『イヴェット』(7)
Yvette
−−−−−−【7】−−−−−−−−−−−−−−−−
Les deux amis marchaient d'un pas lent,
un cigare à la bouche, en habit, le par-
dessus sur le bras, une fleur à la bouton-
nière et le chapeau un peu sur le côté
comme on le porte quelquefois, par non-
chalance, quand on a bien dîné et quand
la brise est tiède.
−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−
二人はタバコを口にくわえて、外套を腕に掛
けて、1本の花を胸のボタンホールに挿して、
そして帽子を少し横にずらしてかぶり、ゆっく
りした歩調で歩いて行きました.それは腹が満
たされて、不精になり、生ぬるい風が吹いてい
たりするときに、しばしば見る体たらくだった.
−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−
un cigare à la bouche:タバコを口にくわえて
中高と英語の授業で5文型を叩き込まれた
私たちは、こういうふうに名詞が浮いてい
のは許せないようです.しかしフランス語
の小説は当たり前に出てきますので慣れて
おきましょう.浮いた名詞と次の前置詞句
は、「〜を…する」、という関係になります.
パーマ屋さんのお客がこの浮いた名詞で、
次の前置詞句がお客の注文の髪型です.
「私の髪を〜にして」この公式にあてはめて
「タバコ」に「口に加えて」という処置を
加えて「タバコを口に加えて」となります.
en habit:礼服を着て、夜会服を着て、燕尾服を着て;
homme en habit / 礼装の男性
pardessus:(m) 男性用のオーバー、外套
pardessus sur le bras;(パーマ処理客)外套を腕に掛けて
「掛けて」という動詞は読み手側で補います.
une fleur à la boutonnière:(パーマ処理客)
花を1本ボタンホールに挿して
boutonnière:(f) ボタンホール
porter une fleur à la boutonnière
花を1本ボタンホールに挿して
porter がなくても訳せるように慣れて
下さい.
le chapeau un peu sur le côté:
帽子を少し横かげんに被り
(宝塚のスターたちがかこよくかぶって
いるあんな感じです)
長文なので、comme の手前で切って訳します.
comme on le porte quelquefois, par nonchalance,
le は帽子.ときどき不精でこうかぶる、と
言っています.
quand on a bien dîné et quand la brise est tiède.
たらふく食べたとき、風が生あたたかいとき
そういうときに帽子を横かぶりにする
と言っています.
nonchalance:[ノンシャラーンス](f) 無頓着、投げやり、不精
懶惰(らんだ)、怠け癖
brise:[ブリーズ](f) そよ風、微風、風
tiède:[ティエード](形) ❶生ぬるい、❷生暖かい.
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image