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2017年08月30日

大腸CT検査(CT colonography)に細径カテーテルは使用すべきだが、ブスコパンは不要だ!

おはようございます!
いよいよ今週末の9月3日(日)に広島で
「第11回消化管先進画像診断研究会 (GAIA) 」
が開催されます。
モーニングセミナーではなんと
「AR(augmented reality:拡張現実感)」
に関する講演が聞けますよ!!
未来が変わる!未来をのぞいて見ましょう〜
是非、お越し下さい。





PubMedから、今日のつぶやき − 61 −


1) de Haan MC, et al. Colon distension, perceived burden and side-effects of CT-colonography for screening using hyoscine butylbromide or glucagon hydrochloride as bowel relaxant. Eur J Radiol 2012; 81:e910-6

2) Taylor SA, et al. Optimizing colonic distention for multi-detector row CT colonography: effect of hyoscine butylbromide and rectal balloon catheter. Radiology 2003; 229:99-108


2つめのTaylorさんの研究論文の結論は下記でした。

【結論】
1)ブスコパンはルーチンで使うべし。
2)バルーンが付いていない細径のカテーテルの使用が妥当だ。

結論1)にある問題点は下記です

問題1.自動送気装置ではなく、手動注入であること。
2003年の論文だから致し方ないのですが、
現状、大腸CT検査に関する精度検証などにおいて
自動装置を使用していないとなかなか評価されません。
なぜか?
再現性に乏しいからです。

問題2.ダブルブラインドではない。
被検者はもちろん、読影者にも判定に影響を及ぼす可能性があります。

問題3.ランダムに割付けたとありますが・・・。
これも2003年の論文なので、以前は緩かったですね。
方法のRandomizationの部分(101頁左段)を読でみると、
ブスコパン禁忌ではない最初の20例はブスコパン20mgに割り付けた。
残りの116例はブスコパン20m、ブスコパン40mg、ブスコパン不使用の3群にランダムに割り付けた。
ただし、ブスコパン群に割り付けられたブスコパン禁忌群はブスコパン不使用群に組み込んだ
え?これはランダム割付でいいの!?

この割付の欄ですが、
なぜかカテーテルの割付を先に持ってきているんですよね。
タイトルや結果の内容はすべてブスコパンの内容が先なのに。

その内容はというと、カテーテルの割付はきれいなんです。
コンピュータでのランダム割付にしたがって、
70例はバルーン付きカテーテル、
66例はバルーンが付いていない細いカテーテル
うーん、こちらは素直にランダム割付ですよね。

ということで、科学的解析手法に??の感がぬぐえません。

個人的には結論2)のほうについては賛成です。

細いカテーテルを使うべき使うべきですし、
体位変換が少ない大腸CT検査では、
バルーンは必ずしも必要ないと思います。

でも、まあ検査中にカテーテルが抜けるといやですよね。
その場合、せめて2体位目の本撮影前(2体位目のスカウト撮影後)には、
バルーンを脱気して撮影してください。

でないと、下部直腸病変を見逃してしまいますよ〜

ブスコパンシリーズは長くなったのでこのあたりにしましょう。
それでは、また。


ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。



原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22683196

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12944595



★★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA-03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
に掲載されました!!



PubMedにも掲載済みですよ


委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★




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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。

<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。

<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。

<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。
・炭酸ガス自動送気装置は良好な腸管拡張を得るのに有用である。
・ブスコパンは腸管拡張の改善に寄与しない。

<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。

<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。

<受診者の受容性>
・患者さんの苦痛度は炭酸ガス自動送気装置の使用やブスコパンの使用は影響しない。

<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。





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日本の大腸CT検査の知識のボトムアップを狙っています。
最新の世界の知識を身につけることで、患者さんに還元するのはもちろんですが、きっと新しい研究の芽も生まれると信じています。
皆でパワーアップしていきたいですね!!



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メリット
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・最新の情報を入手できる。
・仲間と意見を交換できる。
・待ち時間に気軽にみられる。
・配信されたことがすぐに分かる。
☆彡 入会希望の方はご連絡下さい
(恐れ入りますが、ラインコミュニティは医療関係者の方に限定させていただいております)


■読影トレーニングに関して重要なお知らせです。■
ここ数年、ボランティアで読影トレーニングを行ってきましたが、自身の業務が膨大になってきたこともあり、残念ながら永続的に続けることは困難な印象です。
一方で、学会で認定制度の設立に向けた動きが活発化してきました。
そこで申しわけありませんが、読影トレーニングの個人的な実施は今年一杯までとさせていただきたいと思います。。
トレーニングのレポートの受付と解答送付は今年一杯までとさせていただきます。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い致します。
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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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