新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2024年10月05日
ターゲット
条件に合った顧客をターゲットにメールを送る
「顧客をターゲットに」という訳文を書いたら、レビュアーに「顧客を対象に」に直されました。顧客を「ターゲット」にするのは印象が良くないとのことでした。
確かに。原文が target だったので何となくそのまま訳してしまいました。「ターゲット」はサイバー攻撃などの分野でよく使われるので「悪」のイメージが少しあります。「標的」とすれば、完全に「悪」です。
マーケティング分野でも「ターゲット」はよく使われますが、どうしても売る側の小賢しさのようなものが出てしまいます。消費者としては、何かのセールや割引の「対象」にはなりたいけど、「ターゲット」にはなりたくないですね。
日付: 2024/10/05 情報元: 社外向け文書
2024年07月25日
AI
AI Data Center
最近では、何に AI が付いてもおかしくありませんが、AI が何を意味しているのかはあやふやです。
今回の AI Data Center は、「AI を活用したデータセンター」かと思ったら、「AI の処理を行うためのデータセンター」でした。AI の処理が増えていて、データセンターの電力消費が増えているというニュース(英語)のタイトルで使われていた言葉です。
ニュースのタイトルという理由もあるとは思いますが、「AI データセンター」と聞いたら、普通は、AI を活用してスマートに管理しているデータセンター (だから、電力消費は少ない) という連想がされるような気がします。
日付: 2024/7/25 情報元: 英語ニュース(NHK)
2024年06月22日
SQL
a SQL database
SQL は「エス キュー エル」と読むとばかり思っていました。でも、英語での一般的な読み方は sequel [sikwəl] らしく、日本語でも「シークェル」や「シーケル」という表記が見つかりました。
これに気付いたのは、久々にマイクロソフトのスタイルガイドを読んでいたからです。このスタイルガイドでは、略語について以下のように書かれています。
Use a or an, depending on pronunciation
Examples
a DLL
an ISP
a URL
a SQL database
発音に応じて a と an を使い分けるということです。このルールは一般的ですし、まあ普通です。でも a SQL は意外でした。
例には間違いやすいものを挙げていると思うので、おそらく、私のように「エス キュー エル」だと思っている人がたくさんいるのでしょう (?)。
ちなみに、Oracle のサイトにも SQL (pronounced sequel) という記述がありました。
日付: 2024/6/22 情報元: 企業の Web サイト
2024年05月22日
batch
大量のデータを分割してバッチ処理する
batch processing (= バッチ処理) といえば、大量のデータを一括で処理する、というイメージが浮かびますが、今回、これを「分割処理」と訳すようなケースがあり、少し驚きました。
あらためて batch を辞書で調べてみたら、この言葉自体に「大量」の意味はないんですね。私は、a number of みたいに、batch という単語自体に「大量の」「たくさんの」という意味があるのかとずっと思っていました。
辞書の説明には、おなじみの「まとめて」「一括して」など以外に、反対の意味にもなりそうな「区分してまとめる」「グループに分けて」「量り分ける」といった表現もありました。
もし「グループに分けて」処理をしたら、それは確かに「一括処理」ではなく「分割処理」ですね。調べていたら「バッチ処理」の意味がだんだんわからなくなってきました。
日付: 2024/5/22 情報元: 企業の Web サイト
2024年05月01日
対話型
対話型のサポートページを提供する
「対話型」は interactive の訳語として長年使われてきました。ただの静止画ではなく、ポチッ ポチッとクリックして何かを選択したり、グラフや表だったら値をクリックしてドリルダウンをしたり、そういった操作ができることが「対話型」だったと思います。
今までだったらそれでも十分に「対話型」だったのですが、ChatGPTなどを体験してしまうと、あの自然言語で会話できる機能の方が「対話型」といえるような気がしてしまいます。
「対話型のサービスを提供します」とうたっているサービスが、単にクリックできるだけのページだったら、それはちょっと期待外れな印象を与えてしまいそうです。
日付: 2024/5/1 情報元: 企業の Web サイト
2024年04月19日
パワーアップ
パワーアップする
ラジオ講座を聴いていたら、empower の訳語として「〜をパワーアップする」という日本語が紹介されていました。empower は訳しにくい語ですが、「パワーアップ」はいいかもしれないですね。
「〜アップ」というカタカナ語はけっこうたくさんあります。バージョンアップ、レベルアップ、スピードアップなどなど。「売り上げアップ」なんて表現もカジュアルな場面ではよく登場します。
日付: 2024/4/19 情報元: ラジオ講座
2024年03月09日
制限
年齢制限:すべて
動画配信サービスなどで、動画の画面上部に年齢制限の表示がされることがあると思います。先日、たまたま「年齢制限:すべて」という表示があることに気付きました。すべての年齢が制限されるわけがないので、すべての年齢が許可されるのだろうと解釈できますが、おかしな日本語のような気もします。
この表示は翻訳されたものだと思いますが、「制限」や「すべて」が元々どのような英語だったのかはちょっとわかりませんでした。本来なら「年齢制限なし」としたいところでしょうが、「すべて」の部分だけ変数になっていて自動的に切り替わる仕組みだったりすると、そうもいかなそうではあります。
日付: 2024/3/9 情報元: 動画配信サービスの画面上の表示
2024年01月18日
対策
セキュリティ対策、ウイルス感染対策、侵入防止対策
久々に「対策」が満載な資料を英訳しました。日本語の「対策」は本当に便利でいろいろな場面で使用されます。
「セキュリティ対策」はセキュリティを実現するための対策ですが、「ウイルス感染対策」はウイルス感染を実現するための対策ではなく、感染を防ぐための対策です。「侵入防止対策」は侵入を防止するためのものであって、侵入防止をさらに防ごうとするものではありません。
今回の仕事で参考資料として提供された既訳では measures が多用されていました。measures が使われるのは当然としても、少し悩んでしまったのが measures for です。measures for infection とすると、感染するための対策のような意味になってしまいます。
日本語でも、よく考えると「セキュリティ策」と「侵入防止策」は OK ですが、「ウイルス感染策」はだめな気がします。
日付: 2024/01/18 情報元: 企業の社内文書
2023年12月23日
内容
システムに登録した内容を確認する
最近、IT 系の英日翻訳案件で「翻訳調の表現を好まない」クライアントの仕事を受ける機会がありました。メモリなどで過去訳を確認したところ、たしかに滑らかで自然な日本語に訳されている印象を受けました。そんな訳文を見ていてひとつ気付いたのが「内容」という言葉が頻出していることです。
entry システムに登録した内容 => エントリー
details 一覧からひとつを選択して、その内容を表示する => 詳細
description 名前とその内容を入力する => 説明
record テーブルの内容 => レコード
data ファイルの内容 => データ
value 変数の内容 => 値
IT 系の翻訳者なら条件反射的に訳語が思い浮かぶものばかりですが、そうした「翻訳調」の言葉は使わない、という方針のようでした。そして、「内容」という訳が最もあたりそうな content は「コンテンツ」と訳されていました。
「内容」という日本語はとても自然な感じのする言葉ですが、ちょっと意味が曖昧になるので、使いすぎると日本語の悪い面が出てきてしまいそうな気もします。
日付: 2023/12/23 情報元: 企業のWebサイト
2023年11月20日
率直
一貫して率直でない
OpenAI の サム・アルトマン CEO が「率直でない」というような理由で解任されました。率直でないことが社長の解任にまでなるというのは私にとってはちょっと不思議な感じです。(まあ、全体として具体的なことは明らかにされていないので、「率直」という言葉に限らず、よくわからないニュースではあります。)
OpenAI の取締役会が実際に使った英語は not consistently candid です。日本の記事では candid が「率直」と訳されていることが多いようでした。一部では「誠実」という訳もありました。
candid を辞書で調べると、ポジティブな印象の訳語としては「うそ偽りのない」「忌憚のない」など、ネガティブなものとしては「ずけずけ言う」「歯に衣を着せぬ」などがありました。
物事を「ずけずけ言う」なんて日本の社会ではかなりマイナスな印象ですが、ビジネスの世界ではきっと candid であることが大切なんでしょう。(英語も日本語も難しい、、)
日付: 2023/11/20 情報元: ニュース記事