年齢を重ねると、物事を思い出せない…なんて感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
30代で若年性認知症を発症する方もいると聞くと、ちょっと他人事じゃないかもと感じる方もいるかもしれないですね。
今回は、今だから知っておきたい「若年性認知症」について、医師から話を聞きました。
認知症とはどのような状態か、教えてください。
認知症は、一度正常に発達した知能が何らかの原因により知能低下を起こし、それが元に戻らない状態です。
単に知能だけの問題ではありません。
もともと非常に穏やかな人が、急に攻撃的になったり、疑い深くなったりするような性格の変化も、認知症に含まれると言えます。
この認知症が若い方にも発症することがあり、「若年性認知症」と呼ばれています。
日本全国で約4万人の患者がいるとの統計もあり、決して珍しい病気ではありません。
認知症の種類として大きなものは、脳血管型認知症とアルツハイマー型の認知症になります。
これは高齢者のかかる認知症でも、若年性の認知症でも同じです。
これ以外にも、レビー小体型、前頭側頭葉型認知症、アルコールの多飲によるアルコール性認知症なども若年の方でも見られます。
何歳ぐらいで、どのような症状があらわれますか?
若年性認知症とは、65歳以下で発症するものを指します。男性のほうが多いといわれています。
症状は高齢の方の認知症と同じように、物忘れが目立つといったことが増えます。具体例としては、大事な約束をすっぽかすだけでなく約束をしたこと自体を思い出せない…というようなことが増えてきます。
この点が、ただ単に約束をすっぽかして、後で「しまった!」と思う「度忘れ」とは異なる点です。
症状が進行すると、今いる場所や自分名前が思い出せない、近所で迷子になってしまうといったことが出てきます。
初期症状で、自分で気づくことはありますか?
初期のころには、社会生活上でのトラブルが生じ「おかしいな」と本人が気づくことも多いようです。
ただ、年齢が若いと周囲も認知症とはなかなか思わず、うつ病などを疑われたりするケースも多いといわれています。
周りの人が、初期症状で気付くポイントはありますか?
家族など身近な人が気づきやすい認知症の早期の兆候として、以下のようなポイントがあります。
・買い物などで計算できず、お釣りがわからなくなる。
・複雑な手順の行動(料理など)で以前できていたものが急にできなくなってしまう。
・車の運転で事故を起こす。
また、きれい好きであった方が片付けの手順がわからなくなって、部屋が乱雑になることもよくみられる兆候の1つです。
若年性認知症は、アルコールのように生活習慣によるものもあります。一方で遺伝的な側面も発症には関与しているといわれます。
若年性認知症を発症するとご本人はもちろん、家族の方も悩むことが多いと思います。
仕事や社会生活上の問題、家庭の問題、もし本人が自覚していない場合の告知の問題など、さまざまな問題があります。しかし、決して珍しい病気ではないだけに、サポートグループなど支援の仕組みも徐々にできているようです。
認知症の進行を遅らせる効果のある薬なども世に出始めています。気になる場合は一人で悩まず、まず精神科を受診してください。