2023年01月20日
拾った石 2
A「あ〜ぁ、こいつの嘘バレバレですよね〜」
僕「ちょ…嘘ちゃうって」
と昨日の状況を思い出そうとしたが、何故かどうしても思い出せない。
かろうじて覚えている「やっぱ今日オマエ誘っといてよかったわ。これに懲りずに付き合ってや」という事を言うと
A「俺そんなん言ってないし、夢ちゃうん?それ、夢やって。ああ夢、夢」
僕「いやそんな事無いって、でも全然思い出されへんねん。何でやろ」
A「オマエ一回病院行った方がいいんちゃう?記憶ないって何か怖いやん」
僕「ちょう待ってって。じゃあオマエの言う事がホンマとして」「
A「俺はオマエの携帯電話も知らんし、昨日オマエとも飲んでも無い。というか大阪におらんかった。証拠もある」
といって福岡市にあるホテルの領収書を見せてきた。日付は今日の午前チェックアウト。
どうなってんの?これ。俺頭おかしくなったんかな?と思っていたら、僕が整理のつかない頭で、うおー!思い出されへん!ともがいてる時、Aが突然言い出した。
A「ちょっと真剣に聞いてほしいねん」
Aはちょっと寂しそうに話した。
A「昨日な、〇〇(Aの弟)の命日やねんな?でやな、何かしらんけどお前らの夢を見た訳よ。で、懐かしくなったというか、まあ後で言うけどオマエに会わなあかんと思った。弟が死んでだん5年も前の事やからオマエは忘れているかも知れんけどな、昔はよう遊んだな悪さしてwあの日な俺、弟死ぬん何となく知っててん。これは後から言える事かも知れんねんけどな、何かな、俺昔から知ってる人とかの夢を何日か立て続けに見る事があるねん、何か最初は白黒やねんけど、途中からセピア色というか真っ赤に変わって行くねん。その後その人にあんまり良くない事が起きるような気がするねん。怪我とか、あと、死んだりとか…。で、弟の時も1週間くらい前からしういう夢見てて(弟の夢)、偶然かも知らんけど弟の時も真っ赤になってん。その後あいつ死んでもうあ」
僕「死ぬんがわかる?んなわけないやん!オマエもうちょっとマトモな嘘付けって!言っとくけど俺のは嘘ちゃうで!」
マ「いや、死期がわかる人っておるらしいで。俺の連れもそんな事言ってた奴おった。そいつのオカンもそういう人やった」
A「まあ、おれがそうかどうかは知らんけど、結果そうなってしまったんや」
僕「まあええわ、で?その死ぬんかわかる夢って」
A「そう、昨日見た夢や。いきなり3分の2くらい真っ赤やった。正直こんなん初めてやしどうして良いかもわからんし、とりあえずオマエに会いに来たっちゅうわけや。詳しく言えば何か草原みたいなとこにオマエと弟がいて、その草みたいなゆらゆらした地面が真っ赤やった。ちょうどこれくらいかなぁ」
と膝下位をさした。
A「だいたい赤い夢見る時は、白黒からジワーってゆっくり変わって行くんやけど、いきなり赤いのは見た事無いからびっくりしてん」
僕「俺どないかなるかも知れんってこと?この手かな?」
A「それはわからん、そうかも知れんし、違うもんかも知れん」
僕「死ぬかも知れんという事?」
A「わからんねん、そればっかりは」
僕「でもな、いきなりそんなん言われても、信じられるわけないやん!」7
そんなやり取りをしているとAが泣きそうな顔で言った。
A「その夢にな、俺もおってん」
僕「俺と弟ちゃうんか?そんなん最初に言わんかったやん」
A「言うたら死ぬんちゃうかと思って、言えんかった」
僕「そうか、俺は死んでもええと、オマエ最悪やな」
A「死ぬとは決まった訳はないって、ただの夢やし」
僕「そうやな、ただの夢でギャアギャア言うなよ2wシャレになたんでほんま」
実は僕はかなり怖かった。ただAの出来の悪い夢を笑うしかなかった。
でもそれは笑えない事だと思い始めた。
今朝見たジーパン!
頭の中がむちゃくちゃになって来た。昨日僕はAと会ったのか?会ってないとすれば一体誰に会ったのか?というかどこに行ってたのか?AではないAと?
携帯の番号も知らない、バーにも来ていない、Aの見た赤い夢、膝下が赤く染まる夢、今朝見たら膝から下がどす黒く濡れていたジーパン。
一気に押し寄せて来て頭が痛くなり、耳鳴りもする。あまり酔っては無かったと思う。
今はもう何も考えられない、無理だ、もう帰ると言うと、Aが送って行くと言い出した。
それを僕は断った。何となく嫌な気分になったから。
Aと僕はバーを出た。Aはまだ何か言いたそうにしていたが、構わずに自転車に乗った。
Aは最後に「気をつけて帰れよ」と言った。
僕は「オマエ、人の事言えへんねんで」と言った。笑うと思ったがAは真顔でうなずいた。
僕はあわてて目を逸らした。何か分らんけど嫌な感じだった。
自転車片手運転で家に帰宅。
到着するなり、誰かに後ろからドンと背中を押された。その直後携帯が鳴った。
後ろを振り返ると誰もいなかった。
電話はAだった。
僕「何?どうしたん?」
A「どうしてるかなと思って」
やたら元気な声にさっきのは、嘘だと直感した。
ふざけてるのかとAに何か言ってやろうと思った。
僕「何が、どうしてるって何?」
A「大丈夫か?昨日さあれだけ酔っ払ってたんやん2人共」
僕「う、うん…で?」
A「ちゃんと帰れたかなと思ってな」
何か違う、今度は違うのがわかった。何かさっき会ってたAじゃ無いのがわかった。
雰囲気か?空気みたいなものが違う気がして。
僕「オマエ何言ってんの?‥‥…オマエさ…A?」
A「……迎えにいこうか?」
僕「来んでええ、来んでええ!」
A「迎えにいこうか!?」
僕「来るな!来るな!‥‥」
途中で携帯でしゃべってたはずが、頭の中でぐるぐる声が回る感じになり(昼と同じ)多分気絶したんだと思う。
朝玄関の入ったところで寝ていた僕を起こした、母が一言。
「あんた、ええ都市しておねしょするってどういう事?」
黒のパンツが腰辺りから下がびっしょり濡れていた。においは無い。
携帯の着信履歴をみた。Aの名前はやっぱり、というか無かった。
その日の昼過ぎ仕事場のビルのゴミ捨て場にいく事に、自転車片手運転で駅まで。
地下鉄に乗り仕事場のゴミ捨て場に向かった。箱ごとビルのゴミ捨て場に捨てようと思い、最後に怖いもの見たさで箱の中をのぞくと、腰が抜けそうになりその場にへたり込んでしまった。
石が真っ二つに割れていた。
色は真っ黒に、中が真っ赤になっていた。むちゃくちゃ怖かった。手がものすごく震えだして、止まらなくなった。
最初この時間くらいに見た時は青ぽかったのになぁと、怖さで混乱しそんな事を思ってしまうほどだった。
急に震えが止まった。体はかなり冷えていた。玉の入った箱をゴミ置きに置いて、足早に駅へ。
駅までは行ったが、石を捨てた解放感?はあっても、何かすっきりしないので、普段はやった事のないパチンコ屋へ。
ぼーっと玉を追いかけていると、よけいな事を考えずに済んだ。気がついたら日が暮れてたし、金もほとんどなくなっていたw
夜家に帰って夕飯を終え、風呂に入ってると、夕方から幼児に出ていたオカンが帰って来て、オカンが「あんた!どこいってたんな!何回電話しても通じひんし!留守電聞いてないの?あんたA君っておったやろ?亡くなったらしいで、電話があってA君のお母さんが一度電話くれって」
Aが?嘘やろ!と思いつつA宅へ電話する。
僕「もしもし〇〇(僕の名前)ですが」
「ああ、〇〇くん…ちょっとね大変な事になってね、ちょっと奥さん呼んで来るからまっててね」
何か向こうはざわざわしている。
Aママ「〇〇君?Aがね」
僕「母から聞きました、今からいきますわ」
Aママ「いや、通夜はもうちょっと後やから今日はええよ明日でも。本人おらんしな」
僕「いや今日の方がいいんです。僕昨日Aと会っているんです」
Aママ「多分そうやろうと思いました。それやったら、まあ、家に来てください。気をつけてね」
電話を切りその足でタクシーを呼びA宅へ。昔はちょくちょく行ってた家だ。
A宅に着くとAママが見せたいものがあるから、Aの部屋へ案内した。
開けたとたんにちょっと嫌な感じがした。硝子テーブルに落書き帳?画鋲氏のやつがぽつんと置いてありそれを開けてみろと言った。
中に書いてあったのは僕とAママ宛ての手紙だった。
中身はこんな感じ(全文ではないです)
おかんへ
おかん、これ見たら〇〇へ電話してこれ読むように言って。絶対に!
〇〇へ
昨日は変な事急に言ってごめんな。
でもオマエも十分に変な事言ってたで、俺に会ったとかかなりキモイ事言ってたしな。
で、夢の内容やけどあの後家帰って見たのは下半身全部赤かった。そんで、じわじわ首の方まで赤くなって行きよった。もちろん俺もや。
気になってんけどオマエはなんか黒い何かを持ってて、その周りが異常に赤かった。
何かの固まりみたいなもん。それしか分からん。
今日は弟の命日やけど、ひょっとして俺の命日になるかも知れんなぁ。アホみたいな話やけど…。
俺ら誕生日同じ日やしな。
オカンには悪いけど先に行くかも知れんから、先に言っとくわ。生んでくれてありがとうな。
何やろうなこれは、こう引っ張られる感じって。最近何かに引っ張られる感じがするわ。
手紙はここまでしか書かれていませんでした。後半はちょっとした遺言?みたいになっていた。
死ぬのがわかったのかどうかは、誰にもわかりません。
Aママがお茶を淹れるわと、台所へ行った。その間手紙意外何も書かれてない落書き帳をぺらぺら。
めくっていて思わず手が止まった。そこにはあれがあった。
真っ黒な大きな丸が書かれていた中心には真っ赤にぶり潰されていた。クレヨンで。
何度も何度も塗り重ねて黒が盛り上がってた。
ページの端の方に小さく何か書いてあった。というか鉛筆で書いて消しゴムで消した感じ?
書かれていないけど、書いた跡。
「探し物」って。
しかも誰が見てもAとは明らかに違う筆跡で。
はっきり言って今でも一番鮮明に残っている場面。後は何かようわからん話ですが…。
どういう状況か分かりませんが、Aはベッドの上で眠るように亡くなっていたようです。
Aママが昼前になっても起きないAを起こそうとしたら、呼吸しておらずに病院へ運ばれその時はすでに亡くなっていたそうです。
病院で服を脱がす時、足から首にかけて何本か赤いミミズ腫れのようなものがあったと言っていました。
Aが手紙を夢から覚めてすぐに書き、何か途中で眠たくなったので寝たのでしょうか。
石の事も含め何も分かりませんが、なぜかすべてが石を拾った直後に起こった出来事です。
石に助けられたのでしょうか?Aに助けられたのでしょうか?
石とAが何か関係あったのか知りません。
12月31日夜中から1月2日の朝まで40度くらいの高熱が出た。
夢に何度もAが出て来た。何か叫んでいるようだったが何か分かりません。
僕の腕は正月明けの1月5日(たぶん)にふと上がるようになりました。
それ以来は何も起こっていません。
Aママから後から聞いた話しだと、偶然にも弟が亡くなった時同じ感じだったらしいです。
Aは自殺と思われましたが、心不全みたいな事になったみたいです。めちゃ怪死だと思うんだが。
そういう事なので、Aママの所に警察関係の人とか来て、事情聴取されてたみたいですが、外傷(ミミズ腫れは何故かすぐにひいたらし)や薬物(毒?)反応もなく殺人ではないと判断されました。
父親はAが5歳のときに亡くなったらしいのだが、Aパパは人の死期がわかる人だったらしい。
ちなみに手紙にあったようにAとA弟は同じ誕生日、僕も実は同じ誕生日です。
今もちょっと年末が怖いです。
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