハビリも完了するそうだ。

『●日に退院なんだ。』
『それでさ…よかったら、迎えに来てくれないかな…?』
『誰よりも早く、会いたいから。』



ーー


月永(るな)の退院の日。
昨日まで降っていた雪は止み、青空が広がっていた。

僕は駅を出ると、
居ても立っても居られず、病院までの道を走った。

息を切らせてたどり着いた、病院の入口。

そこに立っていたのは、
リハビリを終え、元気になった幼馴染みだった。


『来てくれて、本当にありがとう。』
『白夜(はくや)のおかげで、手術を乗り越えられたの。』
『だから、あの日の返事をさせてください。』


月永(るな)は、頬を紅く染めながら言った。

『私もずっと、白夜(はくや)のことが好きでした。』
『これからもずっと、私の隣にいてね。』




陽の光が、雪の結晶を照らした。

キラキラ輝く、白いじゅうたんが、
2人の幸せの門出を祝福してくれた。



ーーーーーENDーーーーー



⇒この小説のPV



⇒過去作品
【短編小説】『心だに 君の際なられば 果報』

【短編小説】『また逢いましょう、ホタル舞い降りる川で』1

【短編小説】『シアワセの薄い板』前編

2023年01月27日

【短編小説】『雪の妖精 待ち焦がれ』前編

【MMD】Novel Snow Fairy SamuneSmall1.png
<登場人物>

雪吹 月永(いぶき るな)
 ヒロイン、20歳、大学2年生
 白夜(はくや)とは小学生からの幼馴染み

冬城 白夜(とうじょう はくや)
 月永(るな)の幼馴染み
 同じ大学に通う20歳、2年生

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「月永(るな)、これ。」
「よかったら、お守り代わりに受け取って。」
「大丈夫!手術、ゼッタイに成功するよ!」


『うん!白夜(はくや)、ありがとう!』
『ずっとずっと大切にするね!』


--

私は雪吹 月永(いぶき るな)

しんしんと雪の降る夜、
幼馴染みの冬城 白夜(とうじょう はくや)から
お守り代わりのプレゼントをもらった。

数日後、私は手術を受けるため
入院が決まっていた。

この日は、
入院する前に2人で遊びに行かないかと、
白夜(はくや)が誘ってくれていた。

--

私は小さい頃から身体が弱かった。

入退院を繰り返し、
学校に行けたり行けなかったりだった。
そのことで周りと距離ができ、友達が少なかった。

それでも、白夜(はくや)はいつでも私の側にいてくれた。

私が久しぶりに登校して、
クラスメイトと打ち解けられないときも、
白夜(はくや)が間に入ってくれた。

学校で寂しい思いをさせまいと、
頑張ってくれる白夜(はくや)の優しさが嬉しかった。

--

私は、そんな白夜(はくや)と一緒にいるときが、
いちばん安心できた。

幼馴染みで同い年だけど、
頼れるお兄ちゃんのような存在だった。

そんな白夜(はくや)への気持ちが恋心になったのは、
いったい、いつからだろう。


思い出せないくらい、ずっとずっと前。

けど、もしこの思いを伝えたら、
関係が壊れてしまうんじゃないか。

今まで通り、
白夜(はくや)と一緒にいられなくなるんじゃないか。

そう思うと怖くて、私は思いを伝えられずにいた。


ーーーーーーーーーー


僕は冬城 白夜(とうじょう はくや)

先の通り、幼馴染みの雪吹 月永(いぶき るな)へ、
初めてプレゼントを贈った。

今回の入院で手術を受ける彼女を、
少しでも元気づけたかった。

僕の両親は共働きで、ほとんど家にいなかった。
海外出張も多く、僕は子どもの頃から1人で過ごしてきた。


両親は僕に寂しい思いをさせまいと、
いろいろ与えてくれたが、僕の心の穴は埋まらなかった。

--

そんな、ある冬の日に出逢ったのが月永(るな)だった。

きれいな銀髪、白く透き通る肌、儚げな表情。
僕は、まるで雪の妖精のような月永(るな)に見とれた。

始めは、互いの寂しさが重なっただけかもしれない。
けど、僕と月永(るな)はすぐに意気投合した。

学校帰りには、公園で日が暮れるまで語り合った。
夏は2人で川へ遊びに行ったり、のんびり昼寝したり。

両親にほとんど会えない僕の心は、
月永(るな)と一緒にいる時間に救われていた。

月永(るな)は同い年で幼馴染みだけど、
妹のような存在…だと思っていた。


--

月永(るな)は子どもの頃から
入退院を繰り返していたことで学校に馴染めずにいた。

僕は人と話すのが得意じゃなかったけど、
月永(るな)とクラスメイトが打ち解けられるよう、
頑張って間に入った。

それで月永(るな)に友達ができたら、
僕は自分のことのように嬉しかった。

月永(るな)は自分の境遇を、決して言い訳にしなかった。
身体が弱くても、友達と馴染めなくても、
前向きに生きようとしていた。

僕は、そんな彼女の強さに心惹かれていた。
月永(るな)と一緒にいると、生きる勇気をもらえた。


--

男女の幼馴染みは、
思春期になると疎遠になることも多い。
けど、僕と月永(るな)はそんなことなかった。

同じ小学校、中学校、高校。
そして同じ大学に合格した今でも、
僕らは当たり前のように一緒にいた。

そう…当たり前のように…。

彼女の存在が近すぎて、
僕はいつしか芽生えた恋心を打ち明けられずにいた。



ーーーーーーーーーー


「入院?」

『うん。』

「最近、体調良くないの?」

『大学に入ってから体調よかったよ。』
『今回は期間も空いたし、念のため検査入院。』

「そっか。いつから?」

『●月●日から。』

「わかった。またお見舞い行くね。」

『ありがと。待ってるね。』

大学2年生の冬。
私は高校以来、数年ぶりの入院が決まった。

白夜(はくや)に言った通り、体調はずっと良かった。
日常生活にも支障ない。

そう、念のため、検査するだけ…。
大丈夫、大丈夫。

私は白夜(はくや)の前でも、自分にそう言い聞かせた。
胸の奥に生まれた小さな違和感から、目を逸らしたくて。

--

「ねぇ月永(るな)、今週の土曜、空いてる?」

『空いてるよ。』

「もし体調が大丈夫なら、遊びに行かない?」

『ありがと。行く。』

「無理しないでね。待ち合わせ場所は…。」

--

入院を来週に控えた土曜日。
私と白夜(はくや)は街へ遊びに来ていた。

そういえば私たち、いつも一緒にいるのに。
2人で食事したり、映画を観たり、水族館へ行ったり。
まるでデートのように遊ぶのは初めて。


「水族館、楽しかったね。」

『うん。お魚さん、きれいだった!』

「疲れてない?少し休もっか。」

『大丈夫だよ、ありがと。』

白夜(はくや)はずっと、私の体調を気にかけてくれた。

まったくもう…。
こんなふうに遊ぶのは初めてだけどさ。
こんなときまで、頼れるお兄ちゃんなんだから。

(…人の気も、知らないで…。)

じれったいけど、
やっぱり私は白夜(はくや)といるときが、いちばん安心する。

白夜(はくや)も、同じ気持ちでいてくれたら、嬉しいな。

私はずっと、
溢れそうな恋心を隠せた自信がなかった。


ーー


楽しい時間は、あっという間。
辺りはすっかり暗くなり、雪がちらつき始めた。

初めてのデートで、私たちが最後に訪れた場所は、
私たちが初めて出逢った公園だった。

「今日は本当にありがとう。すごく楽しかった。」

『私こそ、ありがとう。私もすごく楽しかったよ。』

「よかった。」
「は、初めてだよね。その…デートみたいなこと、するのって。」

『う、うん。初めて…だよね。』

嬉しさと気恥ずかしさで、しどろもどろになる私。

--

「ねぇ、月永(るな)。」

白夜(はくや)は私の名を呼びながら、
手に持った小さな箱を差し出した。

「これ、よかったらお守り代わりに、受け取ってくれないかな。」
「大丈夫、ゼッタイ完治する。月永(るな)だもん。」


『お守り…?!それってどういう…?!』

「たぶんだけど、今回は何か大きな治療、するんでしょ?」
「それに、迷ってるみたいだから、成功を祈って。」


『し、知ってたの…?!私が手術を受けること…。』

「手術するんだ…。やっぱりそういう話だったんだね。」
「知らなかったよ。」


『じ、じゃあ…私が迷ってるって、どうしてわかったの?』

「そりゃあわかるよ。」
「ずっと、いちばん近くで月永(るな)を見てきたんだから。」


--

あぁ、敵わないや。
私のこと、白夜(はくや)にはぜんぶお見通しだ。

表情のちがい、迷い、思い詰めた心。
白夜(はくや)を心配させまいと、気丈に振る舞う私。

ぜんぶ、ぜんぶ、気づいてた。

なのに、私が話しやすいよう、
いつもと変わらず接してくれたんでしょう?


私は正直に話した。
入院の理由は察しの通りなこと。
手術を受けるか迷っていること。

そして…。


ーー


「余命…3年…?」

『うん。手術を受けなければ私、長くてあと3年…なんだって…。』

「…。」

『…黙っててごめんね!ほんとに…ごめん…。』
『白夜(はくや)を心配させたくなくて…。』

「そっか。ありがとね、月永(るな)。」
「僕のことを気づかってくれて。」

『…怒らないの?』

「怒らないよ。」
「確かに話してほしかったけど、僕のためにしてくれたことだから。」


『は、白夜(はくや)を信じてなかったわけじゃないよ!』
『ただ…白夜(はくや)に負担をかけたくなかったの…。』


「うん、わかってるよ。」
「やっぱり月永(るな)は優しいね。」


…私、何を心配してたんだろう。

私の幼馴染みはこんなにも大きく、あたたかく、
私を包み込んでくれる人。


隠し事なんて、しなくてよかったんだ。

--

「その手術は成功するの?」

『成功率は、30%だって…。』

「30%…。」

『だから私、迷ってた。』
『もし失敗したら、白夜(はくや)に会えなくなっちゃう。』
『手術を受けなければ、あと3年は一緒にいられる…。』
『どっちを取ればいいんだろう、って。』


「…僕は月永(るな)と、これからも一緒にいたいよ。」
「けど、それは月永(るな)の意志で決めてほしい。」
「月永(るな)がどっちを選んでも応援する。」


『…うん。ありがと。』
『ずっと迷ってたけど、私、決めた!手術受ける!』
『白夜(はくや)と、お守りが背中を推してくれたから!』


…こうして私と、幼馴染との初デートは幕を閉じた。
翌週、私は数年ぶりに、病室から外を眺めていた。



ーーーーーーーーーー



後編へ続く


⇒この小説のPV

2023年01月25日

【オリジナル小説・PV】魔王魂『捩花(ネジバナ)』

オリジナル小説:
『心だに 君の際なられば 果報』
のPVを作ってみました。

この小説とPVの制作背景を紹介します。


  1. 制作した動画
  2. 作品の概要
  3. 制作の所感

1.制作した動画




2.作品の概要


3.制作の所感

テーマは「身分違いに引き裂かれた恋」です。

小説のタイトル
『心だに 君の際なられば 果報』
意味:「せめて心だけでも、あなたの側にいられたら幸せです」

 理不尽な力に引き離されても
 心だけはいつまでも隣にいたい


そんな思いを表したくて作りました。



僕らは自由恋愛が普及した時代に生まれました。

だから、つい数十年前まで
「好きな人と結ばれる自由がなかった」ことには
現実感が持てません。


きっと今でも「由緒ある家柄」の間では、
本人の意志が無視されているのでしょう。

「政略結婚」「当人の気持ち以外の要素での別れ」は、
とても理不尽で、許されざる行為だと思います。

ですが、それは
個人の幸せを尊重する現代特有の考え方
であることも自覚しています。



・つい最近まで、
 特に女性は1人で生きるのが困難だった

・だから家同士の決定でも、
 家族の一員になる以外に生きる道がなかった

そんな時代背景を考えるたびに思います。

今も昔も、
好きな人と結ばれない悲しみはどこへ向かえばいいんだろう、と。


 どれだけ多くの人が、
 この悲しみの行き場を見つけられないまま、
 無念の生涯を終えたんだろう。

 誰かの見栄や欲望、
 子どもを所有物扱いする親たちによって、
 どれだけ多くの恋の涙が消されてきたんだろう。


想像するたびに、胸が痛くなります。



「自由恋愛市場」「恋愛格差」
僕らはそんな、特殊な恋愛事情の時代に生きています。

家柄や身分の違い、政略結婚はどうしても、
遠くの出来事に思えてしまいます。

だからこそ、考える機会があっていいと思います。
「そんな理不尽な悲しみが生まれていいんだろうか?」と。

その悲しみを背負って生きる人は、
身近にいるかもしれません。

そういう人に出逢ったとき、
その人の気持ちを理解する一助になれば嬉しいです。



⇒過去作品・MMD動画
【オリジナル小説・PV】魔王魂『ハルジオン』

【オリジナル小説・PV】魔王魂『彩を失くしたアメジスト(リメイク)』

【自作MV15作目】魔王魂『12345』Short



⇒過去作品・オリジナル小説
【短編小説】『涙まじりの煙』

【短編小説】『また逢いましょう、ホタル舞い降りる川で』1

2023年01月20日

【短編小説】『心だに 君の際なられば 果報』

【MMD】Novel NejiBana SamuneSmall1.png



あなたは、捩花(ネジバナ)を知っていますか?

桃色の、小さくてかわいい花を、
らせんのように咲かせるんです。

捩花(ネジバナ)の花言葉を知っていますか?
それは思い焦がれること、『思慕』

ぐるぐると絡まり合う、茎(くき)と花。
淡く、どこか儚げな佇まい。

捩花(ネジバナ)は、
あなたに逢いたくても逢えない、
私の思いを表してくれるんです。

引き裂かれて、なお募る、私の思いを。



人の気持ちは、誰の目にも映りません。
だからこそ、私は思うのです。

誰にも見えない、人の気持ち。

もし一生の中で、
その一端でも、見える相手に巡り逢えたなら。

そして、
その人の気持ちと、私の気持ちが、
ほんの少しでも、重なり合ったら。

それはとても、幸せなことだと。




私は幸運にも、
そんな幸せを見つけられたんです。

なのに…。

地位、名誉、お金、出世、

どうして、そんなものの都合で、
私たちの幸せを、奪われなければいけないのですか?


家柄、身分、政略結婚、分不相応、

それは後から誰かが決めたこと。
人の本質ではありません。

なのに…。

家柄の違い、身分の違い、

そんなことで、
どうして私たちは、結ばれてはいけないのですか?




家柄の違い、身分の違い。
この決定に背けば、多くの者が罰せられます。

私の行い1つで、
大切な人たちを失いたくはありません。

それに、あなた方は言うでしょう。

身分違いの恋。
始めから、叶わない恋。
わかっていたはずだ、諦めなさい、と。

出逢うことさえなければ、
そんなに恋に苦しむこともなかったのに、と。

わかっています。
わかって…いますとも…。

出逢うことさえ、なければ…私は…。




いいえ、たとえ出逢っても。

見えるはずのない、あなたの気持ちの、
一端でも、見えてしまわなければ…。

あなたと私の気持ちが、重なり合う幸せを、
感じさえしなければ。

いっそのこと、
ただの通りすがりで、終わっていれば…。


どれほど”シアワセ”で、苦しくて、
不幸だったでしょう…。

どうして割り切ることが、できるでしょう…。



知っていますか?
捩花(ネジバナ)には夏葉と、冬葉があることを。

夏はねじれながら、上に伸びるんです。

もっともっと空へ近づいて、
あなたへの思いを届けたいから。

冬は地面に沿って咲くんです。

じっと寒さに耐えて、
あなたへの思いを守るように。

捩花(ネジバナ)は春も夏も、秋も冬も、
枯れることはありません。

家柄の違い、身分の違い、

そんなことで引き裂かれようと、
決して枯れない、あなたへの思いのように。




きっと、今生ではもう、
あなたと一緒になれないのでしょう。

あなたの手を握ることも、
あなたの腕に包まれることも、
叶わないのでしょう。

ですが、

たとえどれだけ
私たちの身体を引き離そうと、
私たちの心まで引き離すことはできません。

私を高貴な身分の方と一緒にしようと、
いずれ私たちの身体が朽ち果てようと、

私たちの思い出からは、誰ひとり、
私たちを追い出すことはできないのです。


だからせめて、心だけでも、
あなたの隣にいさせてください。

私は、あなたへの思いを、
枯れることのない捩花(ネジバナ)に託します。

春も夏も、秋も冬も。

いつまでも、あなたを、慕い続けています…。

芝付の 美宇良崎なる 根都古草 あひ見ずあらば 吾恋ひめやも

(あなたに逢うことがなければ、私は恋に苦しむこともなかったろうに)


万葉集『根都古草』


ーーーーーENDーーーーー



⇒この小説のPV


⇒過去作品
【短編小説】『また逢いましょう、ホタル舞い降りる川で』1

【短編小説】『ゆりかごは、この手でゆらしましょう』

【短編小説】『いのちの電話と、聞き上手』前編

2023年01月13日

【オリジナル歌詞】『幸せヒトマカセ』

「アナタさえいれば 他には何もいらないわ」
「カレと結ばれたら シアワセになれる」

どうして幸せになりたいの? 今が幸せじゃないから?
自分で自分を満たせないなら 誰がアナタを満たせるの?

  「アタシをシアワセにして」なんて 可愛い台詞なんかじゃないわ
  アナタ自身の幸せなのに どうして他人任せ(ひとまかせ)にするの?
  アナタはアナタ自身の力で 幸せを掴めるはずなのに
  「アタシは幸せになっちゃいけない」と どこかで刷り込まれてないかしら?


「カレが冷たいの まさか浮気してないかしら」
「あの女がどうして カレに選ばれたの?」

嫉妬の炎は止まらない 選ばれたいと思う限り
アタシは振り回されたくないわ 男の気まぐれなんかに

  誰かと比べたその瞬間 幸せは逃げていくんじゃない?
  アタシの価値は アタシ自身で認めて 受け入れていくの
  アナタはアナタ自身の力で 何者にもなれるはずなのに
  「アナタは何もできないわ」と 誰かに刷り込まれてないかしら?



  「アナタがアタシより幸せに なるなんて絶対 許さないわ」
  「アナタはアタシをシアワセにするために ”産ンデアゲタノヨ”」
  頭の中で響く声に 縛られる人生はもう捨てて
  アナタは無力なんかじゃないわ 幸せになっていいの…。

  「アタシをシアワセにして」なんて 可愛い台詞なんかじゃないわ
  アナタ自身の幸せの他人任せ(ひとまかせ) そろそろ辞めましょう
  アナタは誰と比べなくても 幸せを掴めるはずだから
  「アタシは幸せになっちゃいけない」 なんて刷り込みは 嚙み千切ってやるワ!




ーーーーーーーーーー



⇒過去作品
『結婚教信者』

『セピア色の約束』

『強がりの裏』


⇒参考書籍






posted by 理琉(ワタル) at 19:48 | TrackBack(0) | 歌詞

2023年01月11日

【オリジナル小説・PV】魔王魂『ハルジオン』

オリジナル小説:
『また逢いましょう、ホタル舞い降りる川で』
のPVを作ってみました。

この小説とPVの制作背景を紹介します。


  1. 制作した動画
  2. 作品の概要
  3. 制作の所感

1.制作した動画




2.作品の概要


3.制作の所感

この小説は、自分自身の体験に想像を足して作りました。
登場人物の名前や設定は変えています。



振り返っても、
本当にかけがえのない体験だったと思います。


スクールカースト下位で、恋愛に無縁だった自分が、
幸せな初恋ができたなんて夢のようでした。

あのとき、遠くの大学へ逃げる選択をしたことは、
僕にとって一生の財産になりました。



同時に、僕は今でも
「初恋補正」のかかった当時を引きずっています。

未練がましいのかもしれません。
当時の記憶も、初恋だから余計に美化されているでしょう。

10年以上経った今、作品として残したのは、
自分の中で区切りを付けたかったからだと思います。


 「人生は続く、過去ばかり見ているわけにはいかない」
 「もし再会できたとしても、あの頃には戻れない」


ようやく、それを受け入れる心の準備ができたのかな…。
決意が揺らいだら、自分で書いた小説とPVを見直すことにします。



また、ホタルを見に行きたいです。
また、夏の「一の坂川」へ行きたいです。



⇒過去作品・MMD動画
【オリジナル小説・PV】魔王魂『彩を失くしたアメジスト(リメイク)』

【自作MV15作目】魔王魂『12345』Short

【自作MV17作目】魔王魂『Burning Heart』Short



⇒過去作品・オリジナル小説
【短編小説】『いま、人格代わるね。』前編

【短編小説】『シアワセの薄い板』前編

2023年01月10日

【オリジナル小説・PV】魔王魂『彩を失くしたアメジスト(リメイク)』

オリジナル小説:
『ゆりかごは、この手でゆらしましょう』
のPVを作ってみました。

お借りした楽曲の解釈や、
作品づくりの過程で学んだ心理背景を紹介します。

※アニメーションは「MikuMikuDance(MMD)」で、
 登場モデルは「VRoid Studio」で作成しています。

  1. 制作した動画
  2. 作品の概要
  3. 制作の所感

1.制作した動画




2.作品の概要


3.制作の所感

この曲のキーワードは「都合のいい女からの脱却」だと思います。

僕はこの曲をなぞった小説を書くにあたり、
「”都合のいい女”になってしまう根本原因」を学びました。

そして見えてきたのは、
 『親から愛情をもらう再挑戦のため、恋人を親代わりにする』
という心理です。



<都合のいい関係・負の無限ループ>

1. 幼少期、親から愛情をもらえずに成長すると、
  愛情や関心を恋人に求める

  この人なら「私の親の代わりに」愛情を注いでくれるだろう

2. 私の親は、子どもの私に愛情を与えなかった”ひどい親”だ

3. 私の「親から愛情をもらう再挑戦」のためには、
  恋人も同じく”ひどい人”である必要がある
  正確に「私の親係」を演じてもらうために


4. ”ひどい人”だから浮気されたり、搾取されたりする
  だけど、ひどい扱いを受けても離れられない
  見捨てられたくないから

5. 私にとって、恋人に見捨てられるのは
  親に見捨てられるのと同じ

6. 恋人との関係に失敗すると、
  「親との関係構築に失敗した」という
  人生最大のトラウマが再現される


7. もう、あんな悲しい思いはしたくない
  だから、ひどい恋人≒親代わりにしがみつこうとする

⇒1. に戻る



僕はこの曲が大好きです。
もう4回、この曲を作品に使わせていただいています。

ここまで惹かれるのはきっと、
「愛情をもらう再挑戦の無限ループに気づき、自分を変える決意」
に共感したからです。



親から愛情をもらえたという実感=基本的信頼感は、
3歳頃までに決まるそうです。

これが得られなければ、その後の人生すべてが
「恋人を親代わりにした再挑戦」になりかねません。


・自分の恋愛が苦しいのはなぜか
・都合のいい関係を受け入れてしまうのはなぜか

人生の途中で、その原因に気づけるかどうかが、
すごく重要な分岐点だと学びました。



⇒過去作品・MMD動画
【自作MV15作目】魔王魂『12345』Short

【自作MV17作目】魔王魂『Burning Heart』Short


⇒過去作品・オリジナル小説
【短編小説】『また逢いましょう、ホタル舞い降りる川で』1

【短編小説】『いのちの電話と、聞き上手』前編


⇒参考書籍






2023年01月04日

【オリジナル歌詞】『結婚教信者』

「ケッコンすればシアワセ」「独り身は寂しい人生」
いつ誰が決めたのよ? シアワセの”既定路線(レール)”

「孫を見せて」「お見合いして」「いい歳だから身を固めて」
アナタの欲望を 押しつけないでよ

  結婚してるアナタは ”シアワセ”なはずなのに
  なぜそんなに妬ましいカオで ”結婚教”へ引き込もうとするの?
  認めなさいよ アナタは 道連れにしたいだけ
  アナタの支配欲が 透けて見えるのよ アタシを縛らないで!



「この人を逃したら 一生相手が見つからない」?
”アナタの未来予知ができる”とでも言いたいの?

「結婚して コドモがいて 初めてイチニンマエの大人」?
洗脳用の教義は 聞き飽きたわ

  決めつけないで アタシが幸せじゃないなんて
  娘(アタシ)が”独身(ヒトリ)”で困るのは アタシじゃない アナタ自身でしょう
  気づきなさいよ アナタは セケンテイが怖いだけ
  誰と比べて不安か知らないけど 娘(アタシ)は道具じゃないわ!



「きれいなお嫁さんになりたい」「いつかウェディングドレスを着たい」
それは本当に ”アナタの意志(ユメ)”なの?

  結婚は魔法じゃないわ アタシがいる”現実(セカイ)”は
  儲けるための「シアワセの”既定路線(レール)”」を 繰り返し見せられる世界よ
  アタシを誘わないで ”結婚教”には入らないわ
  アナタが信じてる1つじゃないのよ 「幸せのカタチ」は



  アタシだけの「幸せのカタチ」を 見つけ出してみせるわ




ーーーーーーーーーー



⇒過去作品(歌詞)
『色恋シゴト』

『ハイイロノソラ』

⇒過去作品(小説)
『また逢いましょう、ホタル舞い降りる川で』1

『涙まじりの煙』


⇒参考書籍



posted by 理琉(ワタル) at 19:25 | TrackBack(0) | 歌詞
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自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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