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2019年02月18日

出題予測問題<臨床栄養学>透析患者

昨日の問題の解説です。

Q1.嚥下に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)嚥下の準備期は、食物を認知する段階である。
(2)不顕性誤嚥とは、むせを主症状とする誤嚥をいう。
(3)のどのアイスマッサージは、口腔ケアを目的とする嚥下訓練である。
(4)嚥下造影検査(VF)では、咀嚼状態や食塊形成を評価できる。
(5)改訂水飲みテストでは、100mLの白湯を飲み干すのに要する時間を測定する。
 


【解説】正答(4)
(1)誤り。嚥下の準備期は、食物を口腔内に取り込み、咀嚼し、食塊を形成する段階である。
   食物を認知する段階は先行期である。
(2)誤り。不顕性誤嚥とは、むせのない誤嚥をいう。
   通常、誤嚥すると激しいむせが生じるが、睡眠中に自覚のないうちに鼻腔、咽候頭、
   歯周囲の分泌物を誤嚥した場合には、むせは生じない。
   高齢者の不顕性誤嚥は、誤嚥性肺炎を発症することが多い。
   なお、むせのある誤嚥を顕性誤嚥という。
(3)誤り。のどのアイスマッサージは、嚥下反射を誘発させることを目的として行う嚥下訓練である。
   凍らせた綿棒に少量の水を付けて口蓋弓、舌根部、咽頭後壁を軽くマッサージするもので、
   間接訓練として実施する。
(4)正しい。嚥下造影検査(VF)は、バリウムなどの造影剤を含んだ模擬食品をX線透視下で食べてもらい、
   透視像をビデオやDVDに記録し、嚥下運動や適切な食形態を評価、診断する検査である。
   嚥下機能の詳細な情報を得ることができる。
(5)誤り。改訂水飲みテストでは、3mLの冷水を口腔内に入れて嚥下してもらい、
   嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価する。


Q2.褥瘡に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1)骨盤骨折は、褥瘡発生の危険因子である。
(2)悪性腫瘍は、治癒を遅らせる危険因子である。
(3)十分なn-6系多価不飽和脂肪酸の摂取が必要である。
(4)ブレーデンスケールのスコアが低いほど、褥瘡発生率が高まる。
(5)体圧分散マットレスの利用は、予防に有効である。
 


【解説】正答(3)
(1)正しい。褥瘡発生の危険因子として、特に注意すべき疾患として、骨盤骨折、うっ血性心不全、
   脊髄損傷、糖尿病、脳血管疾患、COPDがある。
(2)正しい。褥瘡の治癒を遅らせる危険因子として、悪性腫瘍、心血管疾患、肝硬変、
   糖尿病などの疾患や副腎皮質ステロイド薬や抗がん剤の使用などがある。
(3)誤り。炎症亢進作用を持つn-6系多価不飽和脂肪酸の摂取は勧められない。
   なお、抗炎症作用を持つn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取は勧められる。
(4)正しい。ブレーデンスケールは、褥瘡の発生リスクを予測・評価するものである。
(5)正しい。体圧分散マットレスは、体を沈め、骨突出部等にフィットする機能によってマットレスと
   体との接触面積を拡大させることができる寝具で、骨突出部位に加わる圧力の大きさを減少させる。
   褥瘡予防としては、体位変換やクッション、マットレスなどの利用による体圧分散、スキンケア、
   利用状態の維持・改善が有効である。


Q3.老年症候群に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)誤嚥の予防では、顎を上に上げて嚥下する。
(2)経口摂取をしていない場合、誤嚥性肺炎を起こすことはない。
(3)上腕骨骨折は、寝たきりを引き起こしやすい。
(4)仰臥位での褥瘡好発部位は、大転子部である。
(5)フレイル(フレイルティ)では、筋力の低下がみられる。
 


【解説】正答(5)
(1)誤り。誤嚥の予防では、顎を引いた姿勢にする。
   これにより、咽頭と気管に角度がついて誤嚥しにくくなる。
(2)誤り。胃瘻造設などにより経口摂取をしていなくても、睡眠中に鼻腔、咽喉頭、
   歯周囲の分泌物を誤嚥した場合(不顕性誤嚥)や、胃瘻からの栄養刺や胃液が食道を逆流して
   咽頭で気管内に流入した場合などは、誤嚥性肺炎を起こすことがある。
(3)誤り。寝たきりの原因となるのは、大腿骨頸部骨折が多い。
   上腕骨骨折では腕が使えなくなるためADLの低下を引き起こすが、
   寝たきりの直接の原因とはならない。
(4)誤り。大転子部とは、大腿骨上部の外側の出っ張った部分のことで、側臥位での褥瘡好発部位である。
   仰臥位での褥瘡好発部位は仙骨部や踵骨部などである。
(5)正しい。フレイルの中核となっている要因は、サルコペニアと低栄養である。


今日は、「透析患者」の問題です。
腎疾患に関する問題は必ず出題されます。
腎機能の低下が進行すると、老廃物や水分が体内にたまり、
それを除去するために透析という処置が行われるようになります。
透析の患者さんに対する栄養指導では、体重を増やさないようにするための水分制限や
カリウムやリンといった老廃物をためないようにするためのカリウムとリン制限が主になります。
その代わり、透析導入前よりもたんぱく質の制限は緩くなるのが一般的ですね。
腎疾患の各ステージによる栄養管理基準をしっかり理解しておいてください。


Q1.65歳、男性。身長160p、ドライウェイト54s。週3回血液透析を受けている。この患者の栄養管理に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)エネルギー摂取量は、2,400kcal/日とする。
(2)たんぱく質摂取量は、60g/日とする。
(3)水分摂取量は、1,300mL/日とする。
(4)リン摂取量は、1,700mg/日とする。
(5)透析間の体重増加量は、6sまでとする。
 



Q2.透析療法に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血液透析では、透析液から吸収されるエネルギー分を考慮する。
(2)血液透析では、原則、カリウム制限の必要はない。
(3)長期にわたる血液透析では、不均衡症候群が起こりやすい。
(4)腹膜透析では、シャントを造設する必要がある。
(5)腹膜透析では、たんぱく質の喪失が大きい。
 



明日解説します。
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食品会社で勤務しながら、半年間の独学を経て管理栄養士の国家試験に合格。その後、管理栄養士として勤務するために病院へ転職。6年間で3つの病院を経験。現在は、管理栄養士国家試験の参考書の校正や答案添削を行っています。 <取得資格>管理栄養士、栄養教諭、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、NST専門療養士
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