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2015年08月30日

上野でアートの1日

今日も東京国立博物館へ行ってきました。
まず近代の美術から。

秋日田家 1幅 幸野楳嶺筆 2015082913290000.jpg

鵜 6曲1双 下村観山筆。これは観山が春草の追悼として描いた作品。左の飛び立つ鳥が春草なのですね。2015082913280000.jpg

色絵金襴手花鳥文大瓶 1口 九代帯山与兵衛作
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墨絵山水図額 1面 瓢池園作。元の絵は大徳寺霊雲院の元信の山水図2015082913360000.jpg

芙蓉薔薇鶉蒔絵額 1面 日本蒔絵合資会社製2015082913370000.jpg

熱国之巻(夕之巻) 1巻 今村紫紅筆
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彫刻のコーナーへ。
千手観音菩薩坐像南北朝時代・14世紀
四天王立像 4躯 鎌倉時代・14世紀 2015082913530000.jpg

禅と水墨画―鎌倉〜室町
四季花鳥図屏風 6曲1双 狩野元信筆これは撮影不可ですが必見です。根津で見たばかりの四季花鳥図と比較してみました。

屏風と襖絵―安土桃山〜江戸 本館 7室今回は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて貿易都市堺を拠点に京都・奈良で活躍した曽我直庵とその後継である二直庵をクローズアップ。
鶏図屏風 6曲1隻 曽我直庵筆 (撮影不可)
龍虎図屏風 6曲1双 曽我直庵筆  龍が特に迫力ありました
花鳥図屏風 6曲1双 曽我二直庵筆 2015082914380001.jpg

書画の展開―安土桃山〜江戸応挙を起点とする円山派の作品群を集め、夏休みという時期にあわせて妖怪図や昆虫図の写生
龍唫起雲図 1幅 円山応挙筆 2015082914480000.jpg

後水尾院と江戸初期のやまと絵 本館 特別2室 こちらもお見逃しなく!
東博HPより「後水尾院(1596〜1680、在位1611〜29)は江戸時代の最初期の天皇で、中宮は二代将軍徳川秀忠の娘である東福門院和子、二人の間の皇女は明正天皇となりました。徳川家や幕府と深い関係をもつことで、その後の公武関係を方向付ける役割を果たしたといえます。
後水尾院が和歌や立花(いけばな)など、文化において主導的な存在であったことはよく知られています。例えば、「古今伝授」によって古今和歌集の奥義を教わることは一流の文化人の証であり、特に後水尾院から直接伝授されることは最高の名誉でした。二条為明筆「古今和歌集」(重要文化財)や、土佐光起筆「十二ヶ月歌意図巻」の寄合書には、こうした事情が現れています。宮廷人による寄合書作品は婚礼調度や下賜品として武家にももたらされます。住吉具慶筆「徒然草画帖」のように、絵と寄合書がともに優れた作品を所持することは、宮廷文化とのつながりの証でもありました。
このような状況にあって、後水尾院は、やまと絵の制作にも大きな影響力をもちました。土佐光起が宮廷絵所預となって土佐派を再興した一方、新興勢力として活躍した如慶・具慶の住吉派は、後水尾院のお墨付きを得て創始されました。彼らやまと絵の絵師たちは、時に後水尾院の周辺の公卿たちとともに和歌や文学を題材とした作品を制作しました。この展示では、後水尾院の和歌や立花、指導者としての姿を伝える作品などを交えて、江戸初期のやまと絵がもつ背景を紹介します。」

三夕図 3幅 土佐光起筆 2015082914550000.jpg
徒然草画帖 1帖 住吉具慶筆 2015082914590000.jpg
十二ケ月歌意図巻 下巻 1巻 土佐光起筆2015082915030000.jpg
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土佐派らしく鶉が見事!

今日はその後国立西洋美術館(東京都台東区)で開催中の「ボルドー展」へ。「ワインだけじゃないボルドー」を、美術や装飾芸術、歴史資料など約200点で紹介するユニークな企画です。
ボルドーの歴史は古代ローマのガリア征服後、1世紀初頭にできた商業都市「ブルディガラ」に始まるという。
地中海と大西洋を結ぶ交易拠点として栄えるとともに、ワインの一大生産地に。中世にはスペインの聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路としてにぎわいました。12世紀半ばから300年間、アキテーヌ地方は英国領となり、百年戦争のきっかけにもなります。この地を治めていたアキテーヌ公の娘の再婚相手、アンジュー伯アンリがヘンリー2世として英国王に即位したことによるものですが、ワインの大消費地、英国への輸出でボルドーはさらに発展。大航海時代を経て、18世紀、月の港は黄金時代を迎えます。 繁栄を支えたのは主に北ヨーロッパから移住したプロテスタントの商人−ワイン流通に関わる「ネゴシアン」と呼ばれた人々。

フランス革命とナポレオン戦争の後、ボルドーに亡命し晩年を過ごしたのがスペイン絵画の巨匠、ゴヤだ。地元石版画家の助けで制作した「ボルドーの闘牛」と貴重な試し刷りが展示されている。

 ボルドーワインの格付けが始まった1855年に完成したのがロマン主義の大家、ドラクロワによる幅3・6メートルの大作「ライオン狩り」。同年開催のパリ万博で披露された後、画家が幼少期を過ごしたボルドーの美術館に収められました。「異国の猛獣狩りは19世紀のオリエンタリスム(東方趣味)から生まれたもの。ドラクロワが繰り返し取り組んできた主題であり、画業の集大成的な作品ともいえます。
この絵は上部を焼失してしまっていますが、元はどんな絵だったのか。ボルドー出身の画家、ルドンによる若き日の模写でわかります。上部がないことでかえって画面全体の迫力が増しているように見えます。ルーベンスの描いた《アンギアーリの戦い》に似ている気がしました。
モンテーニュ、モンテスキュー、モーリヤックという「3M」を生んだ文学と思想の故郷であること、画家ゴヤとのつながり、ナントとの共通項など、たくさんの発見に満ちた展覧会。ボルドーの魅力を堪能できる小旅行でした。
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ボルドー展 −美と陶酔の都へ−
会 期:2015年6月23日(火)〜9月23日(水・祝)
会 場:国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7-7)
休館日:月曜日(ただし7/20、8/10、9/21は開館)、7/21
開館時間:9:30〜17:30(金曜日は20:00まで)
     ※入館は閉館の30分前まで
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/bordeaux2015/tokyo/
posted by はまやん at 09:02| アート

2015年08月23日

迎賓館赤坂離宮


迎賓館は諸外国の賓客をもてなす国の迎賓施設で、内閣府が管理しています。東京赤坂と京都にあり、非公開が原則ですが、一般公開は賓客の少ない8月に10日間行われます。毎年6月に内閣府により応募要項が発表され、当選すると参加できます。日にちは応募時に希望を指定します。時間は15時半までいつでも入れますが、16時半閉門です。
ガイドさんの説明も16時すぎに終わりますし、16時15分に噴水も止まってしまいます。
細部にわたり見どころが豊富なので、時間に余裕をもって行くことをおすすめします。
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この建物は東宮御所(赤坂離宮)として明治42年(1909年)建てられましたが、設計したのは、日本近代建築の父と呼ばれたジョサイア・コンドルの弟子である建築家の片山東熊です。
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第二次世界大戦後は、国の持ち物となり今は国家元首や国賓を招く外交の場となっています。参観受付が終わると、日本国政府の紋章、「五七の桐」のバッジをもらって参観します。3枚の桐の葉の上に中央に7つの桐花を、その左右にそれぞれ5つの桐花を配した図柄となっています。

受付が終わって順路に沿って進むと、迎賓館が目の前に見えます。こちらが本館正面と前庭です。先ほどの正門からまっすぐ見えた場所です。まずはこの写真の一番手前の入り口から入って中を観覧します。中は撮影禁止でしたが、2階にある4つの間と、「中央階段と二階大ホール」を見ることができました。各部屋にボランティアガイドさんがいて、丁寧に説明してくださるので、とても理解が深まりました。

それぞれの見学場所の簡単な紹介です。
「彩鸞(さいらん)の間」
条約・協定の調印式。国・公賓のテレビインタビューに利用。鸞(らん)と呼ばれる架空の鳥が暖炉の両側など、室内の装飾に施されています。

「花鳥の間」
国、公賓主催の公式晩さん会に利用。最大約130名収容。天井に描かれた36枚の絵。壁面に飾られた30枚の七宝焼きの花鳥。チャボの絵が有名。晩餐会やルーム・サービス用などの大倉陶園の食器を展示。

「朝日の間」
国、公賓用のサロン。表敬訪問や首脳会談に利用。天井に描かれた女神の絵。16本の大理石。壁の織物(川島織物)。獅子頭の目の絵は、どこから見ても観ている人の方を見ているように見える「だまし絵」となっていました。これが興味深かったです。

「羽衣の間」
舞踏会場として設計。現在はレセプションや歓迎行事、晩餐会の招待客に食前酒や食後酒を振舞うのに利用。館内で一番大きく豪華なシャンデリアは、高さ約3m、重さ800kg。オーケストラ用の舞台有り。

「中央階段」と「二階大ホール」
一階の正面玄関から二階に繋がる階段。大理石の上に赤い絨毯が敷かれている有名な場所。二階には大ホールがあり、大理石が多く使われている空間です。

会場には、3種類の色(赤・橙・青)の腕章の方がいました。赤が誘導スタッフ、橙が観覧場所を説明するボランティアの方、そして青が内閣府のスタッフの方です。内閣府の方によると、この迎賓館は内閣府の傘下にあり、実際の迎賓施設としての運営、たとえばお料理やベッドメイキングなどは、毎年入札で決まるホテルが対応するそうです。聞いたところ、大規模で有名ホテルが多いようです。

主庭と呼ばれているお庭です。2009年に創建当時の建造物である本館、正門、主庭噴水池が国宝に指定されています。
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正面玄関です。屋根の上に青銅でできた「甲冑」「天球」「鳳凰」などの彫刻がほどこされています。建築様式はネオ・バロック方式で、ベルサイユ宮殿、ルーブル宮殿、バッキンガム宮殿を参考にしたと言われています。2015082216180001.jpg

内閣府の方によると、毎年応募しても確率は変わらないそうですので、また応募して行ってみようと思っています。参考になるサイトを下記にご紹介します。また、観覧の際は、夏なので飲み物をもって行かれるとよいと思います。休憩室、
トイレが受付そばにあります。

参考サイトのご紹介
【参考サイト】
迎賓館赤坂離宮http://www8.cao.go.jp/geihinkan/index.html
posted by はまやん at 14:52| 旅行

藤田美術館の至宝「国宝 曜変天目茶碗と日本の美」(サントリー美術館)

藤田美術館は、傳三郎氏と、長男平太郎・次男徳次郎両氏の2代3人による収蔵品を公開するために、昭和29年(1954)大阪市に開館しました。仏教美術と茶道具に限らず、絵画、墨蹟、漆工、金工、染織など多岐にわたる収蔵品は、文化国家として美術品を広く公開することを目指し、系統立てて収集を行なった傳三郎氏の高い志がうかがえます。量のみならず質的にも充実した2,111件の収蔵品は、天下の名碗「曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)」など9件が国宝に、52件が重要文化財に指定されています。
藤田美術館では、春と秋の年2回企画展が開催されていますが、館外での公開が待ち望まれてきました。今回の展覧会は、国内有数の東洋・日本美術コレクションを誇る藤田美術館の至宝を初めて東京で一堂に公開する待望の企画展です。
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《 展示構成 》
第1章 傳三郎と廃仏毀釈
本章では、廃仏毀釈で廃寺となった奈良・内山永久寺伝来の国宝「両部大経感得図(りょうぶだいきょうかんとくず)」や薬師寺伝来の国宝「大般若経(だいはんにゃきょう)」など、宗教美術の優品が並びます。
仏師、快慶の地蔵菩薩立像は、保存状態もよく、解説も丁寧でわかりやすかったです。サン2yjimage.jpg

第2章 国風文化へのまなざし
若い頃から古美術を愛好した傳三郎の美術品収集は、決して道楽のためだけではなく、国の宝を護らなければいけないという強い意志がありました。さらに、芸術や文化は国の基盤であると考えていた傳三郎は、自ら考察を重ね、日本人が古来愛玩してきたものを系統立てて網羅的に集めようと努めました。
和様の書も充実していて、中でも「後拾遺和歌集」序文から藤原公任が撰んだという和歌集を書写した「深窓秘抄」が白眉。藍や紫の繊維を漉き込んだ飛雲を散らした料紙と、お手本のような流麗な仮名文字が何より美しい。本品は切断されてない完本としても貴重なものだそうです。
国宝 玄奘三蔵絵(げんじょうさんぞうえ) 十二巻のうち第一巻・第六巻  鎌倉時代  14世紀
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第3章 傳三郎と数寄文化
本章では、茶掛(ちゃがけ)として珍重された墨蹟や中国の宋元画、またそれに倣った日本の水墨画など、傳三郎たちが床の間に掛けて楽しんだ名品が紹介されています。
【おもな出品作品】
李白観瀑図(りはくかんばくず) 馬遠(ばえん)筆
江湾山水図(こうわんさんすいず) 狩野正信(かのうまさのぶ)筆 一幅   室町時代

第4章 茶道具収集への情熱
国宝 曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん) 一口   中国・南宋時代
現存する曜変天目は世界で3碗(藤田美術館所蔵、静嘉堂文庫美術館所蔵、大徳寺龍光院所蔵)しかなく、その中でも外側まで曜変があるのは本品のみ。薄暗い館内で照明の当て具合も絶妙で、漆黒の碗の中に浮かび上がる瑠璃色の斑紋はまるで小宇宙のよう。いまだ製法が不明で再現できないというだけあり、まさに奇跡の産物です。光の加減も素晴らしく、藤田美術館で観たことのある方も、藤田美術館で見るより綺麗に見えるとおっしゃっていました。

第5章 天下の趣味人
大獅子図(おおじしず) 竹内栖鳳(たけうちせいほう)筆
ひとつ階段を下りた3階では栖鳳の代表作「大獅子図」にまず驚きます。数年前の『竹内栖鳳展』では京都会場にしか貸し出されなかった傑作。東京会場は横向きのライオンでしたが、正面を向いた本作はさすが百獣の王といった威圧感たっぷりの堂々たる顔つきで素晴らしい。

藤田美術館でもこれだけの名品が一度に見られる機会はそうありません。茶入や茶碗、懐石具、染付や砧青磁の名品の数々はそのままですが、絵画はほぼ展示替えがありますので、また後期もまた楽しみです。

2015年08月15日

東京・根津美術館「絵の音を聴く―雨と風、鳥のさえずり、 人の声―」

「コレクション展絵の音を聴く雨と風、鳥のさえずり、人の声」が根津美術館で開催中です。
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絵を見て、そこにあるべき音を想像するのは楽しいものです。くちばしを大きく開けてさえずる小鳥たちの声、龍虎が巻き起こす風や雲の轟音、また、山水画に表された雨風や瀧の音、そして、名所絵の群衆の賑わいなど、音を感じとることができる絵画作品は少なくありません。かつて、中国の文人たちは、部屋に横たわりながら胸中の山水に遊ぶことを「臥遊」と呼んで楽しみました。心を澄まして絵の中に入り込むことができれば、現代の私たちにも、きっとさまざまな音が聞こえてくるはずです。絵の音を聴くことによって、その作品の新しい魅力を発見してみてはいかがでしょうか。(根津美術館HPより)

「絵の音を聴く」のテーマ展示は、「鳥たちの楽園」「鳴く虫と吠える獣」「妙なる調べ」「名所の賑わい」「音を聴く人々」と名付けられて、それぞれ作品が展示されています。

同展は、絵を見て、何が描かれているのかを確認するだけでなく、そこにあるべき音を想像することに焦点をあてた展覧会。これは、中国の文人たちが行っていた高尚な遊び、「臥遊(がゆう)」という、部屋の中にいながら壁に掛けた山水画の世界に思いを馳せ、そこに心を自由に遊ばせるという鑑賞法に基づいています。
南宋時代・ 13世紀の重要文化財「風雨山水図」(伝夏珪筆)から、江戸時代・ 19世紀の「夏秋渓流図屏風」(鈴木其一筆)まで、同美術館の所蔵品を中心に構成され、くちばしを大きく開けてさえずる小鳥たちの声、龍虎が巻き起こす風や雲の轟音、また山水画に表された雨風や瀧の音、そして名所絵の群衆の賑わいなど、音を感じとることができる絵画作品約25件が展示されています。

最初は室町時代の楊月、式部輝忠らの「花鳥図」が展示。式部の作品は親鳥が虫をくわえて、口をあけてえさをねだる小鳥に向かう様子が美しい。
入り口yjimage.jpg式部はもう一つ「観瀑図」も展示。

伝狩野元信の「四季花鳥図屏風」(室町・16世紀)は、実際は彼の子松栄の初期作との説もあるらしいのですが、四季の花々の中に遊ぶ鷺や雁が描かれたこの作品は、とりわけ素晴らしいものでした。
雪舟や能阿弥の「四季花鳥図」、永徳の聚光院襖絵の「花鳥図」と表現と共通している点もあり、比較しながら見るとより楽しめました。特に中央に舞う白鷺、これは何かアイコンのようですね。
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鈴木其一「夏秋渓流図屏風」は、檜の林の中の渓流を描いたもので、右幅が夏で、左幅が秋の風景が描かれてありますが、夏の檜には蝉が一匹止まっており、秋のほうには紅葉がひらひらと舞い落ちています。木々に谷川を描き、金に着色する、これは琳派的ですが、其一の場合、モダンでシュールな絵画を想起させます。意識的に音を消しているような作品と解説にありました。
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「龍虎図屏風」(室町・16世紀)を描いた雪村周継は関東で活躍したも室町時代の絵師ですが、ユーモアと大胆な感性で龍と虎を描いていて、みごとでした。宗達の雲龍図にも似ているように思いました。

久隅守景の「舞楽図屏風」(6曲一双 江戸・17世紀)、右隻は4人舞の太平楽、左隻は2人舞の納曽利、1人舞の蘭陵王が描かれ、一見すると宗達の舞楽図とよく構図が似ています。久隅守景は今週サントリー美術館で特別展が開催されるので、今から楽しみです。
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「酒呑童子絵巻」住吉広尚も迫力の作品。岩佐又兵衛の「傘張虚無僧図」(一幅 江戸・17世紀)、狩野山雪の絵もあり、さらに野々村仁清の香合もいくつかありました。曾我紹仙「山水図」(室町時代)は、ドラッカーさん好みですね。

圧巻なのは、池大雅の「洞庭赤壁図巻」。中国の版本の略図をもとに雄大な景色ともに旅人や漁民を描き、文人画を極めた大雅ならではの作品です。元末四大家にも匹敵(?)するのではないかと。自賛の見事な書も解説付きで展示されています。
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ほかにも修復が完了し、今回が初お披露目となる「近江伊勢名所図屏風」(6曲一双 江戸17-18世紀)も洛中洛外図屏風のように当時の街の様子が細かく描かれており名所絵の群衆の賑わいが楽しめました。
さらに南宋時代の重要文化財「風雨山水図」(伝夏珪筆。雑華室印あり)など、コレクションを中心に約25件の展示ですが、どれも見ごたえのあるものばかり。

2階の展示室では「しつらえを楽しむ-福島静子のコレクション-」が印象的でした。特に数々の蒔絵の手箱や硯箱。
美しい装飾蒔絵で飾られた作品を見ていると、時間を忘れていまいます。細かい細工も凝っているので、時間をとってご覧くださいね。

また、根津美術館はに美しい庭園があります。夏には散策するにはちょっと暑いですが、茶室があり、四季折々の花々が咲いていて、散策が楽しめます。お時間がある方はこちらもぜひ。

2015年7月30日(木)〜9月6日(日)
根津美術館
・東京都港区南青山6-5-1
・TEL:03-3400-2536
http://www.nezu-muse.or.jp/ 
posted by はまやん at 21:31| アート

2015年08月08日

「画鬼・暁斎 − KYOSAI」三菱一号館美術館内覧会に参加しました

今回紹介するのは、東京丸の内にある三菱一号館美術館で6月27日〜9月6日にわたって開催されている「画鬼・暁斎(きょうさい)」展です。

美術館として2010年に生まれ変わった三菱一号館は、そもそも日本近代建築の父とも言われる建築家、ジョサイア・コンドルによって設計されました。

明治政府の「お雇い外国人」として来日したコンドルは、ニコライ堂や旧岩崎邸をはじめ数多くの建築物を手がけました。また、現在の東京大学工学部建築学科の教授として明治から昭和にかけて活躍した多くの日本人建築家を育てたことで知られています。

コンドルは日本美術をはじめとする日本文化に傾倒し 英語の著書を通じて日本美術を海外に紹介する日本文化のスポークスマンのような役割も果たしていました。そのコンドルが師と仰ぎ、終生尊敬した画家がこの河鍋暁斎だったのです。
コンドルが暁斎に弟子入りしたのは暁斎50代、コンドル20代と言いますから親子のような師弟関係だったのでしょう。
30も年が離れていたにも関わらず二人の親交は厚く、コンドルは暁斎から自身の暁とコンドルの故郷である英国を合わせた、 暁英(きょうえい)という画号まで授けられています。

暁斎はコンドルのことを「コンデエル君」と呼んで非常に可愛がったらしく、その様子は暁斎が毎日つけていたという絵日記にもしばしば登場し、その親密な関係が垣間見えてきます。

最初に展示されているのは、「枯木寒鴉図」。暁斎がこの作品に100円という破格の値段をつけたため、「鴉一羽にしては高価すぎる」と言われましたが、「これはこの一羽に対してではなく、これまでの修行に対する対価である」と嘯いたという話が残っています。この言葉を意気に感じて購入したのが榮太樓本舗の細田安兵衛で、現在も榮太樓総本舗の所蔵です。この「百円鴉」によって、暁斎は市井の狂画(風刺画・戯画)作家から本格的な狩野派絵師であるとの評価をかちえたそうです。

暁斎の魅力が存分に伝わって来るのが、「暁斎絵日記』です。
暁斎は毎日絵日記をつけていました。 墨で走り描きされた絵日記には多彩な人間模様が、ユニークな筆致で表されています。
またこの展示のある1室の壁側のガラスケースの作品は、旧コンドル所蔵のものばかりとか。

「柳に白鷺図」、「柿に鴉図」これは隣り合わせで展示されています。墨のコントラストで対象に迫る技術は、絶妙なものがありました。2015080619210001.jpg

チラシの絵に使われている、「鳥獣戯画 猫又と狸」は後期のみです。同じ「鳥獣戯画」シリーズの「動物行列」(明治)も「前期」はなかったはず。
また、今回はメトロポリタンが所蔵する作品がまとまって見られる貴重な機会。「猿」などの動物を描いた作品がとても多く、猿や鹿は森狙仙の描き方を研究したのではと思います。
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「蟹の綱渡り図」(明治前半)、「新板かげづくし 天狗の踊り」(慶応3年)などは、暁斎の持ち味が十分に発揮された傑作だと思いました。

「秋冬山水図」こうした水墨画も秀逸です。2015080619180000.jpg

「月に狼図」は、月を背景に狼が人間の生 首をくわえる絵ですが、月の光と生首がとてもリアルで、おどろおどろしくて、本当に凄い絵だなと思いました。

「風流蛙大合戦之図」の蛙の動きや表情は細部までよく描いており、とても面白く拝見しました。
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暁斎展の最後は「美人画」で締めくくられます。この展示室に飾られている、「横たわる美人に猫図」(明治前半)と「美人観蛙戯図」(明治前半)は暁斎の代表作ではないでしょうか。

ポスターの「惺々狂斎画帖(三)」(20図のうち)は、後期展覧会の最後に展示されています。2015080619330000.jpg
展示の途中に大きな垂れ幕に写し取られた絵とがあって、そこでは写真撮影も可能です。巨大な猫の出現に、男二人がびっくり仰天してのけぞっている、現代のマンガに通じる作品ですね。
2015080619100000.jpg2015080619030000.jpgショップでは暁斎が描いた骸骨をあしらったTシャツやぐい飲みなどのグッズも充実していますので、こちらもお見逃しなく。


画鬼・暁斎−KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル
会期 2015年6月27日(土)〜9月6日(日)*展示替えあり
前期:8月2日(日)まで/後期:8月4日(火)から
開館時間 開館時間:10:00〜18:00
(金曜と展覧会会期最終週平日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで

※館内の撮影は主催者の許可を得て行っています。

posted by はまやん at 14:45| アート
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