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スカンジナビアからロッキン

 うーむ
 北欧って、何かミュージシャンを惹きつける特別な魅力があるんでしょうか?
 この人もまた、スウェーデンを活動の拠点にしている(住んでいる?)人です。

 これって、いつ頃からでしたっけ?
 少なくとも、98年の2ndソロ、"A Good Week's Work"では、既にスウェーデンと深く関わっていたはず…。
 などとタイプしてから気付いたのですが、この人が制作したスウェーデンのRockpileこと、The Refreshmentsの1st、"Both Rock 'n' Roll"がリリースされたのは95年でした。
 そこから起算すると、あと数年で、北欧との蜜月は20年に及ぶわけです。


Billy Bremner's Rock Files
Billy Bremner

1. The Alliguitar And The Rockadile (Billy Bremner, Micke Finell)
2. I Hit The Nail Right On The Head (Billy Bremner, Micke Finell)
3. My Life Has Stopped On Red (Billy Bremner, Micke Finell)
4. Bullies (Billy Bremner, Micke Finell)
5. Emergency (Billy Bremner, Micke Finell, M. Ahlsberg)
6. At Last The Summer's Here (Billy Bremner, Micke Finell)
7. The Cocktail Of The Year (Billy Bremner, Micke Finell)
8. Take It Day By Day (Billy Bremner, Micke Finell)
9. Lie Detector (Billy Bremner, Micke Finell)
10. Can't Turn Back (Billy Bremner, Micke Finell)
11. Hell's Doors (Billy Bremner, Micke Finell)
12. Instead Of Believing You (Billy Bremner, Micke Finell)
13. Every Day I Love You More And More (Billy Bremner, Micke Finell)
14. She's No Queen (Billy Bremner, Micke Finell)
15. Lena (Billy Bremner, Micke Finell)

 本盤は、スウェーデンの会社から、今年6月末にリリースされました。
 例によって、販路はEU圏内の一部ショップ中心で、大手では未だあまり流通していないようです。

 本盤の裏ジャケには、"Ball & Chain"と"Rock Around The Clock"という二つのロゴがプリントされています。
 どうやら、"Rock Around The Clock"が元々の製作レーベルではないかと思われ、だとすれば、現状の販路の狭小さについては、"Ball & Chain"にもう少し頑張ってほしいところです。

 一方の"Rock Around The Clock"は、Refreshmentsのサックス・プレイヤー、MIcke FInellが深く関わっている(オーナー?、チーフ・プロデューサー?の)会社ではないかと思います。

 いつもながら、本題に入る前に脇道にそれますが、ここでBillyのキャリアについて、確認の意味でざっくりと振り返りたいと思います。
 以下は、私の勝手な整理ですので、「これを入れるのはおかしい、あれが入ってない」などの異論は認めます。

黄金期 (Rockpile時代)
78年 Trax On Wax 4 : Dave Edmunds
78年 Jesus of Cool : Nick Lowe
78年 Juppanese : Mickey Jupp (片面のみRockpile勢が伴奏)
79年 Labour of Lust : Nick Lowe
79年 Repeat When Necessary : Dave Edmunds
80年 Seconds of Pleasure : Rockpile
80年 Musical Shapes : Carlene Carter
81年 Twangin' : Dave Edmunds
(モントルー・ライヴは略)

放浪期 (必殺裏方人時代)
82年 Give Me Your Heart Tonight : Shakin' Stevens (リード・ギターでゲスト参加)
84年 Learning to Crawl : The Pretenders ("Back on the Chain Gang"の流麗なソロは◎)
84年 Bash! : Billy Bremner (1stソロ)
90年 Packed! : The Pretenders (メジャー・バンドに正式加入、この盤のみ)

北欧期 (スカンジナビア雄飛時代)
95年 Both Rock 'n' Roll : The Refreshments (制作及びゲスト参加)
97年 Trouble Boys : The Refreshments (制作及びバンドに正式加入)
97年 Hey Conductor : Inger Nordstrom (制作及びゲスト参加)
98年 A Good Week's Work : Billy Bremner (2ndソロ、Refreshmentsのメンバーが参加)
99年 Are You Ready : The Refreshments (この盤でバンド脱退)
00年 Musical Fun For Everyone : The Refreshments (制作及びゲスト参加)
00年 A Pile of Rock Live : Dave Edmunds (Refreshmentsが伴奏、録音は97年)

近年 (スカンジナビア半隠棲時代〜もしかして覚醒?時代)
06年 No Ifs, Buts, Maybes : Billy Bremner (3rdソロ)
11年 Bad Trouble : Trouble Boys (Sean Tylaとの双頭バンド結成〜まさかこれ1枚で自然消滅?)
12年 Billy Bremner's Rock Files : Billy Bremner (本盤4thソロ、Refreshmentsのメンバーが参加)


Hey Conductor : Inger Nordstrom (97)
(Billy制作のスウェーデンの女性カントリー・シンガー
ロッキン・カントリー盤、タイトル曲はBillyの提供曲)


 こうやって見ると、仕事してますねえ。
 もし、昨年からの流れが活動の再活発化につながるなら嬉しいです。
 (来日予定は中止になりましたが…。)
 というわけで、本盤へとたどりつくわけです。

 さて、本盤の参加メンバーは以下のとおりです。

Billy Bremner : guitars, banjo, bass, vocals
Micke Finell : saxophone
Pelle Alsing : drums
Mats Forsberg : drums
Rolf Jansson : drums
Matthias Bruhn : piano
Johan Blohn : piano
Bengt Bygren : piano
Sean Tyla : artwork & design

 このうち、Micke Finell(sax)、Mats Forsberg(dr)、Johan Blohn(p)の三人がRefreshmentsのメンバーです。
 Refreshmentsのギターとベース以外が参加していることになり、ここまでくると、バンドの核であるベースのJoakim Arnellの不参加に、何か意味があるのかと気になってしまいます。
 何しろベーシストを呼ばず、Billy自身がベースを兼任しているのですから…。

 この布陣は、まるで老師と師を慕う弟子たちのようで、全体的なサウンドは、Rockpile〜Refreshmentsの流れそのままの、痛快なロックンロール・アルバムに仕上がっています。
 
 このあたりは、Nick Loweが、数年前から完全に日向ぼっこ路線というか、(好意的に言えば)枯れた魅力を醸し出しているのに対して、Billyさんは変わらぬロケンローラーぶりを見せていて頼もしいです。
 (ただ、リーフレットの近影を見ると、その外見はNick同様のシルバー化が顕著で、哀愁さえ感じます。)

 全曲理屈抜きで楽しめるアルバムですが、収録曲では、あえて言えば以下の曲が印象に残りました。

1. The Alliguitar And The Rockadile
4. Bullies
5. Emergency
7. The Cocktail Of The Year
8. Take It Day By Day
9. Lie Detector
14. She's No Queen
15. Lena

 うーん、3〜4曲だけピックアップしようとしたんですが、あれもいい、これも気になるで、結局後半をはしょる感じのチョイスになりました。
 以下は私の感想ですが、ごく普通の音楽ファンには、「同じような曲ばっかりじゃん」と言われかねない美しいマンネリズムに共感できる方のみどうぞ…。

 まず、何と言ってもRockpile直系の曲調、サウンドがうれしい、トラック1の"The Alliguitar And The Rockadile"とトラック14の"She's No Queen"が特に印象に残りました。
 あっさりした曲の入り方、たんたんとロックンロールする展開など、Rockpile的様式美が美しい曲たちです。
 "She's No Queen"は、ギター、ピアノ、ボーカルのコール&レスポンス、多重録音のコーラスも良いです。
 もうこの2曲でオールOKという感じですが、その他の曲にも触れましょう。

 "Bullies"は、少しアメリカン・ロック調の作品で、どこか疾走系フォーク・ロックの風合いもあります。
 魅力的な12弦ギター風のリフレインに、Billyがバンジョーを多重録音しています。

 トラック5のEmergency"とトラック9の"Lie Detector"は、いかにも「らしい」トワンギンなギター・プレイが聴けます。
 基本は、思い切ってラウドに聴きたいですが、小粋なオブリの機微を聞き込むため、1度はヘッドフォンでも聴きたいところです。
 "Emergency"は、サックス・リフがメインのロックンロールで、こういうの好きです。

 "The Cocktail Of The Year"は、一転してピアノが主役のブギで、これまた好みです。
 これは、誰が弾いているのでしょう。

 本盤では、かなりアコギを多用していて、"Take It Day By Day"は、その代表例として紹介します。
 エヴァリー兄弟風のボーカル曲で、アルバムの一つのアクセントになっています。

 ラストの"Lena"は、唯一のインスト・ナンバーです。
 トワンギンなプレイ満載ですが、あまりスリルはないです。

 何となく、結論めいたことを、思わずフライングしてしまいました。
 私は、この音楽が大好きです。
 繰り返し聴いても疲れない、リラックス効果の高いアルバムだと思います。

 でも一方で、私の頭の隅には、ある冷めた考えが支配しているのでした。
 ここには、ある種の様式美があり、古くからの聴き手が期待していることに、期待しているタイミングで応えてくれます。
 これは立派な快感のフォーマットでしょう。
 しかし、予想を裏切るような、不安を抱かせるようなスリルの提示はありません。
 もしも、スリルの昇華からのカタルシスが欲しいなら、別の音楽がいいかも知れません。



 例えば、同じBillyでも、昨年リリースされた新バンド、Trouble Boys(こちらもMicke Finell参加)の"Bad Trouble"なら、Sean TylaとBilly Bremnerの個性の違いから、綱渡りのような緊張感を感じることが出来るかも知れません。
 (もっとも、個性がぶつからずに、すれ違っているような印象も受けますが、そこを面白く思う人もいると思います。)

 音楽の楽しみ方、個々の好みは千差万別です。
 また、好みが一つでない場合がほとんどでしょう。
 その日の体調、その場の雰囲気、気持ちに合った音楽を聴くのがベストです。

 とはいえ、全てをひっくるめた上で、本盤の音楽は、ひとたび鳴りはじめたら、私を幸福な気分へと導いてくれることも確かなのでした。

 (蛇足)
 "The Alliguitar And The Rockadile"ですが、アリゲーターのつづりが違うことに気付きました。
 (Alliguitar → 正 Alligator)単語の後半がギターのつづりになっています。
 Alliguitarは、All I Guitarと分解できますが、意味不明ですね。
 Rockadileも辞書にはない単語です。
 そこで少し考えたのですが、これって、意味なんかなくて、こういうことじゃないでしょうか?
 アリゲーターとクロコダイル(Alligator And Crocodile)のしゃれ…。


Alliguitar, Rockadile by Trouble Boys (2010年12月投稿動画)


 こんな動画を見つけました。
 オフィシャル動画ではないかと思われ、投稿時期から推察すると、元々はTrouble Boysの1st用に用意された曲だったのではないでしょうか。
 今回、Billyの4thソロに収録されたことが、Trouble Boysの前途と無関係ならよいのですが…。
 (この動画によれば、Rockadileは、Rock or Dieを意味するみたいですね。)


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