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2017年06月02日

年が明けて手術

年明け少しして、リハビリはベッド上から車いすの乗り移りまで進んだ。それは人に抱きかかえられて。
最初は車いすに乗るだけで、自分で動かすことはできなかった。
なんとか日々回復していく。左足が少し動くようになる。
リハビリもベッドからリハビリ室で行うようになった。美人PTのIさんに言われたのが「手術が終わって1月の終わりには一人で乗り移りが目標ですね」
僕ははっきり言った、「1月終わりには歩きます!」

担当OT氏は若い人で、動かない手でタオルを寄せ集めたり、穴の開いた板に棒を刺したりするのだが、動きづらいのでイライラが募るだけだった。今から思えばリハビリは積み重ねだと解るのだが、脚よりも手が動かないのはストレスだった。毎日ベッドまで送ってもらった後に、うまく言って5分ほど肩を揉んでもらったのが嬉しかった。

毎日の医師の回診では「治る見込み」の話は一切なく、調子はどう?的な会話のみ。
雄一救いだったのが、リハビリの親方・N医師が時々診察してくれたこと。担当のPTとOTに対して、患者の前であっても厳しく指導される姿は頼もしかった。
ある時、N医師にいきなりケツの穴に指を突っ込まれた。肛門の括約筋の状態で予後がわかるらしい。
「うん、歩けるようになる」と言われた時は嬉しかった。Iさんがいたので恥ずかしかったけど。

僕は本来、几帳面で慎重な性格だった。少なくとも18歳くらいまでは。それが歳とともに楽天的というか、いいかげんというか。今回のケガの深刻さはまだ全く動かない左手で身をもってわかっているくせに、「治る」いや、「治す」と思っていたのだろう。それは今も同じ。

とうとう手術の日が来た。2015年1月15日。しかし、手術の具体的な説明がない。「狭い頸椎を広げます」程度。主治医のI先生は、若くていい先生に思えるけどあまりにも説明がなかった。
この病院は脳神経外科の手術で有名な病院。あとで知ったけどちゃんと整形外科もあるのに、なぜか脳神経外科が担当。手術はI先生でなく、「専門ではないのだけど、何例か実施したことのある上手な先生がします」という脳神経外科のA先生が執刀。なんとも・・・。
もう、自分の身体の状態はどうしようもないし、転院することも思いつきもしないし、A先生が挨拶にこられて一目みて「賢そう」「テレビゲーム上手そう=器用」で腹は決まった。

大病院だけあって看護師さん・看護助手さんも沢山いて、それぞれの方にお世話になった。特にシモの世話。小はチューブから排出されるからいいけど。中枢神経障害は排泄に難を及ぼす。これは退院してもしばらく変わらなかった。
座薬や色んな下剤を試した。でも出すときはケツの下に“プラ製の受け”を敷いてもらって出す。
あっ、そうそう1月中旬までオムツしていたんだ。

手術の朝、当番の看護師に「首を切るのだったら、髪の毛は大丈夫なの」って聞いた。
どうも忘れていたよう。楽しそうに必要以上刈り上げられてしまった。ふつうはどこまで刈るとか指示あると思うのだが?

手術についてはもう何も考えないようにしようと思っていた。なるようにしかならない。「神経をキズつけて重篤な状態になることもあります」みたいな内容の書類に親がサイン。
そして何の感情も持たずに手術室に運ばれていった。

手術室で全身麻酔。目が覚めたら自室だった。5時間半かかったという記憶があるけど、これは手術開始から目覚めまでだったのか。とにかく生きて目が覚めた。
その日はどう過ごしたのか覚えていない。ただ首の後ろからチューブが出ており、その穴の周りはどうなっているのかと、そこをどうやって塞ぐのかが気になっていた。結局、2,3日後に塞ぐのだが、またまたホッチキスだった。
I医師からは、「もういくら転んでも大丈夫だから」と言われた。この時はこの意味が良くわかっていなかったのだが後に理解できることになる。
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posted by shigenon at 14:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 頚髄損傷
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2014年クリスマスイブのプレゼントは最悪でした。 「頸髄損傷」というケガなのか病気なのか・・その症状との戦いの記録と現在の日々をアップします。 (2018年4月追加) 不全の頸髄損傷は「健常な人」に見えます。“ふつうに見える”様に努力をしています。が、反面、「もう良くなったんだ」と思われがち。 骨折とは違い、中枢神経の損傷は完全回復はしないという現実。 「健常に見える」「もっと良くなるよう努力する」「もう治っているんでしょ」の狭間で何とか毎日を過ごしています。
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