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2017年09月09日
バットの芯
野球のバッティングは、ピッチャーが投げたボールが、三次元空間位置の"どこ"に来るかを「予測」し、バットを振ってボールとバットを「衝突」させる「技術」で、「時間的予測(タイミング)」の"正確性"も求められる"難しい"技術であるという人もいる。
プロでも、3割打者が評価される。10回のうち7回も失敗するのに・・・。
ボールをバットの"どこ"に、「衝突」させればいいのだろうか?
「バットの芯」と言われる。バットのどこだろう?
ボールが、バットに衝突すると、"振動"が起こる。「バットの芯」で、衝突させると、振動が起こらないのだと。
打った瞬間に、手がしびれるのはバットで起こった振動が、手に伝わっていることなんだろう。
「バットの芯」=「スイートスポット」とも呼ばれるのだそうだ。
「バットの芯」には2つあり、厳密な定義が難しいのだとか。「バットの芯」を人工的には作られるものではなく、構造上から出来るんだね。
1)スイートスポット
バットの決まった位置にある。
2)撃芯
ボールの衝突に反発することに変わらずに回転していくポイントがある。グリップの持つ場所によって変わる「芯」である。
(参考文献)
石垣尚男:野球の眼、愛知工業大学研究報告 第51号 平成28年
川村卓:決定版バッティングの科学、洋泉社、2016
2017年09月08日
最後までボール・・・(3)
野球の打撃の研究には、打撃の「正確性」、「タイミング」、「スイング速度を速くする技術」などがある。野球指導者の観点から、「指導方法」についての研究もしてもらいたい。
面白そうな文献があったので紹介します。
打者は、漠然と「ボール」を見ているのだろうか?
投球コントロールの正確性の研究において、標的が「小さい」ほどコントロールは正確になるらしい。しかし、小さ過ぎるのは、逆にコントロールを悪くするそうだ。
打撃ではどうだろうか?
打者の「視点」絞ることによって、「インサイドアウト」のスイングになるという仮説の検証を行った研究です。
スタンドティに、ボールを置き打撃し、それを撮影し分析するものである。「黒丸」を付けたボールと、つけないボールでの打撃フォームの差を動画を観察し分析している。
「黒丸」を付けたボールを、"打者の身体に近い側"に見えるように置き、その「黒丸」を見ながらスイングするのだという。
結論から言うと、「インサイドアウト」のスイングになったとか。
「視点」を絞ってボールを「見る」という指導はありかと思う。
自分の子どもが、低学年の時、同様なことをしたことがある。この時、「黒丸」を真ん中に置いて(もちろん、見える位置)打たせたことがある。更に、「黒丸」のチョイ下を打たせた。(バックスピンなんだが・・・)
この文献では、「黒丸」の位置を動かし、効果の違いには言及していない。
もう一回、低学年の子どもたちにやらせてみようかナ。
(参考文献)
石垣尚男:野球の眼、愛知工業大学研究報告 第51号 平成28年
(引用文献)
石垣尚男、樽本裕樹:野球の打撃動作の改善-ボールへの視点から-、愛知工業大学研究報告 第45号 平成22年
2017年09月07日
最後までボールを・・・(2)
ベンチから、バッターボックスの選手へ、「ボールをよく見ろ」と声を掛ける光景は珍しくない。本当に、ミートするまで、ボールを見ていられるのだろうか?
先ず、バッターは「ストライク/ボール」を"いつ"判断するのだろうか?
ググってみた。
野球のバッティングを次のように定義する文献があった。
「投手の投げたボールがホームベース上の三次元空間位置の"どこ"に来るかを"予測"し、そこに向かってバットを振りだし、ベース上でボールとバットを衝突させる技術」
空間位置だけではなく、「時間的予測(タイミング)」の「正確性」も求められる技術だと。
そのために、ストライク/ボールを選別する「選球眼」は、大切だけれど・・・。打撃動作を考慮すると、ボールがホームベースを通過する前に見切って、打つならば、打撃動作を起こさなければいけない。
だから、"どこかで"選球せなアカンわけで・・・。
また、ストライクで打つなら、"どこ"を通過するのかも、「予測」せなアカンねんナ。
投球初期に段階で、「予測」するので、最後までボール見てられるわけないわナ。
詳しい測定方法は、文献を読んでほしいが。被験者(大学硬式野球部員)に、投球後の距離に応じ「視覚を遮断」し、ストライク/ボールの判断させるのだという。条件は、球速120km/hでストレート。
(投手のリリース距離からホームベースまでを17mとし、リリース位置から、1/5,1/3,2/5,1/2,2/3,4/5の距離)
正答率は、「1/3」で約60%だったとのこと。4/5では、視覚を遮蔽なしと同等とのこと。
しかし、「1/3」の時点で判断できても、正確なバッティングはできないという。
4/5の時点まで、「ボールを見ないと」となるんだネ。この研究結果では。
変化球が入ると、「ボールの回転」等見たりするから、結果は変わるんだろうナ。やはり、カットボールや、フォークボールのような、ホームベース上で「変化」する球を打つというのは難しいんだネ。
(参考文献)
川村卓:決定版バッティングの科学、洋泉社、2016
(引用文献)
石垣尚男:野球の眼、愛知工業大学研究報告 第51号 平成28年
石垣尚男、福田和夫:野球のバッティングにおけるボール情報の有用性、愛知工業大学研究報告 第32号A 平成9年
2017年09月05日
良いバッターの共通点
良いバッターには、共通点があるとのこと。バッティングの「打撃動作」の調査研究の成果であろう。その目的は、良いバッターの特徴を明らかにし、伸び悩む選手に「何をすればよいのか」を見つけるのだという。
共通点
(1)ミートが上手い
投球の変化に対応する能力が高い。
(2)スイング速度が速い
ボールに上手くパワーを伝える。
(3)タイミングの取り方が上手い。
目と「下半身」でボールを打ちやすい場所まで引き付ける能力が高い。
野球の練習内容だけではなく、「身体の使い方」が、バッティングの上手い子とそうじゃない子との"差"であるらしい。
日常生活で動かさない部分の筋肉の「動かし方」だという。
トレーニングとして、色々な「動き」を行うことの大切さを感じる。特に、学童の子には有効だと思える。
低学年や初心者のバッティングの特徴の1つとして、バッターボックスで「棒立ち」しているのが観察させる。タイミングの取り方を、習得できていないのかなと思うことがある。自分なりのものを、身につけられるよう指導したい。
先ずは、思いきり振って、ボールが遠くに飛んでいく「快感」を味会わせたい。そこから、創意工夫してもらいたいネ。
(参考文献)
川村卓:決定版バッティングの科学、洋泉社、2016
2017年09月04日
長打を打ちたい・・・
バッティングにおいて、遠くに「かっ飛ばす」のは、打者にとってとても気持ちいいことだと思うし、観ている方もスカッとする。
野球の「戦術」上、常にフルスイングというわけにはいかないのだろうが、「打て」のサインなり、指示があれば、思いきりスイングして欲しい。
打球の「飛距離」を出すためには、「どう」すれば良いのだろうか?
次の3つが出来れば、「直衝突」が起こり、「打球速度」を大きくすることができ、飛距離が出るという。
1)速いスイングをする。
2)バットの芯でボールを捕らえる。
3)ボールの重心に当てる。
ピッチャーが投球したボールの「軌道上」に、バットの軌道を合わせることが"必要"になるのだとか。打球の角度を45度にするのが、理想となるが、45度で打とうとするとボールとバットの衝突がうまくいかないのだとか。
じゃ、"実際の長距離打者"は、"どんな"スイングをしてるの?
長距離打者のスイングを分析した結果、25度前後であるらしい。
(ほぼ水平って言うのは乱暴か)
「アッパー気味にスイングし、「直衝突」させて打つ。」というのが、「結論」となる。
先ずは、実打し「自分なり」の"感覚"を身につけておくことが大事なんだから、フリーの打撃練習で、「考え」ながら打つ練習も大切だよネ。
(参考文献)
川村卓:決定版バッティングの科学、洋泉社、2016
2017年09月03日
最も厳しい「罰」
「私が選手に与えた最も厳しい罰」
練習に、参加させないことだという。
UCLAバスケット部は強豪チームで、そのチームで練習できることが「特権」であるという。
だから、練習を一生懸命やってないとき、「練習」を止めるというと、空気が一変すのだとか。
しかし、いつもそうなるとは限らないのだとか。
"のんびり練習"を続ける時は、体育館の電気を切って帰ったこともあるらしい。
「特権」を取り上げることは、やはり、一番厳しい、つらい「罰」なのだそうだ。
(John Wooden:育てる技術、ディスカバートェンティワン、2014)
かなりのエリート集団でも、チンタラ練習をやらかすことが、あるんですネ。
学童の間は、野球が好きじゃないと・・・。
好きになるよう指導するのが大事だネ。
練習中止を宣言した瞬間、万歳、されちゃちゃ日には・・・。
2017年09月02日
「素振り」を・・・
最近の研究では、「素振り」に関する報告があるという。
・「マスコットバット」(重い)を振った直後のバットスイング速度は、低下するという。
・「素振り」の全力度合いの違い
(ネクストサークルでの「素振り」)
努力度100%(全力)の「素振り」と努力度50%の「素振り」では、努力度100%方がスイングスピードが上がるのだとか。
(次打席前、チンタラ「素振り」は、するもんじゃないってことか・・・。)
・「素振り」は、実打と比べ"上下方向"にバラツクのだと。「素振り」は、頭の中で想定したボールを打つのだから、チョッとびっくり。
・実打は、「素振り」よりもスイングスピードは遅くなるのだとか。動いてくるボールを捕らえるため、フルスイングとはいえ、若干遅くなるんだネ。
「素振り」の弊害として、気になるのが、「間違ったスイング」が身につくということだ。これ一番"アカン"やつだネ。
子どもたちの「素振り」を「観察」して、「現状」を把握して「次」の対策へ。
(参考文献)
川村卓:決定版バッティングの科学、洋泉社、p.40-42、2016
2017年09月01日
投球動作・・・
ボール投げの能力を調べた研究では、テニスの硬式ボールを用いることが多いらしい。小学生低学年や、幼児では、大きいかもしれないが、6歳児男女の投能力を測定し、テニス硬式ボールの遠投距離と他のボールの遠投距離の間には、強い「正の相関」が認められたという。
・遠くに投げられる子
投動作に関する「技術」、「筋力」が備わっている者だそうだ。
投げる「技術」、「筋力」を"どのように"身につけたのだろうか?
幼稚園就園前の子を対象にした報告は少ないのだとか。参照してる文献が1992年なので・・・。しかし、2014年に、「公認ジュニアスポーツ指導員」のテキスト、講義でもほとんどないとか言ってとタ。
1〜6歳の90名で、オーバーハンドによる硬式テニスボール投げを実施した結果。
・「性差」は加齢とともに増加
4歳以降、男女差が顕著だという。
幼稚園、小学校男女で、硬式テニスボール投げを実施した結果。
・男子の7,8,9歳で遠投距離が増加大
こういう研究報告を読むと、投球動作の「技術」、「筋力」、投球動作のトレーニング開始時期を考慮した「指導」が大切だと思う。現在は、お父さんとキャッチボールをする子も減ったので、投球動作の「技術」を持った子はいるかな?男女差も無くなってきていると思う。
野球にとっても、「就学前後」の子どもの指導が、大切であることがわかる。
「個人差」と子どもの「体力」、「こころ」(心理)を理解していこう。子どもは、大人のミニチュアでは無いから。
(参考文献)
宮下充正、桜井伸二:投げる科学、大修館書店、1992
2017年08月31日
体力トレーニング(2)
検討しようとする体力要素
1)握力(筋力)
2)反復横跳び(敏捷性)
3)20mシャトルラン(持久力)
4)立ち幅跳び(パワー)
5)長座体前屈(柔軟性)
6)上体起こし(体幹部の筋持久力)
7)身長
ここで、ボール投げがないのが気になるが・・・。
結果を、次の画像に示す。
表の「順序」とは、体力トレーニングの最適年齢の順序を表す。
・男女「差」が出ている。
男子は、身長と持久力がほぼ同期する。
女子は、身長のピークより、1.5年遅れる。
同年齢でも、男女別のプログラムも必要か?
・従来のモデル(宮下モデル)よりも、最適年齢が早まっている。
・「幼児期」の発達の可能性が大きい。
今後の研究に期待したいが・・・。
(データが不足しているらしい)
この論文から、先行研究のモデルよりも、早まってきていることがわかる。
子どもは、大人のミニチュアではないし、あくまでも「個人差」もあるし、「現場の子どもたち」を「観察」し、指導していくことも大切だと思う。
子どもの身体とこころを十分理解し、指導していこう。
ボール投げも、幼児期からではないかな。
(引用文献)
大澤清二:体力トレーニング開始の最適年齢を求めて、体育の科学、Vol.63, No.3, 181-186, 2013
(参考文献)
宮下充正:体育とは何か、大修館書店、1984
2017年08月30日
体力トレーニング(1)
スポーツをするためには、「体力」がいる。これは、低学年の子どもにもいえる。では、「体力トレーニング」開始の最適年齢は、あるのだろうか?
文部科学省の「体力テストデータ」を用いて検討した研究がある。直近の10年間の「平均値」から体力テスト項目(種目)ごとに、「発達曲線」を求めたと言う。数値解析は、横軸に「年齢」、縦軸に「平均値」をおき、発達曲線を連続関数とする。論文では、9次の多項式で最小自乗法で求めている。この関数の極大値の前後を「最適トレーニング時期」と考えている。
従来の「発達モデル」にない、「性差」、「発育曲線の変化」を考慮すると言う。
検討しようとする体力要素
次の要素の「最適トレーニング時期」、「性差」、先行研究との比較を行い、体力トレーニングの最適年齢の順序について言及している。
1)握力(筋力)
2)反復横跳び(敏捷性)
3)20mシャトルラン(持久力)
4)立ち幅跳び(パワー)
5)長座体前屈(柔軟性)
6)上体起こし(体幹部の筋持久力)
7)身長
(2)に、つづく。
(引用文献)
大澤清二:体力トレーニング開始の最適年齢を求めて、体育の科学、Vol.63,No.3,p.181-186,2013