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2017年12月11日
検診目的の大腸MR検査(MR colonography)の精度はどうなのでしょう
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PubMedから、今日のつぶやき − 130 −
Graser A et al. Magnetic resonance colonography for the detection of colorectal neoplasia in asymptomatic adults. Gastroenterology 2013;144:743-50.
「検診目的の大腸MR検査(MR colonography)の精度検証」論文
の結果の続きになります。
【結果】
本文では結果がいくぶんか冗長気味に書かれています。
10月10日の「つぶやき − 125 −」のアブストラクトから
要点をピックアップするので、改めてみてみましょう。
6ミリ以上のアデノーマの感度は
大腸MR検査: 78.4%(95%信頼区間 61.8-90.2%)
大腸内視鏡検査:97.3%(95%信頼区間 85.8-99.9%)
患者別にみた場合、6ミリ以上のアデノーマを有する患者の感度は
大腸MR検査: 87.1%(95%信頼区間 50.9-91.3%)
大腸内視鏡検査:96.8%(95%信頼区間 83.3-99.9%)
便潜血検査: 10.0%(95%信頼区間 2.1-26.5%)
患者別にみた場合、6ミリ以上のアデノーマを有する患者の特異度は
大腸MR検査: 95.3%(95%信頼区間 91.9-97.5%)
大腸内視鏡検査:96.9%(95%信頼区間 93.9-98.6%)
便潜血検査: 91.8%(95%信頼区間 87.6-94.9%)
「つぶやき − 125 −」でもコメントしましたが、
大腸MR検査の結果は良いと思います。
そして、先日のJDDW2017でも議論に上りましたが、
(ラインコミュニティ配信時のため少し昔ですね)
1回の便潜血検査の感度(しかもここでは6ミリ以上のアデノーマ)を、
他のモダリティと比べるのは全くのナンセンスです。
逐年で受けることにより、便潜血検査の感度は向上していきますし、
その目的は対策型検診として死亡率減少を目標にしたものだからです。
フェアに比べるのでしたら、死亡率減少効果も比較して欲しいですし、
偶発症にも言及すべきでしょうね。
また、アブストラクトに記載がなかった事項として
患者さんに次回の検診で希望するモダリティを聞いています。
アンケートの回答は212名(74.1%)から返答がありました。
大腸MR検査を希望したのは48名(22.6%)
大腸内視鏡検査を希望したのは65名(30.7%)
どちらでも構わないと回答したのは99名(46.7%)
という結果です。
う〜ん、思ったよりも大腸内視鏡検査が少ないですね。
皆さんはいかがお考えになりますか?
話は変わりますが、上司の斎藤部長が取材を受けた
毎日新聞の記事をご紹介します。
日本の検診の問題点をきちんと報道されている良い記事だと思います。
次回からDiscussionを見ていきましょう。
それでは、また。
ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。
原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23415805
★★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA-03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
に掲載されました!!
https://link.springer.com/article/10.1007/s00330-017-4920-y
委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。
<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。
<検診>
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
大腸CT検査による検診受診率は735%増加した。
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
大腸内視鏡検査による検診受診率は38%増加した。
・腸管外病変診断による利益・不利益バランスには注意が必要。
<検査食は不要>
・低容量腸管前処置においても、ガストログラフィンを使えば食事制限は不要。
・腸管残渣の状態は食事制限の有無に左右されない。
・水溶性造影剤によるタギングの質は食事制限の有無に左右されない。
・食事制限の撤廃は患者の受容性向上に寄与する。
<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。
・炭酸ガス自動送気装置は良好な腸管拡張を得るのに有用である。
・ブスコパンは腸管拡張の改善に寄与しない。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。
<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。
<受診者の受容性>
・患者さんの苦痛度は炭酸ガス自動送気装置の使用やブスコパンの使用は影響しない。
<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。
・術前検査目的の大腸CT検査の穿孔率は0.028%。
・検診目的の大腸CT検査の穿孔率は0.003%。
・精検目的の大腸CT検査の穿孔率は0.014%。
・穿孔率は術前検査目的に比べて検診目的で有意に低い。
・穿孔症例の81%では外科治療が不要。
・自動送気装置の使用は穿孔のリスクを低減する。
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■読影トレーニングに関して重要なお知らせです。■
ここ数年、ボランティアで読影トレーニングを行ってきましたが、自身の業務が膨大になってきたこともあり、残念ながら永続的に続けることは困難な印象です。
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そこで申しわけありませんが、読影トレーニングの個人的な実施は今年一杯までとさせていただきたいと思います。。
トレーニングのレポートの受付と解答送付は今年一杯までとさせていただきます。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い致します。
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