2011年11月12日
カオスの人 ジョセフ・ロンゴリア
私が以前から強い関心を持ちながらも、遅々として全体像が把握できないミュージシャンがいます。
その代表が、Gene Thomas、Buck Rogers、そしてJoey Longです。
マイナーどころばかりですみません。
今回は、テキサスの白人ブルース・ギタリストにして、スタジオの伝説のエース、でも、その実体がほとんど伝えられていない人、Joey Longの70年代のソロ・アルバムが手に入ったので、わくわくしながら聴いてみました。
本盤は、Huey Meauxの制作により、彼のCrazy Cajun Recordsから78年にリリースされました。
実際に現場を仕切ったのは、Meauxの片腕であるMickey Moodyだと思いますが、アレンジャーとして、Dr. Johnの名前がクレジットされているのが興味深いです。
Side One
1. Tormented Love (Jack Rhodes)
2. Lovers Land (Jack Rhodes)
3. Jezebell Gables (Joseph Longoria)
4. House Of The Rising Sun (Alan Price)
5. Please Mr. Mirror (Joseph Longoria)
Side Two
1. Four O'Clock A.M. Part 1 (Joseph Longoria)
2. Four O'Clock A.M. Part 2 (Joseph Longoria)
3. Blue Taer (Kurney Revett)
4. Send Me Some Lovin' (77-14)
5. Keen Teen Baby (Leroy Martin)
音を聴く前に、最初にジャケット・デザインについてお知らせします。
一見してよく分からない構図だと思いますが、これは、4機のジェット機の航空ショー(?)のワン・カットだと思われます。
なんだか変な爪のようなものが見えますが、飛行機雲の軌跡を捕えたものです。
謎解きをすれば「なーんだ」という感じですね。
(私は、ネットでジャケ写を見たとき、なんて趣味の悪いデザインなんだと思っていました。)
さて、早速聴いてみましょう。
通して聴いてみて、一気に色々な感情があふれてきました。
何から説明しましょう。
とりあえず、相も変わらずのいい加減なつくりの話をします。
Crazy Cajun、またまたやってくれてます。
本盤は、裏ジャケ、レコードのラベルとも、収録曲の表記は上記のとおりです。
B4の"Send Me Some Lovin'"の作者クレジットが変ですが、この程度はかわいいものです。
本盤のB面は5曲の題名が記載されていますが、実は6曲入りなのです。
どうしてこうなったのか、また、再プレスのときにも誰も修正しないのはなぜか、など疑問は尽きませんが事実です。
B1に収録されている曲のタイトルが全く記載されていず(ジャケ、ラベルとも)、初めて聴くと、頭が混乱します。
それというのも、表記では、B1とB2が"Four O'Clock A.M."のPart1、Part2となってますが、明らかに別の曲なのです。
実際にB1は歌もの(R&B)なのに対して、B2の"Four O'Clock A.M. Part 2"は、ブルース・ハープとギターが印象的なジミー・リード・スタイルのインストなのでした。
対してB3は少し違いますが、やはりブルース・ギターのインストです。
私は、ここで「あれっ」と思いましたが、不審に思いつつもそのまま聴いていくと、"Send Me Some Lovin'"であるべき曲が全く別のメロで、「ブルー・ティアー」という歌詞を歌っているではありませんか。
ここで、はっきりと確信しました。
B面の1曲目のタイトルが欠落しており、全て1曲づつずれているのです。
タイトルが漏れているB1の曲は、クライド・マクファターの"Just to Hold My Hand"のカバーだと思います。
これは名曲ですね。
ホーン・アレンジがかっこよく決まっています。
さて、少しいらいらをおさめて、仕切り直しましょう。
本盤は、Joey Longのイメージそのもののサイケなブルースと、これは意外なポップな歌ものが混在した内容になっています。
他人の曲を歌ったA1,A2は、Joeyが案外うまいテナーを聴かせるポップ・ソングで、「あれっ」と思います。
しかし、A3の自作、"Jezebell Gables"は、ダミ声でワイルドに歌うブルージーR&Bです。
ブッカーTを連想させるオルガンに、サイケなブルース・ギターが被さってきます。
続く"House Of The Rising Sun"は、もちろん「朝日のあたる家」ですが、前曲と同じ路線で、サイケなブルージー・ギターがラフなボーカルにコール&レスポンスするアレンジが印象的です。
そして、A面ラストの"Please Mr. Mirror"は、きどった美声を聴かせるジャジーなポップ・ソングになっていて、その落差に驚きます。
困りもののB面をさっと聴きましょう。
干されている"Just to Hold My Hand"は、本盤ではかなり私好みに仕上がっています。
これはいいです。
2曲のインストを経て、歌ものの"Blue Taer"は、ポップな曲ですが、これは意外にもなかなかです。
一方、オルガンが「ピーピー」とチープな伴奏をする、"Send Me Some Lovin'"は、Joeyのリトル・リチャードばりのヒーカップが聴きものです。
だんだん調子が出てきました。
ラストの" Keen Teen Baby"は、元気なホーンの入った三連のニューオリンズR&Bで、オフ気味に聴こえてくる、せわしないピアノの連打が効いているいい曲です。
本盤では、"Just to Hold My Hand"とともに、特にDr. Johnのテイストを感じさせてくれた曲でした。
本盤を聴いても、まだまだよくわからない人だというのが正直な感想です。
ただ言えることは、凶器系のブルース・ギターリストとしての顔と、意外にも「歌える」人の顔を併せ持つ、カオスな人だったのでした。
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その代表が、Gene Thomas、Buck Rogers、そしてJoey Longです。
マイナーどころばかりですみません。
今回は、テキサスの白人ブルース・ギタリストにして、スタジオの伝説のエース、でも、その実体がほとんど伝えられていない人、Joey Longの70年代のソロ・アルバムが手に入ったので、わくわくしながら聴いてみました。
本盤は、Huey Meauxの制作により、彼のCrazy Cajun Recordsから78年にリリースされました。
実際に現場を仕切ったのは、Meauxの片腕であるMickey Moodyだと思いますが、アレンジャーとして、Dr. Johnの名前がクレジットされているのが興味深いです。
Flyin High
Joey Long
Joey Long
Side One
1. Tormented Love (Jack Rhodes)
2. Lovers Land (Jack Rhodes)
3. Jezebell Gables (Joseph Longoria)
4. House Of The Rising Sun (Alan Price)
5. Please Mr. Mirror (Joseph Longoria)
Side Two
1. Four O'Clock A.M. Part 1 (Joseph Longoria)
2. Four O'Clock A.M. Part 2 (Joseph Longoria)
3. Blue Taer (Kurney Revett)
4. Send Me Some Lovin' (77-14)
5. Keen Teen Baby (Leroy Martin)
音を聴く前に、最初にジャケット・デザインについてお知らせします。
一見してよく分からない構図だと思いますが、これは、4機のジェット機の航空ショー(?)のワン・カットだと思われます。
なんだか変な爪のようなものが見えますが、飛行機雲の軌跡を捕えたものです。
謎解きをすれば「なーんだ」という感じですね。
(私は、ネットでジャケ写を見たとき、なんて趣味の悪いデザインなんだと思っていました。)
さて、早速聴いてみましょう。
通して聴いてみて、一気に色々な感情があふれてきました。
何から説明しましょう。
とりあえず、相も変わらずのいい加減なつくりの話をします。
Crazy Cajun、またまたやってくれてます。
本盤は、裏ジャケ、レコードのラベルとも、収録曲の表記は上記のとおりです。
B4の"Send Me Some Lovin'"の作者クレジットが変ですが、この程度はかわいいものです。
本盤のB面は5曲の題名が記載されていますが、実は6曲入りなのです。
どうしてこうなったのか、また、再プレスのときにも誰も修正しないのはなぜか、など疑問は尽きませんが事実です。
B1に収録されている曲のタイトルが全く記載されていず(ジャケ、ラベルとも)、初めて聴くと、頭が混乱します。
それというのも、表記では、B1とB2が"Four O'Clock A.M."のPart1、Part2となってますが、明らかに別の曲なのです。
実際にB1は歌もの(R&B)なのに対して、B2の"Four O'Clock A.M. Part 2"は、ブルース・ハープとギターが印象的なジミー・リード・スタイルのインストなのでした。
対してB3は少し違いますが、やはりブルース・ギターのインストです。
私は、ここで「あれっ」と思いましたが、不審に思いつつもそのまま聴いていくと、"Send Me Some Lovin'"であるべき曲が全く別のメロで、「ブルー・ティアー」という歌詞を歌っているではありませんか。
ここで、はっきりと確信しました。
B面の1曲目のタイトルが欠落しており、全て1曲づつずれているのです。
タイトルが漏れているB1の曲は、クライド・マクファターの"Just to Hold My Hand"のカバーだと思います。
これは名曲ですね。
ホーン・アレンジがかっこよく決まっています。
さて、少しいらいらをおさめて、仕切り直しましょう。
本盤は、Joey Longのイメージそのもののサイケなブルースと、これは意外なポップな歌ものが混在した内容になっています。
他人の曲を歌ったA1,A2は、Joeyが案外うまいテナーを聴かせるポップ・ソングで、「あれっ」と思います。
しかし、A3の自作、"Jezebell Gables"は、ダミ声でワイルドに歌うブルージーR&Bです。
ブッカーTを連想させるオルガンに、サイケなブルース・ギターが被さってきます。
続く"House Of The Rising Sun"は、もちろん「朝日のあたる家」ですが、前曲と同じ路線で、サイケなブルージー・ギターがラフなボーカルにコール&レスポンスするアレンジが印象的です。
そして、A面ラストの"Please Mr. Mirror"は、きどった美声を聴かせるジャジーなポップ・ソングになっていて、その落差に驚きます。
困りもののB面をさっと聴きましょう。
干されている"Just to Hold My Hand"は、本盤ではかなり私好みに仕上がっています。
これはいいです。
2曲のインストを経て、歌ものの"Blue Taer"は、ポップな曲ですが、これは意外にもなかなかです。
一方、オルガンが「ピーピー」とチープな伴奏をする、"Send Me Some Lovin'"は、Joeyのリトル・リチャードばりのヒーカップが聴きものです。
だんだん調子が出てきました。
ラストの" Keen Teen Baby"は、元気なホーンの入った三連のニューオリンズR&Bで、オフ気味に聴こえてくる、せわしないピアノの連打が効いているいい曲です。
本盤では、"Just to Hold My Hand"とともに、特にDr. Johnのテイストを感じさせてくれた曲でした。
本盤を聴いても、まだまだよくわからない人だというのが正直な感想です。
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投稿者:エル・テッチ|01:20
|テキサス・ミュージック