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ワン・アンド・オンリー、ピアノ・マン

 何をやっても、誰とやっても一切ぶれることがない、そんな人だと思います。
 プロデュースしがいがない人といえるでしょう。
 良く言えば、いかなることにも揺るがない強烈な個性の持ち主であり、悪く言えば頑固で柔軟性に欠ける人です。


Southern Roots
Boogie Woogie Country Man
Jerry Lee Lewis 

1. Meat Man
2. When A Man Loves A Woman
3. Hold On I'm Coming
4. Just A Little Bit
5. Born To Be A Loser
6. Haunted House
7. Blueberry Hill
8. Revolutionary Man
9. Big Blue Diamond
10. That Old Bourbon Street Church
11. Margie (Bonus Track)
12. Cry (Bonus Track)
13. I'm Still Jealous Of You
14. Little Peace & Harmony
15. Jesus Is On The Mainline
16. Forever Forgiving
17. (Remember Me) I'm The One Who Loves You
18. Red Hot Memories (Ice Cold Beer)
19. I Can Still Hear The Music In The Restroom
20. Love Inflation
21. I Was Sorta Wonderin'
22. Thanks For Nothing
23. Boogie Woogie Country Man
24. That Kind Of Fool (Bonus Track)
25. Damn Fine Country Song (Bonus Track)
26. When I Take My Vacation In Heaven (Bonus Track)
27. Don't Boogie Woogie (Bonus Track)

 このアルバムは、ジェリー・リー・ルイスの70年代のマーキュリー時代の2枚のアルバムを2イン1にパックしたアルバムです。

 04年にオーストラリアのRavenという会社からリイシューされたもので、元のソースとなったのは、73年のSouthern Rootsと、75年のBoogie Woogie Country Manです。

 トラック1から10までが、オリジナルのSouthern Rootsで、トラック11と12がそのアウトテイクになります。
 また同様に、トラック13から23までが、オリジナルのBoogie Woogie Country Manで、残るトラック24から27までがそのアウトテイクになります。

 今回は、特に前半のSouthern Rootsに注目して聴き返したいと思います。
 まず、米国南部音楽好きにとっては、そのものずばりのタイトルに注目せずにはいられません。

 かつて、ミリオン・ダラー・セッションという、エルヴィスやカール・パーキンス、ジョニー・キャッシュとの私的セッションをアルバム化した、Sunの同窓会的アルバムが作られましたが、あの興奮が頭によぎります。

 Southerm Rootsは、ヒューイ・モーが制作したもので、曲ごとのセッション・データが明かされていないのが残念ですが、メンフィス録音とヒューストン録音からなっています。

 そのセッション参加メンバーを見ると、興奮せずにはいられません。
 全体のバンマスは、ギターのスティーヴ・クロッパーです。
 ギターでは、カール・パーキンス、トニー・ジョー・ホワイトほか数名の名前がクレジットされています。

 また、ベースはダック・ダンほか数名、ドラムスはアル・ジャクスンほか数名、さらにウェイン・ジャクスン、アンドルー・ラヴというお馴染みのメンフィス・ホーンズの面々の名前も記されています。

 もちろん、黄金のスタックス・ハウス・バンドのメンツたちですね。
 キーボードのブッカーT・ジョーンズのみ不参加のようです。
 こちらが、メンフィス録音の中心メンツであるのは間違いないでしょう。

 ヒューストン録音の関係がよくわかりませんが、先に各楽器に他数名と書いた人たちが、それらの人たちを含んでいると思います。
 私は、よく知らない人たちなので、ここで名前を記すことができません。

 ただ、一人だけ、確かな人がいます。
 なんと、ヴォックス・オルガンで、オーギー・メイヤーズの名前がクレジットされているではありませんか!
 ヒューイの制作ですから、不思議はありませんが、これは嬉しすぎる組み合わせです。

 これで、ジョーイ・ロングとか、ミッキー・ムーディーとか、ジョージ・レインズとか、あるいは、ロッキー・モラレスとかの名前があれば、なお嬉しいところですが…。
 残念ながら、そういった人の名前はありません。
 それでも、期待に胸を膨らませずにはいられないメンツです。

 さて、結論からいいますと、書き出しの文章のとおりです。

 ジェリー・リー・ルイスは、唯我独尊の人であり、誰かに支配されない人だと思います。
 あくまで自分のスタイルを貫いており、ヒューイや、伝説のスタジオ・エースたちの手をもってしても、スペシャルな魔法をかけることはできないのでした。
 
 むしろ、ジェリーの強烈そのものの個性が、MGs以下の名人たちの個性をぼやけさせているかのようです。
 はっきりいって、クロッパーのリーダー・シップは、ジェリーにはあまり通用していないようです。
 ジェリーにとっては、セッション・メンツも、ヒューイの制作も、あまり影響しないようでした。

 ただあるのは、おそらく向き不向きだけだと思います。
 実は、後半のBoogie Woogie Country Manセッションの方が、明らかにジェリーに向いており、より自然な良さが出ていると思います。
 少し残念ですが、やむをえません。
 結果的には、ヒューイの企画した夢のコンセプトは、それほど機能したとは言いずらいです。

 対して、ナッシュビルで、ギターのハロルド・ブラッドリー、ドラムスのバディ・ハーマン、ハーモニカのチャーリー・マッコイ、そして、コーラスにジョーダネアーズを迎えた、Boogie Woogie Country Manセッションの方は、予想を超えて素晴らしい出来になっています。

 やはり、ジェリーには、ブラック・ルーツより、ホワイト・ルーツの方が、若干勝っているのかも知れません。
 無理に有名R&Bのカバーをしなくても、こちらの方がジェリーの黒さが際立っているようで、皮肉な結果です。
 ちなみに、こちらのセッションは、Jerry Kennedyという人が制作しています。
 
 全体的に、ジェリーのカントリー・ルーツに焦点をあてたセッションです。
 そして、カントリー・ゴスペルに素直に向き合った曲こそが、最高に興奮させてくれる仕上がりとなっていました。

 このあたりに、ジェリーの本質があるのかも知れません。
 ミリオン・ダラー・セッションのカラーを決定づけていたのは、エルヴィスの個性だけではなかったという、ひとつの検証が、ここにあると私は思います。

 期せずして、ブラック・ルーツと、ホワイト・ルーツに向き合った2枚のアルバムの、見事な対比が、鮮やかに浮き彫りにされたCDになったようです。

 ジョーダネアーズのコーラスがはまった、カントリー・ゴスペル調の曲たちが、ハイライトであると言い切りましょう。
 制作としては、ジェリー・ケネディの勝利と言いたいです。

 ブラック・フィールを持った白人シンガーを制作する、お手本のひとつと言えるのてはないでしょうか。

 さて、最後に、私の個人的な趣味から、トリビアをひとつ。
 このアルバムの(私にとっての)最大の注目は、8曲目のRevolutionary Manです。

 この曲は、ダグ・サームの作品で、Revolutionary Wayとして知られている曲です。
 ここでは、はっきりと、オーギーによるヴォックス・オルガンが存在を主張していて、嬉しくなります。

 セッションとしては、期待ほどの成果を得られなかった試みでしたが、この1曲をジェリーにやらせただけで、私はヒューイの仕事に拍手したいです。

 続く9曲目のBig Blue Diamondとともに、ヒューイ制作の成果だと思います。
 この曲は、後にヴァン・モリスンもカバーした曲でした。



Revolutionary Manです。








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