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2023年06月13日

441番:ハリエット嬢(150)


ハリエット嬢(150)
Miss Harriet
Maupassant


MISS HARRIET
−−−−−−−−−−【150】−−−−−−−−−−−−−−−

Nous étions tous les quatre inclinés sur
l' ouverture, Sapeur et C' éleste nous ayant rejoints.
La lanterne s' arrêta au- dessus d' une masse indis-
tincte, blanche et noire, singulière, incompréhensible.


−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

サプールとセレストがやってきて加わったので、私たち
はみんなで4人になりました.ランプは何か大きな塊の
上で止まりました.白と黒の一風変わった不可解な塊で
した. 



...−−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−−−−−

tous les quatre:4人全員で(名詞句、主語nousの言い換え)
ouverture:[ウーヴェルテュール](f) 開口部、穴、入口、口
    ここでは井戸の汲み出し口
Sapeur:工兵のことだが、馬丁のあだ名なのでそのまま
   「サプール」としておきます.
lanterne:[ランテルヌ](f) ランタン、カンテラ、ランプ、角灯
masse:[マッス](f) 塊、大きな塊
indistinct(e):[アンディスタン、~タンクト] (形) はっきりしない、
    ぼんやりした、不明瞭な、曖昧な
singulier, (~lière):[サンギュリエ、〜リエール](形) 風変わりな、
    奇抜な、(よかれあしかれ)ひどく変っている、
    奇妙な、(ときに名詞の前)で、
    un singulier personnage / 風変わりな人
    coiffure singulière / 奇抜なヘアスタイル
    beauté singulière / 一風変わった美しさ[美貌]
incompréhensible:[アンコンプレアンスィーブル](形) 理解できない、 
    不可解な、合点のいかない、わけのわからない、 


440番:ココット嬢(14)


ココット嬢(14)
Mademoselle Cocotte


−−−−−−−−−−【14】−−−−−−−−−−−−−−−−−

Aussitôt elle remua la queue, se sentant accueillie,
adoptée, et au lieu de rester dans les mollets de
son nouveau maître, elle se mit à courir devant lui.


...−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

自分が家族として迎え入れられたと感じ取ると、すぐに
その犬は尻尾を振った.そしてこの新しい主人のふくら
はぎの中でいつまでもいる代わりに、犬は主人の前を走
り始めた.



−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

aussitôt:(副) 直ちに、すぐ、即刻
remua:(3単単純過去)< remuer [ルミュエ](他)
かき回す、かき混ぜる;
   (体の一部を)動かす
   Le chien remue joyeusement la queue. /
犬はうれしそうに尾を振っている.
se sentant:(p.pré) < se sentir (pr)
   [se sentir + 属詞] 自分を〜だと感じる
accueillie:(p.passé/f)
   < accueillir (他)(人を)迎え入れる
   se sentant accueillie / 自分が迎え入れられたと感じて 
adoptée:(p.paasé/f) < adopter (他) 養子にする
se sentant accueillie, adoptée / 自分が迎え入れられ
   て家族にしてもらえたと感じて
au lieu de + 名詞:〜の代わりに、
au lieu de + 不定詞:〜する代わりに
rester:(自) とどまる、居残る
mollet:(m) ふくらはぎ
maître:[メートル](m) 主人、女主人はmaîtresse [メトレス]

2023年06月12日

439番:アルト・ハイデルベルク(129)

 
アルト・ハイデルベルク(129)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌



−−−−−−−−−【129】−−−−−−−−−−−−−−−

...........Detlev:Alles, lieber Freund*1, kann der Mensch in
.......................Heidelberg vertragen*2, nur nicht das sogenannte*3
.......................Alleinsein*⁴. Denn wie heißt es im Liede*⁵.
.......................≫ Altheidelberg, Du Fein*⁶, Du Stadt an*⁸
.......................Ehren*⁷ reich, am*⁸ Neckar und am*⁸
.......................Rheine, kein Andre kommt dir gleich! Stadt
.......................fröhlicher*⁹ Gesellen*1⁰, an Weisheit*11 schwer*12
.......................und Wein. ≪ Stimmt*13 das ?

Karl Heinrich:Ja.

............Detlev:Ausdrücklich*1⁴ sagt also der Dichter*1⁵:
.........................≫ Stadt fröhlicher Gesellen*1⁶! ≪ Und
.........................nicht etwa*1⁷:≫ Stadt eines fröhlichen
.........................Gesellen. ≪ Denn das wäre ein logischer*1⁸
.........................Unsinn*1⁹. Prost*2o !

Karl Heinrich:(stößt*21 mit ihm an*21). Ihr Wohl*22.

..........Detlev:(bemerkt*23 erstaunt*2⁴, dass Karl Heinrich
.......................sein Glas mit offenem Deckel*2⁵ auf den
.......................Tisch zurückgestellt*2⁶ hat. Er schlägt*2⁷
.......................den Deckel zu*2⁷). Einen einzigen*2⁸
.......................Tag, lieber Freund*2⁹, geht der Mensch
.......................in Heidelberg ohne Band und Mütze, das
.......................ist der Erste. Denn was ist die Schönheit
.......................von Heidelberg ? Band, Mütze, Freunde und
.......................eine gute Klinge*3⁰, was ?

Karl Heinrich:(schwer atmend). Ja.



−−−−−−−−−−−− (訳) −−−−−−−−−−−−−−

デートレフ: どんなことだって、君、このハイデルベ
.....................ルクでは許されるのだが、いわゆる孤独
.....................だけはいかん.だって『アルト・ハイデ
.....................ルベルク』の歌にもあることだ、『古都ハ
.....................イデルベルクよ、素晴らしい町よ、ライ
.....................ン川とネッカル川に恵まれた豊かな名声
.....................に浴する.町よ、お前に比ぶるものはない.
.....................楽しい仲間の集う町、大学とワインでも
.....................つ町』 どうです?その通りでしょう? 

カール・ハインリヒ: そうですね.

デートレフ: この詩人ははっきりと言っているんです
.....................よ:『楽しい仲間の集う町』とね!そし
.....................て、まさか『ひとりのやつの楽しい町』
.....................とは言っていない.だってそれは論理的
.....................に言ってナンセンスだ.さあ、乾杯!

カール・ハインリヒ: (杯を打ち合わせる).健康を祈って!

デートレフ: (カール・ハインリヒが自分のグラスを
....................ふたを開けたままテーブルに戻したのに
.....................気づいて驚く.ふたを閉めてやる.)
.....................ねえ君、このハイデルベルクではリボン
.....................と学生帽なしで済ませられるのは1日限
.....................りなんですよ..つまり、それは第1日目
.....................だけということです.ハイデルベルクの
.....................美点とは何か? それはリボンと学生帽、
.....................それと友人たちと良い刀剣なのですよ.
.....................ね? 

カール・ハインリヒ: (重い息遣いで).そうですね.


−−−−−−−−−−−−《語彙》−−−−−−−−−−−−−−−−

*1) lieber Freund:字義通りには「親愛なる友よ」という
呼びかけだが、大げさで滑稽なので、訳しま
せん.「私の話しかける相手は君だ」と伝え
    るのがこの言葉の役目なので、「あのね君」
    「あのさあ」「いいかい」「君」などで構わない
    と思います.これは何だろう、「間投詞」でし
    ょうね.
*2) vertragen:(他) […⁴に](体質的、気質的に) 耐えら
    れる、[飲食物⁴を] 受け付ける
*3) sogenannt:(形) いわゆる
*4) das Alleinsein:(単数ノミ) 孤独; 独居、独身
*5) im Liede:古い文法書(昭和46年)」には、強変化名
    詞は単数3格(D格)で語尾にe を添えても、省
    いてもいいとなっています.Liede (D格)
    <Lied (ER式) 歌、歌曲
*6) fein:(形) すてきな、すばらしい
*7) die Ehre:(弱) 名誉、面目、
*8) an:「〜によって」 
    ここでは知恵(大学)とワインによって
    (名高き)町、
Altheidelberg, Du Stadt にかかり、ハイデルベル
    クよ、お前、大学とワインで名高きやつよ!
*9) fröhlich:(形) ❶楽しげな、上機嫌の、
      ❷喜ばしい、楽しい、愉快な
*10) Gesellen:(単N以外すべて) <der Geselle (弱)
     ❶職人、「徒弟(見習い)期間を終え、
      職人試験に合格した者」
     (身分、処遇はLehrling見習いと
      Meister親方の中間)
     ❷若者、やつ
*11) an Weisheit:[ヴァイスハイト] (弱)❶賢明さ、知恵、
     ❷賢明な教え、処世術
*12) schwer (形) Wein を修飾して「コクのある」
    「濃厚な」普通の語順はein schwerer Wein、
     ここではWein und schwer
(ワイン、それもコクのある強いやつだ)
*13) stimmen:(自) 正しい、事実に合う.
*14) ausdrücklich:(形) (意思・希望などが)
     はっきりと表明された、明確な
*15) der Dichter:(同尾) 詩人、作家
*16) fröhlicher Gesellen:G格で直前のStadt にかかり、
    「楽しい仲間の町」つまり、「楽しい仲間の集
     う町」、乃至「楽しい大学町」
*17) etwa:(疑問文で) まさか、よもや、ひょっとして
*18) logisch:[ローギッシュ] (形) 論理的な 
*19) der Unsinn:[ウンズィン] (単数ノミ) ばかげたこと、
     くだらないこと
*20) Prost !:(間) 乾杯!
*21) stößt...an:(自) (3単)
     <an/stoßen 杯を打ち合わせる
*22) Ihr Wohl: 健康を祈って;
     <das Wohl:(単数ノミ) 幸せ、健康、繁栄 
*23) bemerken:(他) (…⁴に) 気づく
    Er hat den Fußgänger zu spät bemerkt.
彼は歩行者に気づくのが遅すぎた.
*24) erstaunt:<erstaunen (他)[…⁴を] 驚かす、
    驚嘆させる
*25) der Deckel:(同尾) ふた; 
    den Deckel öffnen / ふたを開ける
*26) zurückgestellt:(過去分詞)
    <zurück/stellen (他) […⁴を]元の場所へ置く
Stell die Butter in den Kühlschrank zurück !
バターを冷蔵庫に戻しなさい.
*27) schlägt...zu:zu/schlagen (他)
    (ドアなどを) ばたんと閉める
[本など⁴を] 閉じる
    Der Wind schlug die Tür zu.
風でドアが」ばたんと閉まった.
*28) einzig:(形) 唯一の、ただ一つの、
    nur ein einziges Mal / たった一度だけ
*29) Freunde:(男複N) <der Freund (E式) 友だち
*30) Klinge:[文語] 刀剣


−−−−−−−−−≪解説≫−−−−−−−−−−−−−−−

「Klinge 刀剣」、つまり、ここではサーベルのことです
が、ビスマルク政権当時の大学では、学生たちはふつう
にサーベルを着用していたようです.小説「カール・
ハインリヒ」が出されたのは1899年なので、日本では
すでに明治時代で武士の時代は終わっていました.
ちなみに、日本で初めて『アルト・ハイデルベルク』が
上演されたのは1913年、東京の「有楽座」で、ケティ
役は松井須磨子、カール・ハインリヒは土肥康元でした.
両者共、日本史の教科書でおなじみだと思います.


438番:ハリエット嬢(149)


ハリエット嬢(149)
Miss Harriet
Maupassant

MISS HARRIET
−−−−−−−−−−【149】−−−−−−−−−−−−−−−

 Je voulus aussi regarder, espèrant que je
saurais mieux distinguer, et je me penchai sur le
bord. J' aperçus vaguement un objet blanc. Mais
quoi ? J' eus alors l' idée de descendre une lanterne
au bout d' une corde. La lueur jaune dansait sur
les parois de pierre, s' enfonçant peu à peu.

−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

私ならもっとよくわかるんじゃないかなと思ったので、
見てみたいと思いました.それで井戸の縁の上に身を乗
り出しました.ぼんやりと白いものが見えました.でも
何なのでしょう?私は、そしたら紐の先に提灯を着けて
下ろせばどうかと思いました.黄色の薄明かりが石壁の
上で揺らめきながら、少しづつ沈んでいきました.


...−−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−−−−−

voulus:(単純過去1単) <vouloir;
vouloir + 不定詞>〜したい、〜することを望む
distinguer:[ディスタンゲ](他) 見分ける、〜を区別する
   〜を識別する;
penchai:(1単単純過去) <pencher (他) を傾ける、
me penchai:(pr,単純過去1単) 私は身を傾けた、
    私は身を乗り出した
< se pencher (pr) 身を乗り出す、身を傾ける 
bord:(m) 縁、へり、端
jaune:[ジョーンヌ](形) 黄色い、黄ばんだ 
lueur:[リュウール](f) ほのかな光、微光、閃光、
dansait:(3単単純過去) < danser (自)@踊る
   ❷揺れる、ゆらめく  
parois:(f) ❶岩壁(いわかべ)、❷内壁面、❸壁
pierre:(f) 石
s'enfonçant:(pr, 現在分詞)はまり込まれながら、
   沈みながら
s'enfoncer:(pr) はまり込む、沈む
enfoncer:(他) を突っ込む



 −−−(お口に合わないフランス語)−−−−

La lueur jaune dansait sur les parois de pierre, s'enfonçant
peu à peu. / 黄色の薄明かりが石壁の上で揺らめきなが
ら、少しづつ沈んでいきました.
訳にいちゃもん付けるなら、「逆だ」となりまして、
「黄色の薄明かりが少しづつ沈んでいきながら、石壁の
上で揺らめいていました」これが文法に忠実な訳だ.
そうだ.そうだが、変テコだ!
フランス語は日本人の口には合わないので味付け具合を
変えないといけないようです.

質問:じゃあさ、仏検でこれが和訳問題で出されたら
どうするの?

回答:変テコな訳は避けたほうがいいと思いますが
文法は理解しているとして〇はもらえるでしょう.

質問:じゃもひとつ質問.訳本の訳を見せて下さい.

回答:どうぞ.

「黄色い光りが石の内壁にあたってゆらゆら踊りながら、
少しずつおりていきます.(パロル舎)」

「カンテラの黄色い光は、井戸の石組にそって、おどり
ながら、だんだん、深く射して行きます.(全集)」

「黄色い明りが石の穴の中で踊っていましたが、しだい
に底へ降りてゆきました.(ちくま文庫)」

どうです?あなたが映画監督なら「ちくま文庫訳」で制
作してみたくありませんか?


..−−−−−−−−−−−≪文法1≫ −−−−−−−−−−−−−−−

....vouloir 直説法現在........................vouloir 単純過去
je veux........nous voulons.............je voulus........nous voulûmes
tu veux........vous voulez...............tu voulus........vous voulûtes
il vuet..........ils....veulent...............il.voulut..........ils voulurent


..−−−−−−−−−−−≪文法2≫ −−−−−−−−−−−−−−−

現在分詞、過去分詞の略号を使いたいのですが
どちらもp.p なので使えません.そこでp. pré と
p.passé という略号を使うことにします.それぞれ
現在分詞(participe présent)と過去分詞(participe
passé)を略しました.


437番:ココット嬢(13)


ココット嬢(13)
Mademoselle Cocotte


−−−−−−−−−−【13】−−−−−−−−−−−−−−−−−

L' homme caressa ces os saillants, et, tout ému
par cette misère de bête: ≪ Allos, viens ! ≫ dit- il.


.−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

男は突き出た骨をやさしく撫でた.この犬の哀れっぽ
さに心を動かされたのでした:「さあ、おいで!」.
男は言いました.


−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

caressa:(3単単純過去)
   < caresser (他) (やさしく)撫でる、愛撫する
os:
saillant(e):[サイヤン、サイヤント](形) 突き出た、張り出した
ému:(形) 心を動かされた、感動した
   < émouvoir (他) 感動させる、
misère:(f) みじめさ、貧困、
    [文] 不幸

2023年06月11日

436番:アルト・ハイデルベルク(128)


アルト・ハイデルベルク(128)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌


−−−−−−−−−【128】−−−−−−−−−−−−−−−


−−−−−− 13. Szene −−−−−−−−−

................Detlev (herein). (Dann) Kellermann.

............Detlev:Füchse ! Kellermann ! Kinder, hängt da mal
.........................Lampions auf ! Ist ja stockfinster.
.........................(Tastet nach vorn.) Hier bricht man sich den
.........................Hals. (Nimmt die Lampe und leuchtet Karl
.........................Heinrich ins Gesicht.) Wer ist denn das ?
........................ Pardon !

Karl Heinrich:(verlegen). Bitte.

............Detlev:Ich dachte, es wäre Kurt Engelbrecht, pardon !

.Karl Heinrich:Oh !

............Detlev:(leuchtet prüfend). Student, nichjt wahr ?
.........................Eestes Semester, wie ? Neu angekommen,
.........................was Heute ?

.Karl Heinrich:Allerdings.

...........Detlev:(ruft). Kellermann ! Bier her !

...Kellermann :Jawohl, Herr Graf. (Bringt zwei Gläser Bier.)

............Detlev:Es soll niemand mich stören. Ich will mein
.........................Bier in Ruhe .trinken, hier bei diedem jungen
........................ Herrn. (Stellt sich vor.) Graf .von Asterberg,
........................ Saxoniae. Lieber Freund, Sie hat ein Gott
.........................hierher geführt. (Leuchtet an den Doktor.)
.........................Wer ist denn das ? Der alte Herr schläft.
.........................Wir wollen ihn schlafen lassen, was ?
.......................... (Lacht.)

.Karl Heinrich:(lacht verlegen mit).



−−−−−−−−−−−− (訳) −−−−−−−−−−−−−−


−−−−−−−第 13場 −−−−−−−−−−

デートレフ登場、それからケラーマン. 

デートレフ:新入生諸君!ケラーマン!諸君、提灯を吊
....................るし給え!真っ暗闇じゃないか.(前の方へ
....................手探りで進む) これでは首が折れてしまう.
....................(ランプを手に取って、カール・ハインリヒ
....................の顔を照らす). 一体誰なんだ? 失礼!

カール・ハインリヒ: (当惑して).どういたしまして.

デートレフ:ぼくはあなたがクルト・エンゲルブレヒト
.....................君かと思いました、失礼!

カール・ハインリヒ:ああ!

デートレフ:(チェックしながら照らす).学生さんなん
....................でしょう? 第1学期なのでしょう? 着い
....................たばかりですか? きょうかな?

カール・ハインリヒ:もちろん、きょうです.

デートレフ:(呼ぶ).ケラーマン! ビールをたのむ!

.ケラーマン: かしこまりました、伯爵さま.
......................(ビールを2つ持って来る)

.デートレフ: 誰もぼくの邪魔をするのじゃないぞ.
......................ぼくは静かにビールを飲みたいのだ.
......................この紳士の所で.(自己紹介する)
......................ぼくはアスターベルク伯爵です.ザク
......................セン学生団員です.君はここへ神に導か 
......................れて来たのですよ.こちらはどなたかな?
......................このご老体は眠っておられる.眠らせて
.......................おこう、どうだ? (笑う)

.カール・ハインリヒ: (困惑混じりに笑う).



−−−−−−−−《語彙》−−−−−−−−−−−−−−

Füchse:(複数) <der Fuchs (変E) キツネ;ここでは
「新入生」を指す.新入生は17世紀の昔から
「狐」と呼ばれる習わしがあった.
der Lampions:(s タイプ) 提灯
auf/hängen:(他)[…⁴を] 掛ける、つるす
den Mantel am Haken aufhängen
/ コートを洋服掛けに掛ける
stockfinster:(形)[シュトックフィンスター] 真っ暗闇の
tasten:(自) 手探りする; 
[nach + Dat] 〜を手探りでさがす
vorn:(副) 前に、手前に
der Hals (変E) 首、のど、頸部
leuchten:(自)+ D格 […3 の足元を] 照らす
   jm ins Gesicht leuchten 〜の顔を照らす
verlegen:(形) 当惑した、困惑した、
prüfend:チェックしながら
<prüfen (他) 検査する、調べる
   [A格に] 試験をする 
Allerdings:(副) もちろん;
(相手の質問に強い肯定で答える)
Bier her!:ビールをここへ!
   このままのタイトルの学生歌があります.
   成立は1855年以前.
   Bier her ! / ビールをくれ!

Bier her ! Bier her !
Oder ich fall um, fall'um
 Soll das Bier im Jeller liwgen
 und ich hier die Ohnmacht kriegen ? 
Bier her ! Bier her !
Oder ich fall' um

ビールをくれ!ビールをくれ!
さもなきゃおれはぶっ倒れてしまう!
ビールを酒倉にねかせておいて
おれを卒倒させる気か?
ビールをくれ!ビールをくれ!
さもなきゃおれはぶっ倒れてしまう!

stören:(他)[…⁴]の邪魔をする
Stellt sich vor:<sich⁴vor/stellen 自己紹介する
Saxoniae. Lieber Freund:ザクセン友愛会(学生団のこと)
           ザクセン学生団と訳します.
geführt.<führen (他) […⁴を] 連れて行く、導く、
案内する
(A格 + 方向) […⁴を…へ] 持って行く
dr Gott:神;(わかりきった単語でも早合点に注意)
   Sie hat ein Gott hierher geführt.
Gott は男性名詞なのでA格なら
Sie hat einen Gott hierher geführt.
のはずなので、「神が君をここに導いたのだ」
   とデートレフは自分とカールハインリヒの出会いが
   神の思し召しの出会いだと言っています.



−−−−−−−−≪会話文≫−−−−−−−−−−−−−−

*) was? Heute ? :たたみかけるように聞いていますが、
   電子版の方はwas が大文字のWas ? となってい
   ます.着いたばかりだね?と聞いたのだから、次
   の言葉はWann を期待しますが、Was で聞いてい
   ます.このwas は「軽い驚き」です.
   「なんだ?きょう着いたの?」 


435番:ハリエット嬢(148)


ハリエット嬢(148)
Miss Harriet
Maupassant

MISS HARRIET
−−−−−−−−−−【148】−−−−−−−−−−−−−−−

Elle revint au bout de cinq minutes en
déclarant que le puits était tari. Ayant laissé
descendre toute la corde, le seau avait touché le
fond, puis il était remonté vide. La mère Leca-
cheur voulut se rendre compte par elle- même, et
s' en alla regarder par le trou. Elle revint en
annonçant qu' on voyait bien quelque chose dans
son puits, quelque chose qui n' était pas naturel.
Un voisin sans doute y avait jeté des bottes de
paille, par vengeance.


−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

5分後に彼女は井戸は干し上がっているのだと宣言し
ながら戻って来ました.つるべの縄を全部下げたところ、
桶が底に当ってしまい、それから引き上げると桶は空で
戻ってきたというのです.ルカシュール母さんが自分自
身で状況を理解するため、井戸の中を覗きに行きました.
母さんは、井戸の中に何かが見えると言って戻って来ま
した.普通じゃ考えられないようなものだと言います.
おそらく隣の家の人が、腹いせに麦わらの束をたくさん
投げ入れたと言い知らせました.


−−−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−−−−−

au bout de...: …の終わりに
en déclarant ~:(ジェロンディフ) 〜だとはっきり言いながら
puits:(m) 井戸
  puiser [tirer] de l'eau au puits / 井戸から水をくむ
tari(e):(形) 干し上がった
descendre:(自/他) 降りる、下りる、降ろす、下ろす
corde:(f) 綱、なわ、ロープ
par elle-même:彼女自身で
se rendre compte:事情を理解する、状況を把握する
regarder par le trou:穴を覗き見る、井戸の中を覗く
des bottes de:[古風表現] 〜の束、たくさんの〜
botte(f)には長靴という意味もあるが、ここでの
   botte は語源がオランダ由来 [野菜などの束]
なので別系統の言葉.
paille:(f) [集合的] わら、麦わら 
par vengeance:復讐のため、腹いせで、仕返ししようと
vengeance:(f) 復讐、仕返し
annonçant:(現在分詞) 〜だと公言しながら
   <annoncer (他) 知らせる、告げる、発表する 



−−−−−−−−−《ひとこと》−−−−−−−−−−−−−−−−−

trou の意味を調べていたら、こんな表現に出会いました.
日本語の発想と全く同じだったので、愉快に思いました.

* trou 穴; vouloir disparaître dans un trou
(恥ずかしくて)穴があったら入りたいと思う.

2023年06月10日

434番:ココット嬢(12)


ココット嬢(12)
Mademoselle Cocotte


−−−−−−−−−−【12】−−−−−−−−−−−−−−−−−−

≪ Alors le cocher François, pris de pitié, l' appela.
La chienne s' approcha timidement, l' échine pliée
en cercle, et toutes les côtes soulevant sa peau.


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

「それから御者フランソワには憐憫の情が生まれ、犬
を呼んだ.痩せこけて骨と皮だけのその雌犬は、背中を
丸めておずおずと近寄った.


−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

pitié:[ピティエ](f) 哀れみ、同情、憐憫
   avoir pitié de qnもしくは prendre qn en pitié で
憐れむ、哀れみをかける、同情する
ただし本文の prendre de pitié では辞書不掲載.
prendre の自動詞の項目で、(考え、感情が)
   起こる、取りつく、とあるので、この用法の
   ことであろう.「憐憫の情が生じた」と訳しまし
   た.
timidement:(副) おずおずと、遠慮がちに、はにかんで、
   répondre timidement / おずおずと答える
échine:[エシーヌ](f) 背骨、背筋、背中
pliée:(形、過去分詞女性) 曲がった
   < plier (他) 折る、曲げる 
en cercle:丸く、輪になって
   l'échine pliée en cercle / 背中を丸く曲げて
   s'asseoir en cercle / 輪になって座る 
côte:(f) 肋骨、あばら骨
soulevant:(現在分詞) < soulever (他) 持ち上げる;
peau(複peaux):皮膚、肌、皮、皮革
toutes les côtes soulevant sa peau:
すべての肋骨が皮膚を持ち上げて
(おそらくこういう表現をするのでしょう.
日本流に言うと「骨皮筋右衛門」
    ↓
痩せこけて肉がなく骨と皮だけだった

433番:アルト・ハイデルベルク(127)


アルト・ハイデルベルク(127)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌



−−−−−−−−−−【127】−−−−−−−−−−−−−−−

.........Käthie:(seufzt). Denn schließlich heiraten muss jede,
......................nicht wahr ? Und ewig in Heidelberg bleiben
......................kann man doch auch nicht, gell ?

Karl Heinrich: Bewahre.

.........Käthie: Nun muss ich gehen.

Karl Heinrich: Käthie ! (Zieht sie an sich.)

.........Käthie: Nicht !

Karl Heinrich: Süße Käthie. (Küsst sie leise).

.........Käthie: (macht sich halb frei). Wie heißen denn Sie ?

Karl Heinrich: Ich ? Ich heiße Karl Heinrich.

.........Käthie: Zwei Namen ?

Karl Heinrich: Ja.

.........Käthie: Karl Heinrich. Das klingt so seltsam.
......................So...so...(Sie nimmt leise seine Hände.)
......................Karl Heinrich (Sie schrickt auf.) Da
......................kommt wer !

Karl Heinrich: Nicht fort !

.........Käthie: Ich komme wieder.

Karl Heinrich: Aber sicher !

..........Käthie: Sicher. (Ab.)


−−−−−−−−−−− (訳) −−−−−−−−−−−−−−−

...ケティー: (ため息をついて)だって結局誰だってい
.......................つかは結婚しなくちゃならないのですから、
.......................そうでしょう? それにいつまでも永遠に
.......................ハイデルベルクにいられるわけはありま
......................せんものね、そうでしょ? 

カール・ハインリヒ: まさか.

...ケティー: さあ、もう行かなくちゃ.

カール・ハインリヒ: ケティー.(彼女を引き寄せる)

...ケティー: よしてください.

カール・ハインリヒ: 可愛いケティー.(そっとキスをする)

...ケティー: (身体を離して) 王子さまは、お名前何と
.....................おっしゃるの?

カール・ハインリヒ: 私ですか? 私はカール・ハインリヒです.

...ケティー: カールとハインリヒ、ふたつのお名前です
.....................の?

カール・ハインリヒ: ええそうです. 

...ケティー: カール・ハインリヒ.不思議な響きね.
.....................とっても...とっても...(そっと彼の
.....................手を取る) カール・ハインリヒ
.....................(驚いて立ち上がる) 誰かが来るわ.

カール・ハインリヒ: 行かないでくれ!

...ケティー: また来るわよ.

カール・ハインリヒ: きっと戻って来てね!

...ケティー:  きっとね.(立ち去る)
 


−−−−−−−−−−−《語彙》−−−−−−−−−−−−−−−

seufzt:(3単現) <seufzen (自) ため息をつく 
schließlich: ❶最後に、ついに、❷結局のところ、
Ich bin schließlich der Älteste. 結局[何と言ったっ
て]私がいちばんの年上なんだからね.
jede:(女性単数N格) <jeder どの人も、誰も
  ここではケティーが自分自身のことに言及してい
るので女性単数N格(jede)で一般論を述べていま
す.
ewig:❶永遠の、永久的な、❷いつまでも
bewahre:→ Gott bewahre ! とんでもない!
leise:(音が) 小さい、静かな、かすかな
klingt:(自) (鐘などが) 鳴る、響く  
seltsam:[ゼルトザーム] 奇妙な、不思議な
schrickt auf:(3単現) <auf/schrecken (自) 
驚いて飛び上がる; schreckenは不規則動詞:
   schrecken=schrak=geschrecken
auf は運動の方向「上へ」、つまり「立ち上がる」
fort:(副) 去って、いなくなって、離れて(英=away)
Nicht fort ! (Don't go away !) 行かないで! 
(Ne me qitte pas !)
ab:離れて、去って、[劇] 退場;  
Fritz ab nach links. フリッツ、上手へ退場.

    
−−−−−−−−−−−≪一言≫−−−−−−−−−−−−−−−

ケティーがカール・ハインリヒに、名前が2つか、と
聞いていますが聞いた理由は普通、貴族は、von などが
入るため、3つ以上になるため不思議に思ったからでし
ょう. カール・ハインリヒの響きが不思議に感じたと
いう点については、私にはわかりません.申し訳ないで
す.

432番:ハリエット嬢(147)


ハリエット嬢(147)
Miss Harriet
Maupassant

MISS HARRIET
−−−−−−−−−−【147】−−−−−−−−−−−−−−−

Voulant les laver et les rafraîchir, je priai la
petite bonne d' aller me tirer un seau d' eau bien
froide.



−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−
 
 その盛り物(サクランボのこと)を洗って冷やしたいと
思い、私は店の女の子にうんと冷たい水を手桶に汲んで
きてほしいと頼みました.

  

−−−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−−−−−

laver:(他) 洗う、洗濯する
rafraîchir:(他) 冷やす、冷たくする; 涼しくする、
rafraîchir une boisson avec des glaçon. /
(氷を入れて飲み物を冷やす)
priai:(単純過去1単) < prier (他) 頼む、懇願する
  prier A de + 不定詞:Aに〜するように頼む
  Je vous prie de rester encore quelques jours.
  どうかもう数日いて下さい.  
bonne:(f)[古風] (住み込みの)女中、使用人
la petite bonne:女中の女の子、セレストのこと
seau:(m) バケツ、手桶;
    seau à glace / 氷入れ

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はじめまして.ゴタぴょんと申します.通訳ガイド(英語)をしております.というかしていました.コロナの影響で現在仕事はありません.毎日ヒマなので、語学学習をしております.学習したノートを公開しますので、どうぞ、ご一緒に!
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