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セピア色のジェイムズ

 いやー、日本盤が出てたんですね。
 しかも、英文ライナーの完訳がついているそうで、ライナーだけ別に欲しいです。
 でも、価格が英盤の二倍もする日本盤は買いづらいです。

 今回は、英Aceのナイス・コレクション、James Burtonの初期の仕事集です。


The Early Years 1956-1969
James Burton

1. Susie-Q - Dale Hawkins (57)
2. Red Hot - Bob Luman (57)
3. Shirley Lee - Bobby Lee Trammel (57)
4. My Babe - Ricky Nelson (57)
5. Cannonball Rag - James Burton (61)
6. Don't Leave Me This Way - Ricky Nelson (58)
7. The Creep - The Shadows (57)
8. Stop Sneakin' Around - Ricky Nelson (60)
9. Swamp Surfer - Jimmy Dobro (63)
10. Make Up Your Mind Baby - Bob Luman (58)
11. Fireball Mail - Jim & Joe (63)
12. Blood from a Stone - Ricky Nelson (60)
13. Real Live Fool - Lee Hazlewood (65)
14. Daisy Mae - Jim & Joe (63)
15. Everybody Listen to the Dobro - Jimmy Dobro (63)
16. Guitar Player - Buddy Cagle (69)
17. Jimmy's Blues - Jimmy Burton (65)
18. Poor Boy Looking for a Home - The Green River Boys Feat. Glen Campbell (62)
19. See See Rider - The Everly Brothers (65)
20. Love Lost - Jimmy Burton (65)
21. A Child's Claim to Fame - Buffalo Springfield (67)
22. If You Want to Be My Woman - Merle Haggard (67)
23. Moonshine - James Burton & Ralph Mooney (68)
24. Corn Pickin' - James Burton & Ralph Mooney (68)
25. Someday, Someday - The Shindogs (65)
26. Why - The Shindogs (65)
27. Just for a While - Carol Williams (56)
28. Tryin' to Be Someone - David & Lee (62)

 James Burtonは、私が最も好きなギタリストの一人です。
 ミスター・テレキャスターですね。
 私が初めて彼の存在を知ったのは、Elvisのラスベガス公演(?)「オン・ステージ」の記録映画で、バンマスをしている姿を見たのでした。

 Jamse Burtonという名前を意識して音を聴いたのは、米Rhinoがギター・マガジンと共同制作した、カントリー・ギターのコンピの収録曲で、ちょうど本盤のトラック24に入っている、"Corn Pickin'"が出会いだと思います。

 同盤の他の収録曲より、明らかに先へ行っていると感じ、感激したものでした。
 本盤は、続編も出る予定らしく、そちらには多分大物シンガーとのセッションがかなり入っているんでしょうが、今回の収録曲は初めて聴くものがほとんどでした。

 英文ライナーには、いろいろと興味深いことが書いてあるんでしょうね。 
 やはり内容が気になります。

 収録曲のリリース時期と音を聴いた印象からいいますと、必ずしも録音順にレコードになっていないんだろうと想像します。

 ミスター・テレキャスターと言われる彼ですが、ジャケ写を見ると、シングル・カッタウェイのセミアコを構えています。
 これは、グレッチでしょうか。
 ブックレットの写真でも、Ricky Nelsonと写っているものでは、やはりセミアコを持っています。

 私は以前から、"Susie Q"のプレイがJames Burtonだという話を聞いて、不審に思っていました。
 現在の彼のプレイとは違いすぎると感じましたし、何よりギターの音色が違う気がしたからです。

 私は、Dale Hawkinsのアナログ盤で、"Susie Q"を聴いたときから、別人じゃないかと疑っていました。
 Daleのヴィンテージ録音の単独CDも持っていますが、"Susie Q"はアナログ盤とさほど音の印象は変わりません。

 しかし、今回の盤の音は明らかにクリアで、見違える(聞き違える)ようです。
 楽器の音の分離がよくて、ギターがはっきり聴こえます。
 とはいえ、Jamesのプレイだと思い直したわけでもありません。

 このプレイやトーンの印象の違いは、セミアコとソリッド・ギターの違いのせいなんでしょうか?
 本盤でも、中盤以降の収録曲は、まさにJames Burtonといったイメージの演奏が散見しています。
 でも、頭の5〜6曲はかなり受ける印象が違いませんか。

 本盤の最初の方には、ロカビリーの伴奏が固まって入っています。
 でも、聴けばわかりますが、案外ロカビリー・ギターの定番である、マール・トラヴィス風のプレイが出てきません。
 このあたりが、余計に分かりにくくしている原因のひとつかも知れません。

 James Burtonは、Dale Hawkinsとは"Susie Q"だけの縁だったんでしょうか。
 その他の曲でも伴奏したのか、あまり言及している文章を読んだことがありません。

 はっきりしているのは、Ricky Nelsonのバックを長くやったということですね。
 Nelsonのインベリアル時代の多くの曲で伴奏していると思います。

 ただ、一方で、Bob Lumanのバックもやっていて、リリース年だけをみると、時期がダブッているんですよね。
 このあたり、どちらか一方のバックが主でツアーなどにも同行し、もう一方はスタジオ・セッションだけの間柄だったんでしょうか。
 英文ライナーに答えがあるかもと思うと、やはり読みたいです。

 本盤には未収録ですが、Bob Lumanの伴奏をつけたものでは、"Mystery Train"が素晴らしいプレイです。
 録音年がはっきり分かりませんが、Scotty Mooreのプレイと比べると、かなり新しいセンスに満ちたプレイに聴こえます。
 Bob Lumanとも、細く長いつながりがあって、60年代後半以降にも一緒にやっていたのかも知れません。 

 James Burtonは、フラット・ピックを普通に親指と人差し指で持つほかに、中指1本だけにバンジョー用のフィンガー・ピックを付けています。
 フィンガー・ピックは、常につま弾くわけではないと思いますが、これと3弦のライト・ゲージこそが彼のチキン・ピッキン奏法の肝なんだと思います。
 このスタイルにしたのがいつからなのかも、ライナーに記載があるなら知りたいものです。

 本盤には、変名で出したJimmy Dobro名義の作品など、興味深い曲がたくさん入っています。
 Jamesは、ドブロの名手でもありました。
 エミルー・ハリスの初期のアルバムなどでのプレイが特に印象に残っています。

 本盤の前半は、おそらくはセミアコ時代のJameのプレイが楽しめます。
 そして、中盤から後半にかけては、Jamesのパブリック・イメージに近い演奏のオン・パレードになり、そのスマートでシャープな響きに酔わされます。

 Merle HaggardやGlen Campbellとのセッション、Buffalo Springfieldの伴奏までが含まれていたりして、興味は尽きませんが、有名人らの伴奏はこんなものではないです。
 Merle Haggardには腕利きの専属リードがいますし、Glen Campbellは彼自身が達人ですが、それでもJamesにお座敷がかかったということですよね。
 まさにミュージシャンズ・ミュージシャンですね。

 続編にも大いに期待します。


Hello Mary Lou by Ricky Nelson with James burton


ここで使ってるのはフェンダー・ジャズ・マスター?



This Is The Night by Bob Luman


こちらも50年代ですが、テレキャスターを弾く姿が写っています。



James Burton "Tiger man" Guitar solo 1970 with Elvis.







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