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2015年05月04日

動物絵画の250年 @府中市美術館


府中市美術館で開催中の企画展 春の江戸絵画まつり「動物絵画の250年」展に行って来ました。
ふ5yjimage.jpg展覧会の構成は以下の通りです。
序:動物という存在
1:想像を具現する
 縁起物の素晴らしい世界
 見たことのない動物
 空想
2:動物の姿や動きと、「絵」の面白さ
 迫真描写の斬新さと、その思わぬ展開
 姿や動きから生まれる「形」
3:心と動物
 動物が醸し出す抒情とおかしみ
 人と動物の境界線
 人と同じ命
 子犬に惜しみなく愛を注ぐ

最初は森徹山の「群鳥図」。ふ3yjimage.jpg全部で1372羽の鳥が描かれているとか。
次いでは狩野元信印の「鷲猿図」、泉斐の「鮎図」そして四枚目は谷文晁の「駱駝図」と四枚が並んだオープニングは圧巻でした。

・狩野山雪「竜虎図」佐賀県立博物館 山楽に比べると虎の迫力に欠けるかな?
・片山楊谷「竹虎図屏風」個人蔵
左隻の虎の敵意を込めた視線は、右隻の2頭の虎に向かっている。一本一本の毛が長く勢いのある線で描かれ、ちくちくしそうな針のような毛です。
左隻の虎の尾は高く伸びて、一旦画面から消え、竹の反対側に先端が覗いています。
楊谷は長崎生まれで、中国・清代の描法を取り入れた濃密で奇抜な作品を描いている画家。若冲・蕭白・蘆雪と同時代の画家であり、「奇想の画家」の一人であるともいえますね。
・円山応挙「虎図」相変わらずりりしくも可愛い虎です。
・倉屠竜「水呑虎図」
・土方稲嶺「猛虎図」今回のポスターになっています。鳥取藩の御用絵師。優れた写実表現と清新な色彩感覚を併せ持つ作風で知られている。門下には黒田稲皐らがおり、因幡画壇の祖と称されているそうです。
・黒田稲皐「群鯉図」鳥取県立博物館: 鳥取藩の御用絵師。鷹を飼い、池に鯉を放って写生をしていたととか。
 特に鯉の絵を得意としたそうです。
・円山応挙「百兎図」。
ふ4yjimage.jpg
ほかに「群鶴図」初期の作品ですが鶴の神々しさが印象的。「粟鶉図」も良かった。
・細川斉茲「月雁図」熊本藩の殿様。大きな月の明るさが美しい。月を切り取るような雁の描き方も見事。ふ6yjimage.jpg

・狩野章信「仏涅槃図」さまざまな動物が細密に描かれています。皆さんじっくりしゃがんで見ていました。
・森狙仙「群猿図屏風」猿の動きをよく観察しています。
後半の犬は可愛いですね。
・円山応挙「時雨狗子図」ふ2yjimage.jpg
・ 長沢蘆雪「紅葉狗子図」雀が1羽アクセント。

図録は売り切れだそうです。個人蔵の作品も多く、とても企画者の努力がわかる素晴らしい展覧会でした。
5月6日までです。ぜひお見逃しなく!


posted by はまやん at 15:53| アート

2015年04月26日

サントリー美術館 「生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」

近世日本絵画史を代表する伊藤若冲と与謝蕪村は、正徳6年(1716)に生まれた同い年の画家でした。若冲は京都錦小路の青物問屋に生まれながら、画業に没頭し、晩年に至るまで独自の画風を打ち立てます。蕪村は大坂毛馬村に生まれ、江戸、北関東、東北などを放浪遍歴の後、京都へ移り、俳句とともに文人画の世界で大成しました。若冲は彩色鮮やかな花鳥図や動物を描いた水墨画を得意とし、蕪村は中国の文人画の技法による山水図や俳画を得意としていました。一見すると関連がないようですが、ふたりとも長崎から入ってきた中国・朝鮮絵画などを参考にしています。

本展覧会は、伊藤若冲と与謝蕪村の生誕300年を記念して開催するもので、若冲と蕪村の代表作品はもちろん、新出作品を紹介するとともに、同時代の関連作品を加えて展示し、彼らが生きた18世紀の京都の活気あふれる様相の一断面を鑑賞するというものです。参考:「サントリー美術館 HP」より
じゃく1yjimage.jpgじゃく3yjimage.jpg
蕪村と若冲ともに中国・朝鮮半島からの画題の影響を多分に受けていることが見られ、時代と二人を取り巻く環境と、多角的に比較できる展覧会ですが教養に裏打ちされていながら一見反教養的なようにも思える荒っぽさの中に見られる輝き、現代にもそのような教養と表現の展開というがあるのではないかと思えます。


展示は大きく6つのコーナー(章)に分かれており、どの章でも若冲と蕪村の双方のが見られました。
1.18世紀の京都ルネッサンス
若冲と蕪村も含んだ絵師が描いた20枚からなる朱塗り膳「諸家寄合膳」
当時著名な画家は揮毫した贅沢なもの。呉春、蘆雪なども描いており、雨森白水旧蔵。
2.出発と修行の時代
伊藤若冲 筆「隠元豆・玉蜀黍図」初期の作品ですが、墨の濃淡が見事。左がもろこし、雀、右がカエル、隠元豆。隠元豆の曲がり方がアクセント。
3.画風の確立
伊藤若冲 筆「枯木鷲猿図」鷲の羽根の透明感がすごい。
与謝蕪村筆「飲中八仙図屛風」、 与謝蕪村筆「明師言行図屛風」は中国の故事をもとにした大作。
今回蕪村が中国の絵画だけでなく故事、漢詩をよく勉強していることを改めて知りました。この2作はお気にいり。
4.新たな挑戦
蕪村は発句と絵を一つの画面に描き、それぞれが響き合う俳画という新しい分野を開拓、第4章では多くの俳画作品を紹介されています。
伊藤若冲 筆「松竹梅群鶴図」牧谿鶴のよう。牙まで描かれて迫力のある鶴です。
5.中国・朝鮮絵画からの影響
伝 馬遠 筆「双鷹図」明の時代の絵画。鷹は辺文進、全体は林良とか。
伊藤若冲 筆「白象群獣図」升目描き。朝鮮絵画や西陣織下絵の影響か?
6.隣り合う若冲と蕪村〜交差する交友関係
伊藤若冲、円山応挙ほか 筆「棲鸞園画帖」松村景文、森狙仙の猫が良かった。
7.翁の時代
晩年それぞれ「米斗翁」「夜半翁」と「翁」のつく号を用い、代表作といわれる作品を多く制作した時代の作品を紹介。今回のメイン。
じゃく2yjimage.jpg
若冲「象と鯨図屏風」

じゃく9yjimage.jpg
蕪村「山水図屏風」は銀箔がこれほどコンディションよく残っているだけでも凄いことですが、所々青や金に輝いて見える部分もあります。蕪村の山脈がまるで河の流れのような自然として描かれている銀地紙本銀地墨画淡彩という技法での六曲一双の大型画面。銀箔の上に墨で書かれた風景は、昔の写真板を見ているような立体感が感じられました。

伊藤若冲 筆「石峰寺図」 京都国立博物館じゃく4yjimage.jpg

会場には二人が住んでいた場所、京都の四条烏丸界隈の地図のパネルも示されています。

直接の交流の記録は見つかっておらず、蕪村の手紙で残っている百通ほどにも若冲は出てこないとの解説もありましたが、これだけ近くて同い年であれば知っていて知り合いのように思えます。
かたや細密な超絶技巧、写生画を得意とした若冲。かたや文人画、俳画の絵師、蕪村。あまりにも近しい場所にいながら、その絵は大きく違う。今回の展覧会では、実際に比較してみることで、新たな発見がありました。また、これまでほとんど一般公開されてこなかった作品や、まったく展示されたことのない作品も出展されているということでとても充実した内容でした。

会期:2015年3月18日(水)〜5月10日(日)
※作品保護のため、会期中展示替を行ないます
開館時間:10:00〜18:00 (金・土は10:00〜20:00)
※5月3日(日・祝)、4日(月・祝)は20時まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
※shop×cafeは会期中無休
休館日:毎週火曜日
※5月5日(火・祝)は20時まで開館
posted by はまやん at 09:06| アート

2015年04月25日

京都・細見美術館「琳派のきらめき」展@横浜高島屋

細見美術館は、琳派の作品を多く所蔵していて、これまでも同館で催された琳派の展覧会は何度か見に行ったし、他所の美術館の琳派展で細見の所蔵作品を見かけた事もしばしばありますが、細見の琳派コレクションをこれだけまとまった作品数で見たのは今回が初めてで、見応えがありました。
りん3yjimage.jpgりん4o0483064013244476281.jpg

今回の出展作品の多くは、細見家で実際に飾られていたものであり、個人コレクションならではの視点・美意識も感じることができます。
会場は大きく四つのコーナーに分かれています。第一は「琳派誕生」と銘打って、本阿弥光悦や俵屋宗達の作品が展示されています。
二番目のコーナーは「花咲く琳派」というタイトルで、尾形光琳・乾山兄弟をはじめとする京琳派と上方の絵師の作品を紹介しています。
三番目は「新たなる展開」と銘打って、酒井抱一とその弟子たちによって幕末から大正時代まで展開した江戸琳派の系譜を追います。
そして四番目のコーナーでは「京琳派ルネサンス」というタイトルで神坂雪佳を紹介しています。
それぞれのコーナーともに見応えはありますが、やはり最初の光悦・宗達の作品が面白い。非常にデザイン性が高い。特に乾山は、芸術作品と言うよりも、ポップカルチャーのイラストとか洗練された商業デザインと近い現代性があります。
初期琳派はアートじゃなくてデザインといえるかもしれません。
これが抱一、其一は、光悦・宗達や光琳・乾山とは違い、特に其一の絵は後期になるほど、「近代まであと一歩」と感じます。
中村芳中 白梅小禽図屏風
りん1yjimage.jpg
梅の花は簡略化して書いてます。
りん2yjimage.jpg酒井抱一  桜に小禽図


4月15日(水)〜27日(月) 横浜島屋8階ギャラリー
入場時間:午前10時〜午後7時30分まで(午後8時閉場)
posted by はまやん at 08:41| アート

2015年04月19日

大英博物館展「大英博物館ナイト」に参加しました!

イギリス・ロンドンの大英博物館は、人類の文化遺産の殿堂として1753年に創設された世界最古の国立博物館です。約700万点もの収蔵品は、人類が刻んできた歴史を辿る文化の集積です。
4月18日(土)より東京都美術館にて開催される大英博物館展は、大英博物館が所蔵する、先史・ヨーロッパ、古代エジプト・スーダン、中東、ギリシャ・ローマ、アジア、アフリカ・オセアニア・アメリカ、コイン・メダル、版画・素描の8つの所蔵部門約700万点にも及ぶコレクションから、選び抜かれた100の作品を展示し、200万年前から現在に至る人類の創造と歴史をたどる貴重な企画です。
今回大英博物館ナイトに参加することができましたのでそのご報告をしたいと思います。
RIMG0058.JPG
展覧会の趣旨は、土器や石器から始まり、工芸品や美術品といった、さまざまな「モノ」を通じて、200万年前から現代に至る人類の歴史を学ぶというもの。作品1つ1つは発見された場所や時代も違いますが、1つのものから社会に発達する背景などが詳しく解説付きで紹介されていて、現代に通じる知恵や、人類の長い歴史の中に私たちが生きていることなどを改めて考えさせられました。

全8章に分けて、誰もが知っているようなものから、全く見聞きしたことがない地域や文化のものまでを幅広く紹介。
映画『ハリーポッター』に登場する「ルイス島のチェス駒」や、大英博物館の代名詞といえる「ロゼッタ・ストーン」の原寸レプリカ、古代エジプトのミイラの棺は必見です。

第1章「創造の芽生え」では、人類が生活していく中で生まれた石器や土器を展示し、単なる道具から芸術性を求めていく過程を紹介。その後第2章から第8章までは、時代を追ってそれぞれの時代の視点で当時の世界中の動きを捉えていくことができます。展示品を通じて、彼らがどのように生きていたか、何を信じていたか。そういったことまでをも読み取ることができます。最終章では、大量生産が世界に与えた影響や現代の環境問題、平和に絡む未来へのメッセージも紹介。
すべての作品を展覧することで、人類の歴史の流れが把握できる仕組みとなっています。
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鑑賞後は、地球をめぐる時空を超えた世界旅行を楽しんだような気分でした♪

なお公式サイトには、俳優の堺雅人さんや漫画家のほしよりこさん、イラストレーターのみうらじゅんさんらがお気に入りの “モノ” を1点チョイスする「わたしが選ぶ、この1点」など、見どころあるコーナーが盛りだくさん。こちらもぜひご覧くださいね。

それでは作品の一部をご紹介します。(所蔵先は全て大英博物館)
「ラムセス2世像」紀元前1280年頃 エジプト、エレファンティネのクヌム神殿
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紀元前1279年頃から前1213年頃まで、約66年にわたり精力的にエジプトを統治し、死後も偉大な王として崇められ続けたファラオの像。

「ウルのスタンダード」 紀元前2500年頃 イラク
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スタンダードとは軍旗のことですが、用途は不明。
片面には祝宴の様子が、もう片面には戦争の様子がモザイクで描かれています。
豊かさが階級社会を生み出し、また豊かさを保つために近隣部族との覇権争いが繰り広げられたそうです。なんだか現在に通じるものがあるような気がします。
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「アマラーヴァティーの仏教彫刻」200-240年インド
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中央にへび、土台にいのしし、らくだ、獅子など見事な彫刻。ストゥーパを囲む壁の一部だそうです。

「アウグストゥス帝の胸像」1〜40年 イタリアDSCN0894.JPG
老化しない 初代ローマ皇帝。ヤマザキマリさんもお気に入り。どこから見てもかっこいい♪

「ミトラス神像」100〜200年 イタリア、ローマRIMG0083.JPG

「イフェの頭像」1300〜1400年代初期 ナイジェリア イフェ
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「柿右衛門の象 」1650-1700年 日本 DSCN0925.JPG
これぞ17世紀の「クールジャパン」!

「モチェ文化の壷 (戦士)」100〜700年 ペルー
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表情がすごくリアル!貝と石で埋め込まれた物で本来の用途は謎に包まれているそうです。

「ルイス島のチェス駒」1150-1200年 イギリス・ルイス島、おそらくノルウェーで制作RIMG0127.JPG
「ハリー・ポッター」に登場する「ルイス島のチェス駒」 です。

「ゴアのキリスト像」1600-1700年 インド、ゴアDSCN0921.JPG

「ベニン王国の飾り板」1500〜1600年 ナイジェリアRIMG0143.JPG

展覧会は6月28日まで。子供も大人も楽しめ、展示品の美しさだけでなく、まるで時空を超えた世界旅行に出たような気分になれる本展に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

【開催概要】
大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史
■東京会場
会期:2015年4月18日(土)〜6月28日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
住所:東京都台東区上野公園8-36
開室時間:9:30〜17:30(金曜日は20:00まで)
※入室は閉室の30分前まで。
休室日:月曜日、5月7日(木)
※5月4日(月・祝)は開室。
観覧料:一般 1,600円(1,300円)、学生 1,300円(1,100円)、高校生 800円(600円)、65歳以上 1,000円(800円)、

※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
posted by はまやん at 14:27| アート

2015年04月12日

特別展覧会「桃山時代の狩野派-永徳の後継者たち」


桃山時代の天才絵師、狩野永徳亡き後も続く狩野派の活躍ぶりに焦点を当てた、特別展「桃山時代の狩野派−永徳の後継者たち」が京都国立博物館(京都市東山区)で開催中です。 
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2015年は、天下の情勢が豊臣から徳川へと移ることを決定付けた「大阪の陣」から400年目にあたります。
この出来事の前後、武士だけではなく絵師も、生き残りを掛けた熾烈な戦いを繰り広げていました。
天下の趨勢が豊臣から徳川に移らんとする激動の桃山後期、御用絵師として権力者と密接に関わってきた狩野派は、いかにして生き残りを図ったか。狩野永徳亡き後、流派の命運をかけて活躍した後継者たちの作品69件で、その経緯をたどります。2007年に開催された特別展「狩野永徳」の続編となる今回の展覧会では、そんな狩野派の一大転機となった慶長年間前後、桃山後期の時代に着目。永徳の没後、それまでの「豪壮」から「華麗」へ、そして新時代の為政者となった徳川家に対応すべく「瀟洒端麗」へと、画風を変化させていくその過程を、永徳の後継を担った絵師たちの作品を一堂にしてたどります。

さらには今回初出展の作品が3点も! 特に狩野山楽の「槇に白鷺図屏風」は展覧会に出展されたことがないばかりか、写真が世に出たこともないというお宝作品。また、狩野孝信の「北野社頭遊楽図屏風」も、弊社の『日本美術全集 第12巻 狩野派と遊楽図』に掲載された以外、一切世に出ていない作品。
ともに個人蔵の作品ということで、この機会を逃すと、二度と見られない可能性も。
新発見された「北野社頭遊楽図」(狩野孝信筆)と「槇に白鷺図屏風」(狩野山楽筆)、および全面修復が行われた「源氏物語図屏風」は、今回展覧会初公開。
また、これまで文書でしか存在が知られていなかった幻の作品「八尾狐図」(狩野探幽筆)も特別出品・初公開されています。
国宝1件、重要文化財23件、重要美術品1件、初公開作品3点を含む見応えのある展覧会です。

主な登場人物は以下のとおり。
・永徳の長男の「光信」
・永徳より8歳年下の弟で、永徳が信長の安土城障壁画制作の命の時には、家屋敷と一時的ながら
 宗家の地位を譲られたが「宗秀(そうしゅう)」
・永徳の高弟で京狩野の祖の「山楽」
・豊臣家の御用絵師で、岩佐又兵衛の師とも伝えられる「内膳」
・永徳の次男で宮廷絵所預で光信急死の後の大黒柱の「孝信」
・永徳より34歳も年下の弟で早、江戸の先兵として早くから徳川幕府の御用絵師となった「長信」
・光信の長男。父の急逝、27歳の若さで急逝してしまう悲運の宗家「貞信」
・永徳の弟・宗秀の息子で狩野派ナンバー2の位置を占めたが、若き探幽の後塵を拝することになった
 影の実力者「甚之丞」
・「永徳の再来」と評され江戸幕府御用絵師となった「探幽」
孝信、光信の作品をこれだけまとまって見たのは初めて。こんなに作品が残されていたんだ、というのは新たな発見でした。

第一章 永徳の残映 金碧大画 では、会場へ入ると狩野山楽の進出作品momo5yjimage.jpg『槇に白鷺図屏風』がまず目に飛び込んできます。金碧大画の永徳の豪放な画風の中にも山楽は装飾性を加えたりと、それぞれの画家たちの画風の個性も見比べられるのが、この展覧会の面白さでもあります。

「牡丹図襖」狩野孝信京都・仁和寺。大覚寺の山楽の牡丹図に良く似ています。
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第二章 華麗美の極致 後継者・光信 では、光信の代表作のひとつ園城寺の『四季花木図襖』と『四季花鳥図屏風』がいかにも光信らしい六曲一双です。画面全体が穏やかで細やか。園城寺の襖絵には画面の奥へと視線を誘う木立もまた繊細。下手右京と評された光信の再評価の結果がここで発揮されていますし、光信という画家を認識できる場となっています。
「四季花鳥図屏風」州信印 白鷺、孔雀などさまざまな鳥と牡丹ばどの花が美しく配置され、保存状態もとても良好です。金雲のすきまの遠景の山々の表現も見事。光信の若書きともいわれいるとか。
「四季花木図襖」狩野光信筆滋賀・三井寺 以前に予約して勧学院客殿で真近で拝見しました。雨の日、私たち二人だけでお寺の方にご案内いただき拝見できたのは至福の時間でした。お寺の方が説明してくださるのですが、正直いって絵を見たいので視線は襖の方に・・・。今は宝物館に保管されたようですが、もう一度勧学院で拝見したかったという思いがあります。
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本当に名作です!
「源氏物語図屏風」京都・檀王法林寺光信様の作品。源氏物語の桐壺〜澪標、蓬生〜野分までのさまざまな場面がやまと絵風に描かれています。中にちょんまげ風の男もいたりしてちゃめっけもあり。
第四章 にぎわいを描く 百花繚乱の風俗画 では、『吉野花見図屏風』『洛中洛外図』『調馬・厩馬図屏風』『犬追物図屏風』など、画題も面白く、どれも優品をそろえているので興味がつきません。
特に内膳の『南蛮屏風』は面白いです。秀吉の大陸制覇の夢を描いたとも。
新出の孝信の『北野社頭遊楽図屏風』は の高さの小さな屏風のなかに緻密で華麗な北野社や経堂の前で繰り広げられる遊楽の景色が3つ描かれています。作品の状態の良好。
第五章 狩野派の底力 影武者たちの活躍 では、絵師の名前がわかならい作品が揃っていますが、作品自体が良く、目を引く作品が並びます。「唐美人製茶・唐子図屏風』左右で作者が異なり絵師が特定できないそうですが、光信の四季花木図襖のような作品。『文王霊台・鞨鼓催花図屏風』の光信風。右が周の文王、左が玄宗皇帝。
第六章 光信没後の大黒柱 宮廷絵所預・孝信 では、光信が江戸の帰りに客死してしまいます。永徳に続き光信も急死とは、狩野派は大いに動揺したでしょう。光信の子の長信を狩野派宗家の惣領にし、後見に孝信が付きます。宮廷絵所預でもあり、探幽三兄弟の父でもある孝信の作品が後半のメインとなっています。
孝信の『芒燕図屏風』に武蔵野図屏風のよう。繊細優美、ほのかな季節の移ろいを前面にあしらったすすきで表現しています。題名にあるように燕の組み合わせが一層魅力的な作品にさせています。
『賢聖障子絵』中央に魔よけの獅子、32名の賢君名臣。
「羅漢図」後洋成天皇の命により東福寺の明兆の失われた作品の補作として孝信の描いたもの。
七章 女御御所に描く 狩野派新世代、貞信が妥当ではないかとしています。大画面のなかに繊細優美な表現が父・光信の影響がみてとれます。何分、若くして亡くなっているので残存作品数が少なく基準作という決めてもなく判断が難しい絵師となっています。「楼閣山水図戸襖」も貞信作。瀟洒で華やか。
第八章 江戸絵画の扉を開く 早熟の天才・探幽 では、新出の『尾狐図』が特別出品されています。尻尾が1本多いか少ないかで妖狐になるか、神狐になるかなどと思いながら見ました。制作経緯が明らかな点、歴史的意義もある資料としても大切な作品です。また江戸城内紅葉山東照宮に収められていた神宝だったので目に触れる機会も少なかったでしょう。momo3yjimage.jpg

探幽25歳の作『松に孔雀図壁貼付・襖』、名古屋城御殿の『柳鷺図戸襖』など代表作となる作品がまとめて見られます。
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永徳没の1590年から家光上洛の1634年の約80年の狩野派の生き残りと盤石な体制を敷いた、7人の絵師の物語を作品を通して見るのは初めてで、とても見応えがありました。

特別展とあわせ、平成知新館・名品ギャラリーでも関連展示として「狩野永徳と長谷川等伯」(4月14日〜5月10日/近世絵画展示室)が開催されています。
重文, 瀟湘八景図 相阿弥筆, 4幅も展示されていました。
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また、5月3日放送の日曜美術館は「狩野派 400年に及ぶ美の系譜」です。こちらも参考にいかがでしょうか?


posted by はまやん at 15:05| アート
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