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2024年10月08日

1309番:ペルル嬢(126)


ペルル嬢(126)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−【126】−−−−−−−−−−−−−−

Et, une curiosité hardie me poussant
tout à coup, je prononçai:
  ≪ C'est vous qui auriez dû l'épouser,
monsieur Chantal ? ≫
Il tressaillit, me regarda, et dit:
  ≪ Moi ? épouser qui ? ≫ 
−−Mlle Perle.
−−Pourquoi ça ?
−−Parce que vous l'aimiez plus que
votre cousine. ≫
  Il me rergarda avec des yeux étranges,
ronds, effarés, puis il balbutia:
≪ Je l'ai aimée... moi ? ... Comment ? qu'est-
ce qu'il t'a dit ça ? ≫
 −−Parbleu, ça se voit... et c'est même à
cause d'elle que vous avez tardé si longtemps
à épouser votre cousine qui vous attendait
depuis six ans.≫


−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

 そして突然、大胆な好奇心が私を駆り立てました.
私は言ったのです.
 「シャンタルさん、あなたこそ彼女と結婚すべきだっ
たんじゃないですか?」
 彼はびくっとして、私を見ました.そして言いました.
 「私がだって?いったい誰とだね?」
−−ペルルさんとですよ.
−−どうしてさ?
−−だって、あの人のことを、奥様より、愛していら
っしゃるのですから.」

 彼は不思議そうにそしてぎょっとしたようにを丸くし
て私を見つめ、それから口ごもるように言いました.
 「私が彼女を愛していたって?...一体どうして?
誰がそんなことを君に言ったんだね?」
−−そりゃ、わかりますよ.それがために、あなた
は従妹さんとの結婚を6年も待たせるほど長々と遅ら
せてしまったんだもの.

 
−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

curiosité:[キュリオジテ](f) 好奇心、せんさく癖
†hardie:[アルディ](形) 大胆な、思い切った
poussant:(p.pré) < pousser (他) 押す、
pousser qn à + 不定詞:(人)を〜するよう駆り立てる 
prononçai:(1単単純過去) < prononcer (他)
prononcer: (他) (言葉などを)発する、口にする、
   言う、述べる、しゃべる
auriez:(2複半過去) < avoir
dû:(p.passé) < devoir
auriez dû + 不定詞:〜だったに違いない
épouser:(他) (と)結婚する
tressaillit:(3単単純過去) < tressaillir [トレサイール](自)
   ❶身ぶるいする、おののく、びくっとする、
   ❷ふるえる 
regarda:(3単単純過去) < regarder (他) 見る
aimiez:(2複半過去) < aimer (他) 愛する  
étrange:(形) 奇妙な、不思議な、
rond(e):(形) 丸い、丸々とした、
effaré(e):(形) 仰天した、ぎょっとした、おびえた、
balbutia:(3単単純過去) < balbutier [バルビュスィエ] (自)
balbutier:(自) 口ごもる、もぐもぐ言う 
parbleu:(間投詞)[古語調] そうだとも、勿論、
ça se voit:見ればわかる、すぐにわかる、
    Ça se voit. それはわかりますよ..
tardé:(p.passé) < tarder (自) 遅れる、
tarder à + 不定詞:〜するのが遅れる


1308番:ペルル嬢(125)


ペルル嬢(125)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−【125】−−−−−−−−−−−−−−

Je regardais M. Chantal et il me semblait
que je pénétrais dans son esprit, que je pé-
nétrais tout à coup dans un de ces humbles
et cruels drames des cœurs honnêtes, des
cœurs droits, des cœurs sans reproches, dans
un de ces drames inavoués, inexplorés, que
personne n'a connu pas même ceux qui en
sont les muettes et résignées victimes


−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

 私はシャンタル氏を見ました.私は彼の心の中を見
抜いたように思えました.突然、清廉で真っすぐで非
の打ちどころのない心にある、まだ告白されたことの
ない、誰も知らない未踏襲の惨めで残酷なドラマのひ
とつを、この犠牲者たちを無言にさせ、観念させるに
至った惨劇のひとつを見抜いてしまったような気がし
ました.

 
−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

regardais:(1単半過去) < regarder (他) 見る、眺める
   調べる
semblait:(3単半過去) < sembler (他)
il me semblait que ~:私には〜であるように思えた.
pénétrais:(1単半過去) < pénétrer (自) 入り込む
   [dans の中に] 入る
pénétrer (他) (人の意図を)見抜く、洞察する、見破る
   考えを見抜く
dans son esprit:彼の心の中を
tout à coup:[トゥタクー] 突然; 
  Tout à coup, elle a éclaté de rire. /
突然彼女は大声で笑い出した.
humble:[アーンブル](形)❶ 謙虚な、控えめな;
   ❷(名詞の前) [文]貧しい、しがない、
   みすぼらしい、取るに足らない、
cruel(le):(形) ❶残酷な、残忍な、冷酷な、むごい、
   ❷厳しい、つらい、苦しい、
drame:(m) ❶劇的事件、惨事、悲劇;❷劇、ドラマ
honnête:[オネト](形) 正直な、誠実な、清廉な
droit(e):(形) ❶真っすぐな、正しい、垂直の;❷右の
reproche:[ルプロッシュ](m) 非難、批判
inavoué(e):[イナヴウエ](形) 告白されない、自ら認めない
inexploré(e):探検されていない、未踏査の、未調査の、
connu:(p.passé) < connaître (他) 知っている
sont:(直現3複) < être
en être:❶[à まで]達している、進んでいる;
    ❷[参加・仲間] Il en est. / 彼はそれに加わって
いる.1枚かんでいる.
[pour を]損した、
muet, muette:[ミュエ, ミュエット](形) ❶ 口が利けない、
   ❷(一時的に)声が出ない
   Il est muet de naissance. /
   彼は生まれつき口が利けない.
   rester muet d'étonnement / 驚きのあまり声も出ない 
résigné(e):(形) あきらめた、観念した、
   Il accepta d'un air résigné. /
   彼は観念した様子で引き受けた.
victime:(f) 犠牲者、被害者


1307番:ペルル嬢(124)


ペルル嬢(124)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−【124】−−−−−−−−−−−−−−

Il se tut encore. Je demandai: ≪ Pourquoi
ne ne s'est-elle pas mariée ? ≫

Il répondit, non pas à moi, mais à ce mot
qui passait, ≪ mariée ≫.

≪ Pourquoi ? pourquoi ? Elle n'a pas voulu...
pas voulu. Elle avait pourtant trente mille
francs de dot, et elle fut demandée plusieurs
fois... elle n'a pas voulu ! Elle semblait triste
à cette époque-là. C'est quand j'épousai ma
cousine, la petite Charlotte, ma femme, avec
qui j'étais fiancé depuis six ans. ≫



−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

 彼は再び黙った.私は尋ねた.「なぜあの人は結婚を
しなかったのですか?」

 シャンタル氏は、、私にではなく、この結婚と呼ばれ
るこの言葉に対して答えていた.

 「なぜだって?なぜ? 彼女は望んでいなかった...
結婚は望んでいなかった.だが3万フランの持参金はあ
ったし、何度も結婚の申し込みはあったよ.だが彼女は
それを望まなかったのだ.この時代は彼女が悲しそうに
見えていた.それは私が従妹のシャルロットと結婚した
頃だった.今の家内だよ.婚約から6年越しだったよ.
 
 
−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

pourtant:しかし、けれども、
épousai:(1単単純過去) < épouser (他) (と)結婚する


−−−−−−−−−≪話の謎≫−−−−−−−−−−−−−−−

今回は謎が1つあります.たしか、赤ん坊のペルルさん
を迎え入れたときの持参金は1万フランだったはずなの
に、3万フランに増えている.なんで?株?投資信託?


1306番:ペルル嬢(123)


ペルル嬢(123)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−【123】−−−−−−−−−−−−−−
   
 Il reprit, au bout d'une minute: ≪ Cristi,
qu'elle était jolie à dix-huit an... et gracieuse...
et parfaite... Ah ! la jolie... joie... joie... et bonne...
et brave... et charmante fille !... Elle avait des
yeux... des yeux bleu... transparents... clairs... comme
je n'en ai jamais vu de pareils... Jamais ! ≫


−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−
 
 シャンタル氏はしばらくたってから、また話を続けた.
「クリスティ、あの子の18歳の頃の何と美しかったこ
とか.何と優雅だったか、非の打ちどころがなかったよ.
ああ、美しかった...本当に、本当に、そして人がよく
て、勇気もあった.そして、かわいい娘だったよ.青い
目をしていたよ.青い目だった.透き通るような青だっ
た.そして澄んでいた.あれほど澄んだ目は見たことが
なかったよ.一度たりともね.」



−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

reprit:(3単単純過去) < reprendre (他)
reprendre: (他) (言葉を)続ける、再び始める
au bout d'une minute:しばらくののち
Cristi:(人名) クリスティ、これもペルルさんの名前
   その後のqu' は関係代名詞ではなく感嘆文の導入
   詞、「クリスティ、彼女の18の頃の何と美しかっ
   たことか」(qu'elle était jolie à dix-huit an)
gracieux(se):(形) 優雅な、しとやかな、やさしい
parfait(e):(形) 申し分のない、完璧な、
charmant(e):(形) かわいい、感じがいい、すてきな、
transparent(e):[トランスパラン(ト)](形) 透明な、
   透けて見える



1305番:ペルル嬢(122)


ペルル嬢(122)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−【122】−−−−−−−−−−−−−−
   
 Moi, je restais en face de lui, adossé à
la muraille, les mains appuyées sur ma queue
de billard inutile.


−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

私は壁にもたれたまま、両手をもう使っていない玉突
き棒に載せて、彼のほうに向いたままだった.
 

−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

restais:(3単半過去)
adossé:(p.passé) < adosser (他) [à, contre に]
   もたせかける、(を)背にして置く、
muraille:(f) 壁、城壁、外壁
appuyées:(p.passé/f/pl) < appuyer (他) []
queue:(f) ❶ (動物の)尾、尻尾、❷柄、軸、
     ❸(ビリヤードの)キュー.
billard:[ビヤール](m) 玉突き、ビリヤード 
inutile:[イニュティル](形) 役に立たない、無用の、無駄な



−−−−−−−−−≪情景描写≫−−−−−−−−−−−−−−−
  
「私は壁にもたれたまま、両手をもう使っていない玉
突き棒に載せて、彼のほうを向いたままだった」

たしかに本文を訳すとこうでした.しかしチェックの
ため、翻訳本を見るとちょっと違う.どういうことか
と言いますと、シャンタル氏は玉突き台に足をぶらぶ
らさせて座っている.そしてその彼と面と向き合うな
ら、聞き手の私は立っているしかありません.椅子と
いう言葉が出てこなかったためです.ですからここは
翻訳文ではこんな風になっております:

「私は壁にもたれたまま、両手をもう使っていない玉
突き棒に載せて、彼のほうに面と向かって立ったまま
だった」

言葉だけに責任をもつのが通訳.情景にまで責任をもつ
のが翻訳なのかも知れません.来世は翻訳家を目指して
今からお勉強しましょう.


1304番:ペルル嬢(121)


ペルル嬢(121)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−【121】−−−−−−−−−−−−−−
   
Un peu rouge la voix sourde, il parlait pour
lui maintenant parti dans ses souvenirs, allant
doucement, à travers les choses anciennes et
les vieux événements qui se réveillaient dans
sa pensée, comme on va, en se promenant,
dans les vieux jardins de famille où l'on fut
élevé, et où chaque arbre, chaque chemin,
chaque plante, les houx pointus, les lauriers
qui sentent bon, les ifs, dont la graine
rouge et grasse s'écrase entre les doigts, font
surgir, à chaque pas, un petit fait de notre
vie passée, un de ces petits faits insignifiants
et délicieux qui forment le fond même, la
trame de l'existemce .



−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

いくぶん顔を赤らめ、口ごもった声になって、思い出か
ら浮かび上がったものを今や自分のためのように話した.
思い出は思考の中で、甘く漂い古き事柄を渡り進み、蘇
る懐かしい事件を駆け巡った.それは自分が育った古い
懐かしい家の庭を散歩するかのようだった.それぞれの
樹木が、それぞれの小道が、それぞれの植物が、尖った
ヒイラギが、香りのいい月桂樹が、その赤く豊かな種子
が指の中ではじけるイチイが、それらが一歩一歩と歩む
ごとに過ぎし日々の些細な出来事ですら現れだすのだ.
心の奥底さえ筋書きに形成する、取るに足らない出来事、
甘い、そして小さな様々な出来事を蘇らすのである. 



−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

un peu rouge:いくぶん顔を赤らめ
sourd(e):[スール, スルド](形) ❶耳が遠い、耳が聞こえない
❷(音が)こもった、にぶい;
bruit sourd / にぶい音、 
voix sourde / 内にこもった声
parti dans ses souvenirs:自分の思い出から出た(話)
allant doucement:甘く、ほんのりと
à travers les choses anciennes:昔のことが行き交う
les vieux événements qui se réveillaient:
   蘇る懐かしい出来事の数々
pensée:(f) 考え、思い、心
dans sa pensée:想念の中で
comme on va, en se promenant:散歩に出かけるように
dans les vieux jardins de famille:懐かしいわが家の庭で
   où l'on fut éléve:そこで自分が育った
et où chaque arbre, chaque chemin:どの樹木も、どの道も
chaque plante:どの植物も
†houx:[ウー](m) ヒイラギ、モチノキ
pointu(e):[ポワンテュ](形) とがった、鋭い、
laurier:[ロリエ](m) ❶ゲッケイジュ(月桂樹)、
   ❷月桂樹の葉
sentent bon:(直現3複) よい香りがする、
if:[イフ](m)⦅植物⦆ イチイ
graine:[グレーヌ](f) 種、種子
gras(se):(形) ❶脂肪質の、脂肪分の多い、❷太った、
   ❸豊富な、肥沃な、豊かな、❹肉太の、ぶ厚い;
écraser:(他) ❶押しつぶす、踏みつぶす、粉々にする、
   ❷(車が)轢く、❸圧倒する、
s'écrase:(pr) ❶つぶれる、粉々になる、❷(飛行機が)
   墜落する、❸押し合う;
   ❹[話]おとなしくしている
surgir:[スュルジール](自) (ふいに)立ち現れる、浮かび出る;
   Un camion surgit du brouillard.
トラックが霧の中から現れた.
vie passée:過ぎ去りし日々
insignifiant(e):[アンスィニフィヤン, ト] (形) 下らない、
   取るに足らない
fait:(m) 出来事、起こったこと、
délicieux:(形) 非常に気もちのよい、えも言われぬ、
   ごく快適な、魅力的な、 
forment:(直現3複) < former (他) 形作る
trame:[トラム](f) 横糸、入り組んだ事件の背景、筋書き
existence:(f) ❶存在、❷生活、生き方.


1303番:ペルル嬢(120)


ペルル嬢(120)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant

−−−−−−−−−IV−−−−−−−−−

−−−−−−−−【120】−−−−−−−−−−−−−−
   
M. Chantal se tut. Il été assis sur le
billard, les pieds ballants, et il maniait une
boule de la main gauche, tandis que de la
droite il tripotait un linge qui servait à ef-
facer les points sur le tableau d'ardoise et
que nous appelions ≪ le linge à craie ≫.



−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

 シャンタル氏は黙った.彼は玉突き台の上に座り両足
をぶらぶらさせていた.そして左手で球のひとつと戯れ
ながら右手で布をさわっていた.その布は石盤上の得点
を消すためのものだったが、私たちはそれを黒板拭きと
呼んでいました.


−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

se tut:(3単単純過去) < se tair (pr) 黙る、 
Il été assis sur le
billard:[ビヤール](m) ❶ビリヤード、玉突き;
   ❷玉突き台
ballant(e):(形) 揺れて、振れている
maniait:(半過去3単) < manier (他) 手で扱う、
   操作する;navire facile à manier / 操縦の簡単な船
boule:[ブル](f) 球、玉、球形のもの
tandis que:(接続句) ❶【同時】〜している間、
   〜しているときに、
tripotait:(半過去3単) < tripoter (他) さわる、
   いじりまわす、
   tripoter sa barbe / ひげをしょっちゅうさわる
linge:[ラーンジュ](m) ❶家庭用木綿製品、リネン製品;
   ❷洗濯物、、
servait à:(3単半過去) < servir à ~: 〜に役立つ
servir:(自/他) (に)役に立つ
effacer:(他) 消す
point:(m) 得点、点数
tableau:(m) 黒板
ardoise:(f) 石盤石、スレート、粘板岩、
appelions:(1複半過去) < appel
craie:[クレ](f) 白墨、チョーク
linge à craie:(m) 「黒板拭き」と訳しておきますが
黒板拭きに相当するフランス語は éponge です.



1302番:ペルル嬢(119)


ペルル嬢(119)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−【119】−−−−−−−−−−−−−−−−
   
Ma mère elle-même fut tellement émue
par la reconnaissance passionée et le
dévouement un peu craintif de cette mignonne
et tendre créature, qu'elle se mit à l'appeler:
 ≪ Ma fille. ≫ Parfois quand la petite avait
fait quelque chose de bon, de délicat, ma
mère relevait ses lunettes sur son front,
ce qui indiquait toujours une émotion chez
elle et elle répétait: ≪ Mais c'est une perle,
une vraie perle, cette enfant ! ≫ − Ce nom
en resta à la petite Claire qui devint et
demeura pour nous Mlle Perle.


−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

母でさえ、この可愛くてやさしい子の心からの感謝や
少しばかりおどおどした献身的な姿には、心を動かされ
て「わが娘や」と呼び始めたほどでした.この子が何か
いいことや素晴らしいことをしたときにはときどき、母
は顔の眼鏡を上げていました.それは彼女が感動したと
きにを示すいつもの仕草でした.そして母はくり返し言
うのでした.「この子はまるで真珠だわ.本物の真珠よ.
この子は!」−−この呼び名がクレールにはずっと残る
ことになって、私たちの間で、「ペルルお嬢さん」の名前
になって、そのまま残ったのです.

 

−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

ému(e):(形) 心を動かされた、感動した、
reconnaisdsance:(f) 感謝、
passioné(e):(形) 情熱的な、熱中した、熱列な;
reconnaisdsance passionée:心からの感謝
dévouement:[デヴーマン](m) 献身、忠誠、犠牲的精神
craintif(ve):(形) 臆病な、おどおどした、
mignon, onne:(形) (小さくて)かわいい、すてきな
mignon(ne):(n) 可愛い子、
tendre:(形) やさしい、愛情深い、
créature:[クレアチュール](f) 創造物、人間
se mit à + 不定詞:(3単単純過去)
   < se mettre à + 不定詞:〜し始める、
   に着手する、とりかかる
appeler:(他) 呼ぶ
parfois:(副) ときには、ときどき
quelque chose de délicat:優美な振舞い
relevait:(3単半過去) < relever (他) 立て直す、
   起こす、高くする
lunette:(f)[複数形で用いる] 眼鏡
indiquait:(3単半過去) < indiquer (他) 指し示す 
ce qui indiquait:示していたこと
émotion:[エモスィオン](f) 気持ちの高ぶり、感動
répétait:(3単半過去) < répéter (他) 繰り返す
perle:[ペルル](f) 真珠
devint:(3単単純過去) < devenir (自) 〜になる
demeura:(3単単純過去) < demeurer (自)
   とどまる、残る


−−−−−−−−−−−≪追記≫−−−−−−−−−−−−−−−−

学習後に訳本(岩波文庫)をチェックしたところ、
「真珠」には「申し分ない人のこと」という説明が
本文中カッコ内に載っておりました.


1301番:ペルル嬢(118)

   
ペルル嬢(118)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant



−−−−−−−−【118】−−−−−−−−−−−−−−−−
   
Claire comprit cette situation avec une
singulière intelligence, avec un instinct sur-
prenant; et elle sut prendre et garder la
place qui lui était laissée, avec tant de tact,
de grâce et de gentillesse, qu'elle touchait
mon père à le faire plerurer.



−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

クレールはこの立場を不思議なほどの知能と驚くべ
き本能で理解したのでした.そしてこの子は自分が求
められている本分を理解し守ったのですが、それも実
に如才なく、エレガントに、心優しく振舞うので、父
の心を動かし、涙させたほどだった.

 

−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

Claire:(ペルルさんの苗字) クレール
  ペルルさんは養女になったのだから本来はシャンタ
  ル家の苗字を名乗るはずですが、格式にこだわるシ
  ャンタル家によってクレールという苗字がつけられ、
  マリー・シモーヌ・クレールと命名された.  
comprit:(3単単純過去) < comprendre (他)
comprendre:(他) わかる、理解する 
singulier(ière):(形) 風変わりな、奇抜な、かわった、
  一風変った情熱的、
intelligence:[アンテリジャンス](f) 知能、聡明さ、頭のよさ
surprenant(e):(形) 意外な、驚くべき
tact:[タクト](m) 機転、敏感、如才なさ、
avoir du tact / 機転が利く、如才がない、
grâce:(f) 好意、恩恵、(神の)恵み、天賦の才能、
   感謝、優雅、優雅さ、しとやかさ
gentillesse:[ジャンティエス](f) 親切、心遣い、親切な言動、
touchait:(3単半過去) < toucher (他) 感動させる、
〜の心に触れる[衝撃を与える]
à le faire plerurer:彼をして涙させるまでに

1300番:ペルル嬢(117)


ペルル嬢(117)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−【117】−−−−−−−−−−−−−−−−
   
Aussi, dès que l'enfant put comprendre,
elle lui fit connaître son histoire et fit
pénétrer tout doucement, même tendrement
dans l'esprit de la petite, qu'elle était pour
les Chantal une fille adoptive, recueillie,
mais en somme une étrangère.


−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

 だもので、この子が理解できる年齢になるとすぐ、
母は、この子の生い立ちを話して聞かせ、お前はシ
ャンタル家にとって養女であること、要するによそ
者なのだと、やさしく傷つけぬよう気を使いながら
精髄に教え込んだ.
 

−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−

aussi:ここでは(副)ではなく(接) [文頭位置]
   (接) だから、それ故に
dès que:〜するとすぐ
l'enfant:この子(ペルルさん)
put comprendre:(3単単純過去) 副詞節の中は基本的に
   主節の時制と一致させる.,
pénétrer:(自・他) 入り込む、浸透する、
   入り込ませる、浸透させる
elle lui fit connaître son histoire:母はペルルさんに生い立
   ちを知らしめた.(faire + 不定詞=使役)
et fit pénétrer tout dans l'esprit:そしてすっかり骨身に
いきわたらせた.
tendrement:やさしく、思いやりをもって、
   愛情を込めて 
esprit:(m) 精神、精髄、
adoptif(ve):(形) 養子縁組の
recueilli(e):[ルクーィ](形) 瞑想にふけった、
   思いをこらした、内省的な
en somme:つまるところ、結局、所詮は
étranger(ère):(形) 他人、よそ者



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