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ブルー・アイド・ハンサム・マン

 これはかっこいい !!
 事前に期待していなかっただけに、嬉しさはひとしおです。
 今回は、スワンプ・ポップ・レジェンドの一人、T. K. Hulinが07年にリリースしたアルバムをご紹介します。

 本CDは、Gulf Coast Soul Recordsなる会社から出されていますが、No.が2001ときれいな番号であり、あるいはこのCDを出すために作られたレーベルかも、などと想像してしまいます。


Larger Than Life
T. K. Hulin

1. Get Up, Get Down (K. Gamble, L. Huff)
2. Hold Me, Thrill Me, Kiss Me (Harry Noble)
3. It's Not Unusual (G. Mills, D. L. Reed)
4. I'll Still Be Your Friend (Eddy Raven)
5. Hard To Be (Dyle Bramhall, Stevie Ray Vaughan)
6. It Turns Me Inside Out (Jan L. Crutchfield)
7. Having A Party (Sam Cooke)
8. Don't Fight It (Steve Cropper)
9. Riding With The King (John Hiatt)
10. I'm Gonna Find Another You (John Mayer)
11. Hallejulah, I Love Her So (Ray Charles)
12. You Raise Me Up (B. J. Thomas, R. U. Lucland)
13. Unconditional (Bryant, Hengber, Rutherford)

 T. K. Hulinは、本名をAlton James Hulin(ヒューラ? 英語風ならヒューリン)といい、T.K.というのはニックネームで、彼のおじさんが付けたらしいです。

 残念なことに、そもそもの意味は明らかにされていません。
 でも、彼の友人たちは、何か理由があってのことか、あるいはT.K.という文字に後付けしたのか不明ですが、"The King"という意味で使っていたらしいです。
 The King Hulinというわけです。 

 ルイジアナ州出身で、おそらくケイジャンだと思いますが、情報があまりなく、どちらかと言えば、シンガーとしてより、ソングライターとして認知されている人なのかも知れません。

 代表作は、63年にリリースした"I'm Not a Fool Anymore"で、Doug Sahmを筆頭に、多くのシンガーにカバーされているスワンプ・ポップの名作のひとつです。
 翌64年には、"As You Pass Me By Graduation Night"を発表し、この2曲が代名詞的な存在になりました。

 さて、T. K. Hulinですが、彼の音源は現在あまり流通していません。
 オリジナルLP(?)では、78年にHuey P. Meauxが制作したCrazy Cajun盤、"As You Pass Me By Graduation Night"があり、編集盤ではStarflite盤(これもMeauxのレーベル)の"Hit Memories By T. K. Hulin Volume One"というものがあります。
 (…Volume Twoが出たかどうか不明です。)

 私は後者は未入手ですが、収録曲は、サイト掲載の裏ジャケ写真から読み取ったところ、70年代以降の録音だろうと思います。
 
 初期のシングルのいくつかは、当初LK(自主制作盤?)から出され、まもなくスマッシュから全国配給されたと思われます。

 こういった60年代のシングルは、LP化されているのでしょうか?
 単独はむりでも、マーキュリー系のレーベル・コンピに収録されている可能性はありますね。

 CDでは、私の知る限り、HulinのオリジナルCDは、07年リリースの本盤だけです。
 編集盤では、99年に英Edselから出された、"I'm Not a Fool Anymore 〜 Crazy Cajun Recordings"があり、現在最も入手しやすいものだと思います。 
 中身は、78年のLP、"As You Pass Me By Graduation Night"の収録曲全てに加え、さらに"Hit Memories By T. K. Hulin Volume One"の一部が含まれています。(…と思います。)

 そろそろ内容に触れていきましょう。
 本盤の参加ミュージシャンは、以下のとおりです。

T.K. Hulin - vocals
Charles Ventre - keyboards, vocals
Tony Ardoin - electric/acoustic guitar
Mike Burch/Larry 'B-Lou' Hulin - drums
Larry Badon - bass
The Bayou Soul Horns ;
Jason Parfait - tenor sax
James Spells - trumpet
Alex Melton - baritone sax
Guests ;
Richard Comeaux - pedal steel
Beau Thomas - violin
Tony Daigle - acoustic guitar, triangle, percussion
Roddie Romero - slide guitar
George Toups - bass

 そのサウンドは、78年のCrazy Cajun盤のイメージ(ゆるいカントリー風の仕上げ)とはまるで違い、タイトで躍動感あふれるバンド演奏がかっこいいです。

 例えて言うなら、Delbert McClintonに近い感じをイメージしていただきたいです。
 スワンプ・ポップというより、ブルージーなロック、またはファンキーなソウル・レビュー風の曲が次から次へと出てきます。
 ベタに言うなら、ブルー・アイド・ソウル・アルバムです。



 1曲目の"Get Up, Get Down"からして、スピード感満点のソウル・ナンバーで、ギャンブル、ハフ作となってますが、私は原曲を知りません。
 フィリーっぽい大甘なストリングスを排除したアレンジで、甘茶系の方には不満かもしれませんが、私は好きです。
 このスリリングなアタマの1曲で、本盤が傑作だろうという予感がしてきて、わくわくしました。

 軽快かつジェントルな" Hold Me, Thrill Me, Kiss Me"で、Hulinの素晴らしい咽喉に痺れます。

 そして、続くのは、Tom Jonesの"It's Not Unusual"です。
 この曲は、何かのTVCFに使われていたので耳になじんでいますね。
 オリジナルの強烈な印象が強いですが、Hulin盤も負けていません。
 アベレージ以上の出来だと思います。
 ただ、この選曲は少しサプライズでした。

 次の"I'll Still Be Your Friend"が、心に染み入るような素晴らしいバラードで、原曲は何でしょう?
 美しいピアノのバックに流れる、流麗なラップ・スチールの調べが隠し味になっています。

 そして、驚きの1曲が登場します。
 Vaughan Brothersが唯一のアルバム、"Family Style"でやっていた"Hard To Be"です。
 これはもう、曲自体が問答無用の名曲のうえ、ここでのカバーも素晴らしいです。
 基本的に、オリジナルのアレンジを生かした仕上げになっていて、かっこいいホーン陣を従えた2本のギターが最高にスイング&ドライヴしていて、言うことなしです。
 これは、ドイル・ブラムホール(息子の方?)とレイ・ヴォーンの共作だったんですね。

 "It Turns Me Inside Out"は、どこかで聴いたようなメロを持つ曲です。
 サッドかつムーディな曲で、サビこそわずかに違いますが、これはElvisで有名な"In The Ghetto"を連想せずにはいられない曲です。
 曲としては、私は"In The Ghetto"よりも好きです。
 ちなみに、"In The Ghetto"は、Bobby Blandもやってましたね。

 "Having A Party"は、説明不要の有名曲ですね。
 彼の唱法からは、特段、サム・クック・フレイバーは感じませんが、次のビケットの"Don't Fight It"と同様、オリジナルを意識しつつも、無理につくろうとはせず、自分らしく歌っているのがとても好感が持てました。
 この力強いソウル名曲の連発は、バラード曲の後を受けて、素晴らしく効果的な配置になったと感じます。

 そして、またまた予想外の選曲が来ます。
 John Hiatt作の"Riding With The King"です。
 Hiattの曲としては、それほどの良曲でもないですが、クラプトンが取り上げたため有名になりましたね。
 まあ、あれはB. B. Kingとの共演盤という意味からチョイスされたんでしょう。
 ここでもバンドの一体感が素晴らしいです。

 Ray Charlesの"Hallejulah, I Love Her So"は、手垢のつくほどの有名曲ですが、Sam Cookeから、Wilson Pickettときて、この曲がくると、改めてT. K. Hulinの音楽人生の原風景みたいなものが感じられます。

 Hulinは、ケイジャンやカントリーに負うところも多いはずですが、本盤は、とりわけブラック・ミュージックへの愛情を強く打ち出した1枚になりました。
 "Hallejulah, I Love Her So"は、イントロを聴いた瞬間から、悪くなりようがない、そう感じさせる力強い仕上がりになっています。

 そして、美しいピアノの伴奏が素晴らしい、ドラマチックなバラード、"You Raise Me Up"が聴き手を厳かにクロージングへと導いていきます。

 ひいき目もありますが、この際、傑作アルバムだと言い切ってしまいましょう。




Hard To Be by T. K. Hulin




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