(2018年投稿記事です。)
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近年、経済的徴兵制が日本でも導入されると、声高に叫んできた皆様方いかがお過ごしでしょうか?
当時は、すぐにでも開始されるような論調で宣伝していましたね。
あれから数年、いまだ経済的徴兵制が開始される気配はありません。
どうして開始されないのでしょう?自分たちの主張を広め、勢力を拡大するための方便だったのですか?
それとも、全く日本国内の制度をミスリードで誤解されていたのですか?
今日はそんな、ミスリードされていた方々に、防衛省内の実情を聞いていただきたいと思います。
(前回記事):『アニメ宇宙よりも遠い場所でしらせが出るぞぉ〜!!』
(1)経済的徴兵制と日本の現状
私も、『経済的徴兵制』の本を読ませていただきました。
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執筆者が、米国の現在の情勢や兵役制度・奨学金返済の制度など、詳しく調査されているのを感心して読ませていただきました。
事実、米国には軍による奨学金返済システムや、満期除隊後の大学進学費用援助の制度があります。
そしてその制度が、長期化する対テロ戦争の中でいろいろな社会問題となってきています。
図1 米国軍のイメージ
引用URL:https://farm4.static.flickr.com/3166/3046353112_587d847492_o.jpg
本を読んで思った感想は、米国の現状を引用して日本でも経済的徴兵制が起きる!というのは、いささか乱暴な論調ではないかという感想を持ちました。
日本の経済的徴兵制』の参考例として、貸費学生制度があたかも経済的徴兵制の制度とする論調がありました。
1.1 貸費学生制度の実情を調査していたか?
防衛省の貸費学生の制度について、制度の紹介が本の中でもありました。
図2 (技術)貸費学生制度の紹介
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/DNh6fdEVAAAWhgg.jpg
しかし貸費学生制度を利用した人物に巡り合いインタビューできなかったといって、不安をあおる材料として使うのは如何なものかと思います。
何しろ陸海空自衛隊の中でも、貸費学生は非常にレアな人物です。
毎年、約10名を採用となっていますが、実際は10名に満たない数です。
ましてや現職の貸費学生出身幹部を探し出すのは、かなり困難です。
本の筆者の方も、貸費学生出身者にはたどり着けなかったと推察されます。
1.2 説明だけ見ると経済的徴兵制のように見える!
貸費学生の説明文だけを見ると、見方によっては経済的徴兵制の制度に思えるでしょう。
・学生時代より防衛省から学資金の貸与(奨学金)が貸与
・卒業後、自衛隊に入隊
・学資金(奨学金)の免除には、一定期間の勤務にて返還が免除
文面だけを見るなら、経済的徴兵制の制度化に見えるでしょう.
しかし幹部自衛官になるということを、意識的に見逃して論理のすり替えをしていませんか?
貸費学生は、技術・衛生分野の幹部自衛官を確保する制度として存在しています。(昭和30年からすでに存在しています)
なぜ今頃になって問題に・・・?
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(2)貸費学生=経済的徴兵制のイメージを植え付けたい?
防衛省の貸費学生制度は、一般にはほとんど知られていません。
経済的徴兵制のイメージを世の中に定着させたい方には、絶好のターゲットでしょうね。
『貧困層の学生に奨学金を出して、卒業後入隊させる。』
そんな経済的徴兵制のイメージに合致しそうなのが、貸費学生制度です。
この制度が拡充されることが、経済的徴兵制と表現したいのでしょう。
それでは、現在日本国内に貸費学生が何人いて、どのくらいの予算が使用されているかご存知ですか?(平成29年度の予算を根拠にしています。)
2・1 貸費学生は19人、予算は約1200万ほど!(平成29年度)
防衛省の予算資料の中に、各目明細書というのが存在します。
(防衛省予算関係)URL:http://www.mod.go.jp/j/yosan/kakumoku.html
貸費学生は、月54,000円の学資金を貸与されています。
大学3,4年生および修士課程1,2年生の4学年が貸費学生の対象です。
平成29年度では、全国で19人が貸費学生になっています。
(細目での『貸費学生貸与金』項目から算出)
もっと存在して、多額の奨学金が出資されていると思いましたか?
将来の幹部自衛官として、勤務できる人間を厳正に試験で選抜しているため少ないのが現状です。
2.2 高等教育無償化から見ると微々たる金額
高等教育無償化の予算規模約8000億から比べると、微々たる金額です。
経済的徴兵制で、奨学金返済のために戦地に送られる!とする主張は、論拠が薄いのではないでしょか?
2.3 任期制自衛官にあてはめたら?
任期制自衛官に奨学金を出すと仮定して、貸費学生と同じ金額を貸与した場合、いくらになるか?
計算上では、1年に約325億ほどの予算が必要になります。
(護衛艦1隻の船体が建造できます)
防衛費が年々増大しているとはいえ、実際現場では予算不足に悩まされています。
防衛関係の福利厚生制度では、大学進学援助を行う制度自体が存在しないのが米国との大きな違いです。
経済的徴兵制は、非現実的な考えじゃないですか?
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(3)オルグに来た平和運動の学生から変化しない論調
海上自衛隊幹部候補生試験に合格して、大学院修了を控えた時期にオルグに来た学生のことを思い出しました。
※『オルグ』とは!
(新左翼などの)団体が組織拡大のために、人を勧誘して構成員にすることを指す。
図3 オルグされた人のイメージ
彼らは自衛隊に入隊予定の者を、
『自衛隊に入隊させられるかわいそうな人』
と決めつけて話を行い、全く耳を貸そうともしませんでした。
経済的徴兵制も、貧困層が奨学金返済のために入隊させられるという論調です。
あのころから全く論調が変わっていないなあ・・・
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(4)ミスリードではなく違いを伝えてほしい。
経済的徴兵制の議論で目立ったのが、ミスリード・違いを判らずに話すことです。
貸費学生制度が、経済的徴兵制のイメージにはピッタリに見えたのかもしれません。
その内容をよく知らせずに、今にも経済的徴兵制が始まるかのような論調は、ミスリードでは?
貸費学生を例として出すならば、せめて内容をしっかり伝えるべきだったと考えます。
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