2015年08月23日
藤田美術館の至宝「国宝 曜変天目茶碗と日本の美」(サントリー美術館)
藤田美術館は、傳三郎氏と、長男平太郎・次男徳次郎両氏の2代3人による収蔵品を公開するために、昭和29年(1954)大阪市に開館しました。仏教美術と茶道具に限らず、絵画、墨蹟、漆工、金工、染織など多岐にわたる収蔵品は、文化国家として美術品を広く公開することを目指し、系統立てて収集を行なった傳三郎氏の高い志がうかがえます。量のみならず質的にも充実した2,111件の収蔵品は、天下の名碗「曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)」など9件が国宝に、52件が重要文化財に指定されています。
藤田美術館では、春と秋の年2回企画展が開催されていますが、館外での公開が待ち望まれてきました。今回の展覧会は、国内有数の東洋・日本美術コレクションを誇る藤田美術館の至宝を初めて東京で一堂に公開する待望の企画展です。
《 展示構成 》
第1章 傳三郎と廃仏毀釈
本章では、廃仏毀釈で廃寺となった奈良・内山永久寺伝来の国宝「両部大経感得図(りょうぶだいきょうかんとくず)」や薬師寺伝来の国宝「大般若経(だいはんにゃきょう)」など、宗教美術の優品が並びます。
仏師、快慶の地蔵菩薩立像は、保存状態もよく、解説も丁寧でわかりやすかったです。
第2章 国風文化へのまなざし
若い頃から古美術を愛好した傳三郎の美術品収集は、決して道楽のためだけではなく、国の宝を護らなければいけないという強い意志がありました。さらに、芸術や文化は国の基盤であると考えていた傳三郎は、自ら考察を重ね、日本人が古来愛玩してきたものを系統立てて網羅的に集めようと努めました。
和様の書も充実していて、中でも「後拾遺和歌集」序文から藤原公任が撰んだという和歌集を書写した「深窓秘抄」が白眉。藍や紫の繊維を漉き込んだ飛雲を散らした料紙と、お手本のような流麗な仮名文字が何より美しい。本品は切断されてない完本としても貴重なものだそうです。
国宝 玄奘三蔵絵(げんじょうさんぞうえ) 十二巻のうち第一巻・第六巻 鎌倉時代 14世紀
第3章 傳三郎と数寄文化
本章では、茶掛(ちゃがけ)として珍重された墨蹟や中国の宋元画、またそれに倣った日本の水墨画など、傳三郎たちが床の間に掛けて楽しんだ名品が紹介されています。
【おもな出品作品】
李白観瀑図(りはくかんばくず) 馬遠(ばえん)筆
江湾山水図(こうわんさんすいず) 狩野正信(かのうまさのぶ)筆 一幅 室町時代
第4章 茶道具収集への情熱
国宝 曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん) 一口 中国・南宋時代
現存する曜変天目は世界で3碗(藤田美術館所蔵、静嘉堂文庫美術館所蔵、大徳寺龍光院所蔵)しかなく、その中でも外側まで曜変があるのは本品のみ。薄暗い館内で照明の当て具合も絶妙で、漆黒の碗の中に浮かび上がる瑠璃色の斑紋はまるで小宇宙のよう。いまだ製法が不明で再現できないというだけあり、まさに奇跡の産物です。光の加減も素晴らしく、藤田美術館で観たことのある方も、藤田美術館で見るより綺麗に見えるとおっしゃっていました。
第5章 天下の趣味人
大獅子図(おおじしず) 竹内栖鳳(たけうちせいほう)筆
ひとつ階段を下りた3階では栖鳳の代表作「大獅子図」にまず驚きます。数年前の『竹内栖鳳展』では京都会場にしか貸し出されなかった傑作。東京会場は横向きのライオンでしたが、正面を向いた本作はさすが百獣の王といった威圧感たっぷりの堂々たる顔つきで素晴らしい。
藤田美術館でもこれだけの名品が一度に見られる機会はそうありません。茶入や茶碗、懐石具、染付や砧青磁の名品の数々はそのままですが、絵画はほぼ展示替えがありますので、また後期もまた楽しみです。
藤田美術館では、春と秋の年2回企画展が開催されていますが、館外での公開が待ち望まれてきました。今回の展覧会は、国内有数の東洋・日本美術コレクションを誇る藤田美術館の至宝を初めて東京で一堂に公開する待望の企画展です。
《 展示構成 》
第1章 傳三郎と廃仏毀釈
本章では、廃仏毀釈で廃寺となった奈良・内山永久寺伝来の国宝「両部大経感得図(りょうぶだいきょうかんとくず)」や薬師寺伝来の国宝「大般若経(だいはんにゃきょう)」など、宗教美術の優品が並びます。
仏師、快慶の地蔵菩薩立像は、保存状態もよく、解説も丁寧でわかりやすかったです。
第2章 国風文化へのまなざし
若い頃から古美術を愛好した傳三郎の美術品収集は、決して道楽のためだけではなく、国の宝を護らなければいけないという強い意志がありました。さらに、芸術や文化は国の基盤であると考えていた傳三郎は、自ら考察を重ね、日本人が古来愛玩してきたものを系統立てて網羅的に集めようと努めました。
和様の書も充実していて、中でも「後拾遺和歌集」序文から藤原公任が撰んだという和歌集を書写した「深窓秘抄」が白眉。藍や紫の繊維を漉き込んだ飛雲を散らした料紙と、お手本のような流麗な仮名文字が何より美しい。本品は切断されてない完本としても貴重なものだそうです。
国宝 玄奘三蔵絵(げんじょうさんぞうえ) 十二巻のうち第一巻・第六巻 鎌倉時代 14世紀
第3章 傳三郎と数寄文化
本章では、茶掛(ちゃがけ)として珍重された墨蹟や中国の宋元画、またそれに倣った日本の水墨画など、傳三郎たちが床の間に掛けて楽しんだ名品が紹介されています。
【おもな出品作品】
李白観瀑図(りはくかんばくず) 馬遠(ばえん)筆
江湾山水図(こうわんさんすいず) 狩野正信(かのうまさのぶ)筆 一幅 室町時代
第4章 茶道具収集への情熱
国宝 曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん) 一口 中国・南宋時代
現存する曜変天目は世界で3碗(藤田美術館所蔵、静嘉堂文庫美術館所蔵、大徳寺龍光院所蔵)しかなく、その中でも外側まで曜変があるのは本品のみ。薄暗い館内で照明の当て具合も絶妙で、漆黒の碗の中に浮かび上がる瑠璃色の斑紋はまるで小宇宙のよう。いまだ製法が不明で再現できないというだけあり、まさに奇跡の産物です。光の加減も素晴らしく、藤田美術館で観たことのある方も、藤田美術館で見るより綺麗に見えるとおっしゃっていました。
第5章 天下の趣味人
大獅子図(おおじしず) 竹内栖鳳(たけうちせいほう)筆
ひとつ階段を下りた3階では栖鳳の代表作「大獅子図」にまず驚きます。数年前の『竹内栖鳳展』では京都会場にしか貸し出されなかった傑作。東京会場は横向きのライオンでしたが、正面を向いた本作はさすが百獣の王といった威圧感たっぷりの堂々たる顔つきで素晴らしい。
藤田美術館でもこれだけの名品が一度に見られる機会はそうありません。茶入や茶碗、懐石具、染付や砧青磁の名品の数々はそのままですが、絵画はほぼ展示替えがありますので、また後期もまた楽しみです。
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