2015年08月30日
上野でアートの1日
今日も東京国立博物館へ行ってきました。
まず近代の美術から。
秋日田家 1幅 幸野楳嶺筆
鵜 6曲1双 下村観山筆。これは観山が春草の追悼として描いた作品。左の飛び立つ鳥が春草なのですね。
色絵金襴手花鳥文大瓶 1口 九代帯山与兵衛作
墨絵山水図額 1面 瓢池園作。元の絵は大徳寺霊雲院の元信の山水図
芙蓉薔薇鶉蒔絵額 1面 日本蒔絵合資会社製
熱国之巻(夕之巻) 1巻 今村紫紅筆
彫刻のコーナーへ。
千手観音菩薩坐像南北朝時代・14世紀
四天王立像 4躯 鎌倉時代・14世紀
禅と水墨画―鎌倉〜室町
四季花鳥図屏風 6曲1双 狩野元信筆これは撮影不可ですが必見です。根津で見たばかりの四季花鳥図と比較してみました。
屏風と襖絵―安土桃山〜江戸 本館 7室今回は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて貿易都市堺を拠点に京都・奈良で活躍した曽我直庵とその後継である二直庵をクローズアップ。
鶏図屏風 6曲1隻 曽我直庵筆 (撮影不可)
龍虎図屏風 6曲1双 曽我直庵筆 龍が特に迫力ありました
花鳥図屏風 6曲1双 曽我二直庵筆
書画の展開―安土桃山〜江戸応挙を起点とする円山派の作品群を集め、夏休みという時期にあわせて妖怪図や昆虫図の写生
龍唫起雲図 1幅 円山応挙筆
後水尾院と江戸初期のやまと絵 本館 特別2室 こちらもお見逃しなく!
東博HPより「後水尾院(1596〜1680、在位1611〜29)は江戸時代の最初期の天皇で、中宮は二代将軍徳川秀忠の娘である東福門院和子、二人の間の皇女は明正天皇となりました。徳川家や幕府と深い関係をもつことで、その後の公武関係を方向付ける役割を果たしたといえます。
後水尾院が和歌や立花(いけばな)など、文化において主導的な存在であったことはよく知られています。例えば、「古今伝授」によって古今和歌集の奥義を教わることは一流の文化人の証であり、特に後水尾院から直接伝授されることは最高の名誉でした。二条為明筆「古今和歌集」(重要文化財)や、土佐光起筆「十二ヶ月歌意図巻」の寄合書には、こうした事情が現れています。宮廷人による寄合書作品は婚礼調度や下賜品として武家にももたらされます。住吉具慶筆「徒然草画帖」のように、絵と寄合書がともに優れた作品を所持することは、宮廷文化とのつながりの証でもありました。
このような状況にあって、後水尾院は、やまと絵の制作にも大きな影響力をもちました。土佐光起が宮廷絵所預となって土佐派を再興した一方、新興勢力として活躍した如慶・具慶の住吉派は、後水尾院のお墨付きを得て創始されました。彼らやまと絵の絵師たちは、時に後水尾院の周辺の公卿たちとともに和歌や文学を題材とした作品を制作しました。この展示では、後水尾院の和歌や立花、指導者としての姿を伝える作品などを交えて、江戸初期のやまと絵がもつ背景を紹介します。」
三夕図 3幅 土佐光起筆
徒然草画帖 1帖 住吉具慶筆
十二ケ月歌意図巻 下巻 1巻 土佐光起筆
土佐派らしく鶉が見事!
今日はその後国立西洋美術館(東京都台東区)で開催中の「ボルドー展」へ。「ワインだけじゃないボルドー」を、美術や装飾芸術、歴史資料など約200点で紹介するユニークな企画です。
ボルドーの歴史は古代ローマのガリア征服後、1世紀初頭にできた商業都市「ブルディガラ」に始まるという。
地中海と大西洋を結ぶ交易拠点として栄えるとともに、ワインの一大生産地に。中世にはスペインの聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路としてにぎわいました。12世紀半ばから300年間、アキテーヌ地方は英国領となり、百年戦争のきっかけにもなります。この地を治めていたアキテーヌ公の娘の再婚相手、アンジュー伯アンリがヘンリー2世として英国王に即位したことによるものですが、ワインの大消費地、英国への輸出でボルドーはさらに発展。大航海時代を経て、18世紀、月の港は黄金時代を迎えます。 繁栄を支えたのは主に北ヨーロッパから移住したプロテスタントの商人−ワイン流通に関わる「ネゴシアン」と呼ばれた人々。
フランス革命とナポレオン戦争の後、ボルドーに亡命し晩年を過ごしたのがスペイン絵画の巨匠、ゴヤだ。地元石版画家の助けで制作した「ボルドーの闘牛」と貴重な試し刷りが展示されている。
ボルドーワインの格付けが始まった1855年に完成したのがロマン主義の大家、ドラクロワによる幅3・6メートルの大作「ライオン狩り」。同年開催のパリ万博で披露された後、画家が幼少期を過ごしたボルドーの美術館に収められました。「異国の猛獣狩りは19世紀のオリエンタリスム(東方趣味)から生まれたもの。ドラクロワが繰り返し取り組んできた主題であり、画業の集大成的な作品ともいえます。
この絵は上部を焼失してしまっていますが、元はどんな絵だったのか。ボルドー出身の画家、ルドンによる若き日の模写でわかります。上部がないことでかえって画面全体の迫力が増しているように見えます。ルーベンスの描いた《アンギアーリの戦い》に似ている気がしました。
モンテーニュ、モンテスキュー、モーリヤックという「3M」を生んだ文学と思想の故郷であること、画家ゴヤとのつながり、ナントとの共通項など、たくさんの発見に満ちた展覧会。ボルドーの魅力を堪能できる小旅行でした。
ボルドー展 −美と陶酔の都へ−
会 期:2015年6月23日(火)〜9月23日(水・祝)
会 場:国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7-7)
休館日:月曜日(ただし7/20、8/10、9/21は開館)、7/21
開館時間:9:30〜17:30(金曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/bordeaux2015/tokyo/
まず近代の美術から。
秋日田家 1幅 幸野楳嶺筆
鵜 6曲1双 下村観山筆。これは観山が春草の追悼として描いた作品。左の飛び立つ鳥が春草なのですね。
色絵金襴手花鳥文大瓶 1口 九代帯山与兵衛作
墨絵山水図額 1面 瓢池園作。元の絵は大徳寺霊雲院の元信の山水図
芙蓉薔薇鶉蒔絵額 1面 日本蒔絵合資会社製
熱国之巻(夕之巻) 1巻 今村紫紅筆
彫刻のコーナーへ。
千手観音菩薩坐像南北朝時代・14世紀
四天王立像 4躯 鎌倉時代・14世紀
禅と水墨画―鎌倉〜室町
四季花鳥図屏風 6曲1双 狩野元信筆これは撮影不可ですが必見です。根津で見たばかりの四季花鳥図と比較してみました。
屏風と襖絵―安土桃山〜江戸 本館 7室今回は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて貿易都市堺を拠点に京都・奈良で活躍した曽我直庵とその後継である二直庵をクローズアップ。
鶏図屏風 6曲1隻 曽我直庵筆 (撮影不可)
龍虎図屏風 6曲1双 曽我直庵筆 龍が特に迫力ありました
花鳥図屏風 6曲1双 曽我二直庵筆
書画の展開―安土桃山〜江戸応挙を起点とする円山派の作品群を集め、夏休みという時期にあわせて妖怪図や昆虫図の写生
龍唫起雲図 1幅 円山応挙筆
後水尾院と江戸初期のやまと絵 本館 特別2室 こちらもお見逃しなく!
東博HPより「後水尾院(1596〜1680、在位1611〜29)は江戸時代の最初期の天皇で、中宮は二代将軍徳川秀忠の娘である東福門院和子、二人の間の皇女は明正天皇となりました。徳川家や幕府と深い関係をもつことで、その後の公武関係を方向付ける役割を果たしたといえます。
後水尾院が和歌や立花(いけばな)など、文化において主導的な存在であったことはよく知られています。例えば、「古今伝授」によって古今和歌集の奥義を教わることは一流の文化人の証であり、特に後水尾院から直接伝授されることは最高の名誉でした。二条為明筆「古今和歌集」(重要文化財)や、土佐光起筆「十二ヶ月歌意図巻」の寄合書には、こうした事情が現れています。宮廷人による寄合書作品は婚礼調度や下賜品として武家にももたらされます。住吉具慶筆「徒然草画帖」のように、絵と寄合書がともに優れた作品を所持することは、宮廷文化とのつながりの証でもありました。
このような状況にあって、後水尾院は、やまと絵の制作にも大きな影響力をもちました。土佐光起が宮廷絵所預となって土佐派を再興した一方、新興勢力として活躍した如慶・具慶の住吉派は、後水尾院のお墨付きを得て創始されました。彼らやまと絵の絵師たちは、時に後水尾院の周辺の公卿たちとともに和歌や文学を題材とした作品を制作しました。この展示では、後水尾院の和歌や立花、指導者としての姿を伝える作品などを交えて、江戸初期のやまと絵がもつ背景を紹介します。」
三夕図 3幅 土佐光起筆
徒然草画帖 1帖 住吉具慶筆
十二ケ月歌意図巻 下巻 1巻 土佐光起筆
土佐派らしく鶉が見事!
今日はその後国立西洋美術館(東京都台東区)で開催中の「ボルドー展」へ。「ワインだけじゃないボルドー」を、美術や装飾芸術、歴史資料など約200点で紹介するユニークな企画です。
ボルドーの歴史は古代ローマのガリア征服後、1世紀初頭にできた商業都市「ブルディガラ」に始まるという。
地中海と大西洋を結ぶ交易拠点として栄えるとともに、ワインの一大生産地に。中世にはスペインの聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路としてにぎわいました。12世紀半ばから300年間、アキテーヌ地方は英国領となり、百年戦争のきっかけにもなります。この地を治めていたアキテーヌ公の娘の再婚相手、アンジュー伯アンリがヘンリー2世として英国王に即位したことによるものですが、ワインの大消費地、英国への輸出でボルドーはさらに発展。大航海時代を経て、18世紀、月の港は黄金時代を迎えます。 繁栄を支えたのは主に北ヨーロッパから移住したプロテスタントの商人−ワイン流通に関わる「ネゴシアン」と呼ばれた人々。
フランス革命とナポレオン戦争の後、ボルドーに亡命し晩年を過ごしたのがスペイン絵画の巨匠、ゴヤだ。地元石版画家の助けで制作した「ボルドーの闘牛」と貴重な試し刷りが展示されている。
ボルドーワインの格付けが始まった1855年に完成したのがロマン主義の大家、ドラクロワによる幅3・6メートルの大作「ライオン狩り」。同年開催のパリ万博で披露された後、画家が幼少期を過ごしたボルドーの美術館に収められました。「異国の猛獣狩りは19世紀のオリエンタリスム(東方趣味)から生まれたもの。ドラクロワが繰り返し取り組んできた主題であり、画業の集大成的な作品ともいえます。
この絵は上部を焼失してしまっていますが、元はどんな絵だったのか。ボルドー出身の画家、ルドンによる若き日の模写でわかります。上部がないことでかえって画面全体の迫力が増しているように見えます。ルーベンスの描いた《アンギアーリの戦い》に似ている気がしました。
モンテーニュ、モンテスキュー、モーリヤックという「3M」を生んだ文学と思想の故郷であること、画家ゴヤとのつながり、ナントとの共通項など、たくさんの発見に満ちた展覧会。ボルドーの魅力を堪能できる小旅行でした。
ボルドー展 −美と陶酔の都へ−
会 期:2015年6月23日(火)〜9月23日(水・祝)
会 場:国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7-7)
休館日:月曜日(ただし7/20、8/10、9/21は開館)、7/21
開館時間:9:30〜17:30(金曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/bordeaux2015/tokyo/